龍の声

龍の声は、天の声

「CIA未来予測報告書『Global-trends 2030』④」

2013-01-19 11:01:36 | 日本

【4】可能性のあるscenario(結論)

CIAの報告書は以上の認識を前提に、将来起こり得る複数のscenarioを結論として提示している。


①最悪のscenario(失速)
Europeが財政危機の克服に失敗して深刻な不況に入り、またAmericaはshale oilとshale gasの開発によるenergy革命に失敗して不況になると、EuropeとAmericaは内向きになり、世界との関わりを制限する。
そのような状況では、国際紛争の調停を行う国が存在しなくなるので、本格的な戦争が起こりやすくなる。戦争はおそらくAsiaが舞台となる。だが、周辺国が仲裁に乗り出すので、世界大戦のような大きな戦争には発展しない。現代の世界経済は、かつてないほど相互に依存しているので、大きな戦争が起こる可能性は低い。それでも、Asiaを舞台に戦争が起こると、世界経済は大きく停滞する。


②最善のscenario(統合)
対極にある最善のscenarioは「統合」である。America、China、Europeの主要な勢力が、PakistanやAfghanistanなどの問題を解決するために密接に協力する。協力の過程を通してそれぞれの国々の信頼関係は一層深まる。これに伴ない既存の国際機関の再編成が進み、より包括的な組織になる。
Chinaは国際的な責任を一層果たすようなることがきっかけとなり、緩やかに民主化の過程が進み、中間層に主導された内需依存型の経済になる。
このscenarioでは、世界経済はもっとも発展する。新興国のみならず先進国も成長するため、2030年には世界のGDPは今の2倍になる。


③予想を越えたscenario
globalizationの暗い側面が全面化し、世界の主要地域で格差が一層拡大する。主要国の国内が不安定になるので、国際的な協調を維持する有効な枠組みを形成することはできなくなって。矛盾を抱えたまま世界経済は不安定な成長を続ける。
・Europeでは、GermanyとFranceなどは成長するが、その他の地域は停滞し、Euro圏から離脱し、EUは機能しなくなる。
・Americaは、energy革命に成功するため、世界と関わる必要性は少なくなる。energy革命のため原油価格が大きく低下するので、これまでの原油産出国は窮乏する。
・Chinaでは、沿岸部は引き続き発展するものの、内陸部との格差は一層拡大する。そのため、不満が共産党政権に向けて爆発し、社会は不安定になる。


④国家が力を持たなくなるscenario
国家に変わって、NGOや巨大都市、また富裕な個人が世界の問題を解決するために大きな力を発揮するようになる。
国家が消滅するわけではないが、政府は国内問題に集中するため、世界的な問題で協調する余地は限られる。そのため、政府の力が十分に及ばない問題で国際的に協調し、問題の解決に当たることになるのがNGOや巨大都市、それに超富裕な個人である。

<了>





最新の画像もっと見る