龍の声

龍の声は、天の声

「個性と使命」

2016-05-08 06:22:27 | 日本

下野稔さんの「個性と使命」について記す。


◎人の顔はなぜこんなにも多様なのか? 

最近、あることがきっかけで、事物をありのままに丁寧に観察することの大切さを思い、デッサンの真似事を始めた。人の顔を描いてみて痛切に感じるのは、外見的には「顔」にその人の特徴が凝縮されているにもかかわらず、その差はちょっとした違いでしかない、ということである。その人の顔に似せることは殊のほか難しいのだ。
何回も修正して描いていると、ある瞬間から急にその人に似てくる瞬間がある。各部位の特徴を掴んで少々誇張するのも大切だが、それよりも全体のバランスが出来・不出来を左右するのだ。
もう一つ不思議に思うのは、同種の他の動物は我々には同じに見えるのだが、なぜ人間の顔はこうも異なって見えるのか? という疑問である。ペット化された犬猫ならば、個々の判別もつくが、昆虫や植物に至っては全く見分けがつかない。
大自然の造作物である限り、これは意味ある“作為的”である可能性が高い。ただ、動物からしてみれば、顔以外にも異なるところは幾らでもあるではないか、と言われてしまうだろう。
におい、声色や仕草、大きさ、性格などである。視覚情報に多くを頼る人間は、顔以外の違いを認識する能力が他の動物たちと比べ、はるかに劣っている。だから目で認識できるパートを増やしておいたのかもしれない。


◎欠点の無い人間は魅力が無い

では個性を活かして世の中の役に立つ事はできないのか? と言うと、そんなことはないはずだ。個性は魅力の源泉であり、疎ましい源泉でもある。だからこそ、欠点の無い人は何か温かみに欠け魅力が無い。
 少し訛りがある美女、きちんとしているが少し抜けた部分がある人、格好は良いが泥臭いアプローチをする人、美男でも美女でもないがセンスの良い人、強面だが弱者に対して優しい眼差しを持っている人、それぞれ魅力的である。逆に、頭が良く美形で人柄も良くセンスも良いとなると、何か嘘っぽい感じがするのは私だけだろうか?