ringoのつぶやき

音楽、ガーデニング、株、社会経済政治、etc・・・・日常の色々なことを書きたいと思います。

WSJ-ロンドン暴動と世界市場の連鎖安、グローバル化が背景か

2011年08月11日 22時09分37秒 | 社会経済

(ウォール・ストリート・ジャーナル)

ロンドンの暴動と最近の世界市場の乱高下は表面的にはそれほど関係が
ないように見える。ここ数日英国で広がっている暴動と略奪の嵐は抗議活動でなく集団犯罪だ。一方世界の株式
市場の連鎖安はユーロ圏と米国の債務問題と世界経済の回復への懸念から引き起こされたもので、英国に限ったものではない。実際、市場は避難先として英国をより好んでおり、英国債のデフォルト(債務不履行)に備えた保険料はドイツより割安となっている。

それでも2つの現象には関連性がある。それもやや不吉なもので、どちらもグローバル化の課題を浮き彫りにしていることだ。規則に基づく多国籍取引システムの創設は、この65年で最大の功績の1つだ。しかし暴落と暴動は、このシステムが上下両方向から受けている圧力の証拠と言える。

第二次世界大戦後、戦勝国と敗戦国は1930年代の破壊的な国粋主義政策を二度と遂行しないとする新たな取り決めに合意すると約束した。1930年のスムート・ホーリー法を発端とした通商摩擦の再発を防ぐため、世界の国々は関税貿易一般協定(GATT)に調印し、これが現在の世界貿易機関(WTO)に至っている。戦前行われた報復的な通貨切り下げの傷跡が残った大陸欧州国は、さらに一歩踏み込み、共通通貨を備えた欧州連合(EU)を創設した。

グローバル化は平和と繁栄をもたらしたという意味で驚くほどの成功を収めてきた。世界の指導者たちは紛争を交渉で解決するようになった。相対的な安定で企業が投資・成長するための予見できる環境が生まれ、低い貿易障壁は企業に競争と効率化を促した。結果として生活水準は飛躍的に上昇し、ここ20年では、元共産主義国とほかの新興市場国が世界の市場に参入したことからこのプロセスがさらに加速した。

しかしグローバル化には常に負の側面もあった。数十年にわたり蓄積された広範囲で見られる不均衡だ。個々の国家政府の同意に基づく世界の市場主義システムが完ぺきであるわけがない。避けて通れない妥協点とは、必ず勝ち組と負け組がいることだ

不均衡の中で最も明白なのが、中国やドイツ、そのほかアジア諸国などの巨額黒字国と米英や一部のユーロ圏周縁国などの赤字国だ。黒字による収益の外貨準備への還流は、好況期において赤字国の借入コストを押し下げ、債務膨張と資産バブルにつながった。こうしたバブルの痛みが今の市場危機を引き起こしており、固定為替相場とペッグ(連動)制により主要債権者との関係において多くの赤字国が通貨を切り下げられないことも事態を一段と深刻にしている。

もう一つの重大な不均衡が、グローバル化が各国間の不平等を低下させるのに役立ったとしても国内の大幅な社会的格差を増大させていることだ。資力のある、または高い専門能力を持つ人が多額の報酬を得る一方で、競争の激しいグローバル市場で自らの労働力を売らざるを得なかった人々は生活水準が低下し、さらには国外拠点の労働者や移民により労働市場そのものから締め出されるという事態に見舞われている。

好況期において、政府はこうした不平等に対処するため、低迷した中産階級の所得に巨額の税金を課し、世界経済から排除された、急増する新しい底辺層に寛大な福祉体系を用意した。ソシエテ・ジェネラルのアルバート・
エドワーズ氏は調査リポートで「中産階級がこれを寛容した理由は、貧困化した中産階級が借り入れと支出を続けられるよう中央銀行関係者が住宅ブームを起こしたからだ。これにより自らが繁栄しているような錯覚を与え、抵抗を抑えたのだ」と指摘した。

しかし中産階級は現在、こうした住宅ローンによる負債で疲弊し、職を失う恐怖におびえている。福祉に税金を払う意欲も能力も使い果たしてしまった。同時に景気鈍化を受け、底辺層が地下経済で所得を補う機会も少なく
なった。ここ数日の英国での暴動に明白な政治的動機が全くないとしても、暴動に社会経済的側面を認めないのは軽率だ。最近の暴動に全く驚いているというロンドンの住民はほとんどいない。

しかしこうした危機の原因がグローバル化であるならば、解決策もグローバルであるに違いない。その明らかに本質的な要素の1つが為替改革だ。中国は人民元の変動相場制への移行を認める必要がある。これで米経済にやや安心感が広がるはずだ。黒字国も高い貯蓄率を引き下げ支出を促す手法を見つけなければならない。これには独自の福祉システムの導入も含まれるだろう。中でも新興国市場は投資規制を撤廃しなければならない。これにより資本は金融資産における利回りを低下させるのでなく、生産的な資産の方向へ向かうようになる。

しかしこうした観点での進展はいつになくはるか遠く見える。20カ国・地域(G20)が世界の不均衡に取り組むと約束してから1年たったが、不均衡への対処どころか、不均衡の測定方法でさえ合意できていない。そのうえ黒字国には独自の政治的制約がある。中国が為替改革を積極的に進めると考えるのは非現実的だ。ロンドンの暴動を目撃し、依然として8億人が貧困の中暮らしている事態を考えると、中国国内で社会不安を引き起こすかもしれないからだ。一方ドイツは、ユーロ圏の高額な救済案を納税者に負わせることを望んでいない。

しかしG20は行動しなければならない。それも迅速に、だ。英国の暴動と株式市場の急落は、世界の不均衡をこれ以上無視すべきでないという警告だ。社会・経済的圧力の高まりは政治行動の必要性を高めている。世界金融危機にもかかわらず、最も重要な戦後の功績は全く傷ついていないし、貿易はそれほど影響を受けてこなかった。しかし、好況期でも見られることのある保護主義的圧力が現在、強まりつつある。1930年代の近隣窮乏化政策に回帰すれば、それこそまさに真の悲劇となるだろう。
-0-

Copyright (c) 2011 Dow Jones & Co. Inc. All Rights Reserved.

 

Copyright (c) 2011 Dow Jones & Co. Inc. All Rights Reserved.


米下院金融委員会、S&Pと銀行幹部を公聴会へ

2011年08月11日 16時09分59秒 | 債券

S&Pが、格下げ前の8月4日と5日に銀行幹部と会っており、格下げ発表前に大量の売りが出されたもよう。

これを受けて下院議員が下院金融委員会で公聴会の開催を要求。

すでに、上院銀行委員会も動いているて、もし格付け会社がインサイダーをしていたなどとなれば、事態はかなり大きくなる。