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日銀、長期金利上昇を容認。市場混乱を回避し「こっそり利上げ」への布石を打った=馬渕治好

2018年07月31日 16時17分14秒 | 債券

本日(7月31日)日銀の金融政策決定会合が開催され、展望レポートの原型である「経済・物価情勢の展望」が公表されました。まだ本稿執筆時では、黒田総裁の記者会見前ですが、今のところの状況をまとめます。(『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』)

※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』2018年7月31日号の一部抜粋です。毎週いち早く馬渕氏の解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。市場急変時には号外の配信もあります。

ついに物価見通しを下方修正。今後、長期金利操作を柔軟化する

「経済・物価情勢の展望」を公表

本日(7月31日)日銀の金融政策決定会合が開催され、展望レポートの原型である「経済・物価情勢の展望」が公表されました。まだ本稿執筆時では、黒田総裁の記者会見前ですが、今のところの状況をまとめます。

7月29日付の当メールマガジン定例号で述べていたのは、次のようなことでした。

(1)展望レポートでは、物価見通しが引き下げられる。

(2)レポートや黒田総裁の記者会見(7/31、火)で、物価上昇率が高まらない理由が説明される。おそらく、今の緩和政策を続けても、物価が上がりにくく、現在の緩和政策のメリットに限界があることが(はっきりそう言われなくても)示唆される。

(3)一方、総裁の記者会見などで、低金利が金融機関の経営を圧迫し、その結果として金融機関が貸し倒れリスクを恐れて貸し出しが伸びにくい、というデメリットも説明される。

(4)このため、長期金利の上昇をある程度放置する、という政策の微修正がいずれ行なわれる。

(5)ただし、今回の金融政策決定会合では、まだ政策委員間の意見がまとまらず、また政策修正を実施した場合の市場の反応が読み切れないため、そうした微修正を将来行なうことの地ならしにとどまり、実際の政策修正はもう少し先になる。

(6)その場合の市場の反応としては、たとえば先週の円高気味の推移が、政策微修正を7月中に行なう可能性まで織り込んだものであれば、政策修正がすぐではない、ということが明らかになることで、やや円安に戻すものと予想される。

日銀決定会合の結果まとめ(会見前)

実際には、以下の通りでした。

(1)展望レポート(の原型。レポートとしては8月1日に公表予定だが、内容は同様)では、政策委員の物価見通しの中央値が、2018年度は前年比1.3%から1.1%に、2019年度(消費増税の影響を含む)が前年比2.3%から2.0%に(消費増税の影響を除くと同1.8%から1.5%に)下方修正されました。

(2)当該レポートや補足資料(賃金・物価に関する分析資料、8月1日の展望レポートの公表時に、同レポートに合わせて収録される予定)では、物価上昇率が鈍い理由として、
・企業が賃上げより雇用の安定を優先する傾向がある
・比較的賃金が低い女性や高齢者の労働市場への参加が増えている
・家計が値上げを許容しにくい
・企業が値上げに慎重
・企業が省力化・効率化に努めている
・一部産業(スマホ、スーパーなど)で値下げ傾向が強い(日銀はこれを「部門ショック」と呼んでいる)
といったものが挙げられています。これらは、日銀としてはいかんともしがたいものであり、量的緩和のメリットが薄いということが示唆されていると考えられます。

(3)今のところの公表資料では、金融機関の収益圧迫といったデメリットは触れられていませんが、総裁の記者会見で(質疑応答も含めて)言及される可能性はあると考えます。

なお、今回の政策変更の1つとして、これまでと同様に10年物国債利回りがゼロ%程度で推移するようにするが、金利は、経済・物価情勢等に応じて「上下にある程度」変動しうるものとし、買い入れ額も国債保有残高の増加額年間約80兆円をめどとするが、「弾力的な買い入れ」を実施する、と公表されました。

この変更は、上記の(4)~(6)と照らし合わせると、次のように解釈されます。

(4)いずれは、長期金利を「上に」ある程度動くようにうながすため、国債の買い入れ額を弾力的に減らすことが示唆されていると考えられます。

(5)ただし、政策委員間の意見の相違や市場への悪影響に対する懸念から、すぐには政策を変更しない方針です。つまり、「10年物国債利回りがゼロ%程度で推移するようにする」「買い入れ額も国債保有残高の増加額年間約80兆円をめどとする」という骨子は変わっていません。

(6)この政策発表を受けた為替市場は、「すぐに金利を上げるわけではないのだ」という感触が広がり、111円割れだった米ドル円相場が、111円を超え、若干ではありますが米ドル高・円安気味となり、落ち着いています。国内株価も、日経平均は一時の安値から前日比プラスの領域まで持ち直す場面を見せました(ただし投機筋の日経平均先物買い戻しが中心なためか、TOPIXはマイナス圏での推移)。

市場混乱を回避した日銀

このように、日銀は、「今すぐ政策を変えるわけではないよ」というメッセージと「でも、いずれは金利を上げるかもしれないよ」というメッセージを合わせて、玉虫色のメッセージとし、「今すぐの政策変更ではない」という点で、目先の市場波乱を回避したようです。

また、今後長期金利を上昇方向へ誘導したとしても、「それは7月31日の金融政策決定会合で決定し、公表したもので、驚くようなことではありません」と言える布石を打ったと言えます。

つまり、市場が「今度は金融政策はどうなるのか」と、金融政策決定会合のたびに騒ぎ慌てることを回避するため、いつかどこかでこっそり金利が上がる可能性を、市場に少しずつ織り込ませる方針なのでしょう。


100年に1度の金融危機 QEバブル破綻寸前か! ~山広恒夫さんとの対談~

2018年02月12日 18時38分17秒 | 債券

 

 

今回もFRBウォッチャーとして著名な山広恒夫さんとの対談です。
山広さんは、ワシントンD.C.在住でブルームバーグ記者として活躍されています。
『2014年、
アメリカ発 暴走する「金融緩和バブル」崩壊が日本を襲う』
(中経出版)を出版され、米国発の金融危機を警告しています。

大井: 2014年明けてから、金融市場では潮の目が変わりました。国際政治、そして国際金融において、米国の影響力が後退している様子が明らかです。

胴元だった親分が気弱になっていく姿を見て、子分たちや敵方がこの隙をついて勢力を拡大しようと小競り合いを起こすようなもので、同時多発的な戦闘や金融危機が起こりやすい環境です。

私は全体的にとても弱気なのです。山広さん、米国経済はいかがでしょうか?

山広: まず、米国の実体経済については、転換点に接近しているように見えます。

下のチャートは、2月28日発表の第4四半期の米実質GDPから在庫投資と貿易赤字の変動を除いた実質国内最終需要の前期比年率(単位%)です。

ご覧のように、第4四半期は1.2%増に落ちてきました。前回の景気後退に陥る直前の水準です。赤の縦シャドウは景気後退期です。1947年から下降トレンドをたどってきました。現在の1.2%増前後から景気後退に陥るとすると、数年のリセッション経て、拡大期に転じても成長率は1%前後となるようなイメージですね。今回のバブル崩壊の調整を経て新たな景気循環が始まると、景色は大きく変わっているかもしれません。


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大井: 山広さんはデータをしっかり使って示して下さるのですが、私はウクライナ・ショックやタイ、ベネズエラなど各地の金融市場で多くの火種があり、何がいつトリガーになるのか、大きな不安を感じています。

例えば、中国は2月28日に大幅な元切り下げを行いました。その前の12月には米国債保有を大量に(480億ドル)を減らしています。これは米国債10年の利回りが跳ね上がるのを恐れたからだと言われています。しかし、シャドーバンキングの”bloodbath”(大量虐殺=多くの破綻)に備えるためだとも考えられます。
いずれにしても、世界の市場に大きな影響があります。4月には日本で消費税増税となりますし、世界の株価はどうなりますか?特に米国についてはどのような見通しでしょうか?


S&Pの鳥瞰図


山広: S&Pの鳥瞰図をご覧下さい。縦のシャドウは景気後退期です。95 年初に引いた赤の縦線は株価の本格的な上昇が始まった基点です。このほぼ2年後の96年12月5日に、グリーンスパン議長の「根拠なき熱狂」 発言がありました。
今回を含め三つの山が屹立していますが、95年初を基点とすると初めのバブルは5年でピークアウト。そして、そのボトム( 2002年10月)を次のバブルの基点とすると、同じく5年でピークアウトしています。そのバブル崩壊後のボトムは09年3月ですから、ことしの3月でちょうど5年が経過します。

今回は異常な高みまで上昇しており、 下落率・幅とも過去2回を上回る確率が高いといえます。2回目のバブルの基点とその崩壊後のボトムを結ぶネックライン(紫色の線)は右肩下がりになっており、ここまで落下しただけでも60%近い下落率になります。

次に訪れる株価の暴落は、90年代から生成が始まった三山の三つ目の山頂からの落下であり、三尊天井が形成されることになります。この三尊天井は過去1世紀をさかのぼってみても最大級かつ異様な高みに達しており、ここからの崩落は数世紀にわたる米国経済の長期成長波動の終焉ととらえることができるでしょう。

こうした経済のピークアウトの予兆は既に政治面にも明確に現れています。
大井さんが「米国の覇権国としてのリーダシップに揺らぎが見られる」とご指摘されていらっしゃるように、米国は対外政治でも弱体化しており、これは経済の弱体化と表裏一体のものです。
そして次回の株価暴落を伴う経済のピークアウトは覇権国としての米国の地位に決定的な打撃を加えることになりそうです。


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大井: ぞっとしますね。しかし、リアリストとして現実を受け止めなければなりません。山広さんは、著書のなかでも「世紀の三尊天井」を指摘されていますね。確かに、この百年のダウ平均のチャート(1913年~現在)を見ると、実感します。


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山広: このチャートは、動きを明確にするためインフレを除いた実質ベースです。また、過去の低い株価水準の 変化率と近年の高い株価水準の変化率を等しく目視できるように対数表 を使用しております。



大井: 貴重なデータ、そしてコメントを本当に有り難うございます。

チャート出所:ブルームバーグ Bloomberg


中国、資本流出阻止に躍起、短期金利、一時100%超、香港市場、人民元は2日で2%上昇。

2017年01月06日 09時57分16秒 | 債券

【香港=粟井康夫】人民元の対ドル相場が中国本土外(オフショア)市場主導で急反発している。5日の香港外国為替市場の終値は1ドル=6・82元台と2日間で2%上昇。中国の通貨当局がオフショア人民元の流動性を絞り込み、翌日物金利が一時100%超に急騰した。中国本土では資本規制を企業から個人に拡大。なりふり構わぬ手法で資本の海外逃避を食い止めようとしている。
資金供給絞る
 5日の香港短期金融市場ではオフショア人民元の香港銀行間取引金利(HIBOR)の翌日物が前日の16・9%から38・3%へと約1年ぶりの高水準に上昇。午後には100%を超える取引も成立したという。中国人民銀行(中央銀行)の意向を受けた中国の国有銀行などが短期市場への資金供給を絞ったためとみられる。
 ヘッジファンドなど海外投機筋は「2017年に入って中国の個人投資家の年間外貨両替枠(5万ドル)が更新されると、中国からの資金流出が加速して元安が進行する」とみて、元売りを膨らませていた。
 だが、中国政府は年末から資本規制をさらに強化して対抗姿勢を打ち出した。短期金利の上昇で元の調達コストが想定を超えて上がり、売り持ち高を抱え続けると損失が発生しかねないため、こうした投機筋が慌てて元の買い戻しに走った。香港取引所ではドル・オフショア人民元先物の5日の出来高が約2万枚(20億ドル相当)と過去最高を記録した。
 一方、外国為替市場での大規模な元買い・ドル売り介入は見送られているもようだ。人民銀が元安の急激な進行を抑えようとドル売り介入を断続的に実施してきた結果、16年11月末の中国の外貨準備高は3兆516億ドル(約354兆円)と14年のピークに比べて1兆ドル近く減少した。
金利上昇を選択
 「外貨準備高が3兆ドルを割り込むと元安を加速しかねないと判断し、中国当局は為替介入よりも短期金利を上昇させる手段を選んだ」(邦銀関係者)との指摘もある。
 トランプ次期米大統領が中国を「為替操作国」に指定すると広言するなど、海外からの為替介入への批判を考慮した可能性もある。
 香港市場での元高・ドル安につられる形で、各種の規制が残る上海外国為替市場の終値も1ドル=6・88元台と約1カ月ぶりの元高水準を付けた。
昨年来、中国は〓資本規制の強化に動く 
<主な規制、窓口指導> 
○企業の外貨購入計画、実績を定期的に報告 
○高額な海外送金は事前に報告 
○外貨建て債務の繰り上げ返済の原則禁止 
○企業買収など海外投資を事前に審査 
○個人の外貨両替に申請書を提出。資金使途などを申告 
○香港など海外で運用目的の保険商品の購入を制限
【図・写真】中国政府は、なりふり構わぬ手法で関与を強める(北京の中国人民銀行本店)


DJ-長期債投資にご用心-投資フロー頼りの危うさ

2016年09月15日 16時05分26秒 | 債券

 

 債券バブルがはじけつつあるのだろうか。この数日は安全とされる国債が大量に売られ、伸びきった相場に典型的な調整が入ったかのようだ。投資家は中央銀行の一挙一動に注目しているが、債券市場が経済に無関心になっていることは気がかりだ。

 まず、バブルがはじけたような動きを見てみよう。最も下げがきついのは超長期債だ。50年物英国債は価格が10日間で11%下落(利回りは上昇)した。かくも短期間の損失という意味では、2008年にロイヤルバンク・オブ・スコットランド・グループとリーマン・ブラザーズが破綻し、相場が混乱した以来の大きさだった。ただ今回はこれといったきっかけもなく相場が崩れた。主要国の国債市場では、まず30年物日本国債が下げ始めた。7月初めに付けた高値から12%下げ、50日間の下落率は国債相場が暴落した03年以来の大きさとなった。その時点でも材料らしい材料はなかった。

 下げに転じるまでの各国国債相場は、いつもならば何か異常な事態ではないかと思わせるほどのリターンを上げていた。長期英国債は今年に入り55%も急騰した後、下げに転じた。日本の長期国債も似たような動きをしている。30年物ドイツ国債は1月から7月末までの間に30%上昇したが、その後は下げ始めた。確かに異常事態は起きている。英国では国民投票で欧州連合(EU)離脱が決まったことで、リセッション(景気後退)入りする可能性や長期的な成長への不安が高まった。日本では日銀の実力が疑問視されている。また、欧州中央銀行(ECB)の1兆ユーロ規模の債券買い入れは、少なくとも08年より前の基準からすれば明らかに異常だ。

 最近の米国はずっとまともだが、利回りが低い諸外国から逃げ出した投資資金が米国債の利回りを押し下げている。

 だが、満期が30年以上の債券利回りでさえ中央銀行のインフレ目標よりも低い状況を正当化するには、次の三つのいずれかが実現する必要がある。中央銀行がインフレの押し上げに失敗するか、景気がいつまでも不振で長期停滞に陥るか、債券投資の実質的な損失の方が他の投資対象よりもはるかに妙味があると思えるかの三つだ。


 この三つはどれも起こり得るが、この夏に米国株を過去最高値まで押し上げた投資家は、株価についてはそうした懸念は無用と考えているはずだ。

 だが、金融政策は機能するのか、金融政策はどう機能するのか、今後の金利水準はどの程度で落ち着くべきか、とった問題について経済学者が議論しているのをよそに、投資家は中央銀行が債券買い入れにどれほどの資金をつぎ込む構えなのかに注目している。

 JPモルガン・アセット・マネジメントの債券部門グローバル責任者、ボブ・ミシェル氏は「(量的緩和が)すでに高すぎる資産クラスの価格を上げ続けている」とし、「その結末はひどいものになるだろう。ただ、いまから年末までで言えば、今は買うときだ」と述べた。

 英国の偉大な経済学者ジョン・メイナード・ケインズが80年前に嘆いたように、プロの投資家はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)よりも資金フローに注目することが多い。ただ、現在実施中の量的緩和という壮大な実験でも、利回りを長期にわたり低く抑えるのが精いっぱいというのが現状だ。中央銀行があらゆる債券を買い尽くすとでも予想されない限り、債券利回りはいずれ経済に対する期待を反映するはずだ。

 こうした期待は当然抑えられている。これまで先進国の成長を促してきたのは、債務拡大やグローバル化、労働者の裾野拡大だった。高齢化や反移民感情、貿易縮小、借金漬けという要素はいずれも、今後は経済の拡大速度がずっと遅くなることを意味している。

 状況はあまり良くはならないと考えるだけでは不十分だ。債券価格が織り込んでいるのは、暗いだけでなく危機以前のようなかたちのインフレを永遠に生み出せない経済情勢だ。債券相場が不安定なのは、低金利がずっと続く「新たな常態(ニューノーマル)」を心の奥では否定し、もっと愚かな中央銀行に転売して利益を上げることだけに期待して債券を買っている投資家があまりにも多いからだ。

 資金フローに基づく相場は全く不安定なものだ。9日や12日のように、材料がほとんどなくても反転しやすい。インフレに上昇の兆しが見られるなどしてファンダメンタルズが再び注目されるようになれば、債券には致命傷となる。それは世界的な利回り追求の動きによって価格が押し上げられた他の資産も同じだ。

 筆者は経済が好調だとは思わないし、インフレがいずれ確実に大きく上昇するとも考えていない。それでも債券価格が織り込んでいるのは、不愉快でインフレがいつまでの期待はずれな経済状況だ。しかも、そのように織り込んでいるのは、資金フローに原因があり、状況がそれだけ悪くなると債券投資家が信じているからではない。長期債と債券並みに扱われる株式(ディフェンシブ銘柄)は暴落するリスクが高いので、十分に距離を置くべきだろう。
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DJ-【日銀ウォッチ】金利曲線のスティープ化図る理由とは

2016年09月15日 10時18分22秒 | 債券

 

 金利の上昇は結局のところ、それほど悪いことではないかもしれない。日本の場合は特にそうだろう。

 日本銀行の黒田東彦総裁が最近指摘したように、日本のマイナス金利政策は金利を押し下げる「大きな効果」
をもたらしている。だが、景気を刺激するための金融緩和策を伝える役割を負わされている国内銀行の収益は過
去最低に落ち込んでいる。マイナス金利政策に伴うこうした悪影響からみると、これは少しやりすぎの可能性が
高い。

 日銀が長期金利を押し上げる一方で短期金利を抑え、利回り曲線をスティープ化させようとしている兆しもあ
る。これは債券買い入れに表れており、日銀は短期国債の買い入れを増やしつつ、毎回の買い入れ額を減らして
いる。7月以降、10年物国債の利回りはおよそ50ベーシスポイント上昇した。それでも2年債と10年債の利回り差
は、このところスティープ化したものの、マイナス金利導入前の半分でしかない。

 さらなる痛みを軽くするため、日銀は9月21日の金融政策決定会合で、銀行の調達金利にあたる短期金利の低
下を約束する一方で貸出金利となる長期金利は上がるに任せ、利回り曲線の一段のスティープ化を促す可能性が
ある。

 この動きは国内銀行の収益改善につながるはずだ。銀行は資金調達の60%を預金に頼っているため、預金金利
と貸出金利の差が狭まったことで、貸出の伸びが2013年以降最低に落ち込んだ。利益が上がらないならば、資産
(貸し出し)を増やす意味はない。

 キャピタル・エコノミクスの推計によると、現行の貸出金利水準では、銀行の金利収入は今年20%近く減少し
、16%の減益となる可能性がある。収益力の悪化はいずれリスク吸収力を低下させ、融資基準の厳格化につなが
る。黒田総裁は8月の講演でようやく、こうした金融政策の波及メカニズムの崩壊は問題になるとの認識を示し
た。

 市場は利回り曲線をスティープ化させる動きについて、日銀がインフレ率を2%の目標へ近づけるための大胆
な行動だと受け止めるよりも、単なる調整だと見るだろう。これが奏功して預貸の金利差がマイナス金利導入前
の水準に戻るとしても、最近失われた部分が回復するだけだ。マイナス金利導入前の段階で銀行には貸出意欲が
あったが、企業と消費者の借り入れ需要はいまと同じく低迷していた。

 日銀が進める可能性のある利回り曲線のスティープ化は、すでに米国の金利に影響を及ぼしている。日本の長
期金利が上昇すれば、国内の年金と保険は、これまでのように国外に利回りを求めるよりも、少なくとも一部の
資金を国内にとどめようとするだろう。これが米国債利回りの上昇に一役買っている。

 欧州中央銀行(ECB)は様子を見ており、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを年末まで先送りする可能性
が高い中、少なくとも金利を動かす可能性があるのは日本銀行だ。
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あの景気指標をチェックすれば、日銀の追加緩和の有無がわかる!? 

2016年09月02日 21時48分47秒 | 債券

 米国ジャクソンホール会合での同国連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の講演や、フィッシャー副議長のテレビインタビューでの発言をきっかけに利上げ観測が台頭し、外国為替市場では円安が進行した。景気指標次第では20~21日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)での早期利上げのシナリオも浮上する。

 国内では5日に7月の毎月勤労統計、7日に7月の景気動向指数、8日に4~6月のGDP2次速報と8月の景気ウォッチャー調査、12日には7月の機械受注など景気指標発表が相次ぐ。

 FOMCと同じ日に開催予定の日銀金融政策決定会合では、2013年4月以来の「異次元緩和」の検証がなされることになった。場合によっては米国と対照的に追加緩和も予想される。日銀の政策決定に影響を及ぼす可能性のある景気指標、とりわけ低迷が続く消費、設備投資に関連する指標の動きを把握しておく必要があろう。

 個人消費は14年度に消費税率が引き上げられて以来、低迷したままだ。政府・日銀は「物価上昇期待が高まれば家計の買い控えはなくなり、それで消費が盛り上がれば企業の売り上げや利益も増え、利益が増加すれば賃金も増え、家計の収入が増えれば消費は一段と増加する」という好循環を描いていたが、好調だったのは13年度だけだった。

 なぜうまくいかなかったのか。仮に、年収500万円のAさんがいたとしよう。来年も年収は500万円で変わらず、貯金はしないと仮定する。Aさんは今年と来年の収入合計1000万円をどう振り分けて使うのか。今年と来年のいずれも500万円ずつ使うのが普通だろう。だが、今年よりも来年の物価が相当高くなるとすれば、今年使う分を多くしたほうが2年間合計の消費量は多くなるはずだ。

 一方、今年の住宅・自動車ローン金利が下がれば、思い切って借金し、住宅や自動車を購入するという選択もありうる。その結果、今年は支出が増えるかもしれないが、利払いがかさむことからこの先、何十年も家計を引き締めなければならなくなる。

 このように物価が上昇するという期待が高まったり、金利が低下したりすれば、足元の消費は増えるがその分、将来の消費は減ってしまう。13年度は14年4月からの消費税率引き上げもあって物価はほぼ確実に上昇するという期待があったため、消費が増加。そして、理屈通りの反動減が起きたというわけだ。

 図1でみる通り、1990年代前半までは収入(雇用者報酬)と個人消費は連動して増えていたが、90年代後半から収入が増えないのに消費だけが増えた。金利低下やエコカー減税、エコポイントなど消費刺激策が足元の消費を押し上げたが、その結果、家計の貯蓄率は13年度マイナス1.3%、14年度0.1%と過剰消費状態が明らかになった。

 それでも、適度の賃金上昇があり、収入が増えていれば消費も増え続けただろう。このため、ここへきてデフレ脱却には物価上昇だけでなく、「企業の積極的な賃上げが必要」との見方が多くなっている。企業が円安による輸出で儲けたおカネを貯め込んで労働者に十分還元していないことを批判する論調も増えてきた。

■ 消費回復のシナリオが消えたわけではない

 5日発表の毎月勤労統計は、中小企業を含めた国内企業の給与支払いや雇用動向を集計したものだ。雇用者1人当たりに対して支払う給与を所定内、所定外、ボーナスなどに分類して集計。雇用動向についても一般労働者とパートタイマーに分けて公表している。

 今回7月分の統計では、今年度の賃上げ動向のほか、夏季ボーナスや現在の雇用動向を確認することができる。ちなみに、6月の所定内給与(速報)は前年比0.1%増とほぼゼロだった。今年度の賃上げは、定昇分を除くと中小企業を含めてほとんど実施されていなかったのがわかる。

 個別企業にとって利益を最大化するのは至上命題だ。非正規労働者の賃金が正規労働者の賃金に比べて安ければ、企業は非正規労働者を多く採用することでコストを抑制するだろう。ヒトを雇用する代わりにIT投資で代替させることも可能だ。単に「賃金を上げろ」と言われても、上げられる企業は少ないだろう。

 標準的な経済理論によれば、企業は実質賃金を労働生産性に一致するようにして利潤を最大化させる。この結果、実質賃金は労働生産性に等しくなる。「賃上げには労働生産性の向上が不可欠」ということになる。ところが、日本経済全体の労働生産性の伸びは生産性の高い製造業の海外移転で低下傾向をたどっている(図2参照)。政府は「同一労働同一賃金」で非正規労働者の賃金を正規労働者並みに引き上げるべきとするが、生産性を無視した大幅な賃上げには無理がある。

 賃上げの遅れで消費回復への期待は薄れている。最近の消費関連株の動きはそうした状況を映し出す。ただ、回復が期待できないわけではない。図1で示される通り、足元では収入(実質雇用者報酬)が上向いている。雇用者1人当たり収入は変わらないが、パートタイマーを中心に雇用者数が増加し、それが雇用者報酬の総額を押し上げているのだ。

 毎月勤労統計によれば、6月の雇用者数は前年比2.0%増加。今年1~6月の実質雇用者報酬総額は、雇用者数の増加に原油安を背景とした物価低下が加わって前年比2.7%増となった。賃上げがなくても、雇用増に伴って家計の収入増が続けば今後、消費の盛り上がりも十分期待できる。


 家計は収入の伸び悩みでおカネを使えないが、企業は逆に儲けているのにおカネを使っていない状態だ。円高で陰りが出ているとはいえ、企業の利益水準は過去最高レベル(図3参照)。これに対して設備投資は停滞しており、対GDP比率でみると80~90年代初めには15~20%程度で推移していたが、00年以降は13~15%程度に落ち込んでいる。利益増でも投資は増えていない。

 設備投資低迷の理由は2つ。一つは世界共通の要因として、リーマンショックの経験から、各国の企業が金融逼迫による万一の事態をおそれて利益が出てもおカネを使わず、キャッシュを貯め込むようになったことだ。最近では英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票を控え、多くの企業が現金志向を強めた可能性がある。

 もう1つは日本特有の理由だ。国内の人口が減少して市場のパイの縮小が見込まれるなかで、企業は増産投資を行う必要がなくなった。むしろ海外進出で生き残りを図っていかざるをえない。13~14年の円安下でも企業の国内回帰の動きは限定的だった。その一方で、海外直接投資や海外企業に対するM&Aは高水準を維持した。

 ただ、増産は必要なくても設備の老朽化による更新投資需要は高い。実際、日銀短観によると、16年度の大企業の設備投資は6.2%増と、ある程度は膨らむ見通しだ。現在の設備投資の水準はキャッシュフローの6割程度にとどまるため、借り入れに依存する必要もさほどない。企業側には資金制約面の問題が小さいはずだが、マイナス金利でも借り入れ需要は停滞している。

 12日発表の機械受注統計で注目されるのは、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動きだ。前回発表された6月の数値は前月比8.3%増と3カ月ぶり増加。月次データでは悪化にようやく歯止めがかかった格好だ。四半期データでも4~6月は1~3月に比べて9.2%減と落ち込んだが、7~9月の事前予想は前期比5.2%増。日本でも英国の国民投票を控えて投資の手控えが起こった可能性があるが、「Brexit」の影響が最小限にとどまっていることもあり、企業の投資行動は正常化へ向かうだろう。

 機械受注でも工作機械、建設機械などの受注は減少傾向だが、そうしたなかで唯一、好調な動きを続けているのは半導体製造投資の受注だ。4~6月の半導体製造投資の受注は前年比28.7%増加した。7月統計でも受注の増勢が続けば、関連銘柄の高値追いの展開もありそうだ。


日銀緩和の行方~産経のグッジョブとブルームバーグのミスリード=E氏

2016年08月26日 15時31分14秒 | 債券

先月の苦し紛れとも思える日銀ETF買い入れ倍増で、当面の追加緩和は出尽くしたと思われ円急伸を招きました。この件に関して、黒田日銀総裁が産経新聞との単独インタビューで答えています。Bloombergや日経新聞も産経の引用記事を載せたくらいにタイムリーな内容なので、産経グッジョブです。(『元ヘッジファンドE氏の投資情報』)

黒田日銀は「効果なし」と判断した手段を即時に止める可能性も高い

 

日本株の「買い方有利」根拠は心理面のみ

超過準備に対するマイナス金利で弊害を受けている民間銀行から猛反発を受けているせいか、このところの日銀政策決定会合はノーアクション続きでした。ですが、7月日銀政策決定会合にて、日銀は半年ぶりとなる緩和策として「ETF買い入れ額」をこれまでの3.3兆円のほぼ倍増となる6兆円にすることを決定しました。

物価目標は再度下ブレ傾向が続いていたので、追加緩和はいつあってもおかしくない状況でした。このため、先週開催された7月日銀政策決定会合でなんらかの追加緩和が決定されるという見方をしたエコノミストは8割にのぼっていたのです。

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ただ、事前の期待が高いと何が出ても失望される可能性があります。そもそもこれまでの黒田日銀総裁はサプライズ狙いなので、期待が高いとノーアクションをしがちでした。しかし、黒田日銀総裁は期待通りに緩和を決定しました。しかも、事前予想通りの「ETF買い入れ増額」です。

通常、事前予想通りの場合は出尽くしになることが多く、実際円相場は出尽くしと捉えました。しかし、日本株はETFによる実弾買いの期待だけで、日銀政策決定会合以降堅調な動きになっています。

円は失望で急上昇したのに、日本株が非連動になって値持ちが良いのは、今回の緩和が日本株ETFをひたすら買うという決定だったからです。しかし、何度も書いたように、350億が700億になっただけなので、実質的な指数買い支え効果はほとんど変わりません。しがたって、心理的なインパクトだけで買い方有利になっているのです。

効かなくなってきた日銀期待の裏に不明瞭なETF購入ルール

とはいえ、このところ日銀期待が効かなくなってきました。

それは、需給的なインパクトは思ったほどではないと気付いたのもあるでしょうが、それ以上に日銀のETF購入のルールが不明瞭だからです。

ほとんど下がっていないのに700億買ったかと思ったら、2%以上下がった日はノーアクションという具合なので、日銀が日本株を買い支えてくれると期待して買っていた国内勢が拍子抜けをしてしまったのです。

担当者が夏季休暇だったので証券会社に注文を出せなかったという噂もありましたので、その真偽は今週には判るでしょう。ただ、ルールが明確でない以上、市場参加者が買い支え安心感を感じるはずもありません。なので、7月日銀政策決定会合以降の過度に日銀ETFに対して期待していた動きはそろそろ消失し、今後の日本株は従来どおり円相場との連動性を高めていくと思われます。

黒田日銀総裁、産経単独インタビューのポイント

一方、先月の苦し紛れとも思える日銀ETF買い入れ倍増で、当面の追加緩和は出尽くしたと思われ円急伸を招きましたが、産経新聞との単独インタビューでこの件に関して黒田日銀総裁が答えています。Bloombergや日経新聞も産経の引用記事を載せたくらいにタイムリーな内容なので、産経グッジョブです。

いろいろ書いてありますが、ポイントは以下の通りです。

  • サプライズは見直す
  • 緩和効果の検証は次の会合時に同時発表する
  • マイナス金利はまだ限界ではない

この会見を踏まえ、Bloombergなどは「追加緩和の可能性は十分ある」というタイトルで記事を配信していますが、これは多分にミスリードです。
日銀総裁:追加的緩和の可能性十分ある、総括的検証踏まえ-産経 – Bloomberg

上の記事では、検証結果後に直ぐに追加緩和しそうな勢いで書かれていますが、事実は「総括的な検証を踏まえて、必要ならば今後も緩和を継続します」という言い方なので、ニュアンスが全く異なります。

検証した結果、効果がないと判断された手段は即時に止める可能性も高いのですから、追加緩和だけが行われるのではありません。反対も十分にありえます。

また、一番上の「サプライズは止めた」という発言は、今年1月のダボス会議以降、私はずっと「黒田日銀総裁の発表スタンスが変わった」と書き続けていましたので、私の読みどおりです。

そして、注目される次回にありうる緩和ですが、これは一番最後のポイントのように金融機関が嫌うマイナス金利の可能性が高そうです。このインタビューでマイナス金利はまだ限界ではないと書いていますが、重要なのは国債買い入れ増額やETF買い入れ増額は限界ではないという言い方を一切していないことです。

マイナス金利だけ「限界ではない」と発言していることを踏まえると、マーケットは「では、国債買い入れやETFは打ち止めの可能性が高いということか」と考えるのが自然です。

今年1月の日銀政策決定会合でマイナス金利導入の決定をしてからの円相場を見ると判るように、マイナス金利はパワー的には国債買い入れより劣る手段なので、今更これを出さなければいけないという「持ち駒の無さ」を露呈させてしまったことで円高になったのです。

しがたって、今回の「マイナス金利はまだ限界じゃありません」という発言は、追加緩和の可能性を示唆するものの、材料出尽くしに近いので円高に振れやすいといえます。

実際、国債利回りは先月末の「緩和手段の効果を検証する」報道で大きく下落したままです。

しがたって、週末の産経報道で追加緩和観測が出るかもしれませんが、マネーを増やす緩和ではなく、金融機関の収益力を削ぐマイナス金利拡大の可能性が高く、他の手段は打ち止めの可能性が高いととられると見ています。

これは、日銀発のマネーがピークアウトすることを意味しますので、円高株安、そして世界的にリスクオフに繋がりやすいニュースと言えます。

8月は日銀政策決定会合が開催されないので、当面今回の産経単独インタビューの解釈がマーケットに織り込まれていくだけと思われます。

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「打ち出の小槌あるわけない」、マイナス金利は政府の錬金術にならず

2016年08月25日 21時42分26秒 | 債券
2016年8月25日 00:00 JST更新日時 2016年8月25日 15:21 JST
  • 政府は昨年度、国債発行で約1100億円の超過収益
  • 日銀の国庫納付金は引当金で4501億円も目減り

高価な金を安直に生み出す方法が存在しないように、金融緩和は政府にとって錬金術にはなり得ない-。黒田東彦総裁が導入した異次元緩和とマイナス金利政策は過去に例を見ない低コストでの国債発行を実現した半面、日本銀行の購入負担は重く、政府への納付金が激減している。

  政府が機関投資家向けに発行する今年度の国債額は当初、約152兆円の予定だった。24日に閣議決定した第2次補正予算案では、約158兆円に修正されている。日銀は金融機関から長期国債を今年120兆円購入する「最後の買い手」。ブルームバーグの試算によると、政府がゼロ%を下回る利回りでの入札で得た超過収入は昨年度に約1100億円に上った。一方、日銀は国債関連の損失に備えて引当金を4501億円積み増し、国庫納付金が大幅に減少。超過収入と引当金を差し引くと約3401億円のマイナスになる。

  結局のところ、政府が利子を受け取って国債を発行できるのは、日銀がその矛盾を負担しているからだ。両者の媒介役を務める金融機関は政府からマイナス利回りで購入した国債を、日銀のオペ(公開市場操作)でより深いマイナス利回りで転売する「日銀トレード」で利ざやを稼ぐ。日銀は保有債券の平均利回りが下がる上、額面を上回る価格での購入で生じる損失を償却。異次元緩和からの出口で予想される巨額の赤字に備えた引当金の積み増しを始めた。

 
Taro Aso, Japan’s deputy prime minister and finance minister, left and Haruhiko Kuroda, governor of the Bank of Japan
Taro Aso, Japan’s deputy prime minister and finance minister, left and Haruhiko Kuroda, governor of the Bank of Japan
 
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg *** Local Caption *** Taro Aso; Haruhiko Kuroda

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは「政府の国債発行コストは下がっても、日銀からの国庫納付金は引当金積み増しによって減るので、統合政府で見れば構造的にほぼ中立だ」と指摘。「政府は国債費に生じた余力を今年度第2次補正予算に充てられるが、日銀は今年度決算でも国庫納付金が減るだろう。財政健全化に打ち出の小槌(こづち)があるわけではない」と言う。

  財務省は表面利率0.1%の10年利付国債(343回債)を6月から今月にかけて、約8.1兆円発行。3回の入札における平均落札利回りはマイナス0.13%、募入平均価格は102円32銭だ。割引現在価値に基づく調整などを考慮しないで単純計算すれば、政府が証券会社や銀行から借り入れた金額は約10年間の利払いと償還額の合計を上回り、お金をもらって借金できたことになる。

  借入額と利払いの合計を上回る超過収入は、税収の上振れなどとともに前倒債に算入される。前倒債は翌年度に見込まれる借換債の一部を先行発行し、供給額の振れをならして安定的な発行を支える仕組みだ。15年度に発行した今年度分は42兆2509億円と直近10年間で最高に達した。今年度当初計画では上限が48兆円と前年度当初の1.5倍に拡大。国債の発行面だけを見れば、前例のない金融緩和は政府に恩恵をもたらしている。

  日銀は長期国債買い入れオペで、今月末までの3カ月間に残存期間5年超10年以下のゾーンを合計7兆8600億円程度購入する方針だ。先週19日時点では、新発10年物国債343回債の保有が4兆4876億円に達し、発行残高の約56%を占めた。国庫短期証券や財投債などを含めた国債等の日銀保有は発行残高の3分の1を超えている。

 

  金利低下と債券価格上昇が進めば、政府はより安いコストで国債を発行できるが、日銀は民間金融機関からの割高な価格での買い入れで損失の償却や将来の巨額赤字に備える必要に迫られる。

  日銀の保有国債の平均残高は昨年度が311.3兆円と過去最高を記録。国債利息収入も最大の1兆2875億円だったが、伸び率は23%増にとどまった。運用利回りは通年で0.41%、下半期は0.39%まで下がった。今年度も、世界的なデフレと日銀による異次元金融緩和で、運用利回りの低下傾向は続く可能性が大きい。

  日銀は保有国債の会計処理に償却原価法を採用し、額面を上回った購入価格の部分を償還まで毎年均等償却している。15年度の償却額は8739億円と、異次元緩和前に当たる12年度の約2.6倍だった。利息収入は昨年度に2兆1614億円もありながら、4割超が償却のために消えた計算だ。マイナス利回りとなるような額面を上回る国債の買い入れを続ければ、経常利益の主な源をさらに食いつぶすことになる。

  日銀は2%の物価目標を達成するために導入している「量的・質的金融緩和」の下、国債の保有を年80兆円増やす方針を示している。1月末には金融機関の日銀当座預金の一部にマイナス金利0.1%の適用を決め、国債市場全体の利回り低下を促している。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは「政府がマイナス利回りで発行した国債のほぼ全ては、落札した金融機関からオペを通じ、日銀が買って損失を被っている。日銀は一時的には副作用が上回っても、長い目で見れば効果が上回って『花が咲く』と信じている」と指摘。来月には日銀が金融政策の運営方法を修正し、国債残高の積み増しで年70兆-90兆円などの幅を持たせる柔軟化とマイナス金利の0.2%への小幅な深掘りに動く可能性があると読む。

  日銀が抱える最大のリスクは、異次元緩和からの出口時に赤字が生じる可能性だ。保有国債の売却で投入資金の回収をすると市場金利の急騰を招きかねず、政策金利とともに金融機関に支払う付利も引き上げなければならない状況にも直面する。引当金に法定準備金等も含めた日銀の自己資本は3月末に7兆4346億円。日銀の木内登英審議委員が昨年12月に示した試算によると、出口での損失は年7兆円程度に上る。

  会計規程の見直しによって日銀は、長期国債からの利息収入と超過準備などへの利払い費用の差額の50%をめどに、債券関連の引当金の積み立てと取り崩しを行うことが今年度から当面可能になった。必要な場合には差額を全て対象にできる例外規定も設けている。同引当金の残高は少なくとも08年度から横ばいだったが、昨年度は一気に増えた。半面、国庫納付金は3905億円と、前の年の7567億円から5割近く減った。

  マイナス金利政策の導入に伴い3層構造に変更した日銀当座預金では、従来通り0.1%の付利を供与する基礎残高を約210兆円に抑えた。14年度の付利の支払いは前年比81%増だったが、15年度は2216億円と47%増に鈍化した。

  三菱モルガン証の六車氏は、「日銀は異次元緩和からの出口では、FRBのようにバランスシートを維持し、付利を引き上げるだろう。引当金は到底足りないというシミュレーションは成り立つ」と指摘。「金融機関への利払い費が膨張して毎年度赤字になれば引当金を充当し、なくなったら資本勘定を取り崩す。最終的に債務超過になったら、通常の民間企業なら破綻だ。あるいは増資する手もある」と語った。  

  消費増税を2回も先送りして経済成長に軸足を置く第2次安倍晋三内閣は、低金利を追い風に事業規模28.1兆円の経済対策を実施する予定だ。今年度の第2次補正予算案では、金利低下で国債の元利払いが少なく済んだ分を財源の一部に充てる方針を示した。また、財政投融資の貸付金利の下限は現在の0.1%から0.01%に引き下げる意向だ。


日銀が9月に金融政策見直し、マイナス金利拡大は困難に

2016年08月18日 07時29分25秒 | 債券

日本銀行は、9月に金融政策の見直しをするとしている。

 そこでの分析は、マイナス金利の評価が中心になるだろう。マイナス金利導入の目的は、貸し出しを増加させることだとされていた。その効果はあったのだろうか? また、見直し表明は、将来金利の予想にいかなる影響を与えたか?

 以下では、これらの問題について検討する。

マイナス金利は貸し出しを増やしたか?
法人向け設備資金貸出はほぼ横ばい

 マイナス金利導入によって、貸し出しは増えているだろうか?

 まず、法人向け設備資金貸出の動向を見よう。

 図表1に示す国内銀行の法人向け設備資金貸出金残高の対前年同月からの増加額を見ると、この1年間程度はほとんど横ばいであり、マイナス金利の影響は認められない。

 実際、2016年4~6月期のGDP速報においても、民間企業設備は、実質マイナス0.4%(1~3月期はマイナス0.7%)と、落ち込んでいる。

 では、住宅についてはどうか?

 4~6月期のGDP速報では、GDPの対前期比が0.0%(年率0.2%)と停滞している中で、民間住宅は、実質5.0%(1~3月期はマイナス0.1%)と高い伸びを示した。これは、マイナス金利で住宅ローンが増えたためだろうか?

 これについては、この連載の前回「住宅建設の増加はマイナス金利の影響か?」で論じた。そこで述べたように、新設住宅着工戸数の伸びが著しいのは事実だが、それがマイナス金利によるものとは必ずしも言えない。

◆図表1:国内銀行の法人向け設備資金貸出金残高(対前年同月からの増加額)

(資料)日本銀行

 図表2では、国内銀行の個人向け設備資金貸出金残高の対前年同月からの増加額を示す。これで見ると、16年2月をボトムとして、その後増加している。

 これはマイナス金利の影響と考えられなくもない。ただし、これは、相続税強化の影響や省エネ住宅ポイントの着工期限を前にした駆け込み需要、17年4月に予定されていた消費税増税前の駆け込みの影響である可能性もある。

 また、つぎの諸点にも注意が必要だ。

 第1に、増加額の絶対値は、消費税増税後の14年のレベルに比べてもなお少ない。

 第2に、住宅金融支援機構が作成する「業態別の住宅ローン新規貸出額及び貸出残高の推移」によって、国内銀行以外の融資主体も含めた住宅ローン新規貸出の16年1~3月期の対前年同期比を見ると、国内銀行マイナス3.5%、生命保険会社マイナス21.1%、住宅金融専門会社等マイナス34.4%などとなっている。

 第3に、基本的な問題として、空き家が増える時代において、新築住宅を増やすのが適切かどうかという問題がある。

 ◆図表2:国内銀行の個人向け設備資金貸出金残高(前年同月からの増加額)

(資料)日本銀行

イールドカーブを上にシフトさせた
日銀による金融政策の見直し表明

 日銀が7月29日の金融政策決定会合で金融政策の見直しを表明したのを受け、1日の市場では長期金利が急上昇(債券価格は下落)した。その後も、金利は低下していない。

 以下では、これが市場のいかなる判断を反映しているのかを分析することとする。

 まず、イールドカーブがどのように変化したかを見よう。

 2016年4月までの時点のイールドカーブは、この連載の第62回(16年5月19日)「マイナス金利の効果『徐々に浸透』は本当か」で示したので、それと合わせてご覧いただきたい。

 7月27日と8月10日のイールドカーブを比較すると、つぎのとおりだ。

 最初に10年以下の期間の利回りを見ると、図表3のとおりである。

 イールドカーブは上方にシフトしたが、単純な平行移動ではない。

 第1に、1年債の利回り上昇幅(0.151%)より、10年債のそれが大きい(0.191%)。

 第2に、7月27日では、7年債までイールドカーブが右下がりだったが、8月10日では7年債まではほぼ水平になっている。

 第2の事実は、何を意味するか?

 現在の金利がマイナスであり、将来マイナス金利幅が拡大していくとすると、現時点においてどの期間の債券もマイナスの利回りとなり、期間の長い債券ほどマイナス幅が大きくなる。つまり、イールドカーブは右下がりになる。

 それに対して、将来はマイナス金利幅が縮小していくとすると、期間の長い債券ほどマイナス幅が小さくなる。つまり、イールドカーブは右上がりになる。

 7月27日のイールドカーブの7年債までの部分は、最初の見通しを反映している。それに対して、8月10日のイールドカーブは、マイナス金利拡大の見通しが消滅したことを示しているのである。

 これについて、以下により厳密な分析を行なおう。

◆図表3:10年以下の期間のイールドカーブ

(資料)財務省、金利情報

 ◆図表4:10年以上の期間のイールドカーブ

(資料)財務省、金利情報

将来の金利予測を行なえば
マイナス金利拡大の見通しが消滅

 以下では、イールドカーブの情報を用いて、将来の金利の予測を行なう。このための方法は、この連載の第49回「マイナス金利は長く続かず、金融を混乱させるだけ」で示した。

 まず、n年後の1年債の利回り予測を計算すると、結果は、図表5のとおりである。

 7月27日のデータでは、今後マイナス幅が拡大すると予測されていた。そして、1年債利回りがプラスになるのは、9年後だ。

 それに対して、8月10日のデータでは、今後マイナス幅は拡大せず、ほぼ現状どおりと予測されている。そして、1年債利回りは、7年後にプラスになる。

 このように、マイナス金利幅の拡大予測は、7月27日のデータではあったが、8月10日のデータではなくなった。金融機関の損失拡大などを考えれば、これ以上マイナス金利を拡大するのは無理との判断が広がったためだろう。

 ただし、それでもマイナス金利自体は続くので、国債購入が損失をもたらす状況に変わりはない。だから、金融機関は国債購入に慎重になっている。

◆図表5:n年後の1年債の利回りの予測

(注)横軸はn
図表3のデータより計算

 つぎに、n年後の10年債の利回り予測を計算すると、結果は図表6のとおりである。

 「現在はマイナスである10年債の利回りが10年後にはプラス0.6%程度になり、それ以降もプラスが続く」という点では、7月27日の予測も8月10日の予測も変わらない。

 なお、7月27日のカーブでは20年後に利回りが低下する形になっていたが、8月10日のカーブではこの傾向は消滅し、10年目以降ほぼ0.6%というフラットなカーブになっている。

 以上をまとめると、7月27日と8月10日の違いは、10年債の利回り予測ではあまり顕著でない。これは、「マイナス金利が10年以上は続かない」という判断が不変であることの表れであろう。

 違いは、1年債の利回り予測に表れている。7月27日には、「マイナス金利幅が今度拡大する」という見通しがあったが、8月10日には、その見通しがなくなった。

 ただし、「10年後にはマイナス金利から脱却している」という点では、見通しは変わっていない。

 ◆図表6:n年後の10年債の利回りの予測

(注)横軸はn
図表4のデータより計算

銀行の収益に悪影響のマイナス金利
公的機関も批判的な評価を表明

 マイナス金利が銀行の収益に悪影響を与えていることは、間違いない事実である。

 金融機関はマイナス金利政策に強く反対しているが、公的機関も、マイナス金利政策に批判的な評価を明らかにしつつある。

 金融庁は日銀のマイナス金利政策が、3メガ銀行グループの2017年3月期決算で少なくとも3000億円程度の減益要因になるとの調査結果をまとめた(8月14日の日本経済新聞の報道による)。同庁は、収益悪化が銀行の貸し付け余力の低下につながるとみて、日銀に懸念を伝えたとされる。

 また、国際通貨基金(IMF)が8月2日発表した対日審査の年次報告書では、「非伝統的な金融政策が長引けば、金融の安定性が損なわれるおそれがある」としている。「非伝統的金融政策」とは、マイナス金利政策を指すと考えられる。

 IMFが6月20日に公表したレポートでは「マイナス金利政策は、これまでのところ成功」としていたので、それに比べて評価は後退したわけだ。

 以上を考えると、原理的にマイナス金利を拡張することが可能であるといっても、それを実行するのはかなり困難ではないかと考えられる。


DJ-FRBの次回利上げ、予想より早い可能性も

2016年07月28日 10時20分51秒 | 債券

 

 米連邦準備制度理事会(FRB)はまだ利上げの準備体制に入っていないが、投資家は、この状況が急転するリスクに備えておくべきだ。

 27日までの連邦公開市場委員会(FOMC)では、金利が据え置かれる一方、経済状況については6月のFOMCより少し強気の見方が示された。労働需給がやや引き締まって雇用が改善し、消費支出も力強く伸びたことが指摘された。

 FRBはまた、経済見通しへの当面のリスクは「薄れた」と指摘した。これは、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)決定に関連する金融への悪影響は、現れはしたものの直後に後退したとの認識を示したものだ。実際、米株価は直後に過去最高値を更新している。

 ただ、企業の設備投資が緩やかでインフレ率も目標の2%を下回り続けていることを再度指摘しており、利上げの緊急性を感じていないことを示した。これは、早計な利上げで経済成長を損なう危険の方が、利上げが遅れて経済が過熱気味となる危険よりずっと大きいとの認識を反映したものだ。また、ブレグジットの金融に対する影響は抑えられている一方、経済全体への影響についてはまだよく分からないとの懸念が反映されているのかもしれない。

 なぜなら、一連の米国の経済指標は予想を上回っているものの、その大半は6月かそれ以前の状況を示したものだからだ。米国経済がブレグジットにどう対応したかについてFRBが実感を得るには、まだ最低1カ月は必要だろう。

 米経済はブレグジットに対しうまく対応できている可能性が高い。このことは、FRBに注目している投資家であれば心に留めておくべきだ。英国民投票以降、米国の新規失業保険申請件数は減少基調にある。また、今月は4-6月期決算発表のピークだが、米企業から警戒の声は聞かれない。つまり、好調な経済指標は今後も続く可能性があるということだ。

 投資家は、年内1回利上げする確率を利上げしない確率よりも低いとみている。この見方には修正が必要かもしれない。
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WSJ-日本政府、50年債の発行を検討=関係筋

2016年07月27日 12時13分37秒 | 債券

 

 【東京】日本政府は戦後最長の年限となる50年物の国債発行を検討している。日本銀行の金融緩和で生まれた
低金利環境に乗じる。事情に詳しい関係者が明らかにした。

 日銀がデフレ脱却対策の一環としていずれこの国債を購入するようであれば、政府の経済対策は「ヘリコプタ
ーマネー」に類似したものになるとの観測が強まる恐れがある。

 関係者によると、政府が50年債の発行を決断した場合、その詳細は安倍政権が近く発表する経済対策の一環と
して公表される可能性がある。50年債は早ければ本年度中に発行される可能性もあるという。
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このままだと日銀会合後、日本株は急落する

2016年07月26日 11時46分44秒 | 債券

今後の日本株に最も厄介なシナリオとは?

志摩 力男 :為替トレーダー
 
「財政出動+金融緩和」で、株価は上昇すると考えている投資家は多い。だがこのままだと株価は急落しかねない(写真:尾形文繁)

「ヘリマネってなに?」

最近、良く質問される。質問するのは普通の、一般の方々だ。若い人もいれば、ご年配の方もいらっしゃる。「マイナス金利に戸惑ったばかりだというのに、今度はヘリコプターからお金を撒くという。一体どうなっているんだ」ということだ。

「無から有が生じる話」にとまどう人々

「定義はいろいろですけど、政府の借金ではなく、中央銀行ファイナンスによる財政支出のことです」

「それじゃよくわからない」

「日銀がお金を出して、政府が支出することです。日銀はいくらでもお金を出すことができますし、借金ではないので政府はお金を返す必要もないです」

「え?」

誰もが当惑する。「無から有は生じない」ことは、誰でも知っている。しかし、このヘリマネというのは、何もないところからお金が出てくるという話だ。

「経済対策として、日銀がお金を出して、一人50万円支給されるとしたら、どうしますか?」

「そんなお金、使えるわけがないじゃない!」

何とかしてインフレ率を上げたいが、量的緩和政策を進めても、マイナス金利を採用しても、結果は思わしくない。それでもまだ金融政策に出来ることはある、ということで出てきたのがヘリマネだ。

バーナンキ氏が主張している政策だから、大丈夫、日本も採用すべきと主張する人がいるが、これほど日本の一般市民を馬鹿にした政策もないだろう。何もないところからお金を出されても、社会が大混乱するだけだし、いい迷惑だ。海外の経済学者は日本の国民に何の責任もない。むしろ、日本を使って社会実験してみたいだろう。どういう結果が出てくるか、ワクワクだ。

ヘリマネとは、円の価値を霧散させること

フリーランチはない。手品を使っても、債務は消えて無くならない。それは、誰もが知っている。知った上で、そのような政策を採用するというならば、それは日本経済のリセットボタンが押されたということだ。長年かけて築き上げた「円」に対する信用は霧散する。

要するに、ヘリコプターマネーとは円の価値を霧散させることで、日本の債務も消してしまうことだ。何時か、そのような時が来るのかもしれないが、今この段階でそのような政策を取る必然性があるのだろうか。何も「死に急ぐ」必要はないだろう。

結局、市場は「ヘリマネ」をどの程度織り込んでいるのであろうか?3つの考え方がある。

(1) まず、狭義の「ヘリマネ」、厳密な意味でのヘリマネは、現在議論が二種類ある。一つは、無利子永久債を日銀が直接引受し財政支出するという方法、もう一つはアデア・ターナー氏が主張する方法で、日銀購入の国債を無利子永久債に切り替えていくというものだ。前者の場合は、財政法5条で禁止されており、法の改正が必要だ。後者の場合、国債を無利子永久債という無価値なものとのすり替えは、その瞬間に日本国債がデフォルトしたとみなされるリスクもあるし、少なくともジャンク債へと格下げされることになり、やはり次の日銀政策決定会合で採用されるとはとても思われない。

(2) 次に、広義の「ヘリマネ」だが、政府が大規模な支出を伴う経済対策を策定し、赤字国債を大量に発行するが、それを日銀が市場で受け止めるというやり方だ。現在、マーケットが期待しているのは、この線ではないだろうか。この場合、経済対策の「真水」が重要。大規模歳出を日銀が支える「擬似ヘリマネ」という絵を市場は見たいのだ。しかし、安倍政権は消費増税先伸ばしの際に、2020年までの財政再建化目標を維持したが、どう見ても矛盾しており、この辺りをどう説明するかだろう。

(3) もっと広義の、漠然とした意味合いでの、「ヘリマネ」。つまり、今回の日銀金融政策がどう変わるとか、経済対策がどうなるといったこと関係なく、市場での購入とはいえ日銀がほぼ全額、政府の債務を購入しているわけで、既に実質的な「ヘリマネ」状態にあるということだ。

(3)の場合は、厄介だ。既に市場から「ヘリマネ」認定されているということであれば、このマーケットを止めるのは難しいということだからだ。

発表後のメインシナリオは「円高、株価急落」だが・・

今週は、遂に日銀政策決定会合の結果が29日(金)に発表される。市場の予想は(1)マイナス金利の深掘り、-0.3%程度へ、(2)量的緩和政策の拡大、現状の年80兆円を100兆円へ、(3)ETFの増額、現状の3兆円程度から5兆〜7兆円ぐらいへの拡充と言うところだろうか。そして、政府の経済対策もその翌週、8月2日に発表される。それと合わせての判断となる。

現在、事業規模が20兆円だとか30兆円だとか、どんどん膨らんでいる。しかし、事業規模がいくら膨らんでも意味は無い。財政投融資等で融資すると言っても、事業を引き受ける先がないと、絵に描いた餅だ。肝心なのは「真水」がどれだけあるかということだ。

現在報道されているところでは、3兆円規模と言われているが、これでは、全く少ない。2013年1月、アベノミクス始動時に2本目の矢として出された経済対策は、「真水」13.1兆円だった。3年前に13兆円出しているのに、今回は僅か3兆円となると、市場はしらけてしまう。

想定されているシナリオから言うと、今回の日銀政策決定会合、政府の経済対策を合わせても市場の期待からは程遠く、ドル円も、株価も急落することが予想される。おそらく、それがメインのシナリオとなってくるだろう。

厄介なのは、予想通り大したことのない対策でも円高にならない場合だ。それは上記の(3)のケースと言えるが、もう既に実質的ヘリマネと市場に認定されたということになる。その場合、我々は既に長期円安トレンドのスタート地点に立っていることになり、難しいマーケットが予想される。


中国農業銀、1700億円相当の不良債権を証券化-ABSを発行へ

2016年07月25日 21時33分49秒 | 債券

中国が銀行に不良債権を分離させる試験的プログラムの下で、中国農業銀行が本土最大規模となる資産担保証券(ABS)の発行を計画している。

  中国の債券決済機関のウェブサイトに22日掲載された資料によれば、農業銀は不良債権107億元(約1700億円)を裏付けとするABSを銀行間市場で発行する予定。農業銀は資料で、債権額面の29%相当が発行価格となり、債権の回収率は41%と見込まれていると説明した。


日銀内に広がる持続可能性への懸念、量的・質的金融緩和-関係者

2016年07月21日 20時57分16秒 | 債券
2016年7月21日 16:39 JST更新日時 2016年7月21日 18:24 JST
  • 7月29日の金融政策決定会合には言及せず-関係者
  • 大規模な国債購入や2%物価目標は見直しが必要との声も

日本銀行内で、巨額の長期国債を買い続ける現在の量的・質的金融緩和の持続可能性について懸念を示す向きが増えつつある。複数の関係者への取材で明らかになった。

  木内登英審議委員をはじめ何人かの日銀幹部やOBはこれまでも、黒田東彦総裁の異次元緩和の下での大規模な長期国債購入は持続不可能であり、2%物価目標の早期達成は困難だと公言してきた。

黒田日銀総裁
黒田日銀総裁
 
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  複数の関係者によると、日銀内ではここに来て、政策運営はより慎重に効果とコストを見極めるべき局面に来ているとの見方が広がっている。これらの関係者は、29日の金融政策決定会合や、黒田総裁自身の見解については言及していない。関係者は、新たな政策の在り方や、そのタイミングについても言及していない。

 

  日銀OBを含む外部の識者の多くは、量的・質的緩和の導入から3年以上経過しているにもかかわらず、いまだに2%の物価目標の早期達成のめどが立たず、度重なる達成期限の先送りを迫られている現状を踏まえ、2%目標を「2年程度の期間を念頭において、できるだけ早期に実現する」とするコミットメントを修正するよう求めている。

  市場では、日銀が政府の財政支出を紙幣増刷で賄う「ヘリコプターマネー」導入への関心も広がっている。これに対し、黒田総裁は21日に出演した英BBCラジオ4の番組で日本にはヘリコプターマネーの必要性も可能性もないと否定。その上で、日銀が必要とすれば追加緩和に大きな制限はないと語った。

国債金利

  1月のマイナス金利の導入以降、20年物国債利回りが一時マイナスに沈むなど、超長期まで金利が大きく低下していることを受けて、三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の三菱東京UFJ銀行が国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)の資格を返上するなど、金融業界の不満が高まっている。生保など機関投資家の運用難も著しく進んでいる。

  複数の関係者によると、日銀内では、歴史的低水準となっている国債利回りが今後、実体経済や物価に及ぼす影響を期待する声とともに、このタイミングで長期国債の買い入れのペースを一段と加速すれば、現在の枠組みの寿命がさらに短くなることへの懸念も出ている。

 

  日銀は2013年4月、就任したばかりの黒田総裁の下で量的・質的金融緩和を導入し、長期国債の保有残高が年間50兆円増えるペースで買い入れを行うと表明。14年10月にはこれを80兆円に拡大した。さらに今年1月には日本で初となるマイナス金利の導入に踏み切った。

  しかし、日銀は前回4月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で目標の2%に達する時期を「17年度中」と従来の「17年度前半ごろ」から先延ばしするなど、世界経済の減速や期待外れの賃上げなどを理由に、度重なる目標の先送りを強いられている。月末の展望リポートで再度先送りすれば、1月以来3カ月ごとに半年先送りするという事態になる。

2つの大きなうそを改める機会に

  広がる金融政策の限界論に対し、黒田総裁は6月に行った講演で、できるだけ早期に物価2%を実現する目標は変えないと強調。4月28日の記者会見では「金融政策に限界があるとは考えていない」とし、今後も必要と判断すれば量・質・金利の3次元で追加緩和をする考えを示した。

  元日銀理事の早川英男・富士通総研エグゼクティブフェローは19日のインタビューで、17年度中の2%達成は「とうていあり得ない」とした上で、日銀が月末の会合で「何もしないというのは無理だろう」と述べた。その上で、「近い将来に2%達成が無理なことや、緩和手段が際限なくあるはずはないことは、誰もが知っている」と指摘。今会合は、2%目標の早期達成は可能であり、その手段は無限だとする「2つの大きなうそ」を改める絶好の機会だと語った。

  同じく前理事の門間一夫みずほ総合研究所のエグゼグティブエコノミストは11日のインタビューで、マイナス金利拡大も量の拡大も慎重な判断が必要で、もはやバズーカ砲第3弾の「余地はない」との見方を示した。量は次第に限界に近づいており、そう遠くない時期に長期国債の買い入れペースを落としていくことが「常識的な将来の見通し」だと語った。


永久国債こそが黒田緩和からの撤収策、円と国債の暴落防ぐ-岩村教授

2016年07月21日 17時24分01秒 | 債券
2016年7月21日 00:00 JST更新日時 2016年7月21日 17:12 JST
 
 
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  • 実質的にヘリコプターマネーの領域に入っている
  • 変動金利化が決定的に重要、出口時の巨額損失を防げる

かつて国内金融システムの危機と闘った日本銀行OBが、異次元緩和からの撤収策を提言している。円や日本国債の信認失墜による暴落がもたらす大惨事を未然に防ぐ秘策は、日銀保有国債の永久債化だと言う。

  「実質的にヘリコプターマネーの領域に入っている」。山一証券など国内有数の金融機関の破綻が相次いだ1990年代後半に、日銀企画局・信用機構局の幹部として対応に追われた早稲田大学大学院の岩村充教授(66)は、政府の財政支出を中央銀行が紙幣増刷で賄う状況が国内で事実上進行し、金融政策は国債管理政策の一環になっていると指摘する。

  岩村教授は18日までのインタビューで、将来的に財政の持続可能性や債務借り換え能力への疑念から「急速な円安と長期金利の急上昇はあり得る」と言い、日銀の保有国債が「固定金利のままだと巨額の評価損が生じ、円や財政の信認がガタガタと崩壊する非常に不連続なショックが起こる可能性が高い」と懸念を示した。

 

  日銀が抱える全ての国債を変動金利型・繰り上げ償還条項付きの永久国債に換えることで、金利の上昇局面や政府の債務削減問題に備え、異次元緩和の継続に伴って増えていく分にも同様の措置を講じるべきだと指摘。岩村教授はまた、日銀の資産である永久国債と負債に当たる金融機関からの準備預金を円滑に管理・運用するため、二つの階層からなる新たな準備預金の枠組みも提案している。

岩村充教授
岩村充教授
 
Source: Nowcast Inc.

  異次元緩和の導入から3年余りたつが、日銀が掲げる2%の物価目標を達成できるめどは立っていない。10兆円規模の経済対策を表明した安倍晋三首相は先週、ヘリコプターマネー政策の支持者で、「ヘリコプター・ベン」の異名を取る前米連邦準備理事会(FRB)議長のベン・バーナンキ氏と会談した。バーナンキ氏が前内閣官房参与の本田悦朗氏と4月に永久国債について議論していたことが報じられると、市場は円安と金利上昇で反応した。

バーナンキ氏
バーナンキ氏
 
Photographer: Drew Angerer/Bloomberg

  永久国債は無利子の日銀引き受けで財政資金を安易に調達する手立てとしての提案が散見され、財政規律喪失の表れと危険視されがちだ。しかし、岩村教授の提言はこうした永久国債の議論を逆手に取る形で、将来の長期金利上昇時にも日銀の財務健全性や円の信認、財政の持続可能性を確保できる枠組み作りを目的としている。

  岩村教授は、日銀の保有国債を「変動金利型に換えることが決定的に重要だ。金利急変には固定利付債より圧倒的に強く、出口時の巨額損失を防ぐことができる」と説明。永久国債化については「変動金利にするなら期限を切る必要はない。いつ出口に至るのか正確には見通せない中で、日本経済の資金循環上は国債を消化する資金は十分あるのに、意味不明な借り換えリスクによる猛烈なショックを防ぐ意図もある」と述べた。

 

  国債等の発行残高は3月末に過去最大の1075兆円に達した。巨額の買い入れを続ける日銀の保有割合は3分の1を超え、今月10日時点では382.7兆円。国際通貨基金(IMF)は日本の政府債務残高が今年は名目GDPの249%、19年には252%に膨らむと予測する。しかし、市場では円は投資家のリスク回避時に買われる安全通貨とされ、国債利回りは発行残高の8割超がゼロ%を下回っている。

  岩村教授は1974年に東大経済学部卒業後、日銀に入行。96年から企画局兼信用機構局の参事を務めた。98年に早稲田大学大学院教授に就任し、2016年4月から経営管理研究科教授。「中央銀行が終わる日」(新潮社)や「貨幣の経済学」(集英社)などの著作がある。

  今回のインタビューでは、「愚かなヘリマネ論議は『流動性のわな』から出た後のことを全く考えていない。金利がわずかに上がっただけでも大変だ」と指摘。国債残高が1000兆円超で平均残存期間が10年の場合、金利が1%上がったら評価損は100兆円を超えるが、仮に現実のものとなったら「1997年の国内金融システム危機を上回るショックだ。評価損益系のショックは実体経済に影響を及ぼすはずがないと考えたいが、経験から学んだのは関係があるということだ」と語った。

インパール作戦、回避を

  世界恐慌発生後の31年に発足した犬養毅内閣時代。高橋是清蔵相は金本位制からの離脱と円の切り下げ、国債の日銀引き受けによる財政拡張というリフレ政策を断行した。他の主要国に先駆けて景気回復とデフレ脱却を果たしたものの、高橋蔵相はインフレを抑えるため軍事予算などの膨張抑制に転じ、36年の2・26事件で命を落とす。財政面でも軍部の暴走を抑えきれなくなった日本政府は、対中全面戦争を経て45年の無条件降伏に至った。

  岩村教授は、異次元緩和を当時の日本の状況になぞらえて、「44年の夏ごろの状態だ。今さら戦争を始めた是非を言っても仕方ない。どうやって終戦に持ち込むかが大事だ」と指摘。「ここまで来たんだから突き進んだ方が良いという『インパール作戦』的な思考から日本を、何より日銀を自由にしたい。日銀がヤケクソにならないためには出口時にやるべきことを明確にしておく必要がある。今のままでは、とても厳しい」と言う。

  インパール作戦は第2次世界大戦でビルマ(現・ミャンマー)まで進出した日本陸軍が44年春から初夏にかけて、インド北東部にあった英印軍の拠点攻略を目指した軍事作戦。弾薬や食料といった補給面の不備と雨期における疫病のまん延、数万人規模の餓死・病死者を出した、歴史的な愚策とされる。

  中銀による財政ファイナンスは日米欧とも法律で原則禁止。日本では、財政法の第5条が公債の日銀引き受けを禁じている。ただ、「特別の事由がある場合に、国会の議決を経た金額の範囲内」なら行えるただし書きが、日銀法第34条と並列的に記されている。岩村教授は、「日銀保有分に限った永久国債化なら財政法第5条をめぐる議論は必要だが、技術的には難しくはない」と指摘。「日銀が大量に持っている今こそがチャンスだ」と言う。

  岩村教授によれば、日本のヘリコプターマネーはゼロ金利政策を採用した速水優総裁の時代から気配を漂わせていた。日本は「異次元緩和依存症だ。この薬を飲んでも病気は治らないが、飲むのを止めるのが怖いから飲み続けている」と指摘。来週29日の日銀金融政策決定会合でも「何かはしないといけないだろうが、もう何をやっても効かない」と言う。今回の提言は「政府・日銀や日本経済を依存症から救い出すための処方箋だ。緩やかに抜け出せる道を用意することが圧倒的に重要だ」と述べた。

「突然死」に群がる虫

  岩村教授が提唱する日銀保有国債の永久債化と不可分の新たな準備預金の枠組みは、銀行券での払い出しが可能な第1階層預金と、払い出しはできないが第1階層対比の上乗せ金利が得られ、最低保証利率もある第2階層預金からなる。第2階層は金融機関同士で譲渡でき、第1階層への振り替えも可能だが、第1から第2への振り替えは日銀の募集に対する応募以外にはできない仕組みだ。

  岩村教授の説明によれば、日銀は金融機関に対し、第2階層預金への振り替えを入札方式で募集し、落札額の範囲内で保有国債を追加的に永久債に転換。永久債の利回りはこの入札で決まった金利上乗せ幅に準じ、最低保証利率を下回らない範囲で翌日物金利と連動とする。政府は永久債を額面で繰り上げ償還する権利を持つ。

  日銀が主体的に出口に向かうにせよ、市場がもたらすショックで強制的に放り出されるにせよ、変動金利型にしておけば、いざとなったら供給した巨額の資金を回収することができると、岩村教授は指摘する。日銀が翌日物金利を上げられないうちは資金が寝ているだけだが、金利を引き上げていけば、借り手である政府が永久債を繰り上げ償還して固定利付債に切り替えていくため、余剰資金は自然と消えていくと言う。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは8日にマイナス0.30%と過去最低を更新。20年債利回りも初めてマイナス圏に突入する場面があったが、バーナンキ氏と本田氏による永久国債の議論が報じられた14日以降は上昇基調を強めており、この日は0.20%と英国が欧州連合(EU)離脱を選択する前の水準まで戻している。円相場も1ドル=107円49銭と約1カ月半ぶりの安値を付けた。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは、通常の永久国債は基本的に無利子と考えられると指摘。ヘリコプターマネーによる返済義務のない通貨発行との見合いで日銀の資産として計上されるが、実態は紙切れに等しく通貨の信認を損なうため、円安・インフレを適度なところでとどめる退路はないとみる。

  BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、政府は金融緩和の効果が限界に達したと認識しており、10兆円規模の財政出動を17、18年度も出してくると分析。「市場はそんな状況を織り込みつつある。すでにヘリコプターマネーの領域に片足を突っ込んでいるが、やめると痛みを感じるのでやめられないモルヒネ中毒状態だ」と話した。

  岩村教授は「突然死しそうな経済・財政には『虫』が寄ってくる。こうした虫を倫理的に批判しても意味がない。勝機があると思わせては絶対に駄目だ。市場にアタックされるシナリオだけは避けなくてはならない。こんな構想があると示すだけでも、市場が円や日本国債を見る目が変わってくるはずだ。大もうけをもくろむ向きをがっかりさせてやりたい」と語った。