保健福祉の現場から

感じるままに

マスコミはTPPと医療問題を報道してこなかった

2013年03月16日 | Weblog
毎日新聞「TPP:皆保険の維持に不安…交渉参加表明」(http://mainichi.jp/select/news/20130316k0000m020066000c.html)。<以下引用>
<TPPを巡っては、公的医療保険制度への影響が焦点の一つに浮上している。過去の通商交渉で米側が医療保険分野への民間参入拡大を強く求めてきた経緯から、日本医師会(日医)や自民党の一部議員が「公的保険のカバー範囲が縮小し、国民皆保険が崩れる」と懸念しているためだ。ただ、政府は「医療保険制度は対象外」と説明し、議論はかみ合っていない。そうした中、厚生労働省は「米側の関心は医薬品や医療機器のシェア拡大」との見方を強めている。日本の医療の特徴は、全国民が公的保険に加入し、等しい医療を受けられる「国民皆保険」にある。保険診療と保険外診療を組み合わせる「混合診療」も原則禁止だ。一方、米国の医療は民間保険に入るのが基本。所得の低い人は高度な医療を受けられない。外国の保険会社が広く参入したり、営利企業が病院経営に参画したりすれば、高額の保険外診療が増えて病院にかかれない患者が生まれ、不採算の病院も増える−−。TPPを警戒する日医は15日、横倉義武会長名で「国益に反すると判断された場合は速やかに撤退する選択肢も持つべきだ」との声明を出した。反対理由には投資家と国家の紛争解決(ISDS)条項の存在もある。不利益な扱いを受けた企業が相手国を訴えられる仕組みだ。国民皆保険を参入規制とみなされる、との不信もあり、自民党のTPP対策委員会は13日、皆保険を「聖域」の一つに位置づけた。ただし、TPP交渉を担当する米通商代表部(USTR)のカトラー代表補は昨年3月、東京都内での講演で、「混合診療を含めて公的保険制度外の診療を認めるよう求めるものではない」と述べている。これらの発言をもとに安倍晋三首相は15日の会見でも「世界に誇る国民皆保険を基礎とした社会保障制度を断固として守る」と火消しに努めた。その点医薬品に関しては、新薬の成分情報を公開せずに済む期間の協議がTPP交渉参加国間で進んでいる。米国の巨大製薬企業群は、日本市場でのシェア拡大に躍起で、厚労省幹部は「米国は新薬の特許権保護の強化を目指している」と読む。さらに、販売好調な新薬の公定価格を下げていく日本の仕組みについても見直しを迫ってくるとみている。>

15日、全国保険医団体連合会が「国民皆保険の形骸化と主権の放棄をまねくTPP交渉参加表明に抗議する 」(http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/130315tpp.html)を出している。「TPP参加で公的医療保険制度が実質的に機能しなくなる」(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/130307tpp.pdf)に続いてである。TPPには21分野(http://www.npu.go.jp/policy/policy08/bunya.html)があり、保険は金融サービス(http://www.npu.go.jp/policy/policy08/pdf/20120329/20120329_1-12.pdf)に位置づけられているが、大手マスコミによる国内報道では、異常なまでに農業問題に矮小化されている印象を受ける。TPP草案の中身(http://www.kananet.com/tpp-kiken-kiji.pdf)はおろか、毒素条項(http://www.kananet.com/tpp-1.htm)でさえも、大手マスコミではほとんど報道されない。どうしても農業問題に矮小化しなければならないらしい。意見(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/130307tpp.pdf)に示される、①「知的財産」分野で医薬品や医療技術、医療機器の特許強化、②「金融サービス」分野で民間医療保険の拡大と公的医療保険の範囲の縮小、③「投資」分野で医療への営利企業の参入、によって医療は大変革間違いないであろう。国民皆保険は形骸化しないとも限らない。「長い、厳しい戦いが始まった」(http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11491283668.html)、「安倍氏TPP交渉参加表明NHK大越記者腰抜け質疑」(http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/tppnhk-dc88.html)は必読である。USTRの文書「TPP Negotiations Shift Into Higher Gear at 16th Round」(http://www.ustr.gov/about-us/press-office/press-releases/2013/march/tpp-negotiations-higher-gear)をみれば楽観視できない。「投資企業の利益確保が相手国の国内法に優先するISD条項のなかでどうして、「主権は断固として守る」と言えるのか。」、不思議である。
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