保健福祉の現場から

感じるままに

公的医療保険制度が実質的に機能しなくなる

2013年03月07日 | Weblog
東京新聞「TPP参加に極秘条件 後発国、再交渉できず」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013030702000237.html)。<以下引用>
<環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加問題で、二〇一一年十一月に後れて交渉参加を表明したカナダとメキシコが、米国など既に交渉を始めていた九カ国から「交渉を打ち切る権利は九カ国のみにある」「既に現在の参加国間で合意した条文は原則として受け入れ、再交渉は要求できない」などと、極めて不利な追加条件を承諾した上で参加を認められていた。複数の外交関係筋への取材で七日分かった。各国は今年中の交渉妥結を目指しており、日本が後れて参加した場合もカナダなどと同様に交渉権を著しく制限されるのは必至だ。関係筋によると、カナダ、メキシコ両政府は交渉条件をのんだ念書(レター)を極秘扱いしている。交渉全体を遅らせないために、後から参加する国には不利な条件を要求する内容だ。後から入る国は参加表明した後に、先発の国とレターを取り交わす。カナダなどは交渉終結権を手放したことによって、新たなルールづくりの協議で先発九カ国が交渉をまとめようとした際に、拒否権を持てなくなる。交渉参加に前向きな安倍晋三首相は、「『聖域なき関税撤廃』が前提ではないことが明確になった」と繰り返しているが、政府はカナダとメキシコが突きつけられた厳しい条件を明らかにしていない。日本がこうした条件をのんで参加した場合、「聖域」の確保が保証されない懸念が生じる。カナダ、メキシコも一部の農産品を関税で守りたい立場で、日本と置かれた状況は似ている。国内農家の反対を押し切り、対等な交渉権を手放してまでTPPの交渉参加に踏み切ったのは、貿易相手国として魅力的な日本の参加とアジア市場の開拓を見据えているからとみられる。先にTPPに参加した米国など九カ国は交渉を期限どおり有利に進めるため、カナダなど後発の参加国を「最恵国待遇」が受けられない、不利な立場の扱いにしたとみられる。 <TPP交渉参加国> 2006年、「P4」と呼ばれたシンガポールとニュージーランド、チリ、ブルネイによる4カ国の経済連携協定(EPA)が発効。これに米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが10年に加わり、9カ国に拡大した。その後、カナダとメキシコも参加を表明し、12年10月の協議から11カ国で交渉している。>

全国保険医団体連合会が「TPP参加で公的医療保険制度が実質的に機能しなくなる」(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/130307tpp.pdf)を出している。①「知的財産」分野で医薬品や医療技術、医療機器の特許強化、②「金融サービス」分野で民間医療保険の拡大と公的医療保険の範囲の縮小、③「投資」分野で医療への営利企業の参入―を促される危険があることはほとんど報道されない。首相が「公的医療保険制度の在り方そのものは議論の対象となっていないと承知している」(http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201303060129.html)といっているように、間接的な影響は否定していない。「国民皆保険 「TPPと労働法制緩和のどっちからもやられる」」(http://tanakaryusaku.jp/2013/03/0006756)とされるように、労働法制緩和の影響も小さくないかもしれない。日米共同声明文(http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2013/02/22/joint-statement-united-states-and-japan)の一段目は、「The two Governments confirm that should Japan participate in the TPP negotiations, all goods would be subject to negotiation, and Japan would join others in achieving a comprehensive, high-standard agreement, as described in the Outlines of the TPP Agreement announced by TPP Leaders on November 12, 2011.(日米両政府は、TPP交渉に参加する場合には、全ての物品が交渉の対象になること、及び、日本が他の交渉参加国とともに、2011年11月12日にTPP首脳によって表明された「TPPの輪郭(アウトライン)」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認する。」)」である。
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生活保護レセプト管理システムの機能強化

2013年03月07日 | Weblog
読売新聞「向精神薬処方、生活保護受給者678人が不適切…福岡 」(http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=73956)。<以下引用>
<生活保護受給者に対する向精神薬の処方を巡り、福岡県が、福岡、北九州、久留米3市を除く県内の実態を2010~12年度に調べたところ、複数の医療機関から処方を受けた受給者のうち、約8割が不適切な処方だったことがわかった。県は、医療機関の協力を得ながら改善を進めたいとしている。大阪府で向精神薬の不正転売事件が発覚したことを受け、厚生労働省が全国に調査を要請。県は、10年度に睡眠薬など約80種類、11、12年度は328種類に対象を拡大し、3市を除く医療機関から送られてくる診療報酬明細書について、医学的な観点から処方の適否をチェックした。その結果、10年度は重複処方を受けた37人のうち、不適切だったのは30人(81%)。11年度は422人中328人(78%)、12年度は421人中320人(76%)に上った。3か年度の合計は、880人のうち678人(77%)だった。県は昨年10月、県内8福祉事務所に、薬剤師数人を「適正受診指導員」として配置。不適切な処方が確認された場合、ケースワーカーや医療機関に指導や助言を行っている。複数処方を受ける受給者について、県は「薬を多くもらうことで精神のバランスを保とうとする傾向がある」と分析。そのためケースワーカーが適切な受診を求めると、落ち込んだり、反抗したりすることも少なくなく、対応に苦慮しているのが実情だという。県の昨年度の生活保護費は約912億3200万円。うち医療扶助費は約6割を占める。福岡市の実態調査でも、同じ3か年度に複数の医療機関から処方を受けた受給者のうち、約85%が不適切な処方だったことが判明した。>

厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-07-01p.pdf)p10~16で生活保護制度の見直しについて示されている。資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-07-01p.pdf)p15で、「生活保護レセプト管理システムの機能強化」があり、具体的な指導対象となり得る者を容易に抽出(一覧表を自動作成)できるようにするとともに、請求が他に比べて特徴のある医療機関を容易に抽出できるようにするという。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-07-01d.pdf)p15~17に出ている「医療扶助の適正化」もみておきたい。資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-07-01d.pdf)P17では「本年3月に電子レセプトシステムの機能改修を行い、請求に特徴が見られる医療機関を容易に抽出可能にするため、指定医療機関への指導等に当たっては、請求等に特徴がある医療機関を抽出し、当該医療機関の状況を総合的に勘案した上で、指導対象となり得る医療機関を選定し、重点的に指導等を実施していくこととする。」とある。
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