「歯科医に広がる〝ワーキングプア〟」(http://news.cabrain.net/article.do?newsId=14151)の記事が目にとまった。<以下引用>
<産科・小児科・救急医療を中心に「医療崩壊」が各地で社会問題化する中、歯科医療がより危機的な状況にあえいでいる。2000年以降の相次ぐ診療報酬のマイナス改定で医療機関の経営が全体的に悪化したばかりでなく、歯科では73項目にわたる保険点数が20年間も据え置かれていることが影響している。歯科医師や歯科技工士らに支払われる診療報酬は先進国に比べ極めて低く、歯科医師の5人に1人が年収300万円以下、歯科技工士の3人に1人が200万円以下の〝ワーキングプア〟状態に置かれているという。歯科の保険点数の据え置きについては、小池晃・参議院議員(共産党)の質問主意書に対する昨年12月の政府答弁で明らかになった。答弁によると、1986年4月時点と同じ保険点数だったのは73項目で、エックス線画像診断・各種検査・フッ素塗布・歯周治療・鋳造歯冠修復など、ほとんどの歯科医療の基本的技術が含まれていた。20年の間には消費者物価が1.5~2倍になり、国民生活も様変わりしている。にもかかわらず、歯科医療の根幹となる保険診療の基本的技術料が変化していないことに関して、小池氏は「20年間も(保険点数の)引き上げが行われていないことは、この間の物価・人件費の伸びなどと比べても、明らかに均衡を欠く」と追及。これに対し厚生労働省は「歯科診療報酬については、物価、賃金等の動向、経営状況、医療保険財政の状況等を総合的に勘案し、(中略)、必要な事項については重点的に評価し、適切に設定している」と答えている。全国保険医団体連合会(保団連)によると、かつては医療費全体の12%あった歯科医療費が06年度は7.7%にまで下落。歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士らに支払われる診療報酬は先進国に比べ極めて低く抑えられている。昨年10月に保団連主催で開かれた「歯は命 歯科医療危機突破10.28決起集会」などでは、歯科医師の5人に1人が年収300万円以下、歯科技工士の3人に1人が200万円以下と報告。保団連は「日曜日や深夜まで診療している歯科が増えたのは、(開業時に医療機器等を導入するために負った)借金を返すために寝る時間を削って働かざるを得ない実態がある」と訴えるなど、歯科医業の収支は、歯科医師数の需給バランスの悪化も影響して、全体的に悪化の一途をたどっている。患者と歯科医療担当者で構成する「保険で良い歯科医療を」全国連絡会の06年の調査では、歯科医療に対する患者の要望は「保険のきく範囲を広げてほしい」が00年調査より8ポイント上回って約8割にも達している。保団連は「新しい技術や安全性が確保されている技術を速やかに保険導入すること、臨床の実態に即したものを導入するよう要求することは当然」と指摘。「政府の歯科医療軽視政策のもとで、患者・国民の要求に十分にこたえきれず、歯科医師をはじめ歯科医療従事者が苦悩している。先進国の中で日本は虫歯や歯周病の状況は最悪で、長期にわたり改定が据え置かれた項目をはじめ、歯科の診療報酬について適切な診療を確保するための十分な評価が行われるべき」と強調している。>
記事の歯科の診療報酬に関する質問に対する答弁書(http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/168/touh/t168074.htm)のほかに、歯科医療の向上に関する質問主意書に対する答弁書(http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b168363.htm)もみられる。「医療崩壊の先頭に立たされる歯科医師」(http://www.jcj.gr.jp/rupo.html)の記事もみられる。<以下引用>
<産科や小児科をはじめ、医療が崩壊しつつある中、歯科医療はさらに危機的状況にあえいでいる。歯科医師の5人に1人、歯科技工士の3人に1人が年収200万円程度以下にとどまる。日曜日や深夜まで診療している歯科医院が増えたのは、借金を返すために寝る時間を削って働かざるを得ない実態がある。先進国の中で日本はムシ歯や歯周病の状況が最悪なのに、真面目に治療し、できるだけ安くしようと努力すれば個別指導で恫喝される。「指導」名目での医療機関への締め付けは強化される一方だ。このままでは、更なる犠牲者が続くことになるだろう。薬害エイズ、薬害肝炎など国民の生命に関する事項を隠蔽し、職責を果たさなかった厚生労働省。年金問題では度重なる不正行為で社会を不安におとしめた社会保険庁。自らの不正には目をつぶってきた。一方で、「民」へは不正・不当とレッテルを貼り歯科医師らを死に追いやる。逸脱した医療指導官はもちろん、黙認した社会保険庁、厚生労働省の責任は重大だ。厚生官僚は、国民の生命や健康を守るのが任務ではないのか。真摯に反省し、安全・安心な歯科医療を行えるようにすべきだ。10月28日には自殺した歯科医師の妻も参加し、東京・砂防会館で「歯科保険医自殺事件緊急抗議集会」を開いた。集まった歯科関係者ら300人は、人権を無視した個別指導は「行政による殺人だ」と怒りの声を上げた。そして、厚生労働省による真相の究明、事件に関与した指導医療官らの処分、指導・監査の抜本的改善などを求める決議を採択した。>
さて、先日、管内の歯科医師と話す機会があった。昨年の通知(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/dl/070330-1.pdf)は、歯科診療所に関わることも大きい。医療機能情報提供制度や安全確保措置のほか、今後、在宅歯科診療の推進を図る必要があり、もっと意見交換が必要なように感じられたところである。
<産科・小児科・救急医療を中心に「医療崩壊」が各地で社会問題化する中、歯科医療がより危機的な状況にあえいでいる。2000年以降の相次ぐ診療報酬のマイナス改定で医療機関の経営が全体的に悪化したばかりでなく、歯科では73項目にわたる保険点数が20年間も据え置かれていることが影響している。歯科医師や歯科技工士らに支払われる診療報酬は先進国に比べ極めて低く、歯科医師の5人に1人が年収300万円以下、歯科技工士の3人に1人が200万円以下の〝ワーキングプア〟状態に置かれているという。歯科の保険点数の据え置きについては、小池晃・参議院議員(共産党)の質問主意書に対する昨年12月の政府答弁で明らかになった。答弁によると、1986年4月時点と同じ保険点数だったのは73項目で、エックス線画像診断・各種検査・フッ素塗布・歯周治療・鋳造歯冠修復など、ほとんどの歯科医療の基本的技術が含まれていた。20年の間には消費者物価が1.5~2倍になり、国民生活も様変わりしている。にもかかわらず、歯科医療の根幹となる保険診療の基本的技術料が変化していないことに関して、小池氏は「20年間も(保険点数の)引き上げが行われていないことは、この間の物価・人件費の伸びなどと比べても、明らかに均衡を欠く」と追及。これに対し厚生労働省は「歯科診療報酬については、物価、賃金等の動向、経営状況、医療保険財政の状況等を総合的に勘案し、(中略)、必要な事項については重点的に評価し、適切に設定している」と答えている。全国保険医団体連合会(保団連)によると、かつては医療費全体の12%あった歯科医療費が06年度は7.7%にまで下落。歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士らに支払われる診療報酬は先進国に比べ極めて低く抑えられている。昨年10月に保団連主催で開かれた「歯は命 歯科医療危機突破10.28決起集会」などでは、歯科医師の5人に1人が年収300万円以下、歯科技工士の3人に1人が200万円以下と報告。保団連は「日曜日や深夜まで診療している歯科が増えたのは、(開業時に医療機器等を導入するために負った)借金を返すために寝る時間を削って働かざるを得ない実態がある」と訴えるなど、歯科医業の収支は、歯科医師数の需給バランスの悪化も影響して、全体的に悪化の一途をたどっている。患者と歯科医療担当者で構成する「保険で良い歯科医療を」全国連絡会の06年の調査では、歯科医療に対する患者の要望は「保険のきく範囲を広げてほしい」が00年調査より8ポイント上回って約8割にも達している。保団連は「新しい技術や安全性が確保されている技術を速やかに保険導入すること、臨床の実態に即したものを導入するよう要求することは当然」と指摘。「政府の歯科医療軽視政策のもとで、患者・国民の要求に十分にこたえきれず、歯科医師をはじめ歯科医療従事者が苦悩している。先進国の中で日本は虫歯や歯周病の状況は最悪で、長期にわたり改定が据え置かれた項目をはじめ、歯科の診療報酬について適切な診療を確保するための十分な評価が行われるべき」と強調している。>
記事の歯科の診療報酬に関する質問に対する答弁書(http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/168/touh/t168074.htm)のほかに、歯科医療の向上に関する質問主意書に対する答弁書(http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b168363.htm)もみられる。「医療崩壊の先頭に立たされる歯科医師」(http://www.jcj.gr.jp/rupo.html)の記事もみられる。<以下引用>
<産科や小児科をはじめ、医療が崩壊しつつある中、歯科医療はさらに危機的状況にあえいでいる。歯科医師の5人に1人、歯科技工士の3人に1人が年収200万円程度以下にとどまる。日曜日や深夜まで診療している歯科医院が増えたのは、借金を返すために寝る時間を削って働かざるを得ない実態がある。先進国の中で日本はムシ歯や歯周病の状況が最悪なのに、真面目に治療し、できるだけ安くしようと努力すれば個別指導で恫喝される。「指導」名目での医療機関への締め付けは強化される一方だ。このままでは、更なる犠牲者が続くことになるだろう。薬害エイズ、薬害肝炎など国民の生命に関する事項を隠蔽し、職責を果たさなかった厚生労働省。年金問題では度重なる不正行為で社会を不安におとしめた社会保険庁。自らの不正には目をつぶってきた。一方で、「民」へは不正・不当とレッテルを貼り歯科医師らを死に追いやる。逸脱した医療指導官はもちろん、黙認した社会保険庁、厚生労働省の責任は重大だ。厚生官僚は、国民の生命や健康を守るのが任務ではないのか。真摯に反省し、安全・安心な歯科医療を行えるようにすべきだ。10月28日には自殺した歯科医師の妻も参加し、東京・砂防会館で「歯科保険医自殺事件緊急抗議集会」を開いた。集まった歯科関係者ら300人は、人権を無視した個別指導は「行政による殺人だ」と怒りの声を上げた。そして、厚生労働省による真相の究明、事件に関与した指導医療官らの処分、指導・監査の抜本的改善などを求める決議を採択した。>
さて、先日、管内の歯科医師と話す機会があった。昨年の通知(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/dl/070330-1.pdf)は、歯科診療所に関わることも大きい。医療機能情報提供制度や安全確保措置のほか、今後、在宅歯科診療の推進を図る必要があり、もっと意見交換が必要なように感じられたところである。