警察官職務執行法(http://www.ron.gr.jp/law/law/keisat_s.htm)第3条では、「精神錯乱又は泥酔のため、自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼすおそれのある者」について、「応急の救護を要すると信ずるに足りる相当な理由のある者を発見したときは、取りあえず警察署、病院、救護施設等の適当な場所において、これを保護しなければならない。」とされ、「措置をとった場合においては、警察官は、できるだけすみやかに、その者の家族、知人その他の関係者にこれを通知し、その者の引取方について必要な手配をしなければならない。責任ある家族、知人等が見つからないときは、すみやかにその事件を適当な公衆保健若しくは公共福祉のための機関又はこの種の者の処置について法令により責任を負う他の公の機関に、その事件を引き継がなければならない。」とされている。この「公の機関」として「保健所」がある。それは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(http://www.ron.gr.jp/law/law/seisin_h.htm)第24条、「酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」(http://www.ron.gr.jp/law/law/sake_yot.htm)第7条により「警察官からもよりの保健所長への通報」が規定されている。しかし、精神保健では、警察官からの通報ではなく、家族や隣人等からの相談ケースが圧倒的に多い。最近、現場で感じるのは「責任ある家族、知人」がいなくなってきた、つまり、「家庭力」の低下である。受診中断あるいは服薬中断による緊急対応のケースも目立つが、家族や親戚等からも避けられているケースが少なくない。そして、繰り返すケースが多い。さらに精神障害者かどうかのボーダーケースもあり、「人権」にも配慮しなければならない。とにかく現場では、ケースバイケースで臨機に対応しているのが実情であろう。こうした対応は、いつ起こるかわからず、緊急対応だけで解決するわけでもなく、また、何も知らない周囲からはうまくいって当たり前と思われるなど、かなり「泥臭い」業務かもしれない。しかし、公衆衛生上、不可欠な業務であるのは間違いない。ところで、今後、「家庭力」が回復するか、かなり怪しいと感じる方が少なくないであろう。せめて、「地域力」は維持・向上させたいものである。「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/other.html#syakai)の議論にも注目したいところかもしれない。
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