出初めの頃…
ちょうど調剤薬局がポツらポツらで始めていたころ、私は医薬品卸でコンサルの仕事をしていた。
30年ほど前になるだろうか。
そのころから薬局は隠れた存在ではあったが儲かっていたようだ。
そんな儲かっているにもかかわらず倒産した会社もあった。
その様子を見ながら、当時の私は薬局倒産の“三種の神器”などと揶揄したのを覚えている。
それは「ロータリーやライオンズへの加入」「外車に乗る」「女性がいる」である。
古い話だ。
当時のロータリーやライオンズと言うと、地方都市ではほとんどが医師のステータスになっていた。
そこに薬局の社長ですとでしゃばると怒る医師が多かった。
そんなささやかなきっかけで処方箋が出なくなったりもした。
薬局の社長は目立ってはいけない。
同じ様に外車も鬼門だった。
処方元の医師が高級車とは言え国産車に乗っている。
にもかかわらず薬局の社長が外車では困る。
医師はあまり何も気にしないが、奥様がおもしろくない。
薬局展開で成功した知り合いの社長は、普段は軽自動車で走り回っていた。
でも、車庫にはしっかりと外車が何台か駐車されていた。
いつ乗るんだろうか。
そして、女性である。
実際に、倒産したある会社の社長は8人もの女性をかこっていた。
これは倒産して会社を整理する段階で発覚した。
どんなローテーションを組んでいたのか不思議だ。
きっと仕事以上に忙しかったと思う。
そんな時代も忘れ去られた感がある。
今では、医師なども忙しくてロータリーもライオンズにも顔を出せないのではないだろうか。
だから誰が行こうが関係なくなっている。
外車も一般的になってしまった。
何台も外車を車庫に眠らせている薬局の社長も多い。
女性の影はお金持ちの男にはつきものかもしれない。
医師は時間がなくお付き合いもままならない。
薬局の社長には時間がある人もいる。
実際に現場に入らなくても会社は回る。
連絡がつかないのは忙しい証拠。
昔の“三種の神器”は過去のものになったしまった。
でも、世間の目は変わらない。