20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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こんな日には。

2008年09月20日 | Weblog
 ベランダのコスモスの花が傾いでいます。
 空は晴れてきましたが、まだ台風の名残りの強い風がふいています。
 雨に洗い流された空は青く高く、どこまでも澄み渡っています。

 こんな日には、村上春樹が「精神的な借りがあり」、どこかで「個人的なケリをつけなくちゃならない」と書いている、ヴォネガットのことを、私も思い出します。
 とてもシニカルで、けれど比喩の上手な作家として。
 ヴォネガットは『猫のゆりかご』などで知られるアメリカの作家です。
 私は春樹のように、「精神的な借り」があるわけでも、すごい影響を受けたわけでもないので、ふいに天井からシャワーの水が落ちてきたくらいの気まぐれさで、思い出すだけですが。
 強い風にふかれながら。

 それにしても、ソフィストケートされた比喩というのは、どんなふうに鍛えたら生み出せるものなのでしょうか。
 まるで、空気を吸って吐き出すようにごくあたりまえに、あんなステキな比喩が、空から落ちてくるものなのでしょうか。
 読みながらつい、赤ペンで線でも引きたくなるような比喩を書く作家の作品を読んでいると「これはもう、資質の問題なのかもしれない」と、絶望的な気持ちになることがあります。
 それでも、本を読み、意識的に、気になる言葉やセンテンスを拾いあげ、感性を鍛え上げ・・・。

 そんなことを考えているのは、心が落ち着かないからです。
 朝早くから、娘が病院に検診に行っているのです。
 
コメント
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