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「智積院講堂襖絵完成記念 田渕俊夫展」 日本橋高島屋

高島屋東京店8階 ホール(中央区日本橋2-4-1
「智積院講堂襖絵完成記念 田渕俊夫展」
1/14-27



絢爛たる等伯の金碧障壁画に相対するのは、四季の情緒を伝える幽玄な水墨画でした。京都智積院、講堂に奉納された田渕俊夫の新作襖絵(全60面)を展観します。日本橋高島屋での「田渕俊夫展」へ行ってきました。

講堂(5室)に設置される襖の見取り図は、「Art & Bell by Tora」のとらさんの該当記事をご覧下さい。展示では各室の襖絵を順に紹介していました。

金剛の間:「夏(けやき)」、「夏(めたけ)」
胎蔵の間:「春(枝垂れ桜)」、「春(やなぎ)」
智慧の間:「秋(すすき)」、「秋(柿)」
大悲の間:「冬(雪山)」
不二の間:「朝陽」、「夕陽」



順路正面、全6面の「夏(けやき)」からして、身も心も希有壮大な大自然の空間へと誘われたのは私だけではないでしょう。中央には濃い墨で示された太い幹が力強く貫き、後方には湿り気を纏う枝葉が朧げに広がっています。また目を凝らして見ると、あたかも木版のような素朴な味わいも感じられました。襖絵を通し、作家の自然への優しき眼差しを汲み取るのはそう難しいことではなさそうです。

まるで牡丹雪のような大振りの花を一面に散らす「春(枝垂れ桜)」はもちろんのこと、眩しき陽光に包まれて大きく枝を伸ばす「やなぎ」には、生命の活気づく春の華やかさが控えめに表されています。柳のひなたぼっこはとても気持ち良さそうでした。



一転しての大悲の間の「冬(雪山)」には、雪に閉ざされて眠る山の景色が泰然と示されています。雪と冷気は渾然一体となって、険しくもじっと耐える木々の様子をただ静かに伝えていました。

一日の始めと終わりを描いた「朝陽」と「夕陽」も見事です。朝陽を浴びた林は枝葉を潤わせ、雲も広がる夕景色に包まれたそれは下草を靡かせながら消えゆく光に感謝を捧げていました。思わず手を合わせたくなります。

会場ではその他、新日曜美術館でも放映されたという田渕の制作過程(映像)も紹介されていました。高島屋のホールというと、時に店内の喧噪が煩わしく感じることがありますが、今回ばかりは静寂を呼び込む凛とした空気が流れていました。



東京展は明日で終了(17時30分まで)します。なお本展は以降、難波、横浜、名古屋、京都の各高島屋、及び今治市大三島美術館へと巡回の予定です。(会期は新日曜美術館のサイトを参照下さい。)

*智積院での現地公開は2009年6月以降を予定。
コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )
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コメント(10/1 コメント投稿終了予定)
 
 
 
Unknown (とら)
2009-01-26 22:57:23
やはり水墨画は素晴らしいですね。
智積院で見てみたいものです。
紹介していただいた見取り図は、メモに基づいて
ワードで作った力作?です。
 
 
 
とらさん、すごい! (meme)
2009-01-27 21:28:44
日本橋三越の喧騒とは打って変わって、
静寂な雰囲気というのが分かります。
私の時はお客さんも少なかったのですが、
自然と静寂を呼び込むような水墨画でした。

ところで、とらさんの見取り図ワードで
作られたのですね。
ますます、尊敬です!
 
 
 
Unknown (はろるど)
2009-01-28 00:47:54
@とらさん

こんばんは。早速のTBをありがとうございます。

>智積院で見てみたい

やはり現地でしょうね。
ただ展示でも雰囲気が巧みに再現されていて感心しました。
行って良かったです。


@memeさん

こんばんは。
三越は残念ながら見逃してしまいましたが、
襖のズラリと並ぶ空間は本当に見事でしたね。
memeさんのご紹介(半額!)をいただいて夜間に行ってきましたので、
人も少なくじっくり楽しむことが出来ました。

>尊敬です!

同じく!
 
 
 
やはり (Tak)
2009-01-28 07:45:35
こんにちは。

6月以降現地で拝見してみたいですね。
またより一層精神性の高い作品として
あの大講堂を一変させることでしょう。
 
 
 
Unknown (はろるど)
2009-01-28 22:34:55
Takさんこんばんは。

大講堂はちょうど「楓図」のある収蔵庫の隣なのですね。
是非見に行きたいと思います。
 
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