「増子博子 - 盆栽剣伝説 -」 Gallery Jin Projects

Gallery Jin Projects台東区谷中2-5-22
「増子博子 - 盆栽剣伝説 -」
7/4-25



盆栽をモチーフに、細密なペン画によって新たなる生命を生み出します。1982年生まれのアーティスト、増子博子の個展へ行ってきました。



白地にモノクロのペン画と言うと、奇しくも同時期に清澄で個展開催中の佐伯洋江を思い出しますが、似て非なりというのはまさにこのことなのかもしれません。白いパネル上を激しく動きながら、また盆栽を超えた未知の生命へと進化するのは、枝を刀として振り乱し、虚空を駆けるかの如く大見得をきった幻獣そのものでした。



必ずしも細部は技巧を誇示するかのように繊細に描かれているわけではありませんが、まさに盆栽の松のような葉をキノコのように生やし、菊の如く花模様を増殖させて一種の巨大なモチーフへと展開する様は、たとえれば池田学の世界にも通じるものがあるのではないでしょうか。その濃縮されたペンの密度と、開けてくる自由なイメージには圧倒されました。



盆栽剣の由来は縦長の作品を見れば一目瞭然です。力強く伸びる大きな剣から枝が突き出し、その表面には小さな宝飾品を敷き詰めたような文様がびっしりと描かれています。作家によると剣は強さの象徴とのことですが、確かに作品からは迷いのない逞しさを感じました。

増子はほぼ毎日、一枚ずつ小さなスケッチを描いていますが、制作はそれを画面の任意の場所に写すことからスタートするのだそうです。上の写真に挙げた二点の大作にも、その生命の種がどこかに潜んでいるのかもしれません。

25日まで開催されています。
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