高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、患者さんの
食事や運動を始めとした日常生活が治療結果に直結します。
われわれ医師は、「薬」を処方して治療しようとしますが、
患者さんの生活が改善されないと治療効果が上がらず、
薬を増やしたり強い薬に変えたりということに…
事例1:糖尿病で他の医療機関に通院されていましたが、
血糖が下がらないと食事制限がダメだと怒られ、
高価格の糖尿病薬となり、財布が厳しくて通院もやめてししまたと。
HbA1cは高かったですが、インスリン分泌能も保たれていたので、
安価な糖尿病薬で開始して、血糖値の下りが悪くても怒らずに
食事について相談しました。
だんだん「やる気」が出てきて、それとともに血糖もHbA1cも
だんだん下がって、薬は増やさなくても良好なコントロールに
なりました。もちろん、効果な糖尿病薬は使わずに。
事例2:高血圧、糖尿病、脂質異常症という生活習慣病が勢ぞろい。
さらに頸動脈エコーでも動脈硬化がかなりあるので、リスクが高いと
診断しました。
薬を処方するとともに、患者さんにも生活改善が必要だあることを
説明しましたが、自覚症状が何もないため、なかなか生活を変える
ことができずに、治療効果も不十分でした。
ある時に脳梗塞を起こして救急搬送されました。幸い後遺症なく
回復しましたが、脳梗塞を経験したことで自分の病気が重症であり、
脳梗塞や心筋梗塞などを起こす危険さが大きいと自覚しました。
入院中の食事を参考にして、今まではどんなにいってもやらなかった
減塩や食事制限を「本気」で始めました。
血圧が下がり、血糖値も改善して、今までよりも格段にコントロールが
良好になりました。
患者さんから教えられたことは、
最高の薬は「やる気」と「本気」!
われわれ医師は、薬を処方することだけに力を注ぎがちですが、
患者さんの「やる気」と「本気」をどう引き出すかが腕の見せ所です