インフルエンザの患者さんが多いのですが、新潟県では
新潟市や新発田市の下越地方を中心に過去最高の大流行になったそうです
1月になって飛躍的に患者数が増えているのがわかります。
A型ばかりというのも特徴になっていて、高熱が出ている人が
いる反面、37℃台の熱でも、悪寒・頭痛・関節痛や筋肉痛が
多い場合はインフルエンザであることもかなり見られます。
「ゾフルーザ」
今シーズンから本格的に使われているインフルエンザの新薬です。
この薬は、従来の抗インフルエンザ薬とは異なる新しい機序の薬で、
1回の内服で良いという利便性で急速に処方が増えているようです。
その一方で、新しい機序の薬であることから効果や副作用の点で
不明な点もあり、一部の感染症専門家では今シーズンの使用に
ついて注意喚起もされています。
この新しい薬をどう使うのか?
個人的な薬のスタンスについては、専門分野の新薬は詳細に検討して
その利点を生かして積極的に使用するが、非専門分野の新薬については
利点・欠点がわかるまでは飛びついて処方せず、ある程度の使用での
データが集まってから使用する、ということです。
前者は、心房細動に対する抗凝固剤の「プラザキサ」を始めとして
「イグザレルト」「エリキュース」「リクシアナ」と発売当初から
積極的に使ってきました。
後者は、糖尿病のSGLT2阻害薬で、大規模臨床データや国内の使用経験が
集積されてから使い始め、現在では明瞭な目的を持って積極的に使っています。
では、「ゾフルーザ」は?
日本感染症学会のガイドライン・提言を参考にしています。
http://www.kansensho.or.jp/guidelines/1810_endonuclease.html
簡単にまとめると、「ゾフルーザは、従来のノイラミニダーゼ阻害薬とは異なった
作用機序でインフルエンザ増殖を抑えるので、従来の薬に耐性ウイルスにも有効と
考えられる。臨床的な有効性、罹病期間の短縮はタミフルと同等だが、
1回の内服で治療が出来るので、利便性が高い。
さらに、ウイルス感染価を、早期に大幅に低下させるので、治療効果と同時に、
周囲への感染防止効果も得られる可能性がある。しかしながら、アミノ酸変異が高率に
発生することが報告されている(小児で23.3%、成人で9.7%)。変異ウイルスは、
ゾフルーザが効きにくくなるが、臨床効果への影響、周囲への感染性は、
現在のところ不明である。今後の臨床症例を蓄積して、当薬剤の位置づけを
決めていく必要がある。」ということです。
つまり、期待される点と変異ウイルスの発生が多い落いという不安材料がある薬と
いうことになります。
最近は、テレビなので「ゾフルーザ」の利便性のみを患者さんに伝えて、
変異ウイルスの発生については言わずに「ゾフルーザ」を勧めるドクターを
見かけますが、疑問に思えます。
当院では、従来のインフルエンザ薬を中心に処方していますが、
重症であり、吸入薬を吸えない患者さんに限って限定的に処方しています。
理由としては、変異ウイルスの発生率が高いからです。
今後は、データが集積して安全性についてハッキリしてから使い方を
再考しようと思います