HALクリニックの診察室から

Human Active Life…新潟で心臓血管外科のクリニックを開設した医師のひとりごと

ゾフルーザから学ぶ新薬との付き合い方は…

2019-11-30 15:25:52 | 医療
 昨年、インフルエンザの新薬として華々しく登場し、圧倒的な使用されたました。



「ゾフルーザ(バロキサビル)」

1回飲むだけの利便性と従来と作用機序が異なり作用が協力と
宣伝され、処方された先生も多かったようです。
テレビでもゾフルーザを強く推奨された先生もいらっしゃいましたが…

昨シーズンはゾフルーザを当院で処方したのはほんの数人でした。
「臨床試験の段階から、高率でアミノ酸変異が生じることが判明しており、
変異ウイルスは、バロキサビルに対する感受性が低下し、健常者において、
罹病期間の延長とウイルス排泄の遷延化が認められました。」ことを知っていました。
いわゆる「ゾフルーザ耐性ウイルス」の発生が気になっていたので、
他の抗インフルエン薬の選択肢があるので、無理に耐性ウイルスが生じる可能性のある
薬を選ぶ必要がないと感じて、新薬の効果については様子をみることにしました。

さらに、インフルエンザは小児や高齢者では死亡の危険があるものの
われわれが外来で直面する心筋梗塞や脳卒中に比べて危険性は小さいので
薬としては安全面を重視して選ぼうと考えていました。
高熱でフラフラになった高齢の患者さんでゾフルーザを処方しましたが、
熱の下りはよくなくて、個人的な印象ではそれほど強力とは思えませんでした。

最近の日本感染症学会の提言の中に、ゾフルーザについて触れている部分を引用すると
http://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=37

「以上の点を鑑みて、当委員会では、バロキサビルの使用に関し、現在までに得られたエビデンスを検討した結果、以下のような提言を行います(バロキサビルの単独使用を前提としています)。

(1) 12-19歳および成人:臨床データが乏しい中で、現時点では、推奨/非推奨は決められない。
(2) 12歳未満の小児:低感受性株の出現頻度が高いことを考慮し、慎重に投与を検討する。
(3) 免疫不全患者や重症患者では、単独での積極的な投与は推奨しない。

(註釈)
現時点で、委員(10名)の中には以下のような意見もあります。

成人、小児ともに単独での使用は非推奨とする 2名
12歳未満で単独でのバロキサビル使用を非推奨とする 3名
免疫能の低いと考えられる5歳以下で単独でのバロキサビル使用を非推奨とする 2名
免疫不全患者や重症者にこそ使用すべきである 3名
 以上みてきたように、バロキサビルについては、まだ十分なエビデンスに乏しく、今後の基礎および臨床のデータの蓄積と解析により、その使用方針に変更の可能性があります。」

とあります。
成人ではゾフルーザの推奨/非推奨に意見が分かれているようです。
個人的には重症な患者さんでない限りは、1回の経口投与という利便性で
ゾフルーザを選択はしない方針でしばらく様子をみようかと思います。


われわれ医療者は新しい薬と常に出会います。
どのように使うのか、使わないのか、しっかりと見識をもって望まなければ
ならないと思うばかりです 
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ニシンの塩焼きは卵巣(数の子)よりも白子が美味しい!

2019-11-29 18:44:27 | グルメ
 数の子と言えば、ニシンの卵巣です。
おせち料理なので美味しいですが…




「ニシン 塩焼き」

数の子が入っているのも嬉しいですが、白子の方が美味しいです
魚屋さんにたくさん入荷していたので、久しぶりの塩焼きです。
小骨が多いので、食べにくいですが、腹の小骨も食べてしまいます 

ごちそうさまでした 
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今回のプレゼンのポイントは!

2019-11-29 14:38:43 | 日記
 今夜、講演会で発表をさせていただくことになっています。
同じ内容で話していますが、毎回少しずつ違う内容を入れさせていただいています。


今回のポイントは…






症例数が多くないと研究としての意味がないと考えられがちです。
でも、データー化されて数字では表現できない患者さんのこともあります。
もちろん、基本的なデータ押しては重要ですが、目の前のひとりひとりの
患者さんはそれぞれ違った特徴をいるので、その患者さんに最適な治療法の
選択をするのがかかりつけ医の役目です。

目の前の患者さんを細かく診察することからわかってくることも
いろいろとあります。
データを盲信せずに、診察することから学ぶことも多く、医療にフィードバック
できると信じて日々の診療をしています。

当院は患者さんに育てられている



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初雪で寒い夜は… おでんに限る!^_^

2019-11-28 19:36:42 | グルメ
 全国的に冷え込んでいますね。
新潟は初雪でした 
といっても、みぞれかなという感じで積もりませんでしたが。
こんな寒い夜には体を温める…




「おでん」

前日からストーブの上でジックリ加熱して作りました。
どれも大好きな具ですが、卵は味が染みて最高です 

食べ終わると体が温まりました
ごちそうさまでした 
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「専門外の病気かな?」と思って紹介することで…

2019-11-28 16:08:01 | 医療
 心臓や血管の診療を専門にしているのですが、専門外の分野については
わからないことがたくさんあります。
自分の専門分野の病気については自信を持って診断することができても、
専門以外の病気については「問題ない」「大丈夫です」とかいうことが
できません。
なにか病気がありそうだなと感じても、診断できない場合には病院に紹介します。
ハッキリした異常が捉えられないこともありますが、いろいろな病気が
見つかることも少なくありません。
病名は知っていても、詳しい診断や治療についてはよく知らない病気であることも…

 専門分野では深い知識と診療ができても、全ての病気について同じように
知識をもつことなど神様以外には不可能でしょう。
あくまでも幅広く診療する総合診療医「ドクターG」ではなく、
ある特定の分野について深く診断や治療を提供できるスペシャリストを
目指しているので、大事なことは「専門外の病気」がありそうかどうか
見極めて、それを専門とする先生に紹介できるようにすることです。
紹介状の返事がエキサイティングなこともしばしばです 



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