HALクリニックの診察室から

Human Active Life…新潟で心臓血管外科のクリニックを開設した医師のひとりごと

この検査キットで膵癌の発見率が上がるのか?

2024-05-07 21:03:50 | 医療
 膵癌は検診が難しく、特に手術可能な早期での発見が難しいです。
そのため、「暗黒大陸」といわれる膵臓の癌の発見を目的にした
検査キットが登場しました。




「 東レ APOA 2 -iTQ 」
https://www.apoa2.toray/pdf/APOA2-iTQ_pamphlet_8p.pdf


 詳しい理論は上記を見ていただくとして、膵癌の発見率がどのくらいかと
いうことに興味があります。





 残念ながら、この検査キットだけで全てが診断できるわけではなさそうです。
従来の腫瘍マーカーの CA19-9 に比べて格段に陽性率が高いわけではありませんが
CA19-9 で陰性だった膵癌患者でも陽性になる確率があるので、両者を併用することで
膵癌患者での陽性率は上がるとのデータです

 これから臨床で使われることが、どのくらい膵癌の発見率があがり、膵癌の救命率が
上昇するのか、結果が待たれます 
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今年の保険診療改定はクリニックに厳しいぞ(汗)

2024-04-22 21:12:40 | 医療
 2年ごとの診療報酬の改定は医療機関にとっては経営を左右する一大事です。
例年は多少の変更で済みましたが、今年はクリニックにとっては厳しいです。







 何より財務省が出してきた医療機関の収益のデータ(医療法人のデータ)で
開業医が儲けすぎているとマイナス5%を目指すという方針で診療報酬が
改定されました。
 確かに利益が出ている開業医もいますが、ギリギリの診療所もかなりあると思います。
一律に下げられたら赤字に転落して閉院するところが出てくるのではないかと言われています。
われわれ個人のクリニックは医療法人より税率が高いですが、その点も無視されています。

 それでなくても物価が上がって大変なのは医療機関も同じです。
医療機器は高額ですが、納入額が上がっています。
医療用品、文具などの消耗品、さらには電気料金や水道料金もドンドン上がっています。
つまり必要経費は大幅にアップしているのです。
さらに、スタッフの給料を上げなければなりません。

 こんな中で、診療報酬を下げるというのはクリニックいじめだと感じます。
さらに、高血圧、糖尿病、脂質異常症は今までの特定疾患管理料から
生活習慣管理料 (II) に移行になり、計画書の作成と患者さんの同意の手間が増えて
保険算定が減ります。
さらに処方箋料なども減らされるので、6月からの算定ではどのくらい減るのか?
マイナス5%どころか、マイナス10%になるのではないかと危機感を抱いています。

 新型コロナ感染以降、医療機関の収益が減って補助金などで収益を維持してきましたが
補助金もなくなりました。
当院ではほとんど補助金も受けていずに収益減少を診療方針や内容の変更でやりくりして
きました。
 さて、今回の診療報酬改定の荒波をどのように潜り抜けることができるのか、
やってみないとわかりませんが、いろいろと方策を考えなければ。
それにしても、最近の政府のやり方は、診療所を潰してもよいという感じで、医療全体の
プランニングも見えずにひどいなと感じます 


 
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「心不全パンデミック」がクリニックにも押し寄せてきた感じが…

2024-04-19 21:18:05 | 医療
 「パンデミック」というと、新型コロナウイルス など感染症が思い浮かびますが、
心不全患者が爆発的に増えると言う「心不全パンデミック」が来ると言われています。

 高齢者が増えれば、心臓に病気を持つ高齢な患者さんが増えて、さらに心不全に
落ちいる患者さんが増えるのが原因です。





 当院は、心臓の病気の患者さんの診療を専門的に行っているので、
心不全がある患者さんが多いです。
さらに重症な患者さんが増えていて、治療を行っても心不全のコントロールができずに
病院での入院治療が必要な患者さんがだんだん増えています。
開院直後に比べて心臓疾患の治療を専門的に行っていることが認知されているためでも
あると思いますが、重症な心不全の患者さんがドンドン増えています。
 心不全の治療もいろいろな薬剤や手段が増えてきましたが、それでも心臓弁膜症、
心房細動、心筋症で重症な心不全で治療に困ることが増えています。
病院との連携が大事になっています。
具合を見ながら入院治療を勧めたり、退院後の治療を継続したりと日々苦闘しています。
まさしく「心不全パンデミック」が押し寄せているのを感じます。

 クリニックだけでは対策・治療が完結しないので、地域医療の中で当院がどのような
役割を果たせるのか、模索が続きます 
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人口あたりの医師数 新潟県はまだまだ少ないが東日本はどの県も少ない

2024-04-11 18:42:15 | 医療
 厚労省で、令和4年度の医師数の統計が発表されました。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/22/dl/R04_kekka-1.pdf





 この発表を受けて、新潟日報は「本県医師数 全国44位」
「前回より順位を下げる」という記事を書きました。
確かに順位だけ見ると人口あたりの医師数は全国平均を下回っています。






 全国のデータを見ていると違うことが見えてきます。
確かに新潟県の医師数は少ないですが、新潟県と同じくらいの県は図の左半分の
東日本、特に東北地方は軒並み医師が少ないのがわかります。
これに対して図の右半分の西日本は押し並べて医師数は多いです。
医師数が断然多いといわれる東京でさえも、西日本にはそれに匹敵する県が
多いは驚きです。

 医師数の西高東低と言われています。医療費の総額も東日本より西日本が多い
理由が医師数にあります。
都市に医師が多く地方に少ない、だけでなく西日本に多く東日本(特に東北地方)に
少ないという、医師の偏在が見えます。

 新潟日報の記事は、新潟県のことばかりの近視的な視点であり、もう少し
全国的な視点を加えて書いた方が医療の現状がわかると思います 



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「マイナ保険証」利用率が上がらないのはその利点を感じられないから!

2024-04-10 21:08:27 | 医療
「マイナ保険証」利用率を上げるために、利用者が増えた病院に対して一時金を支給する方針が
出されていますが、不評なようです。
現在の「マイナ保険証」の利用率は5%程度で推移して、なかなか増えてきていません。







 当院でも「マイナ保険証」を使う患者さんは日に数人で増えていません。
「マイナ保険証」利用率をあげつために医療機関側が患者さんに利用を
お願いしということなのですが。

 そもそも、政府が提唱している「マイナ保険証」の利点について国民は
便利さを感じていないから紙保険証で十分となっているわけです。
そんな患者さんの「マイナ保険証」利用を増やしたいなら、医療機関が
宣伝するよりも政府が国民に「マイナ保険証」の利点や便利さを納得して
貰わなければなりません。
そもそも、大部分の患者さんは従来の紙保険証をお使いですが、患者さんも
クリニックも特に不便はありません。

 政府の姑息的な「マイナ保険証」使用促進方法はもう足元を見られていますから
止めて、12月の紙保険証の廃止まで粛々と診療させてもらいたいです 
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