「かかりつけ医」制度について議論がされていますが、海外のかかりつけ医とは
全く違います。
海外では、医療保険に入るときにかかりつけ医が必ず決められて、かかれるクリニックは
そこだけであり、かかりつけ医の先生から他の医療機関に紹介されるシステムです。
日本は国民皆保険ですが、医療保険に勧誘するときにかかりつけ医が決められる
わけではありません。
さらに問題は「フリーアクセス制」という世界でもまれなシステムによって成り立っていることです。
患者さんが、自分で医療機関を選んで受診できるというのは、世界の医療事情から見ると
極めて珍しい制度です。
だから、「日本式かかりつけ医」と「フリーアクセス制」はどのようにバランスを
とるのでしょうか?
さらに、最近は専門性が強い開業医が多くなっています。
当院のような「心臓血管外科」という専門は病院の中だけにあるものですが、
日本ではそんな専門クリニックが街中にあります。
普段は近くの一般内科に通院している患者さんが、「胸が痛い」「動悸がする」
「歩くと息が切れる」「足が腫れた」「静脈瘤が大きくなった」と受診されます。
自分で症状から病気について専門的な診察を求めて、紹介状なしで受診する
ということがかなりあります。
海外の場合は、ホームドクターのかかりつけ医から(遠くのことが多い)
病院の専門外来へ紹介するしか道がありません。
その一方で、当院に心臓や血管の病気で通院されている患者さんの
様々な相談事が持ち込まれて、専門医ではなくかかりつけ医としての
仕事も増えています。
大学病院時代にはタッチしなかった仕事が多いですが、患者さんの
要望がいろいろありますし。
個人的には、どのような「かかりつけ医」になれるのか、
まだまだ五里霧中です