「高知ファンクラブ」 の連載記事集1

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活力は土佐沖の海底より出づ・・・高知と海底資源~メタンハイドレートを中心に~

2013-08-21 | 鈴木朝夫の講演・出版の記録

高知県メタンハイドレート開発研究会講演会(2013/7/25)、於:高知会館

活力は土佐沖の海底より出づ

 高知と海底資源~メタンハイドレートを中心に~


                                  鈴木 朝夫(高知工科大学・東京工業大学名誉教授)
   
    4月26日(金)に資源エネルギー庁から出された「海洋基本計画」が閣議決定された。これによると「平成30年代後半(2023~28年)に民間が主導する商業化プロジェクトが開始されるよう、国際情勢をにらみつつ技術開発を進める。」となっている。
   5月18日(土)のNHK週間ニュース深読み「注目の海洋エネルギー」を見た人も多い  と思う。地球深部探査船「ちきゅう」が愛知・三重沖での試験掘削に大成功した後、  佐渡沖に移動していると報じていた。浮体式洋上風力発電の可能性にも触れていた。
   8月に開催されるマンガ甲子園の一つのテーマは「海底資源」である。どんな作品が  生まれるか楽しみである。
  5月26日(日)のKUTVの「夢の扉+NEXT DOOR」で、{世界初成功!次世代エネ  ルギー「メタンハイドレート」海洋産出!、 ~日本をエネルギー自給国に!、海面  下1300m、男たちの12年の闘い~}の放映があった。ご覧の方も多いと思う。
  メタンハイドレートを中心に各種エネルギーの世界的な事情を述べ、宝の海の鉱物資  源にも話を進める。子供・孫達のためには何を成すべきか、過疎化が進む高知だから  の可能性を探ることになる。

{蓄積エネルギー資源の掘削法} 固体の石炭:固体を掘り出す。液体の石油:液体が湧き出る、液体を汲み出す。気体の天然ガス:気体が噴き出す、気体を吸い出す。固体のメタンハイドレート:固体を気体(メタン)と液体(水分子)に分離し、気体として地上に取り出す。石炭、石油、天然ガスの従来のエネルギー資源との大きな違いがここにある。

{MH21フェーズ2}   研究開発の第2段階に相当する2010年からは海洋産出試験の実施に向けた事前調査や設備検討などの準備段階に入る。2012年後半から東部南海トラフ上の渥美半島沖で1000mの海底から300m掘削し、メタン採取を行う予定である。また、東部南海トラフ以外の海域の調査、長期生産性や生産障害の解決、経済的・効率的な産出技術の確立が目標となっている(2009~2015)。商業的産出が目的の「フェーズ3」に移行する予定である。(2016~2018)。

{減圧法によるメタン回収} 日本のMH21開発計画では減圧法が採用されている。ハイドレート堆積層に水平抗を堀り、発生する水を汲み上げて圧力を低下させ、これにより発生するメタンを吸い上げる。この分解は吸熱反応であり、周囲の温度を低下させる方向に動く。しかし堆積層の周囲の地熱により溶解が進み、圧力低下を持続させる。問題は減圧効果の範囲と持続時間にある。生産性障害になるのは、氷の生成であり、自己保存性が裏目になる。温水圧入や抗井加熱などの加熱法との併用が試みられている。出砂も問題であり、海底や地上に大量の堆積粒子汚泥を取り出すことになる。

{加熱法(その場局所加熱)の新掘削法}   高知県企業からのこの特許のメタンハイドレート分解・回収装置の基本は「加熱法」である。掘削先端・その場局所燃焼加熱・超臨界水循環・減圧・押上圧送方式と呼べる。地上からは、空気(酸素)、可燃ガス(スタート時)、水、そして制御信号を送り込み、地上へは、回収メタンガス、燃焼排気ガスを取り出すことになる。掘削先端近くに置いたガスタービン発電装置で、その場で発生のメタンを地上からの酸素で燃焼し、それで電力を供給し、各種の熱エネルギー発生装置の電源とする。ヒーター熱による蒸気発生、高周波加熱による過蒸気生成、メタン押し上げのための超臨界水の発生、衝撃波発生によるMH層の破砕、マイクロ波発生などの各種の刺激の電源になる。

{自己保存効果} ハイドレートが安定に存在できない常温・常圧であっても、メタンを放出して残された水は氷結して表面を覆う。これは、メタンと水に分離する反応が吸熱であることによる。この氷が保護被膜の作用をして反応を遅らせ、常温でも比較的安定である。しかし、このことがメタン採掘に際して抗井を氷結閉塞させる可能性を孕んでいる。

{固体・液体・気体}  一般に、物質に圧力を加えれば、体積は小さくなる。そして、気体は固体に変化(相転移)し、体積を減少させていく。物質の温度を下げれば、体積は縮小する。気体は液体に、液体は固体に相転移し、その時は発熱を伴なって温度を一定に保とうとするかのように振舞う。自然界では、外界からの変動を、自分自身を変化させて緩和しようとしている。

{安全保障} 国産のエネルギー資源、鉱物資源があることは極めて有利である。安全保障上だけではなく、外交交渉の切り札として有効である。

{NPO21世紀構想委員会とは}   真の科学技術創造立国を確立するため、研究テーマを掲げて討論する場として1997年にスタートした。会員はベンチャー企業、行政官庁、大学、マスコミの4極から参加している。会員数は約100人である。理事長は馬場錬成氏(東京理科大学大学院 知財財産戦略専攻 教授、元読売新聞論説委員)である。

{高知県メタンハイドレート開発研究会}  2011/7/18(海の日)に、平朝彦氏、臼井朗氏(高知大学教授)、木川栄一氏をお招きして記念講演会を開催し高知県での研究会を発足させる運びになった。2012/2/16には、木川栄一氏(海洋開発機構・高知コア研究所所長から海底資源研究プロジェクトのリーダーに栄転)に海洋資源の講演を頂いた。2012/7/7には設立一周年を記念して、木下正高氏(高知コア研究所所長)から、また門馬義雄氏(高知工科大学名誉教授)より「環境とエネルギーから見た50年後の地球」と題する講演を頂いた。
 昨年(2012/10/31)、グランキューブ大阪で開催された「計測展2012 OSAKA、計測と制御で創る未来の地球」で鈴木が招待講演を行った。タイトルは「新エネルギー資源の使い方~メタンハイドレート、地熱発電、そしてストレージ」である。
 昨年の末には、洲本商工会議所から十数名の視察を受け入れた。海洋開発機構・高知コア研究所の視察を中心にして、高知県の海洋開発に関連する意気込みの説明を行った。
 2013/3/9にはミニ講演会とし、「海底資源をめぐる最新情報(JAMSTECの海底資源研究)」題する木川栄一氏のお話を頂いた。    
 本日、7月25日(木)、高知会館において、経済産業省・資源エネルギー庁・燃料部石油・天然ガス課課長補佐 上条剛氏に「メタンハイドレート開発の状況と今後の見通し」、と題し、高知市副市長中嶋重光氏に「高知市新エネルギービジョンと土佐湾沖のメタンハイドレート」と題し、それぞれ講演を頂く運びとなった。
 国の行う壮大なプロジェクトに対して、高知県の民・産・官を挙げての受け皿は整った。この動きを隣接する沿岸地域だけではなく、県内全域にも伝え、あらゆる分野の県内企業の協力も得て、県民の智恵をお借りして、広く連携を図って行くことになる。

{地の利、高知}   滑走路2500mの高知龍馬空港・拡張の余地を残す高知新港(FAZ)・これらを結ぶ高速高知道、そして香南市・香美市・南国市・高知市・いの町が位置する香長平野は広い。これらは生産設備・試験設備・備蓄基地などの各種施設の立地条件を充分に満足するものである。今は、海洋研究開発機構所属の地球深部探査船「ちきゅう」の寄港が出来ることが素晴らしいことである。正に「活力は土佐沖の海底より出ず」である。

{海の利、土佐}   土佐湾沖の南海トラフのメタンハイドレートとそれに伴うリチウムの回収だけではなく、200海里の排他的経済水域内には各種の有望な海底鉱物資源の存在する可能性が高い。Ni、Co、Ptなどを含むコバルトリッチ・クラスト、Ni、Cu、Mnなどを含むマンガン団塊、そしてAu、Ag、Zn、Pb、Cuなどを含む熱水性鉱床である。

{人の利、龍馬}  高知には知の利がある。海洋研究開発機構(高知コア研究所)、高知大学、高知工科大学、県立高知大学、高知県産業技術委員会他がある。県内企業からの掘削に関する特許が認可された。付随した関連特許が山のように出てくるであろう。様々な関連するベンチャー企業も生まれてくるだろう。第二の龍馬たちに、第二の弥太郎たちに期待したい。

{日常的な情報共有}  本会では、メーリング・リストのメンバーを増やし、日常的に意見交換に参加できる場を充実していく使命がある。多くの方の登録カードへの記入をお願いする。参加費は無料である。(設立時にご寄付頂いた百万円が当面の運転資金である。)

{有識者会議の設置と活動} 県・県内自治体組織、県議会・市町村議会議員、経済・産業界、各種団体・知識人など各界の皆様によって設置するこの組織はメタンハイドレートを掘り出す国家プロジェクトを、高知県に誘致することが当面の目的である。日常的な情報交換により県民挙げての大きな運動として盛り上げていく役割を持っている。

{皆の智恵、心のゆとり} 芭蕉が奥の細道を旅することが出来たのは何故か。円空が木の中から仏を掘り出しながら各地を歩くことができた理由は。社寺に掲げる算額が各地で盛んに行われたのは何故か。能や歌舞伎の伝統芸能が各地に継承された意味は。八重咲き、枝垂れ、変わり葉が珍重され、茶の湯が行き渡る風流の文化の姿は何故。江戸時代は、武士、農民、職人、商人を問わず、あらゆる分野で智恵と知識と風流を共有していたのである。このような土佐を創りたいものである。
 
{産業振興計画}    橋本県政の始まった20年前から、県勢浮揚策を進めてきたが、低下傾向を最小に留める効果は認められる。そして、尾崎県政になり、「本県経済に重くのしかかる『積年の課題』」の解決に向けて、平成20年度に策定された産業振興計画の基本は県外市場に打って出る「地産外商」である。さらに今年度に追加されたのは「移住促進により、活力を高める」である。これを超える動きが期待できる。

{期待される変化}  国家プロジェクトの進展により、インフラの整備が進むことは確実に期待できる。人が集まる様々な核が発生することになる。中小企業として何を予想し、心の準備を進めるかは各人の智恵であり、研ぎ澄まされた感性による情報の察知である。

{それぞれの役割}   本年3月に策定された「高知市新エネルギービジョン」では、市民も、事業者も「新エネルギーの情報を自発的にキャッチし、理解を深めること」であり、行政は積極的な関わりを示すこととなっている。

              ----201□年の情報は----
  本会発足時に予定していた「メタンハイドレート国際戦略部会」は「有識者会議」の  義を経て201□年7月15日に発足した。メンバーは東京に本拠を置く「NPO21世紀  構想委員会」を始めとして、県内外の有識者で構成されている。エネルギー問題の世  界戦略について活発な議論を展開している。
  なお、同様に発足時の計画にある「メタンハイドレート開発技術部会」は既に各部門  の専門家を交え、さらに県内企業を加えて既に発足している(201□/6/1)。
    7月3日の政府発表によれば、より高度化した高知新港の埠頭の本格的な増設工事が  始まった。また来年度予算で深海掘削船「ちきゅうⅡ」の建造が決まったとのことで  ある。
    201□年3月15日付の新聞によれば、メタンハイドレートおよび海底資源掘削に関する採掘権申請のためと称して投資詐欺が発覚したことを報じている。儲け話には注意が必要である。 
    水熱合成の装置を利用してメタンハイドレートを人工的に作り出し、小学生から高校生を含む子供達にメタンハイドレートで遊んで貰うイベントが県内各地で開かれ、その様子がしばしば報道されるようになっている。    
   

             高知県メタンハイドレート開発研究会講演会(2013/7/25)、於:高知会館

 

 

第6回講演会・・・その1 開会と資源エネルギー庁の上條課長補佐の講演

第6回講演会・・・その2 中嶋高知市副市長の講演と鈴木朝夫理事長の講演

活力は土佐沖の海底より出づ・・・高知と海底資源~メタンハイドレートを中心に~ 

第6回講演会・・・その3 私の主張  山本忠さん、前田祐司さん  

第6回講演会・・・その4 質問コーナー、そして閉会 

 

ブログ 高知県メタンハイドレート開発研究会

メタンハイドレート の取り組み 記事 目次

鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたいコーナー 


鈴木朝夫の講演・出版の記録 目次

2013-07-19 | 鈴木朝夫の講演・出版の記録

鈴木朝夫の講演・出版の記録 目次

 

6月11日、鈴木朝夫理事長の土佐技術交流プラザ通常総会特別講演(第1部)

6月11日、鈴木朝夫理事長の土佐技術交流プラザ通常総会特別講演(第2部)

鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その9

鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その8 新エネルギー資源の使い方 

鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その7 高知に宇宙を近づけるには

鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その6 高知のお宝は山ほど

鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その5 来て、見て、住んで ~ 土佐の高知に

鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その4 樹木~切り詰めて活きる~ 

鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その3 土佐への応援歌

鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その2 何処にでもある水と鉄の話  

鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その1 発想を転換するには  

 こんな祝う会も・・・鈴木朝夫先生の叙勲を祝う会

「鈴木朝夫の講演・出版の記録」 を連載するにあたって

「高知ファンクラブ」の代表を務めていただいている、鈴木朝夫先生(元高知工科大学副学長・元高知県産業振興センタープロジェクトマネージャー)が、高知県産業振興センター発行の月間情報誌「情報プラットフォーム」に掲載された 「ぷらっとウオーク」 を、「高知ファンクラブ」でも連載していただきました。

鈴木朝夫先生は、多彩な分野で活躍されておりますので、「ぷらっとウオーク」の記事も幅広く、様々な提案や示唆に富んだ内容となっております。様々な分野からの講演要請に対しても、これらの記事を活用しながら、臨機応変に対応されておられるようで、持ち前の気さくな人柄と併せて大変好評です。

今後、「ぷらっとウオーク」の連載に加えて、

「ぷらっとウオーク」の記事を活用しながら、様々な分野での講演などの記録を、「鈴木朝夫の講演・出版の記録」と題して、皆様にもお伝えできたらと考えています。 ご期待ください。        「高知ファンクラブ」運営事務局

「高知ファンクラブ」の運営体制より抜粋




鈴木 朝夫 SUZUKI Tomoo (元高知工科大学副学長・工学博士)
東京工業大学名誉教授  高知工科大学名誉教授

〒782-0054 高知県香美市土佐山田町植718  0887-52-5154、 090-3461-6571
   e-mail 
s-tomoo@diary.ocn.ne.jp 

高知県宇宙利用推進研究会(てんくろうの会) 会長
NPO 牧野の森(くるくる五台山) 理事長
高知県緑と水の会ネットワーク 会長
IT版・高知を元気にする「高知ファンクラブ」 代表
四万十川財団 四万十ブランド認定委員会 委員長


日本金属学会 名誉会員  日本鉄鋼協会 名誉会員
緑サポーター(237号、(財)日本緑化センター)
宇宙教育リーダー(L07-820号、宇宙航空研究開発機

 

鈴木朝夫の講演・出版の記録 目次

鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」  

 

情報がてんこもり  高知ファンクラブへ 


鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その8 新エネルギー資源の使い方 1) メタンハイドレートとは

2012-11-09 | 鈴木朝夫の講演・出版の記録

(日本電気計測器工業会主催 計測展2012 OSAKA、計測と制御で創る未来の地球、2012,10,31、於;グランキューブ大阪 講演)

新エネルギー資源の使い方
      メタンハイドレート、地熱発電、そしてストレージ

      鈴木 朝夫 (東京工業大学名誉教授・高知工科大学名誉教授、高知県メタンハイドレート開発研究会理事長)


もくじ)
はじめに) 資源大国日本  ----------1
1) メタンハイドレートとは        ----------1
2) メタンハイドレートの掘削は       ----------3
3) 国家プロジェクトと高知の動き        ----------4
   4) エネルギー資源の分類      ----------5
  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング) ----------6
  6) ビッグデータとスマート・グリッド  ----------7
  7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)      ----------8
  8) 右肩下がりの下山の先は         ----------9
おわりに) 生き甲斐とは、幸せとは  ----------10


    
はじめに) 資源大国日本 

 日本は今、海底資源・地下資源によりエネルギー・資源大国になろうとしている。それらは、慎重に、ゆっくりと、賢く使うべきもである。経済成長のためではない。右肩下がりの時代を生きる減速に必要なエネルギー源と考えるべきである。心豊かな生活のために。

1) メタンハイドレートとは


{ハイドレートの結晶構造は石鹸の泡}  包接化合物(クラスレート)の一種である。メタンハイドレートでは、水分子が水素結合で作る立体網目のカゴ毎に、メタン分子が収まっている。立体網目は、水分子が作る正五角形の面から成る正12面体(Sカゴ)が2個、正五角形12面と正六角形2面の計14面から成る14面体(Mカゴ)が6個の割合で形成されている。カゴの各面は両側の2つのカゴとの共有であり、従ってMカゴの正六角形は、接続している隣のMカゴの正六角形と共通になる。Mカゴは一線に連続していることになる。また各辺は3つのカゴの共有であり、頂点は4つのカゴの共有である。この立体構造は石鹸水の泡と良く似ている。

 

{ハイドレートの結晶構造は立方体}  立方体単位胞の8つの頂点には正12面体のSカゴが位置するので、単位胞あたり1個に相当する。向きを変えた中心の1個と合わせてSカゴは2個である。14面体のMカゴは一直線に並ぶが、横に(X)、縦(Y)に、奥(Z)にと3方向に向いている。立方体の面には2個づつ配置されて計12個になるが、隣の面と共有するので、単位胞の所属は6個になる。これらのカゴの全てにメタン分子が入ればその数は合計で8個である。メタン分子1個は5.75個の水分子で囲まれている勘定になる。なお、MカゴにNbを、SカゴをSnにと置き換えれば、それは超伝導金属間化合物のNb3Snの結晶構造のA15構造になる。


                          --------------
  注:この講演原稿では、字引のように項目を挙げて説明を加えている。知りたいときに、知りたいことを、探せるようにしたつもりである。講演の中で全ての説明はできない。何度も読み返して頂ければ幸いである。また、図・表はできるだけ使わないことにしている。検索すれば直ちに調べることができるからである。好奇心を発揮して貰いたい。
{ハイドレートから取り出せるメタンは} メタンハイドレートに含まれるメタンを気体として取り出せば、その体積は最大で170倍になる。しかし、メタン分子の充填率が100%にはなっていない。他の原子・分子が占有したり、空隙である可能性もある。

{メタンハイドレートの相安定性}  安定領域の温度・圧力の境界は、+10℃で76気圧、+4℃で50気圧、0℃で26気圧、-30℃で10気圧、-80℃で1気圧などである。言い換えれば、温度が低下すれば圧力は小さくても安定であり、圧力を高くすれば温度が高くても安定である。

{海水の圧力}  水深10mの水圧は、水の圧力1気圧+水面を押す大気圧1気圧=2気圧である。約600mの海底は約60気圧であり、プラスの海水温でもメタンハイドレートが安定な領域になる。このような海底から湧出してくるメタンが、高圧下の海水に触れて直ぐにメタンハイドレートの小さな白い粉末状の固体に変わる現象が観察されている。

{燃える氷、メタンハイドレート}    海底地層中から掘り出したメタンハイドレートは見たところは、白く固くて氷に似ており、触れば冷たく感じる。火を付けると炎を出して燃えるが、常温・常圧で比較的安定である。正に「燃える氷」である。なお、水とメタンガスを配合して、所定の高圧・低温に保てばハイドレートを実験室で作ることができる。
 注)メタンハイドレートの状態を「メタンハイドレートとは、『燃える氷』とも言われ、天然ガスの主成分であるメタンが、高圧・低温の海底下や凍土下でシャーベット状に固まったもの。」とする説明が見受けられる。間違った表現であろう。「固く白い燃える氷」ではないのか。

{自己保存効果} ハイドレートが安定に存在できない常温・常圧であっても、メタンを放出して残された水は氷結して表面を覆う。これは、メタンと水に分離する反応が吸熱であることによる。この氷が保護被膜の作用をして反応を遅らせ、常温でも比較的安定である。しかし、このことがメタン採掘に際して抗井を氷結閉塞させる可能性を孕んでいる。

{固体・液体・気体}  一般に、物質に圧力を加えれば、体積は小さくなる。そして、気体は固体に変化(相転移)し、体積を減少させていく。物質の温度を下げれば、体積は縮小する。気体は液体に、液体は固体に相転移し、その時は発熱を伴なって温度を一定に保とうとするかのように振舞う。自然界では、外界からの変動を、自分自身を変化させて緩和しようとしている。

{水素結合} 1個の電子を持つ水素原子は1価であり、共有結合の結合手は1つで、水分子はH-O-Hと表される。しかし、電子を引き寄せる酸素が少しマイナス(δ-)に偏り、電子が引っ張られた水素は少しプラス(δ+)になっている。イオン結合ではないが、静電的な結合状態が水分子のδ-と他の水分子のδ+が引き合って水素結合ができる。これが水の様々な面白い性質の原因となっている。ハイドレートを形成するのもその一例である。

{地球上に生命を育む水} 常温付近に氷・水・水蒸気の安定域が接近している(高い融点と沸点)、暖まり難く、冷め難い(大きな比熱)、水滴ができる(大きな表面張力)、水に浮く氷(氷の比重が大きい)、物質を溶かし込む(大きな溶解性)などである。全て水素結合のなせる業である。この特異な性質が水になければ、地球上にこれだけの様々な生命は生まれ出なかった。
 
{メタンハイドレートの起源} 微生物分解起源と熱分解起源のメタンハイドレートがある。地層中に堆積した動物や植物の生物起源の有機物をバクテリア(古細菌)が分解し、メタンを生成する。一方、更に地中深く沈み込んだ有機物は地熱により熱分解し、メタンを発生させる。いずれも隙間の多い砂泥互層(ダービダイト)に集積する。海水温は深くなると低下し、圧力は高くなる。海底下の地層は深くなるとさらに圧力も高まるが、温度も地熱により高くなる。その中間にメタンハイドレートの安定な温度域・圧力域が存在する。
 
{メタンハイドレートの分布域は}  静岡から四国・九州の100~300km沖合、南海トラフ一帯に分布する。その他に茨城県沖、新潟県沖、北海道南岸沖などが有望視されている。水深700~2000mの海底下、100~500mの地層がメタンハイドレート形成の条件を満たしている。海底疑似反射面(BSR)で当たりを付け、試錐を行って詳細を知ることができる。

{海底疑似反射面(BSR)とは}  船で曳航するエアガンから大きな音波を出し、多数の受信機で地層からの反射音を記録する。地層構造からの反射とは別に、層状に横たわるメタンハイドレートの下層境界部分からの強い反射が帰ってくる。このBSRは海底地形に平行になっている。これから下は水とガスを含む柔らかい地層であり、上に行くほど地熱の影響が弱まり、メタンハイドレートの安定な温度・圧力になる。BSRはその境界面であり、その分布調査からハイドレート層の存在域が推定できる。

{メタンハイドレートの賦存量は} 日本周辺に賦存するメタンハイドレートは、我が国の天然ガス年間消費量の約100年分と推定される。天然ガス消費量は年間937億m3である。

{泥火山とは} 南海トラフの地中深部の未固結堆積層に高圧がかかり、流動化してその上位にある浸透率の低い粘土層を破砕して、表面に噴出してきたものが泥(どろ)火山である。メタンハイドレート層に貫入・上昇した泥ダイアビルは泥の他に、メタンと水を伴って噴出する。

{リチウム}  メタンが噴き出している泥火山で、メタンと共に噴出する水に大量のリチウム(海水の1000倍)が含まれている。しかし、その理由は解明されていない。NaClはメタンハイドレートの安定領域を低温・高圧側にシフトさせ、インヒビターとして使えると報告されている。他の塩とは逆に、海水中に含まれるLiClがメタンハイドレート形成を助けるのかも知れない。あるいは、濃縮されるとすればその仕組みを考える必要がある。メタン回収に際して得られるであろう「リチウムに富んだ水」から、効率の良いリチウム回収が期待できそうである。リチウムイオン二次電池の正極材料、電解質、負極材料の何れにも必要である。今後のエネルギー問題にとって不可欠の物質である。 

{メタンの発生源} 湿地帯・湖沼、熱帯雨林、天然ガス、海底から湧出、泥火山、家畜の糞尿や牛のゲップ。一方で、森林の土壌がメタンを吸収すると言われている。

{天然ガス}  主成分はメタン。輸送・貯蔵は、気体の1/600の体積を持つ液体状態(LNG)で行うが、温度を-162℃以下に保たなければならない。

{大気の役割} フロンのような人工的な化学物質以外では、水蒸気(H2O)、炭酸ガス(CO2)、メタン(CH4)の保温効果が大きい。大気は地球環境を暖かく包む毛布の役割である。太陽から受け取った熱エネルギーを宇宙に放散するのを遅らせ、冬夏、夜昼の温度差を緩和する役が大気である。この作用が過度であれば温暖化になる。

 

参考の図 (原稿では割愛)
  第1図 メタンハイドレートの結晶構造
  第2図 メタンハイドレートの相平衡
                 (海洋環境で安定に存在できる圧力・温度範囲)
  第3図 メタンハイドレートの分布域
  第4図 その場局所加熱掘削装置の概要
(ver.2012/10/15)

 

1) メタンハイドレートとは  2) メタンハイドレートの掘削は  3) 国家プロジェクトと高知の動き

4) エネルギー資源の分類  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング)  6) ビッグデータとスマート・グリッド

7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)  8) 右肩下がりの下山の先は  

 

〒718-0054  高知県香美市土佐山田町植718

鈴木朝夫   s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

0887-52-5154、携帯 090-3461-6571

 

鈴木朝夫の講演・出版の記録 目次

鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 

投稿数の多い、投稿者一覧 

情報がてんこもり  「高知ファンクラブ」パート2    記事一覧はこちらから

 


鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その8 新エネルギー資源の使い方 2) メタンハイドレートの掘削は

2012-11-09 | 鈴木朝夫の講演・出版の記録

 

(日本電気計測器工業会主催 計測展2012 OSAKA、計測と制御で創る未来の地球、2012,10,31、於;グランキューブ大阪 講演)

 

新エネルギー資源の使い方
      メタンハイドレート、地熱発電、そしてストレージ

 

      鈴木 朝夫 (東京工業大学名誉教授・高知工科大学名誉教授、高知県メタンハイドレート開発研究会理事長)

 


もくじ)
はじめに) 資源大国日本  ----------1
1) メタンハイドレートとは        ----------1
2) メタンハイドレートの掘削は       ----------3
3) 国家プロジェクトと高知の動き        ----------4
   4) エネルギー資源の分類      ----------5
  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング) ----------6
  6) ビッグデータとスマート・グリッド  ----------7
  7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)      ----------8
  8) 右肩下がりの下山の先は         ----------9
おわりに) 生き甲斐とは、幸せとは  ----------10

 

2) メタンハイドレートの掘削は

{従来のエネルギー資源の掘削法} 固体の石炭:固体を掘り出す。液体の石油:液体が湧き出る、液体を汲み出す。気体の天然ガス:気体が噴き出す、気体を吸い出す。固体のメタンハイドレート:固体を気体(メタン)と液体(水分子)に分離し、気体として地上に取り出す。石炭、石油、天然ガスの従来のエネルギー資源との大きな違いがここにある。

{メタンハイドレートからのメタン回収法} 「加熱法(温水圧入)」、「加熱法(抗井加熱)」、「減圧法」、「分解促進剤注入法」、「ゲスト分子置換法」などが考えられてきた。温度を上げれば、体積の増える方向の水とメタンの分離に向かう。圧力を解放すれば、同じく体積の増える方向に向かう。加熱法は、メタンの分離が吸熱反応だから、際限なく加熱し続ける必要が出てくる。

{減圧法によるメタン回収} 日本のMH21開発計画では減圧法が採用されている。ハイドレート堆積層に水平抗を堀り、発生する水を汲み上げて圧力を低下させ、これにより発生するメタンを吸い上げる。この分解は吸熱反応であり、周囲の温度を低下させる方向に動く。しかし堆積層の周囲の地熱により溶解が進み、圧力低下を持続させる。問題は減圧効果の範囲と持続時間にある。生産性障害になるのは、氷の生成であり、自己保存性が裏目になる。温水圧入や抗井加熱などの加熱法との併用が試みられている。出砂も問題であり、海底や地上に大量の堆積粒子汚泥を取り出すことになる。

{分解促進剤注入による回収法} メタンハイドレートの形成を阻害する分解促進剤(インヒビター)、例えばメタノールや塩を注入すれば、メタンの分離は可能である。だが、促進剤注入のコストが問題になる。

{加熱法(その場局所加熱)の新掘削法} 高知県企業からのこの特許のメタンハイドレート分解・回収装置の基本は「加熱法」である。掘削先端・その場局所燃焼加熱・超臨界水循環・減圧・押上圧送方式と呼べる。地上からは、空気(酸素)、可燃ガス(スタート時)、水、そして制御信号を送り込み、地上へは、回収メタンガス、燃焼排気ガスを取り出すことになる。掘削先端近くに置いたガスタービン発電装置で、その場で発生のメタンを地上からの酸素で燃焼し、それで電力を供給し、各種の熱エネルギー発生装置の電源とする。ヒーター熱による蒸気発生、高周波加熱による過蒸気生成、メタン押し上げのための超臨界水の発生、衝撃波発生によるMH層の破砕、マイクロ波発生などの各種の刺激の電源になる。

 

図2 メタンハイドレート分解・回収装置
  地上から、空気(酸素)、可燃ガス(スタート時)、水、そして制御信号、 
地上へは、回収メタンガス、燃焼排気ガス。
掘削先端のメタンハイドレート分解装置は
  (ガスタービン発電装置)で電力をその場供給、
(熱エネルギー発生装置)はヒーター熱による蒸気発生、
高周波加熱による過蒸気生成・超臨界水発生
その他、衝撃波発生によるMH破砕などの電源に。

 

 出典:豊かな土佐を取り戻すには ~メタンハイドレートの可能性~(その2)

 

1) メタンハイドレートとは  2) メタンハイドレートの掘削は  3) 国家プロジェクトと高知の動き

4) エネルギー資源の分類  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング)  6) ビッグデータとスマート・グリッド

7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)  8) 右肩下がりの下山の先は  

 

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鈴木朝夫 s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

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鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その8 新エネルギー資源の使い方 3) 国家プロジェクトと高知の動き

2012-11-09 | 鈴木朝夫の講演・出版の記録

 

(日本電気計測器工業会主催 計測展2012 OSAKA、計測と制御で創る未来の地球、2012,10,31、於;グランキューブ大阪 講演)

 

新エネルギー資源の使い方
      メタンハイドレート、地熱発電、そしてストレージ

 

      鈴木 朝夫 (東京工業大学名誉教授・高知工科大学名誉教授、高知県メタンハイドレート開発研究会理事長)

 


もくじ)
はじめに) 資源大国日本  ----------1
1) メタンハイドレートとは        ----------1
2) メタンハイドレートの掘削は       ----------3
3) 国家プロジェクトと高知の動き        ----------4
   4) エネルギー資源の分類      ----------5
  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング) ----------6
  6) ビッグデータとスマート・グリッド  ----------7
  7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)      ----------8
  8) 右肩下がりの下山の先は         ----------9
おわりに) 生き甲斐とは、幸せとは  ----------10 

 

3) 国家プロジェクトと高知の動き


{メタンハイドレートの開発研究}  日本のメタンハイドレートの調査研究は2001年に始まっている。資源エネルギー庁から業務委託を受けて、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構、(独)産業技術総合研究所、(財)エンジニアリング振興協会の3者が「メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21研究コンソーシアム)を組織し、「フェーズ1」の活動に入った。

{MH21フェーズ1}  日本周辺海域の賦存状況や賦存量調査を目的として、東海沖から熊野灘に掛けての東部南海トラフ海域で物理探査や試錐を行った。また、カナダの凍土で陸上産出試験を行った。ここでは基本的に減圧法を採用している。2001~2008年。

{MH21フェーズ2}  研究開発の第2段階に相当する2010年からは海洋産出試験の実施に向けた事前調査や設備検討などの準備段階に入る。2012年後半から東部南海トラフ上の渥美半島沖で1000mの海底から300m掘削し、メタン採取を行う予定である。また、東部南海トラフ以外の海域の調査、長期生産性や生産障害の解決、経済的・効率的な産出技術の確立が目標となっている(2009~2015)。商業的産出が目的の「フェーズ3」に移行する予定である。(2016~2018)。

{地の利、高知}  滑走路2500mの高知龍馬空港・拡張の余地を残す高知新港(FAZ)・これらを結ぶ高速高知道、そして香南市・香美市・南国市・高知市・いの町が位置する香長平野は広い。これらは生産設備・試験設備・備蓄基地などの各種施設の立地条件を充分に満足するものである。今は、海洋研究開発機構所属の地球深部探査船「ちきゅう」の寄港が出来ることが素晴らしいことである。正に「活力は土佐沖の海底より出ず」である。

{海の利、土佐}  土佐湾沖の南海トラフのメタンハイドレートとそれに伴うリチウムの回収だけではなく、200海里の排他的経済水域内には各種の有望な海底鉱物資源の存在する可能性が高い。Ni、Co、Ptなどを含むコバルトリッチ・クラスト、Ni、Cu、Mnなどを含むマンガン団塊、そしてAu、Ag、Zn、Pb、Cuなどを含む熱水性鉱床である。

{人の利、龍馬}  高知には知の利がある。海洋研究開発機構(高知コア研究所)、高知大学、高知工科大学、県立高知大学、高知県産業技術委員会他がある。県内企業からの掘削に関する特許が認可された。付随した関連特許が山のように出てくるであろう。様々な関連するベンチャー企業も生まれてくるだろう。第二の龍馬たちに、第二の弥太郎たちに期待したい。

{NPO21世紀構想委員会とは}  真の科学技術創造立国を確立するため、研究テーマを掲げて討論する場として1997年にスタートした。会員はベンチャー企業、行政官庁、大学、マスコミの4極から参加している。会員数は約100人である。理事長は馬場錬成氏(東京理科大学大学院 知財財産戦略専攻 教授、元読売新聞論説委員)である。

{メタンハイドレート実用化研究委員会}  NPO21世紀構想委員会に所属する会員の特許出願の支援を行ってきた渡邉望捻氏(イオン特許事務所弁理士)らの要請により、すなわち国家プロジェクトとして取り上げるべきとの観点から、表記の委員会を設置した。2010年7月27日に馬場錬成氏を先頭に、平朝彦氏((独)海洋研究開発機構 理事、現理事長、元高知大学教授)に委員長就任をお願いした。
 2010年12月6日には、第2回のメタンハイドレート実用化研究委員会が開かれた。この委員会をべースにして、「メタンハイドレート国際戦略部会(仮称)」、「メタンハイドレート技術専門委員会(仮称)」を、そして高知県ベースで「高知県メタンハイドレート開発研究会」を設置することが決まった。仕事の手始めは内閣府へ「国際戦略総合特区」の申請書、「メタンハイドレート実用化研究から資源大国へ」を提出することであった。この申請は内閣府の制度に馴染まなかったが、考え方は引き継がれ、推進していくことが了承された。
.
{高知県メタンハイドレート開発研究会}  2011/7/18(海の日)に、平朝彦氏、臼井朗氏(高知大学教授)、木川栄一氏をお招きして記念講演会を開催し高知県での研究会を発足させる運びになった。2012/2/16には、木川栄一氏(海洋開発機構・高知コア研究所所長から海底資源研究プロジェクトのリーダーに栄転)に海洋資源の講演を頂いた。2012/7/7には設立一周年を記念して、木下正高氏(高知コア研究所所長)から、また門馬義雄氏(高知工科大学名誉教授)より「環境とエネルギーから見た50年後の地球」と題する講演を頂いた。
 国の行う壮大なプロジェクトに対して、高知県の民・産・官を挙げての受け皿は整った。この動きを隣接する沿岸地域だけではなく、県内全域にも伝え、あらゆる分野の県内企業の協力も得て、広く連携を図って行くことになる。

 

1) メタンハイドレートとは  2) メタンハイドレートの掘削は  3) 国家プロジェクトと高知の動き

4) エネルギー資源の分類  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング)  6) ビッグデータとスマート・グリッド

7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)  8) 右肩下がりの下山の先は  

 

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鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その8 新エネルギー資源の使い方 4) エネルギー資源の分類

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(日本電気計測器工業会主催 計測展2012 OSAKA、計測と制御で創る未来の地球、2012,10,31、於;グランキューブ大阪 講演)

 

新エネルギー資源の使い方
      メタンハイドレート、地熱発電、そしてストレージ

 

      鈴木 朝夫 (東京工業大学名誉教授・高知工科大学名誉教授、高知県メタンハイドレート開発研究会理事長)

 


もくじ)
はじめに) 資源大国日本  ----------1
1) メタンハイドレートとは        ----------1
2) メタンハイドレートの掘削は       ----------3
3) 国家プロジェクトと高知の動き        ----------4
   4) エネルギー資源の分類      ----------5
  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング) ----------6
  6) ビッグデータとスマート・グリッド  ----------7
  7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)      ----------8
  8) 右肩下がりの下山の先は         ----------9
おわりに) 生き甲斐とは、幸せとは  ----------10

 

4) エネルギー資源の分類


{エネルギー資源は大きく2種類}
 1) 蓄積エネルギー・枯渇性エネルギー(貯蓄・資産として相続した資金):石炭、石油、天然ガス、メタンハイドレート、シェールオイル(ガス)などの化石燃料、核エネルギー、(地熱エネルギー)・・・・遊んで食えば山も尽きる、いつまでもあると思うな親と金。
 2) 再生可能エネルギー・自然エネルギー(給与や売上で獲得した所得):バイオマス、水力(小水力)、風力、波力、潮汐力、海流、温度差、太陽光、太陽熱・・・稼ぎに追いつく貧乏なし。 3) その他として エネルギー貯蔵(当座預金・運転資金)・・・・備えあれば憂いなし。

{石油ピーク}  石油の産出量がピークを過ぎると、緩やかな減少に転じて石油減耗の時代となる。米国の石油生産量は1971年にピークを迎えたことが知られている。既に、全世界の石油生産量はピークを過ぎ、石油減耗の時代に入ったとも考えられる。

{エネルギー利得率、EPR}   EPR=(出力エネルギー)/(入力エネルギー)である。採掘・精製・保管・輸送などの生産に必要な入力エネルギーと利用出来る出力エネルギーの比がEPRである。ある文献では、石油火力は7.9、石炭火力が6.5、液化天然ガス火力2,4、風力3.9、地熱6.8、原子力は17.4などとなっているが、計算の根拠が不明である。計算基準を決められないのでは。

{原子力エネルギー}  津波による福島第一原発の事故で、信頼は一気に低下した。また、地球温暖化は原子炉の排水による海水温の上昇であると考える人も多い。都市のヒートアイランド現象に匹敵するとの試算もある。また建設段階から、高レベル廃棄物処理、そして廃炉までの入力エネルギーの見積もりは難しいし、CO2排出も大きいと思われる。

{原発比率(2030)} 政府は2030年時点の原発比率として、3つの選択肢(0%、15%、20~25%)を示した。エネルギー基本計画がどのような結論になるか見守りたい。揺れ動いている。

{活断層・活火山} 約200万年以降に繰り返し動いた断層が活断層で、今後も動くと想定している。原発再稼働に向けた議論で問題になるのは断層の活動の可能性である。日本列島では可能性が少ない場所はないと云っても過言ではない。フィンランドでは高レベル放射性廃棄物の地下への埋蔵で、何億年来動いたことのない岩盤であることを確かめている。何億年後の知能の高い生物に知らせるような表示が必要か否かの議論をしてる。なお、活火山の定義は、噴火記録のある山から1万年前の証拠があるものへと広がっている。休火山、死火山の表現はしなくなった。

{メタンのエネルギー利得率}  燃料としては天然ガスの代替として使える。ガスタービン発電は一般的である。また水素燃料電池としての可能性も高い。C1化学の原材料として、複雑な有機化合物の合成も、また使いやすい化合物に変化させた燃料も可能である。

{ハイドレートからのメタンは副産物} リチウムがメタンハイドレートの分解水に含まれているとすれば、どちらが副産物か分からなくなる。局所加熱によるエネルギー節約型の掘削法でもあり、総合的なエネルギー利得率はかなり大きなものになると期待できる。

{大地震の誘発は} 今の人類の知識の範囲では因果関係を考える根拠を持たない。予知できる学問の進展への期待と、コスト・ミニマムの安全・安心の対策を考える必要がある。

{地球温暖化への影響}   CO2の20倍もの温室効果があり、5500万年前の生物の大量絶滅の原因とも言われているメタンである。これは46億年にわたる地球のダイナミックな営みの中での物語である。議論になるのは、掘り出して燃焼させることと、自然放出との比較になる。メタンはCO2の排出量の差から、代替エネルギー源として期待できる。

 

1) メタンハイドレートとは  2) メタンハイドレートの掘削は  3) 国家プロジェクトと高知の動き

4) エネルギー資源の分類  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング)  6) ビッグデータとスマート・グリッド

7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)  8) 右肩下がりの下山の先は  

 

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鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その8 新エネルギー資源の使い方 5)日本は昔からの資源大国

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      メタンハイドレート、地熱発電、そしてストレージ

 

      鈴木 朝夫 (東京工業大学名誉教授・高知工科大学名誉教授、高知県メタンハイドレート開発研究会理事長)

 


もくじ)
はじめに) 資源大国日本  ----------1
1) メタンハイドレートとは        ----------1
2) メタンハイドレートの掘削は       ----------3
3) 国家プロジェクトと高知の動き        ----------4
   4) エネルギー資源の分類      ----------5
  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング) ----------6
  6) ビッグデータとスマート・グリッド  ----------7
  7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)      ----------8
  8) 右肩下がりの下山の先は         ----------9
おわりに) 生き甲斐とは、幸せとは  ----------10

 

5)日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング)


{金銀鉱石の産出}   江戸時代には金は佐渡金山、銀は石見銀山が有名だった。現在、鹿児島県の菱刈鉱山の金の推定埋蔵量は250t、金鉱石は250g/tと高品位である。普通は数g/tである。

{海底鉱物資源} 200カイリ経済水域内で採れる鉱物資源は多い。リチウムを含む泥火山を始めとして、熱水鉱床、マンガン団塊、コバルトリッチ・クラストなど鉱物資源は様々である。

{地熱発電} 日本列島は火山の島、温泉の国、地熱は固有の熱資源であり、自然エネルギーである。地熱発電は天候に左右されないので、稼働率は極めて高く、何れの再生可能エネルギーとも比較にならない。しかし、地熱資源の多くは国立公園内にあり、導入促進には法的措置や規制緩和が不可欠である。また、地域や温泉事業者との調整が重要である。高温岩体発電、バイナリー発電など方式は様々である。

{リチウム電池} リチウム(Li)は最も軽い金属である。日本は有数のリチウム産出国になる可能性を秘めている。エネルギー蓄積の役割を演じる金属リチウムを資源として持てることは国際戦略上で極めて有利である。二次電池に必要なコバルト資源も直ぐそこの海底に眠っている。

{電気自動車}  夜間電力での蓄熱は現在多くの家庭で実用化されている。同じように、自家用自動車が動ける蓄電装置として夜間に使われる。再生可能エネルギー発電とともに、スマートハウスの重要な構成要素となる。

{安全保障} 国産のエネルギー資源、鉱物資源があることは極めて有利である。安全保障上だけではなく、外交交渉の切り札として有効である。

 

1) メタンハイドレートとは  2) メタンハイドレートの掘削は  3) 国家プロジェクトと高知の動き

4) エネルギー資源の分類  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング)  6) ビッグデータとスマート・グリッド

7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)  8) 右肩下がりの下山の先は  

 

 

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鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その8 新エネルギー資源の使い方 6) ビッグデータとスマートグリッド

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新エネルギー資源の使い方
      メタンハイドレート、地熱発電、そしてストレージ

      鈴木 朝夫 (東京工業大学名誉教授・高知工科大学名誉教授、高知県メタンハイドレート開発研究会理事長)


もくじ)
はじめに) 資源大国日本  ----------1
1) メタンハイドレートとは        ----------1
2) メタンハイドレートの掘削は       ----------3
3) 国家プロジェクトと高知の動き        ----------4
   4) エネルギー資源の分類      ----------5
  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング) ----------6
  6) ビッグデータとスマート・グリッド  ----------7
  7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)      ----------8
  8) 右肩下がりの下山の先は         ----------9
おわりに) 生き甲斐とは、幸せとは  ----------10

 

6) ビッグデータとスマートグリッド


{ベストミックス} 「直ちに再生可能エネルギーで原子力エネルギー分をカバーすることは、極めて難しい」と強調した上で、(1)節電、省エネ、(2)原発の稼働維持、(3)LNG・火力発電の効率化、(4)再生可能エネルギーの普及促進、これらを総合してベストミックスと名付けている。

{エネルギー総需要削減} ピーク時カット、ネルギー価格とピーク時価格の調整。そして節約、省エネ、リサイクルでことは済むのだろうか。人類の生活態度の変換が必要である。
10月から環境税
{スマートグリッドとは} 他種類のエネルギーの供給側とニーズの多様性を示す需要側の相互連携を高度に知能化した情報通信技術で制御する送配電網である。従来の大型発電所からだけの電力供給を行う発送電網ではない。家庭やオフィスや事業所などの小口電力を消費する需要側にも、多様な発電機能を備え、地域で必要な電力を消費地で生産するような、地産地消の仕組みを備えていることも特徴である。

{スーパー・スマートグリッド} 時々刻々の料金変動制によるエネルギー・シフトの提案。金融市場のイメージ。強大なソフトが必要となる。大きな蓄電能力が必須の条件になる。

{環境アセスメント}   国では道路・港湾・埋立などの公共事業の環境影響評価を行うことを定めているが、開発行為が環境に与える影響の範囲や程度を様々な角度から検討する必要がある。実施主体の構成や経過の透明性が保たなければならない。

{(再生可能)熱エネルギー} 太陽熱、地中熱、温泉熱、バイオマス熱、雪氷熱などそのまま捨て去られている比較的低い温度の熱エネルギー利用することが再生可能熱エネルギーである。例えば、庭に水を撒く効果は蒸散熱・蒸発熱の有効利用である。風流の世界でもある。

{インターネット・プロトコール、IPv4とIPv6} アドレスは幾つあればよいか。現在のIPv4は 2の32乗(=約42億)個である。地球上の人口よりも少ない。IPv6では 2の128乗(= 約340澗)個である。340澗個とは340兆の1兆倍の1兆倍のアドレスになる。IPv4を石油缶の体積とすれば、IPv6は太陽を越える大きさになる。

{ビッグデータ} FacebookやGoogleに代表されるような巨大な情報を取り扱える時代に入っている。初音ミクやコンプリートガチャの巨大さを想像して欲しい。複雑な巨大システムの制御が可能な時代である。欠陥を皆無にすることはできない。低確率巨大事故の候補の1つである。

{リスク、コスト、環境} 原子力以外は安全との考えは当たらない。多様な再生可能エネルギーの大規模化で様々な問題が発生する。3つの要素の相互作用を常に念頭に置くべきである。

{風力発電と太陽光発電} 太陽光は最も発電コストが高い。風力がより低コストであるが、太陽光の3倍の面積が必要であり、騒音被害、特に低周波騒音被害が問題になっている。

{メガソーラー} 出力が1MW(メガワット) (1000kW)以上の大規模太陽光発電施設をメガソーラーと呼んでいる。休耕田や耕作放棄地を利用する計画をソフトバンクが発表した。

{洋上風力発電} 大規模風力発電には着床や浮体がある。ツバを付けた「風レンズ風車」は従来型の3倍の能力を持っている。太陽光発電などを組み合わせ、さらに養殖場、海洋牧場を設置した洋上式多目的複合エネルギーファームの構想がある。台風と津波への対応が重要である。

{エネルギー貯蔵(ストレージ)} 多数の発電電源間の系統安定性の確保。ダム貯水(揚水発電)、燃料電池(水素エネルギー)、二次電池(水素電池、リチウム電池)、超電導、フライホイールなど。

 

1) メタンハイドレートとは  2) メタンハイドレートの掘削は  3) 国家プロジェクトと高知の動き

4) エネルギー資源の分類  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング)  6) ビッグデータとスマート・グリッド

7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)  8) 右肩下がりの下山の先は  


 

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鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その8 新エネルギー資源の使い方 7)事故は必ず起きる

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(日本電気計測器工業会主催 計測展2012 OSAKA、計測と制御で創る未来の地球、2012,10,31、於;グランキューブ大阪 講演)

新エネルギー資源の使い方
      メタンハイドレート、地熱発電、そしてストレージ

      鈴木 朝夫 (東京工業大学名誉教授・高知工科大学名誉教授、高知県メタンハイドレート開発研究会理事長)


もくじ)
はじめに) 資源大国日本  ----------1
1) メタンハイドレートとは        ----------1
2) メタンハイドレートの掘削は       ----------3
3) 国家プロジェクトと高知の動き        ----------4
   4) エネルギー資源の分類      ----------5
  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング) ----------6
  6) ビッグデータとスマート・グリッド  ----------7
  7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)      ----------8
  8) 右肩下がりの下山の先は         ----------9
おわりに) 生き甲斐とは、幸せとは  ----------10

 

7)事故は必ず起きる(低確率巨大事故)


{安全と安心} 安全は、「安全率」、「安全装置」の表現が、安心は、「安心感」の表現ができる。安全は証明ができる客観的事実、安心とは自ら理解・納得する主観的事実である。

{安全か、危険かの両極端} 情報の欠如、不正確な情報。口コミ、うわさ。マスコミによる増幅、悲惨な映像、過大評価と身近な事例。リスク対応が別なリスクを背負うこと。リスク確率の評価を誤る。

{フェールセーフとフールプルーフ} 仕組みが故障すれば安全側に動いていくのをフェールセーフと呼び、操作を間違えても「止まる」といった安全側に動く仕組みがフールプルーフである。

{フォールトトレランス} システムに障害が発生したときに、正常な動作を保ち続ける能力である。障害発生時の被害を最小限度に抑える能力であり、訳は「耐障害性」「故障許容力」などとなる。故障が起こっても、どれだけ耐えられるかといった概念である。

{フォールトツリー}  故障の木という樹形図。起って欲しくない事象(特定の故障・事故)について、その発生要因を上位のレベルから順次下位に展開して、より低位の問題事象の発生の頻度から想定した特定故障・事故の発生確率を算出する。また、これにより、故障・事故の因果関係を明らかにできる。プラント設計や事故予防解析に多く使われている。しかし、低確率巨大事故のような同時多発故障では使えない。ベキ分布の低確率巨大事故は想定外となる。

{正規分布とベキ(冪)分布} 航空機事故、原子力災害、地震発生、ビッグデータ・システムなどでは、過酷な事故は必ず起きることが知られてきた。「文明は事故を発明する」の有名な言葉がある。そして、確率分布が正規分布ではなくベキ分布となることが知られてきた。
 正規分布は、平均値を境として前後に同じ程度にばらついている状態であり、分布図では平均値を対称軸とした釣鐘型の曲線である。つまり、平均値の周辺に多くの値が集まり、値が大小の左右の裾野に向かいデータは急激に減る。
 ベキ分布では、平均値を超えて大きな値の方向に曲線はなだらかに裾野を引き、平均からずれた極端に大きなデータの減衰が遅い。平均値以下では、より小さな値をとるデータの数が極端に増えていく。ビスケットを一撃で粉々にしたときのカケラの分布を想像して欲しい。小さな粉ほどその数は極端に多くなっている。数は少ないが、大きなカケラも残って居る。カケラのサイズの分布はベキ分布と言って良い。

{ブラックマンデー、リーマン・ショック}  株式市場の崩壊はレバレッジ(自己資本より大な力で市場を動かす梃子の仕組み)の作用に似ている。クレジット払い、担保借入、信用取引などでは、時にブラックマンデーやリーマン・ショックのようなことが発生する。その確率分布はベキ分布になる。確率分布の形からこれをロングテール(長いしっぽ)と呼んでいる。

{過酷事故発生後の対応}  適正な是正措置。事故後の緩和作戦が重要である。時には超法規的な判断も必要であることの認識。巨大な火事では意図的に先回りの放火や破壊を行うこともある。江戸時代の火消しの仕事は破壊消防から始まっていた。

 

1) メタンハイドレートとは  2) メタンハイドレートの掘削は  3) 国家プロジェクトと高知の動き

4) エネルギー資源の分類  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング)  6) ビッグデータとスマート・グリッド

7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)  8) 右肩下がりの下山の先は  

 

18-0054 高知県香美市土佐山田町植718

鈴木朝夫 s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

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鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その8 新エネルギー資源の使い方 8)右肩下がりの下山の先は

2012-11-09 | 鈴木朝夫の講演・出版の記録

(日本電気計測器工業会主催 計測展2012 OSAKA、計測と制御で創る未来の地球、2012,10,31、於;グランキューブ大阪 講演)

新エネルギー資源の使い方
      メタンハイドレート、地熱発電、そしてストレージ

      鈴木 朝夫 (東京工業大学名誉教授・高知工科大学名誉教授、高知県メタンハイドレート開発研究会理事長)


もくじ)
はじめに) 資源大国日本  ----------1
1) メタンハイドレートとは        ----------1
2) メタンハイドレートの掘削は       ----------3
3) 国家プロジェクトと高知の動き        ----------4
   4) エネルギー資源の分類      ----------5
  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング) ----------6
  6) ビッグデータとスマート・グリッド  ----------7
  7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)      ----------8
  8) 右肩下がりの下山の先は         ----------9
おわりに) 生き甲斐とは、幸せとは  ----------10

 

8)右肩下がりの下山の先は


{「下山の思想」などの考え方}  石油ピークは既に過ぎており、使い勝手の良いエネルギー資源の観点からは、生産活動自体が下り坂になることは必然であり、経済指標は何れも前年度比マイナスの退却戦に入っている。これからは専門家と称する人への『お任せ』ではなく、各自が考え、意見を持つ『自立』の時が来たことを自覚しなければならない。下り行く先の未曾有の時代の姿を思い描き、どのように生きていくかを皆で考えるべきである。
1)「下山の思想」:五木寛之著(幻冬社新書、2011/12)、2)「『右肩下がりの時代』をどう生きるか」:鷲田精一著(「潮」、2012/1)、3)「石油文明が終わる~3・11後、日本はどう備える」:石井吉徳他著、(”NPOもったいない学会”、2011/11)。

[固定観念、既成概念、既得権の放棄}  今の高齢者達の世代は、最高峰を目指した同志であった。戦後の日本の経済成長を、高品質・高効率・大量生産で担う戦士達であり、希望に満ちて大量消費を競ってきた。下山に際しては、固定観念を、既成概念、その価値観を捨て去る必要がある。経済成長率プラスの期待は止めなければならない。新陳代謝はゆっくりとゆったりと。「持続可能な発展」や「ゼロエミッション」のスローガンは無意味であることを悟ろう。

{最高峰に立ったとき} 我々山仲間は「山を征服した」との表現を使ったことは一度もない。頂上では「ありがとう」と山々に感謝し、「お陰さま」と仲間と握手をした。帰りも安全に降ろして下さいのお願いが込められている。日本人が皆で最高峰に立ったとき、我々は「お陰さま」と感謝しただろうか。今からでも遅くない。振り返り、感謝を捧げようではないか。

{リーダーの資質}  山を下るときの鉄則はグループをまとめ、落伍者を出さないことである。力量や経験の異なる混成部隊である。適度な休息を取り、食糧を分け合い、体を温め合うことが必要である。寒さが募る中では、眠らないことが必須である。サブリーダーの「しんがり」としての気配りは極めて重要である。そして、天候、地形などの環境変化を細心の注意と直感によって判断できる能力を持つリーダーの責任は更に重要である。財政再建には経済成長を期待する政治家が、実業家が多い。人材の枯渇では?

{右肩下がりの道を下り行くその先は?} 「となりのトトロ」で宮崎駿の描いたサツキとメイの家のような暮らしか。それとも、もう少し昔の宮沢賢治が理想郷とした里山の「イーハトーブ」だろうか。もっと昔に戻り、武士も町民も風流を愛でた江戸時代の心の豊かさの中なのだろうか。何れにしても、凄まじい速さで大量のエネルギーを消費することは、エントロピー増大を加速するだけである。地球温暖化はその一つの現れである。皆で幸せとは何かを考えよう。

 
おわりに) 生き甲斐とは、幸せとは

成長戦略を基本に置くことはナンセンスであることは既に述べた。地域も、企業も、国家も、人類社会も。過疎化・少子化・高齢化社会に対して、少子化時代の若者・子供達を元気に。情報化時代を皆が楽しめる仕組みに。ふれ合う機会の創出。好奇心を失わず、感性を豊かにする教育に。人の、地域の、人類の、地球の役に立つ工夫と努力が稔る社会に。このようなことを皆で考えよう。専門家に任せるのは止めよう。
日本近海に高い可能性を持つメタンハイドレートは次の登山を計画するためのものではない。含み資産の地熱エネルギーの使い道も同じである。有用な海底資源も同じである。儲けたと思い込んで一気に使うべきものではない。軟着陸のために与えられた資源として感謝しながら、ゆっくりと使うべきである。切り札は無闇に使うものではない。
       計測展2012 OSAKA、計測と制御で創る未来の地球、2012,10,31、於;グランキューブ大阪


「計測と制御で創る未来の地球」計測展2012 OSAKA 
           日時:10月31日(水)~11月2日(金)
           場所:グランキューブ大阪(大阪国際会議場)10階
主催:((社)日本電気計測器工業会
〒530-005大阪市北区中之5-3-51、電話06-4803-5555

特別講演 (鈴木朝夫氏)
日時:10月31日(水)、13:30~15:00
場所:グランキューブ大阪(大阪国際会議場)10階、1009会議室
演題:
新エネルギー資源の使い方~メタンハイドレート、地熱発電、そしてストレージ
The best use of Japanese new energy resources
講演要旨:
 日本は今、海底資源・地下資源によりエネルギー・資源大国になろうとしている。それらは、慎重に、ゆっくりと、賢く使うべきものである。経済成長のためではない。右肩下がりの時代を生きる減速に必要なエネルギー源と考えるべきである。心豊かな生活のために。
 Thanks to submarine and underground resources, Japan is becoming rich in energy and natural resources. Those resources should be used cautiously, slowly and wisely; not for another growth but for realizing economic maturity.

講師 鈴木朝夫(すずき ともお)
高知県メタンハイドレート開発研究会、理事長
Promotion of Methanhydrate Utility & Synergy in Kochi、Chief Director
     (略称:PROMETHEUS in KOCHI---
 Pro(motion)of Met(han)H(ydrat)E U(tility)& S(ynergy)in KOCHI )
-----------
講師略歴:
氏名:     鈴木 朝夫(すずき ともお)
所属、役職: 東京工業大学名誉教授・高知工科大学名誉教授、
     高知県メタンハイドレート開発研究会理事長 
略歴: 1932/10/10生まれ(千葉県)
       1955  東京工業大学 金属工学科卒業
東京工業大学 精密工学研究所 助手、助教授、教授、(工学部評議員)
1993 北海道大学工学部 材料工学科 教授(学科長)
1996  (社)日本金属学会 会長 
1997  高知工科大学 物質環境システム工学科 教授、(副学長・工学研究科長)       2001  高知県産業振興センター 理事(プロジェクト・マネージャー)
        高知県公安委員会 委員、委員長
2006~   高知県宇宙利用推進研究会(てんくろうの会)会長
              NPO牧野の森(くるくる五台山)代表
              高知ファンクラブ代表
高知県メタンハイドレート開発研究会理事長 等
2011   瑞宝中綬章(教育研究功労)の叙勲

 

1) メタンハイドレートとは  2) メタンハイドレートの掘削は  3) 国家プロジェクトと高知の動き

4) エネルギー資源の分類  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング)  6) ビッグデータとスマート・グリッド

7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)  8) 右肩下がりの下山の先は  

 

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鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その7 高知に宇宙を近づけるには

2011-02-05 | 鈴木朝夫の講演・出版の記録

(高知県高坂学園生涯老人大学講義、H21,2,12(J 組)、H21,7,1( I 組)、
H22,4,16(GH組)、於;高知市東部健康福祉センター)

(高知県高坂学園生涯老人大学講義、H21,9,24(AB組)、H21,11,4(CD組)、於;高知
人権開発センター)


高知に宇宙を近づけるには

~土佐宇宙酒と宇宙桜、そして次々と~  
                                        鈴木 朝夫

1)「役に立つこと」と考えない--科学技術の発展のためは×、直接的費用対効果は×
無重力の世界のミケランジェロ

2)「楽しいこと」「面白いこと」を思い付く--夢を膨らますには○
土佐宇宙酒}、{}、{トンデモ科学の大冒険

3)「子供達との遊びを楽しむ」--好奇心・探求心は○、豊かな感性○、もの作り○
国際宇宙ステーションを肉眼で見よう}、{星の降る夜}、{花伝説・宙へ!

4)「森羅万象、日頃の関心」--理系・文系の区別はしないは○、答えはない○
杉の大杉}、{皆で、朝はシャキーンと

付録){無重力下で脳ミソは何を考えるだろうか}--新々古今和歌集、打ち下
ろし花火

 

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鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その6 高知のお宝は山ほど

2011-01-29 | 鈴木朝夫の講演・出版の記録

平成22年度田中石灰グループ安全大会(第26回)、H22年6月30日、於:サンピア高知


高知のお宝は山ほど

~四万十川や龍馬だけではない~  

           
                                                                   鈴木 朝夫 (高知工科大学名誉教授)

 

はじめに)


 高知の人は高知の豊かさに気づいていない。県外から赴任して来て、住んで始めて気付いたこと、県外に旅行して、振り返って発見した高知のことな どを話ししたい。


1)高知にゆかりの大企業(グンゼ、ヤンマー、コマツ)


  {お蚕さん}、 国内最大の生産量そして廃業(藤村製糸)、日本の製糸業の終末、
 {ステークホルダー} 郡是の社名の由来は、高知を撤退、跡地を県に寄付、何処?
 {ヤン坊マー坊の天気予報} 農村家庭工場、都会の子どもにディーゼルを刷り込み
 {屋上の巨大ブルドーザー} 竹内明太郎創業、廃坑の後の雇用、工科系大学を高知に

2)企業倫理と廃棄物処理(既得権・権力構造・強面)


 {豊島を視察して}  見逃し・エスカレート、今は直島等と組んだアートの島へ、
 {ラスト・サムライ} 南北戦争の後、「ダンス・ウイズ・ウルブス」、西郷隆盛
  {キューバを見たい} モノカルチャー農業から有機農法へ、清廉潔白、エコの見本

3)高知と愛知(愛知万博,2005とトヨタ自動車見学,2006)


 {サツキとメイの家} 昭和30年代の暮らし、懐かしさ、エコの生活
 {安全・安心・清潔な万博会場} 莫大な投資、膨大な人件費、研修と訓練
 {セイタカアワダチソウ、花見の旅} 高知から愛知まで連続花盛り、鑑賞用・蜜源
 {トヨタが北米を席捲する時} トヨタがGMを越える日、販売台数(2006年)、

4)高知の(お宝)財産(森林、猪と鹿、箱物設備)


  {杉の大杉}  サンライズ特急のびのび座席、大杉翔くんと大杉翼くん、須崎多ノ郷
 {森林県高知からのメッセージ}  森林率84%で全国一、フィンランドは森林王国
 {牡丹、紅葉、桜、柏}  森林に暮らす鹿と猪、猟師・解体者・保管・流通・シェフ
 {高知のお宝、手結の跳ね橋} 日本唯一かも知れない可動橋、広域連携科学館として

5)水の役割(太陽エネルギーの変換)


 {背は四国三郎の水の流れ} 水道橋と逆サイフォン、甫喜が峰の風車と平山水力発電
 {古新聞紙の中の早明浦ダム} 大川村の旧役場、ダムの役割、四国のいのち(高知新聞、2003年11月14日(金曜日)

 
おわりに)


 価値観が異なっている場合が多い。憧れの基準が異なっている。発想の転換が必要である。高知が都会に倣っても得るところはない。便利さに憧れて も無意味である。大杉翔くんの意見が大切である。大杉翼くんが見せたくないと思ったものが素晴らしいのである。

 

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鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その5 来て、見て、住んで ~ 土佐の高知に

2011-01-22 | 鈴木朝夫の講演・出版の記録

高知県技能士会連合会創立30周年記念事業特別講演(平成22年1月29日,於:ドリーマーベイシャトー)

来て、見て、住んで ~ 土佐の高知に
                                                                   

                                                                         鈴木 朝夫(高知工科大学名誉教授、東京工業大学名誉教授)


はじめに)  


 平成5年に高知県工科系大学策定委員会委員に委嘱されたとき、室戸岬と足摺岬を区別できなかった.。子供時代には九州から北海道まで、日本各地 に住んだが、四国だけは足を踏み入れていなかった。


1)来て

モーニングって何です} No.258、3(2009) 喫茶店、美容院、パチンコ
出会うチャンスの多い造りほど良い}No.236、5(2007)高知工科大学のキャンパス
高知県の学力、体力は低く、少年の非行率は高い。

2)聞いて

お蚕さん} No.212、5(2005) 奈半利町の藤村製糸の廃業
ステークホルダー} No.244、1(2008) 郡是製糸の高知からの撤退
稲作、養蚕、炭、織物、紙、漆は日本中何処でも特産品。

3)見て

古新聞紙の中の早明浦ダム} No.268、1(2010) 四国四県の利水率、旧大川村役場
久しぶり、仏像との出会い} No.255、12(2008) 須崎市上分大日堂の大日如来座像
過疎化の現実。伝統・文化の継承。


4)住んで(土佐山田町に)

背は四国三郎の水の流れ} No.259、4(2009)  甫喜が峰疎水、平山発電所
歴史民俗博物館のような我が家} No.262、7(2007)   庭の唐箕、土管、シンガーミシン
高知の人情を満喫。地域に暮らす。


5)暮らして(庭の手入れ)

色とりどりの春の庭} No.250、7(2008)  様々な花形、多様な変わり葉の模様
庭、夏から秋へ}、 No.256、1(2009)  「杏色そのまま居てよ 秋の薔薇」
高知の自然を堪能。笠地蔵さんの恩恵。


6)教えられて(樹(たつき)くんに)

杉の大杉} No.213、6(2005)  「四国へGO!サンライズエキスプレス」
あこがれの公団住宅の昔と今}No.261、6(2009) 住宅難の時代、高齢化、ベーゴマ大会
今の地方と昔の日本全体。懐かしい思い出。 7)遊んで(暖(ひなた)くんと)

 


続々 シベリアンハスキー} No.243、12(2007)  「動物のお医者さん」、「はな」は犬?
高知のお宝、手結の跳ね橋} No.267、12(2009) 広域連携科学館としての活用
高齢化とペットロス。箱物ではなく本物。


8)創って(高知に宇宙を近づける)

} No.232、1(2007)   土佐宇宙酒、第21回龍馬賞受賞
花伝説・宙へ!} No.265、10(2009)  宇宙桜(ひょうたん桜と稚木の桜)
宇宙酒と宇宙種。

おわりに)


  あれから16年、今では高知県人の誰よりも,土佐の高知のことを知っているの
かもしれない。今日の話の中で、貴方が知らなかったものは幾つ?
  参考) 「高知ファンクラブ、朝夫」で検索すれば、鈴木のブログが出てくる。

 

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鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その4 樹木~切り詰めて活きる~

2011-01-15 | 鈴木朝夫の講演・出版の記録

(平成22年度、樹木医セミナー、平成22年 7月25日、於:県立ふくし交流プラザ)

  

出典:木の話いろいろ         

 

 樹木~切り詰めて活きる~

                                                                                    鈴木 朝夫
 

1)生きるための植物の智恵 

年輪を刻む}              ----2
「この木なんの木、気になる木」。アメリカネムノ木。独立樹の年輪はどのよう
になっ ているのだろうか。バウムクーヘンの年輪。

台場クヌギ}           
 兵庫県川西市。背丈で伐採、萌芽枝の生長、伐採、池田炭の生産。里山。街路樹の姿。
切り詰めて生きる} ----
3
植物の寿命は最長5000年、動物は最長200年。

参考:「植物はなぜ5000年も生きるのか」、鈴木英治著、講談社
BLUE BACKS(2002)
ミーム

R.ドーキンスによれば「生物の個体はDNAの乗り物」。 獲得形質は遺伝しないと云わ れてきた。ジーンとミーム。伝統・文化・宗教は、自己保存欲の塊で、排他的である。  

 

2)人間の都合や趣味で変えさせられる植物、保護される植物(生き物)


八重咲き}  
  植物の基本は葉、茎、根。栄養繁殖。          ----4
枝垂れ桜、枝垂れ桃、枝垂れ柳

 八重咲きも、枝垂れも、そして変わり葉も、突然変異体。
 収量の良い作物、味の良い作物などと同じ。サラブレット。脆弱と引き替え。
    
巨樹・古木と古仏・名刹}             ----
5
巨木は都会に多い。神体として保護されての巨木。将来も生き延びるとは限らない。

秋の水田
連作障害を防ぐ知恵。寒冷地に進出できた稲作。

 

3)三つの島の物語、四つ目の島の日本は? 6
 イースター島(モアイ像の島) 。未来の地球の姿。

自然遺産、マデイラ島の照葉樹林
マデイラは樹木ではなく木材。木材の島(ポルトガル語)。大航海時代を演出する材料 提供の基地。
{キューバを見たい}            ----
7
突然の経済破壊、食料危機。有機農法の農業。独裁者の素顔は。

参考:「200万都市が有機野菜で自給できるわけ」吉田太郎著、築地書館、
(2002)
森林県高知からのメッセージ

高知・四国・日本、そしてフィンランド。木質バイオマス。

 

 

4)我が家の庭の四季

色とりどりの春の庭}             ----8
庭、夏から秋へ

 

 



 

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人口密度、50人/km2}    ----


鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その3 土佐への応援歌

2011-01-08 | 鈴木朝夫の講演・出版の記録

(馬路村生涯学習活動活性化事業、相名会館落成記念文化講演会、平成22年9月18日)


土佐への応援歌 

                          
はじめに) 
 東京一辺倒だった私が高知に馴染んでいる様子をお伝えして、土佐へのエール
としたい。生物多様性を保つ豊かな自然、そして暖かい人情が息づいて いる土
佐が大好きである。

1)「魚梁瀬杉バウムクーヘン」の提案


夢に消えた高知活性化策}-----高知駅・はりまや町・中央公園を活性化
する妙案だったのだが。
今夜の催し物を知りたい}-----何時までも「龍馬伝」には頼れない。大
きなイベントではなく、日常的な小さな親切が、小さな心配りが必要で ある。
高知のお宝、手結の跳ね橋}----箱物を作る必要はない。既にあるものを
有効に活用しなければ。20億円を活かそう。
古新聞紙の中の早明浦ダム}----旧大川村役場の建物。
お蚕さん}-------藤村製糸の廃業は残念。
年輪を刻む}------「会津桐ばうむくーへん」があるのだから、「魚梁
瀬杉バウムクーヘン」も必要である。
{
牡丹・紅葉・桜・柏}----ポークの英語訳は豚肉、ビーフの英語訳は牛肉
か? もみじ肉料理、ぼたん肉料理は? 鹿骨ラーメンは?
久しぶり、仏像との出会い}--地方仏研究会の発足。香美市美術館で見た須
崎市上分の大日如来座像。鎌倉時代の仏師の作。

 

2)私の履歴書


偏見} ----------息子の大学院修了と娘の大学卒業の記念旅行。
初めてのアメリカ南部への旅行。
杉の大杉}----------孫の樹(たつき)君のこと。「四国へGO!サ
ンライズエックスプレス」とは。樹くんは今、中学2年生。
続々シベリアンハスキー}---再婚。孫の暖(ひなた)くんのこと。犬の名
前は「はな」、3年前に16才で大往生。暖くんは今、満4才、弟の柊 (しゅう)
んが6ヶ月。
背は四国三郎の水の流れ}---土佐山田の住環境。新改・平山発電所からの
甫喜が峰疎水の水道橋と逆サイフォン、そして甫喜が峰の風車。 

 

3){「ユズぽん酢"ゆずの村」との出会い}--馬路村、高知との関わりの原点。おわりに)


先日、久しぶりに東京に出張した。東京駅の変わりように吃驚し、人の往来の激
しさに二度吃驚した。手軽なコーヒー店の多さ、歩く人の慌ただしさ、格好良い
と思っている若者のファッション。東京を真似したいと都会に憧れる必要はな
い。ゆっくりとした生活リズムを堪能できる高知に住む幸せを感じた。

 

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にほんの里100選 馬路村の相名(あいな)地区 に関する記事