「高知ファンクラブ」 の連載記事集1

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鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 ・・・土佐の宇宙酒

2010-11-24 | 鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」

「ぷらっとウオーク」                   情報プラットフォーム、No.218、11(2005)
{土佐の宇宙酒}

                     画像出典:土佐の宇宙酒


 「きのこの菌糸」や「ヨーグルト菌」やその他の微生物を、日本酒の「酵母菌」と一緒に宇宙に持って行く計画だった。それぞれの菌類を小指の先ほどのカプセル容器に入れる。約40個程のカプセルを箱に並べ、これを宇宙に運ぶ予定だった。

この箱には勝手に「ノアの方舟」と名付けていた。いずれも土佐にゆかりのある微生物たちを選んだつもりである。楽しい夢を運んでくれる生き物たちを、高知の企業をさらに元気にする生き物たちを選んだつもりである。


 もう25年も前のことになる。「宇宙空間で、無重力下で、役に立つ材料を作れ」と言われると、アイデアがまったく出てこないを知った。「役に立たないこと、楽しいことを探そう」と視点を変えれば、つぎつぎに出てくるものである。

当時、思い付くままに書きためておいたが、その後これが、ここ高知で役に立つとは思っても見なかった。「ノアの方舟」の構想もその一つである。


 1992年9月に毛利衛さんの搭乗するエンデバー号で、日本初のスペースシャトルによる微少重力実験「ふわっと'92」が行われた。無理に智恵を絞って提案した「高剛性超低密度・炭素繊維強化アルミニウム複合材料の製造研究」もこの時に行われた無重力実験の一つであった。

この経験は貴重である。NASA側が提示した条件で、研究の達成目標を設定して、地上実験などで準備を進めるに従って、条件が次第に厳しい方へ動いていくのである。安全基準を満たしていない、安全確認がとれていないなどがその主たる理由である。それならば「最初から言ってくれれば良かったのに」と言った感覚である。

国際的な、大きなプロジェクトでは普通のことである。最初に想定したサンプル容量は単2乾電池のサイズであったが、実際には単5乾電池の半分のサイズにまで小さくなってしまった。安全のために、三重構造のカプセルに入れる必要があったからである。


 今回も「やはり」と思うような良く似た状況になった。6種類の高知の酵母菌と数十粒の高知産の酒米だけに限定し、それ以外は割愛せざるを得なかった。安全が確認された容器を使うことが早道であることが分かり、箱の容量が小さくなったのである。

次回に期待しよう。その時は、さらに範囲を花の種などにも拡げてはと思っている。第2次の「ノアの方舟」に相応しい乗組員たちを紹介して欲しい。


 国際宇宙ステーションに10日間滞在していた酵母菌は、ロシアの宇宙船ソユーズで2005年10月11日に地球に帰ってきた。この「宇宙を見てきた酵母菌」での新酒は、来年の大河ドラマ「功名が辻」の放映に合わせて、高知の各酒造会社から「土佐宇宙酒 ○
○○」のラベルで発売される予定である。

日本酒の需要が低迷している時、県内の酒造会社が一丸となって、この宇宙酒を切掛けにして、淡麗・辛口の土佐の日本酒の良さを日本中、世界中に伝えたいと考えたのである。


  このプロジェクトの発端となった「高知県宇宙利用推進研究会(てんくろうの会)は、まだまだ沢山の夢を持ち合わせている。そして、さらに楽しい夢を募集中である。

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鈴木朝夫  s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

 高知県香美郡土佐山田町植718   Tel 0887-52-5154

 

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