「高知ファンクラブ」 の連載記事集1

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鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 ・・・モーニングって何です

2010-11-25 | 鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」

「ぷらっとウオーク」             情報プラットフォーム、No.258,  3(2009)掲載予定
{モーニングって何です}

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  10数年前に初めて高知に来たとき、不思議に思ったことがある。あちこちの喫茶店やレストランの入り口に掲げてある『モーニング、○○○円』の表示である。高知の方に「あれは何ですか」と尋ねると「モーニング・セットのことです。高知では朝食を喫茶店で摂る人が多いのです。喫茶店の数は人口1000人あたり2店舗弱で全国一です」との答だった。共働きが多く、勤務先の近くでの朝食が多いとも聞いた。「余談になりますが、美容院も、パチンコ屋も高知は多いんですよ」と付け加えてくれた。


  高知の喫茶店はこの10年間で激減していることは間違いない。そして皆無に近かったコンビニはその数を補うように増え続けている。外食から中食へと移っていることになる。


 最近、高知県の小学生・中学生の学力・体力とも47都道府県の中で最下位レベルにあると報道された。また、「少年非行は極めて憂慮すべき状況にある」と県公安委員会の議事録は記している。非行率(1000人に占める刑法犯少年の割合)が他県に較べて高いのである。少年非行問題に関する幾つかの報告書には「朝食を食べない子に非行が多い」、「米飯給食で非行がゼロになり、学力も向上した」、「コンビニの増加率と少年非行の増加率は連動している」の様な一見尤もらしい統計調査報告の記述が見られる。そして、「だから、学校で朝の給食を出すべきである」、「だから、パンと牛乳・卵の洋食より、ご飯と味噌汁の和食の方が健全なのだ」、「だから、コンビニやスーパーの中食を食べさせてはいけない」と見当違いな方向に結論を持って行くケースが多い。


  極めて簡単なことは「朝飯前」でも出来る。しかし、「腹が減っては戦はできない」のである。筋力や頭脳を使うには腹ごしらえが必要となる。ブトウ糖が不足する低血糖値では、無気力になり、不安感がつのり、集中力が欠如するのは当然である。だからと言って、本県の低学力・体力、そして非行までも、朝食を食べないことが原因であるとの結論にはならない。これらは全て因果関係ではなく、単に相関関係が認められるに過ぎないのである。直接の原因、唯一の原因ではないのである。ことはそれほど単純ではない。なお、お昼の米飯給食は地産地消としての食育に位置づけるならば、大きな意味がある。その土地の特産物を子供達が育み、食材とするのであれば、それは望ましい姿である。


 今の効率・利潤至上主義の社会で歪みが生まれ、それらの悪循環の中で「朝食を摂らない」が象徴的になっているに過ぎない。高知県だけではなく、日本全体の問題である。規則正しい生活習慣、家族の団らん、地域の見守りが子供達を健全に育てていくのである。


 「頂きます」「ご馳走さま」、そして「おはよう」「おやすみなさい」の挨拶、「有り難う」の感謝の言葉が聞こえなくなっている。また、言葉だけではなく、アイコンタクト、身振りや手振り、スキンシップなどで培われる共感の記憶は社会性の形成に大切なのだが。ドラえもんの主題歌、夏川りみの「ハグしちゃお」の歌をもっと広めようではないか。


  大都会と異なり、高知市内では古き良き時代の地域社会がまだ崩壊せずに温存されているように思える。これを大切にしよう。昔を思いだそう。今すぐに始めることは、行政頼みや学校任せではなく、隣近所の方々とのお付き合いの復活である。「こんにちわ」「お元気ですか」「さようなら」の挨拶である。「モーニング・セットをグッド・モーニングに」をモットーにしよう。

 

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鈴木朝夫  s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

 高知県香美郡土佐山田町植718   Tel 0887-52-5154 

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