極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

鮟鱇と統合失調症時代

2010年03月30日 | 時事書評

 

春風が 歓声に沸く 浪速を 駈け抜け伝う 虎の雄叫び   


 


【統合失調症の時代とは】

 Aldus Pius Manutius, Romanus

時代は大きく動いている。その根幹にあるのは、
焼き畑と羊の去勢の農業、石器→銅器→鉄器の
鉱業工業、ユハネス・グーテンベルグとアルド
ゥス・マヌティウスの印刷製本の情報、蒸気機
関の動力、或いはアナログからデジタルの量子
化さらには、最新の生理機能の人工化などと続
く産業進歩と心的領域の変化とは不可分である。
そして、日本をはじめとする先進諸国は「統合
失調症」の、「心の危機」の社会にあるという。




ところで、その統合失調症de:Schizophrenie、en-
:schizophrenia
)だが、「妄想や幻覚などの多様な
症状を示す症候群で精神疾患の一つ。幻覚や妄
想などの症状を呈し生活能力が失われる病であ
る。双極性障害、つまり躁鬱病とならび、二大
精神疾患とされている。1950年代にフランスで
クロルプロマジンという薬物が一部の患者に効
果があることが発見され、これを契機に抗精神
病薬による薬物治療が広く行われるようになっ
た。現在は、高血圧などと同様に薬物で症状を
抑えるのが治療の主流である。

ファイル:Chlorpromazine-3D-balls.pngChlorpromazine

1990年代後半からの非定型抗精神病薬の使用や、
効果的な急性期治療、社会復帰のため福祉施設
や法制度の整備などの成果により、患者の入院
期間は短縮されている。その一方で、薬物療法
が部分的にしか効果を示さずに、病棟内で長期
に生活を継続している患者も少数であるが存在
することも事実である」(フリー百科事典『ウィキ
ペディア(Wikipedia)』
)とされる。




そこで、文藝評論家の吉本隆明と陽和病院々院
長の森山公夫との対談集『異形の心的現象』を
通してどの様に把握すれば良いのか、そして問
題があるとすればその解決方法などを手探りに
考えて見たいと思い大阪に行ったついでに、旭
屋梅田書店で購読することに。





まず、補章1の「僕のメンタルヘルス」で森本
はこのように問いかける。

 ところで、現代は「心の危機」というふう
 に言われており、私説に言いますと、乱暴
 な言い方ですが、1995年からその「心の危
 機」が顕在化したということになります。
 95年というのはご存じのように1月に阪神・
 淡路大震災があって、その後、PTSDという
 今まで日本では使われなかった言葉が使わ
 れはじめました(中略)吉本さんの言われ
 る高度消費社会のはじまりとも関係してく
 るかと思います。いずれにしても青少年を
 はじめ、中高年、老人にいたるまで、「心
 の危機」というのが今、顕在化しているわ
 けですが、吉本さんに現代の「心の危機」
 の特徴について、なぜそうなのかを語って
 いただければと思うのですが。

これに対し吉本は、次のように持論を展開する。

 時代の社会構造、もっと限定して産業構造
 でもよろしいかと思いますけれど、その変
 化とそれが人間の精神構造にどう影響する
 かという問題、次に家族の在り方が人間の
 心とか精神全体の問題とどう関係するのか
 という問題、そしてもう一つ、森山さんが
 臨床的にやられているように、一人一人の
 人間に対応している問題で、「ちょっとこ
 の人はおかしいのではないか」とか「この
 人のこういう振る舞いは異常ではないか」
 ということと、三つに分けて考える…
     
       「心の危機」と労働の変質

それが一番考え易いと述べ、社会或いは共同幻
想、家族或いは対幻想、個人或いは個人幻想の
三元領域から分析をしたという。社会領域から
は産業の高次化が、単純な了解が得にくい社会
に変貌したと述べ、精神の病いが現在の公害病
になっている、
第三次産業で働く人が働く人の
60~70%を占めているということは、
精神の病
いや異常が病気全体のうち、60~70%を占めて
いるだろうと、大雑把に理解できる
という。

そして、2002年「辻元清美ら社民党の秘書給与
流用疑惑」を例に挙げ、政治の問題ではなく、
当事者が納得すればいい問題だ、テレビ、新聞
のジャーナリズムが問題にして、そこに登場す
るキャスターとか専門家や弁護士さん達が「け
しからんのだ」と文句を言い始めたりするのは
「それは病気だよ」と言い、第三次産業で働く
人たちが「精神の病いや異常」が世論が登場し
てし、多くの人の判断が病気になり、感染して
しまうと分析する(※今回の鳩山由起夫、小沢
一郎の政治献金問題のマスコミなどの取り扱い
とも類似している→大人症とういうよ
うな現象)。だがこういった病理には解決に道
筋が見つからないと語る。


■ 不健康の社会的典

森本は「例えばバブルの時代に、多くの人たち
が銀行からお金をどんどん借りて株を買ったり、
不動産投機に走ったりしたのですね。そのとき
もまた、みんな病気だったということになりま
すね」との問いかけに吉本は次のように語る。

 そうなんです。病気の定義ですけれど、多
 勢の人がある範疇にいれば正常で、少なけ
 れば病気だというのでしたら簡単ですけれ
 ど、そうではなくて病気の本質はどうなの
 だと言い出すと難しいのです(中略)今は
 逆になっていて、むしろ追及する人の方が
 病気だと僕には思えるので、僕はいつでも
 少数派ですけれども、僕にはどうしてもそ
 のように思えて仕方がないのです。

これに対し、森本は「僕はそういう意味では、
吉本さんもおっしゃったように、人類というの
はずっと病気 で動いてきたように思うのです。
例えば経済も一種の病気で動いてきていて、好
況に なると必ず過熱して、不況になると今度
は 縮こまりすぎてしまう。それを批判する側
も、大多数は病気から免れていなかった」と反
応し、吉本も「社会的、精神的な健康というこ
とから不健康の社会的典型」と述べる。

■ 家族の不健康とは

次に、家族或いは対幻想領域についての病理を
吉本は、親と子の感覚からいうと、精神内容が
正常より懸け離れているのが、家族的な意昧で
の病気の原因で、これは背景として急速な社会
構造転換による親子のギャップを挙げ、「我が
子を殺したり、子が親を殺したりということが
起こる原因は、母親と子どもの関係が一歳未満
で、相当大きな違和感とか潜在的な対立感、恐
怖感に浸蝕されことによるとし、どこにも歪み
のない家族なんてない」と指摘し次のように結
ぶ。

  家族関係の問題というのは、社会関係の問
 題よりも健康なのか、不健康なのかという
 ことを考えると、僕は、社会が不健康なら
 家族関係も不健康にしておけば、平穏無事
 だと考えるのですが、そういう理屈になり
 ますね(笑)。家族関係を無理に健康にし
 ようと思っても、これはいけませんね。社
 会が不健康なのに家族関係を健康にしよう
 としても駄目だと思った方がいいですね

■ 社会関係の不健康-市民病という名の病気

森山は「人類はある意味では病気で動いてきた」
といい、それに対し、吉本は「精神的な病気と
いうのは段々、重くなりつつあるか? 文明の
発達というのは、精神的な病気を大きくするの
のか?」との切り返しに対して次のように答え
ている。

 どうでしょうか。僕は個人の病気とか精神
 的危機を「自明性のゆらぎ・喪失」という
 視点からとらえようという考えなのです。
 僕の理解ですと
病気自体は軽くなってきて
 いるけれど、拡がっているという感じです
 ね。それこそ浮遊する病気というか、病気
 も浮遊しているという感じで、しっかり治
 りきるというのはなかなか難しい
なと思い
 ますね。

容貌が政治家の資質を決定する?そんなことは
実際に見てきたことだし流行病にすべてが還元
されるわけでもないが、時代の大転換期にある
のだからを最小限にするのが知識人、見識者の
仕事だと腑に落としたとこれで本を閉じること
に。




【見た目より実力の鮟鱇】


 
アンコウ(英名 Monkfish, Goosefish、Anglerfish
は、アンコウ目 アンコウ科に属する魚の総称。
また、そのうち、主に食用にするアンコウ類の
ことを指す。アンコウ科には 25 種ほどが含ま
れ、すべてが海水魚で、主に深海魚である。北
極海、太平洋、インド洋、大西洋、地中海に生
息する。頭部が著しく大きく、幅が広い。肉食
性で、口が大きく、歯が発達している。海底に
潜んで他の魚を襲うのに適するため、口はやや
上を向いている。口の上には棒状の突起がつい
ており、これを動かして獲物をおびき寄せる。



茨城県内各地の底曳網漁船によって漁獲されて
いる。特に北茨城市の平潟、日立市の久慈浜漁
港は底曳網漁業が盛んなため、水揚げが多い。
底曳網は、多種の魚が混在して捕獲され、ア
ンコウはその中の一種類に過ぎない。アンコウ
の漁獲量は、昭和30年代には749トンという記
録が残っているが、2000年代の水揚げは数十ト
ン程度である。実際は下関での捕獲量が日本一
とされる。



アンコウ漁は産卵を終えた7月から8月が禁漁と
なり、肝が肥大化する11月から2月が一番美味
しい時期とされる体全体が柔軟性に富み、粘り
があるため、普通の魚と異なり「吊るし切り」
という独特の方法で捌かれる。吊るし切りは、
下あごにフック(鉤)をかけて体をつるし、ア
ンコウの口から水を流し込んで胃を膨らませ、
柔らかい胴体に張りがでたところを解体する方
法である(但しそうしないと捌けないというこ
とはない)。

2006年4月27日 (木) 03:39時点における版のサムネイル 日本の珍味

柳肉(身肉、頬肉)の他に、皮、水袋(胃)、
キモ(肝臓)、ヌノ(卵巣)、えら、トモ(ヒ
レ)が食用にされ、一般に「七つ道具」と呼ば
れ、鍋の中に入っている。一般には七つ道具と
野菜を味噌または醤油味で調味しあんこう鍋と
して供される。特に肝臓はアンキモと呼ばれ、
ポン酢にもみじおろしで食べるが、美味として
珍重され、見た目と食感から「海のフォアグラ」
とも云われている。肉よりもその他の部位(七
つ道具)の方が旨いとされる変わった魚でもあ
る。またオスは食用になるほど大きく成長しな
いため、食用になるのはメスである。食材とし
ての鮟鱇は、江戸時代の頃の「三鳥二魚」と呼
ばれる五大珍味の1つであり、歴史的にも名高
い高級食材。

二百㍍程度の深海に生息するため養殖に向かな
く、畜養で考えるのが良いだろ。また、寿司ネ
タには向かなく、捕獲量が少ないため熟鮓も見
あたらない。深海魚は基本的に栄養価が高く美
味い。鮟肝は珍味だが漬け込んで唐墨にできれ
ば世界珍味として商品化できそうだ。

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디비 (디비)
2021-05-02 21:47:01
디비
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