極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

僕ならこうするぞ!

2014年02月27日 | 政策論

 

 

 1999.09

【アベノミクス第三の矢 成長戦略論】


今夜は、吉本隆明著 『僕なら言うぞ!』の「第3章『不況』をさらに深刻にする奴ら」の状況
背景を補強することでさらに、現政権の"成長戦略"をについて考察していく



 ●古い資本主義をいまだ引きずる人々

  先ごろブリヂストソ・スポーツで「リストラ」された六十歳近い主査の人が、社長室で
 割腹自殺を遂げました。新聞報道では、抗議の声明文と労組宛の奮起を促す文書を配って
 いたといいます。この人の自殺と抗議を現在の「リストラ」された高齢者の今の社会への
 いちばん鋭い自己認識だと考えると、事態は賠く急迫感を帯びて見えます。
  政府の無能さと「不況」対策の誤りについては、一介の在野の物書きが何を言っても致
 し方がないことで、ただ罵倒し、捨てゼリフを浴びせるよりほかないでしょう。
  ただ何が間違いかは指摘しておいた方がいいと思います。
  第一は「不況」対策は一般の国民の個人消費の増加を第一義に考えること。
  第二に金融機関、企業体の改廃と整理はサラリーマン、労働者、国民一般の生活防衛を
 第一義として考え、首脳、幹部、役員の「リストラ」を主要な目標とすること。
  第三に「不況」対策は第三次産業(消費産業)の救済を第一義とすること。
  ちなみにこれは、先にも少し触れておいた自明の対策ですが、念のために改めて理由を
 述べておきます。
  まず金融機関や企業体を健全に整えて、それによってはじめて勤めている人、勤めたい
 人に職を安定供給できるという考え方は、古い資本主義での常識で。超(消費)資本主
 義に移りつつある先進国では、国民総生産のうちいちばん大きな割合を占めているのは個
 人消費だということは、データを見れば明らかです。
  また同じく、第三次の消費産業に60%から70%の人が勤めていることも、データ上
 はっきりしています。だから超(消費)資本主義に対応するためには、国民一般の個人消
 費の増大と、第三次産業の活性化を第一義にしなくてはならないのです。それなのに政府
 は今なお古い資本主義の時代のやり方を続けています。
  これでは無能だと言うほかありません。もちろん、それに対して何も言えない社民党や
 共産党も同類です。
  僕は、この自明のことを、ひとつやってみせてくれと言うだけです。そういうことを政
 府政党が実行できたら、本格的に個々の「リストラ」高齢者にも、少し余裕をもって対策
 が考えられそうです。僕は実感から友だちにすすめてみるんですが、熟年の人とか、定年
 退職した人じゃなきゃ雇わない、という会社をつくらないかということです。会社とまで
 いかなくても、共同出資でそういうのがやれないかなと思います。それは、条件として熟
 年の人とか、定年退職した人しか雇わない。また、そういう人だけが働ける会社を共同出
 資でつくっちゃうということなんです。
  それでもって、体は若いときほど使わなくてもいい。自分が長年やってきたこと、事務
 なら事務でもいいし、それこそ技術関係なら技術関係でもいいし、外交関係なら外交関係
 でもいいし、というふうにして、そういうことで、アイデアのきっかけみたいものを、例
 えば月に.在つぐらい考えた、ということだけで、給料は払う。それで、体はあまり動か
 さなくていい。そういう会社をつくったらどうだということです。
  2010年には四人に一人は扶養の必要な高齢者だ、と言ってるでしょう。そのときに
 は、その手の会社というのは、今も少しありますけど、今よりもっと意識的に、意図的に
 増えていくし、つくらなきゃしょうがないと思います。必ずできると思いますね。
  僕は、社長や重役で辞めた友だちにそういうことには慣れてるだろうから、やれと言っ
 てるんです。すると、故郷に帰れば金づるをつくれるからやれるけど、東京ではどうかな、
 なんてことを言って首をかしげてました。でも、そういうのをやるべきだと思います。
  そうすると、他のことは他のことで専門がいるでしょうけど、例えば、理工系のことを
 長年やってた人が、「リストラ」だとか老齢だというんで定年退職になっても、月に5つ
 ぐらいアイデアを考えることというのは、そんなに難しくはないでしょう。
  アイデアを考えたとして、じゃあそれをどうするのか。もし売りさばくというなら、僕
 は特許事務所で4、5年働いたことがありますから、実感として思うのですが、できそう
 ですね。
  つまり、アイデアを持って大会社の特許部に行って「このアイデアを買わないか」と言
 えば、買い叩きはするでしょうけど、いいと思うものは買おうということに交渉で行き着
 くことがでぎます。
  その手のことは、それぞれの専門で、自分が長年やってきたことの系統だったら、必ず
 できるし、役割分担でできるはずです。だから、退職した人だけの会社というのは、成立 
 しうると僕は思うわけです。そういう会社がこれからたくさんできると思いますね。だか
 ら本当に今、積極的につくっちゃったほうがいいんですよ。

                                                   吉本隆明著 『僕なら言うぞ!』


ここでは、産業構造の特徴を分析し、消費場面での景気刺激策の優先意義を説き、(1)国民
の個人消費の増加(2)国民の生活防衛を優先として金融機関、企業体の改廃と整理(3)第
三次産業(消費産業)の救済を掲げ、具体例として、高齢者の職域(企業体)の設立を挙げて
次のように展開しているする。


 ●定年退職した人だけの会社に勝算はあるか

  これは、他のことでもそうなんです。例えば、農業についてなら、現在日本の農業人口
 は約七%ぐらいですから、どうにかしないといけないに決まってるんですね。
  情けないことに、いちばん進歩的なのは農林水産省で、大規模農業経営に資本家が資本
 進出していいという法律が、今年ぐらいから実施されますよ。資本家が農産物市場に入っ
 てくるわけです。
  大規模農業になってコスト安にするため資本が入ってくるというのは必然ですけど、そ
 れよりも、こうなったら農家の人たちもセクト主義をやめたほうがいい。いっそ農家の大
 たち自体が同出資して、農作業を分担して、収獲物は自ら市場を開拓して売り、利益を
 平等に分配するというシステムをつくれば、外部の資本が入ってくるより、いいことだと
 思うんです。
  すでに共同経営をやってる農家の人たちもいますけど、農家の人はえてして土地が神様
 であるし、セクト主義で協力しにくいんです。それをやめて、協力してやっちゃおう、と
 いうふうになったら資本家の進出を少しでも排除できます。外部から資本が入ってくるの
 とどちらがいいかと対抗的に進めていって、利益は資本が入ってくるよりもっといい、と
 納得してやるやり方はできるはずです。僕はできるような気がしてしようがない。
  老齢の人はどうするか、定年退職の人はどうするか。実感からはもうひと働きしないと、
 なかなか隠居でぎないです。孫の世話をしてとか、盆栽をやってというひと昔前の老齢者
 の像は、今は成り立たないです。
  まだ体力はありますし、気力もあります。だからどんどんそうなるといいです。
  経済状態から言えば、「リストラ」されるのは、だいたい会社でも首脳部に近い年齢で、
 しかし首脳ではない人がいちぱんの対象でしょう。経済的に見て、先進資本主義国ではそ
 うなはずですよ。
  だから、今にたくさん、「リストラ」された熟年の人が、自分たちだけで会社的なもの
 をつくろうじゃないかという動きは大きくなりますし、それが受け皿になる可能性は増え 
 ていく一方だと思いますね。
  こういう状況は、僕らの時代の失業者と、今の失業者とは違いますね。また、違わねば
 ならない。昔とは違うはずだぜ、というか、俺たちそういうパワーがあるはずだぜ、とい
 う段階に来ていると思います。
  あんまり受け身にならなくてもいい、やりようによってはやれる段階にあるんじゃない
 でしょうか。
  だから、今言ったようなことは、うまく機能していって、軌道に乗る可能性は大いにあ
 るし、もう日本は、路頭に迷うとかいうことはなくなっていい段階に来ています。

                                                   吉本隆明著 『僕なら言うぞ!』


第三次産業だけでなく、農産物などの第一産業のリストラクチャリングも小異を捨て大同が大
切だとここでは説かれるわけだが、次の節で日本の文化精神風土では根本的なリストラクチャ
リング難しいとネガティブだ。

                              

 ●真のリストラ、ビッグバンは、日本じゃムリだね

  今、アメリカが日本の経済に要求していることは、むき出しに言ってしまえば二つあっ
 て、一つは、不況から速やかに脱出しろ、ということ。もう一つは、金融機関をはじめ、
 企業体も含めて、整理と改廃をしろ、つぶすところはつぶせ、助けるところは助けろ、無
 能な首脳は「リストラ」しろということ。この二つです。
  なぜ要求するかというのは自明のことで、日本経済は、世界経済の三分の一を受け持っ
 ているだけの規模がありますし、柱になってますから、これが本当に危なくなったら、世
 界経済全体が危なくなるからです。
  日本政府が愚図だったら、その次はアメリカが自腹を切って乗り出してきて、自分たち
 の金融専門家や経済専門家を日本に派遣して、その人たちの言うとおりにこうせい、ああ
 せい、というふうになるに決まってるわけですよ。これはアメリカが要求してることでも
 ありますし、G7が要求してることでもあります。
  だから、我々が自腹を切ってそんなことする前に、お前たちでちゃんとやれ、グズグズ
 するな、というのがアメリカの言ってることなんです。
  アメリカは外交辞令で言葉をやわらげたりして、いろんな人がいろんな言い方してます
 けど、むき出しに言えばそれだけですよ。
  日本の政府はアメリカの言うことを聞くには聞くでしょうが、デレデレしながらやるわ
 けです。
  なぜデレデレするかというのは、いろんな理由があるでしようけど、自民党だからとい
 うだけじゃないんです。これは共産党がやってもデレデレとしかできない。それはなぜか
 と言ったら、それが日本的経営方針とか、金融方針、日本の何とか方針というものの体質
 だと思います。

  要するに昨日までニコニコして飲み屋さんで談合して、もう少し考えてみてくれょとか
 何とか言ってたのが、急にキツネが憑いたみたいな顔して、あんたのところは駄目だから
 つぶすとは、やれないんですよ。日本人の社会関係はそうなってないんですね。金融機関
 と政府の間柄でさえそうなってない。それは日本ではできないですね。共産党もできませ
 んょ。だから、どこでもできないというくらい、過激なことを、アメリカは要求してきて
 いると思います。
  呑気でぼやっとしているやつは、僕らに言わせれば駄目なやつなんです。経済専門家で、
 第三の開国だ、とか言ってる人がいますが、冗談じゃないよ、第二の敗戦ですよ、今はね
  率直に言っちゃえば、これは敗戦なんです。つまり、近代日本の改革というのはいつで
 もそうなんだけど、明治以降、近代革命で日本の政党がやったものなんてないんですょ
 普通の民衆が騒いだり、下級武士や浪人が騒いだとかいうことはあるんだけど、政府政党
 が何かしたということはないんです。
  明治維新の革命の根本は、敗戦後の農地改革と同じなんですけど、地租改正なんです。
  つまり、それまでのアジア的農業、市場農業になっていなくて、貢納制といって現物で
 もって税金を納める。地代なんかも現物で納めるというやり方、徳川時代までそうだった
 
わけですけど、それを現物でなく金銭で地代を納めるやり方のほうが近代的だぞ、という 
 ふうに直した。これが地租改正です。農産物市場を開いて、農家は市場で農産物を売って
 そのお金で税金を納めてもいいよ、というふうに直したんです。
  つまり近代資本主義経済に直したわけです。それを誰がやったのかといったら、お雇い
 のヨーロッパの金融専門家や経済専門家が日本に来て、顧問になって、こうせい、ああせ
 いと言って地租改正をやったわけです。日本の近代資本主義の根本的な基礎はそれででき
 たわけです。
  これはいろいろ失敗して、農民なんかは、今まで物納制だったのが、急に変ったから、
 お金に換えるというやり方を知らない。だから地主さんに、この土地の収獲物をあげるか
 らお金を貸してくれ、というふうにして金を借りていった。地主のほうは少ししか貸さな
 いで、土地とか農産物はたくさん取り上げる。そうしたら農民が困窮しちゃって暴動を起
 こしたりしたわけです。
  いずれにしても、日本の近代資本主義革命の基礎をなしたのは明治六年の地租改正で、
 これをやったのはお臓い外国人の金融・経済専門家なんですよ。
 それでは、日本の現代革命というのはどうやったか。

  現代革命というのは何かと言ったら、資本主義革命であり、それは戦後の農地改革です。 
 農地改革って何かと言ったら、大地主の農地をけずってしまえ、と言って取っちゃったわ
 けですよ。それで、小作農に土地を与えて彼らを自作農にしました。
  これだけのことが日本の政党なんかにできるわけないんですね。共産党もできなかった。
 はるかに届かないところで指をくわえて見ているだけで、これだけの度胸あることをやっ
 ちゃうのは、アメリカ占領軍の軍政局しかなかったんです。
  どうして日本人にできないのか、僕にもわからない。そもそも、そういう発想がない、
  それは日本人の発想ではできないんだとしか言えません。日本人は六十年安保でせいぜ
 い時の岸総理を辞めさせるぐらいが精一杯だった。その程度なんです。現在も同じです

                                                   吉本隆明著 『僕なら言うぞ!』

次の節でも、「脱不況策」は(1)国民一般の個人消費を増大させる→第三次産業、消費産業
にとにかくあらゆる公
共資金を第一義的に投入する(お金を支払ったら政府から消費者や供給
者側に無償サービスを得られるような仕組み?)(2)
国民国家の経済バランスや金融バラン
スは考えない、
第二次産業の製造業・建設業その他みたいなのは放置)(3)減税は無駄だか
らやらない(4)金融機関や企業全体の整理改廃を断行(5)首脳部の「リストラ」と言う具
和に過激すぎる?提案を行う。

 ●僕なら言うぞ、不況はこうして脱出できる

  僕でも実感があるのは、太平洋戦争が敗北だと言うでしょう。僕は当時バリバリ硬派の
 学生でしてね、軍国主義の時代だったから、俺は降参するのは嫌だ、誰かが暴動を起こし
 たら俺は必ず参加する、と思ってたんです。

  だけど、そんなこと言うのは嘘で、それほどの気持があったのなら、お前が率先してや
 ったらよかったじゃないかと言われたら、そんな器量はぜんぜんなかったんです。誰かが
 やったら、軍隊でも青年将校でも何でもいいから、それがやったら、俺はやる、ちっとも
 降参する気はないんだ、ということだったんです。だけど実際は誰もやらないわけですよ。
  今だって、政府が不況を速やかに切り抜ける方策をやらないでグズグズして、「リスト
 ラ」サラリーマソがたくさん出て、生活に困って路頭に迷っているとき、進歩政党や進歩
 知識人が文句ひとつ言わないのはおかしい。せめて自分だけでも、機会と場所が奪われな
 い限り、このひどくいい加減な政府や政治政党に怒りをぶつけるつもりです。今は第二の
 敗戦、アメリカによる経済占領ですよ。
  これは、高等遊民の課題でもあるはずです。世界を見たら、高等遊民的職業に携わって
 いる人は、どこかでやっぱり、もしも今、この不況、お前が政府になって不況を脱しろと

 言われたら、俺ならどうするかなということは、本当はいつでも考えていて、実行できな
 きゃだめだぜ、という事態のはずなんです。だけど、自民党から共産党までの公認政党に
 一般のサラリーマンの不況対策を速やかにやれと言ったって、そんなの言うだけ無駄でぜ
 んぜんお話にならない。金融を扱うのに慣れてる自民党のほうがまだやるんじゃないの、
 
とその程度ですね。
  これはとんでもない情けない話です。
  経済専門家の愚図さも論外です。不況をどうやって脱するか、見識を示してくれと言っ
 ても、何にも言わないでおとなしくしてる。「第三の開国の時期なんだ」などと寝とぽけ
 たことばっかり言っています。でも、現在のような大不況時に見識を示し、何か提案でき
 なければ、生涯のいちばん重要な時期に専門家として沈黙していることになるわけで、死
 んだも同然ですよ。それを言えないのは、器量と見識がないからです。
  僕は第一の敗戦のときの見識の無さを情けなくおもって、半世紀のあいだ見識と器量を
 蓄えようとつとめてきました。だから第二の敗戦期の現在の不況を脱出するにはどうした
 らいいのか、自分の考えを率直に明言できます。
  不況から速やかに脱する方法はただ一つです。世界経済の規模で考えて、日本経済の不
 況をどう脱却するかといったら、それは、国民一般の個人消費を増大させることを第一義
 とする直接法をとることです。具体的には、第三次産業、消費産業にとにかくあらゆる公
 共資金を第一義的に投入することです。
  国民国家の経済のバランスや金融のバランスなんて考える必要はない。ただ消費産業に
 
投資して、何はともあれ国民の個人消費を増加させるようにします。第二次産業、つまり
 製造業・建設業その他みたいなのは放っとけばいい。港をつくったり、飛行場をつくった
 り、道路を改めたり、そんなのは無駄だからやらないほうがいいです。減税も無駄だから
 やらないでいいです。要するに、直接、消費産業に公共投資し、あとは金融機関や企業全
 体の整理改廃を断行することです。
  残るは首脳部の「リストラ」だけ。今は、政府は責任をとらず警察庁と検察庁とかが代
 わりに企業の首脳部の連中を検挙してみせたりしています。代わりにやってるんです。こ
 のごろ、企業の経営陣から、いろいろと逮捕される人が出ているでしょう。あれがそうで
 す。
  国民一般に対しては貸し渋りや厳しい担保を要求しているくせに、大企業や大資本に対
 しては甘い担保で融資し、不良債権をかかえることになった。そして今ごろになって金融
 機関の当時の責任者個人に罪を着せ、政府は知らんぷりをして、責任者を追いつめ自殺に
 導いたりしています。政府首脳は何をしているかといえば、アメリカヘ行って、大転換期
 で多少の犠牲は致し方ない、などと演説している。こんな男を許しているばかりか、支持
 率が52‰もあるということは、いったいどうしたことか。日本人の馬鹿さ加減は、背中
 
をどやしつけたくらいでは目が覚めないですよ。
  新聞記事を見ていると、不況を実感しているのは50%くらいだそうですから、実然し
 ていないあとの50%の愚かな連中が、現在の愚図で無能で、このどさくさに悪法を国会
 で承認させている戦後最悪の政府を支持している勘定になります。
  本当は政府とか大蔵省が責任を持ったらいいんだけど、彼らはできるだけそういうのは
 やりたくないわけですよ。仲良くしておいたほうがいい、みたいなのがありますからね。
  検察庁はそういう意味の利害関係はあんまりないから、やるわけです。
  本当はあれをやられるとファッショ的な国になっちゃうから、ものすごくよくないんで
 す。どうでもいいようなささいな違法をとらえて脅かしているのですから。
 それとは別に、「リストラ」について言えば、例えばここに従業員千人の企業があるとし
 ます。
  現在の失業率4.6%が全部「リストラ」されたと仮定しますと、1000人×0.0
 46ですから46人になります。一人の給与が平均50万円とすると、50万×46は2
 千三百万円です。1年では2億7千6百万円となります。
  従業員千人の会社が46人「リスとフ」して支出減は年間でざっと2~3億円。その

 り46人の人手が失われます。
  僕にはこれで従業員を「リストラ」したことに意味が生ずるのかどうかが、どうしても
 わかりません。僕はいつもそれが疑問で「リストラ」というのはただの名目ではないかと
 疑いを持っています。こんなものは重役の一人、二人が退職金を遠慮すればすむ額ではな
 いですか。

 ●無能な首脳部をリストラしろ

 本当は、アメリカの要求してることはそんなことではないはずです。何もサラリーマンを
「リストラ」しろとは言っていない。無能な首脳部を「リストラ」しろと言ってるんです。
 それから、駄目な銀行はつぶしちゃえ、助かりそうな銀行だけ助けろ。そして不況から速
 やかに脱しろということです。
  こんなことは、誰が考えたって、個人消費を増大させる以外に速やかに不況を脱する方
 法はないとわかりきってることで、アメリカが言ってることも、外交辞令の言葉を抜きに
 すれば、この一つを要求してるんです。こんなものは政府に変革する度胸さえあればでき
 ることです。
金利生活者、年金生活者は前よりもずっと増えているけど、こういう人たち
 は不況なんてあまり関係ない。政府がつぶれない限り年金はくれるわけだし、金利生活者
 は金利で生活すればいい。これは、銀行が全部つぶれたら別ですけど、そうじゃない限り
 は大丈夫なんだから、関係ねえやと思って、どうするかょく見ていてやろう、ぐらいに高
 見の見物だと思ってる人が、前より増えてることは確かです。
  普通の人にしても、手持ちの一千何百万円かを全部消費しちゃうまでは、誰が先に動き
 出すか見ていよう、とか思ってるわけです。首脳部がやられても、ざまあ・みろ、俺じゃ
 なくてよかった、みたいに思うだけですよ。これまでひどい目にあって我慢してきたので
 すから。
  どうすればいいか、速効性のある方策もわかってるのに、専門家は言わない。僕ら素人
 が言ったって、たわごとだと思っている。道路とか飛行場なら、つくっておけば、失敗し
 たって残るじゃないか、という守りの姿勢なんです。それだって実際は、何も守れちゃい
 ません。
  百貨店か何か直接個人消費に影響する第三次産業に全部公共投資しちゃうと、失敗した
 ら何も残らないから、一とんでもないことをしたもんだと非難されると思って、恐くて

 きないんです。政府も専門家も責任をとりたくないんです。

 ●いちばん駄目なのは、誰だ

  ある書店の広告雑誌に、政治・経済・社会現象についての短い文章をずっと書いてきま
 した。もう一年以トになりますけど、このごろはあまりの阿呆らしさに、いささか切れて
 きたから、かなり露骨な直接話法になってます。
  薄紙一枚はがせば事態ははっきり見えるはずなのに、専門的に責任ある人たちがそうせ
 ずに言葉の煙幕の背後にかくれているんです。
  こんなことを言っている間にも、テレビ報道は失業率が4.88パーセソトにハネ上っ
 た
こと、小渕首相がアメリカで、経済を立て直すには、失業率4.88ハーセントくらい
 の犠
牲はやむをえないと発言したことを、淡々と流している。こんな時代遅れの政治家を
 許容
していることに、あきれはてます。彼らは不況から脱出するのに不良金融機関を公共
 資金
で援助し、企業体はサラリーマンや労働者を「リストラーしてロ減らしを企図する。
 ある
いは、働いている人は20~30%くらいしかいない建設業に公共資金をつぎこんで
 不急
の道路や港を造ろうとしたりして、いちばん肝心なサラリーマンや労働者の個人消費
 の分引
を後まわしにしています。
  こんな疎遠な方法を恥ずかし気もなく採択している無能な政党や政治家を政府に戴いて、
 みんなケロリとしています。このように抗議も反抗もできないのは、僕らも含めた国氏一
 般が決定的に駄目な証拠でもあるんです。

                    「第2章 リストラ時代の大誤算」PP.44-62
                                                   吉本隆明著 『僕なら言うぞ!』


以上を彼の主張を、整頓しまとめると「赤字国債をバンバン発行してでも三次産業が活況する
ような公共投資政策」がベスト・ポリシーということになる。電気・ガス・上下水道・運輸・
通信・小売り・卸業・飲食・金融・保険・不動産・介護・医療・デパート・娯楽・教育・観光?
情報通信・公務サービスなどを刺激するということになるが具体的各論議論→合意形成となる
『高速道路無料化』のように利益者負担にしろとか、セクト主義百出する。尚、下図は、国際
貿易投資研究所の「サービス産業と日本の構造変化」資料から抜粋したもの。



基本原理あるいは原則は了解できる、やはり構造解析を踏まえ、ベスト・ポリシーにブラシ・
アップしたものを政府案としてまとめ合意形成するプロセスは欠かせない。そのためのマクロ
経済(あるいは複雑系・進歩経済学)は欠かせない手段と思えるし、アベノミクスでの「大胆
な金融政策」がその重要政策であることを実践的に認めている。極端なことを言えば、不要不
急のようにみえる「日本列島電線類埋設計画」(『電通線埋設化推進計画』『レジリエンス巡
礼の明日
』参照)などの一見直接的・即効性がないにように見えるが相乗効果への寄与率が高
い政策、つまり、同じくアベノミクスでの「機動的な財政政策」に織り込み絡める選択も残さ
れていると考える。本書を批評しながら『僕ならこう行うぞ!』としてこのブログで継続掲載
していくことに。  

                                                                                                       この項つづく  

 

【雪国対応型・太陽電池パネル取付台】

協和精工株式会社は、雪国対応型・太陽電池パネル取付台を独自開発し、新製品「スノーター
ン90」として2014年秋から販売開始すると公表。これは、パネル角度を自由に調節、雪を落と

し雪の反射光も有効活用、冬季の発電効率が向上させる機能をもつ。メーカは精密工具と時計
の製造メーカーである協和精工株式会社(http://www.kyowaseiko.co.jp/)。
「スノーターン
90」の特長は、“パネルの角度調節が自由”、“操作が容易”であることです。角度が変えら
れる太陽電池パネル取付台はこれまでもありました。しかし、従来品は、段階的にしか角度を
変えられなかったり、操作に電力や膨大な労力が必要で頻繁に角度調節ができなかったりとい
った課題があった。一方、「スノーターン90」は、独自の作動方法による手動式のため、小さ
な力で角度を細かくスムーズに調整でき、作業者一人で容易に操作できことが特徴である。

雪の重みや強風などで送電線が切断し停電が発生する恐れのある雪国では、非常事態での蓄電
方法として太陽光発電が有効と考えられているが、冬季、太陽電池パネルが雪で覆われてしま
うと発電不能状態になってしまうため、雪国では太陽光発電がなかなか普及しなかった。
「ス
ノーターン90」を導入すれば、降雪時にはパネルを垂直に立て積雪を防げるため、発電効率の
低下を回避できます。また、パネルの角度を無段階で自由に変えられるため、パネルを太陽の
向きに合わせたり雪の反射光をパネルに当てたりすることで発電効率を上げることも可能。

※ 独自に設計・開発した雪国対応型・太陽電池パネル取付台の実用新案登録証を2013年4月に
  取得(登録第3183334号)。第一号機は秋田県湯沢市役所に採用され、2013年12月、新庁舎屋
  上に設置した(新庁舎のオープンは本年2014年4月予定)。

協和精工では、2014年秋からの販売に向けて販売代理店(営業及び土木・建築の施工もできる
会社)の募集を今春から始める予定。今後は、販売代理店を通じて「スノーターン90」を受注
生産する。「スノーターン90」には、ビルの屋上や一般家庭の庭に設置できる「平面設置タイ
プ」と、垂直な壁にも設置できる「壁掛けタイプ」の2種類があり、どのメーカーの太陽電池
パネルにも対応可能。税抜販売価格は現在、検討中で、「平面設置タイプ」は1台100万円から
「壁掛けタイプ」は1台20万円からとなる予定です(使用材料により変化、太陽電池パネル代は
含まず)。当初は秋田県内を中心に営業を行い、「平面設置タイプ」の販売数10件程度を目指
す。

【符号の説明】

10…太陽電池パネル取付台、12…脚部、14…組付枠、16…角度変更装置、22…門型
フレーム、24…支え棹、28…延設部、30…土台、32…支持棹、33…取付棹、34…
保持棹、36…横部材、38…縦部材、40…ハンドル部、42…送りねじ部、46…作動腕、
48…連結棒、50…取付板、52…円盤部、54…持ち手部、56、58…取付具、60…
太陽電池パネル、70…固定具、72…固定棹、74…止め具、100…地面。


PM2.5の影響甚だしく、急性肺炎状態で打ち込み作業を終える。政府は何をしているのだろう。
目の前にある危機状態をあらゆる外交ルートを使い解決することが最大課題だろう。そんな思
いが、朦朧とした頭を過ぎるが今夜はこの辺で。

                                                                           

 

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