【奇妙な物体の正体】

【奇妙な物体の正体】

2024 年 1 月 28 日 近所の植え込みにあった謎の物体(本駒込)

図書館に観終えた洋画 DVD を返却しに行き、気になった道端の物体を見たらまだ枝にあった。公園で遊んだ子どもたちが、つくった泥団子を植え込みの枝にうまいこと引っ掛けて帰り、こういう変なおじさんをびっくりさせようとしたんじゃないかと思ったのだ。

泥団子のようなオブジェの底部が見えるように撮影し、拡大したものを見たらちゃんと枝につくりつけられたものだった。これは泥を利用した昆虫の巣に違いないと思う。

Google で画像検索したら、どうやら「ドロバチ」の巣らしい。美しい造形をするものだと感心したが、巣の出入り口が人工的な正方形をしているのがなんとも不思議だ。単なる偶然だろうか。

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20 音オルガニートで

20 音オルガニートで映画『風と共に去りぬ』タラのテーマ Gone with the Wind Tara's Theme
作曲/M.スタイナー

20 音オルガニートで朝日のあたる家 The House of the Rising Sun 
アメリカ民謡

20 音オルガニートでロッホ・ローモンド The Bonnie Banks O' Loch Lomond  
スコットランド民謡

を公開。

***



2023年12月号(通巻14号)まで公開中

 

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【すべての椅子に登りなさい】

【すべての椅子に登りなさい】

何事かに追い立てられてもニワトリのようにバタバタあわてふためいて走り出したりせず、用心を前面に押し出してゆっくり行動せよと、読んでいる本の主人公が言っている。

開高健はそれを「悠々として急げ」といい、ラテン語では「ゆっくり急げ」(Festina lente フェスティナ・レンテ)という。欧州の苔むした格言なのである。それを座右の銘にしている人も多い。

欧州を舞台にした映画「サウンド・オブ・ミュージック」の挿入歌に「すべての山に登りなさい」と唄う歌があった。その歌詞の「山」を「椅子」に置き換えて学生時代から座右の銘にしている。

すべての椅子に登りなさい
すべての可能性を見おろし
すべての虹を追いなさい
自分の探し物を見つけてつかみとるまで

部屋の中で失せ物を探すとき、椅子に腰掛けて思案するより、普段座っている椅子の上に立って高い視点から見渡すと、新鮮な驚きとともに探し物が見つかるものなのだ。人生の多くの局面で役立つ。椅子は座るのではなく登って見よ。

2024 年 1 月 28 日 近所の植え込みにあった謎の物体(本駒込)

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20 音オルガニートで

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【卓上の JAL 】

【卓上の JAL 】

カップスープ「 JAL ビーフコンソメ」「同 オニオンコンソメ」8 袋入のパッケージが新しくなって、空き箱を使って JAL の飛行機模型を作ることができるようになっている。

裏面にジェット機の開きが干物のようになって印刷されている。大好きなので、「よい子は作ってみよう!」などと言われなくてもすぐに作ってしまう。

こういうことをしていると年齢のことも仕事のことも忘れて無心になる。無心になっているはずなのに「あれ、JAL 機の日の丸って右翼にだけついているのか」などと余計なことを考える。

糸で吊るしてモビールにしたら、エアコンの微風を受けて機首がゆっくり方向を変え、妻が「かっこいい!」と喜んでいる。

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20 音オルガニートで

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【インコ】

【インコ】

六義園内を派手な緑色したワカケホンセイインコ(Ring Necked Parakeet)が飛び交っている。繁殖力、環境適応力が強いので、天敵の少ない都心で個体数を増やしているらしい。

インコを Parakeet といい、オウムの parrot が併記されていることが多いので、どう違うんだろうと調べたら大きいのがオウム(parrot)で、小さいのがインコ(Parakeet)なのだという。そうかどっちもオウムなのか。

わが家ではインスタントコーヒーのことを家庭内略語で「インコ」といい、豆を挽いてドリップする方を「ホンコ」という。

2024年1月27日 本駒込

アドルフ・ヒトラーが現代ドイツにタイムスリップして現れる『帰ってきたヒトラー』を読んでいたら、浮浪者のようになった総統をかくまう気の良いキオスクのあんちゃんが、

「さあて、次はコーヒーだ。おたくもどう? いやもちろん、飲みたければ、ということだけど。何しろ、コーヒーといってもインスタントしかないからね」(ティムール・ヴェルメシュ『帰ってきたヒトラー』河出文庫、森内薫訳)

と声をかけ、ヒトラーは憎きイギリスがまだ海上の経済封鎖を解いていないのでわがドイツ国民はいまだに代用コーヒー〈ムッケフック(コーヒーもどき)〉しか飲めないのだなと胸を痛める、というところで笑った。

冬ざれた木立に鮮やかな緑色の制服をまとったワカケホンセイインコの飛行隊が編隊を組んで舞い降りる光景を見るとドキッとする。

2024年1月27日 本駒込

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20 音オルガニートで

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【算盤を弾く】

【算盤を弾く】

図書館から借り出した映画 DVD の返却期限日になったので図書館に行き、観終えたのを2本返して新しいのを2本借り出した。

帰りに買い物を思い出してスーパーに寄り、レジを通ったら店員が一瞬間をおいて
「三千円のお買い上げになります」
と言う。こういうピッタリは珍しい。

8%の課税分を含めて三千円ちょうどの買い物を、欲しいものを選びつつ意図的にするのは、言うは易く行うは難い。

鶴見俊輔と関川夏央の対談にこんなことが書かれていた。

関川 和算の話ですけどね、印象深く覚えているのは、司馬遼太郎さんが数学ができなくて旧制高校に行かなかったことです。それが、司馬遼太郎を司馬遼太郎たらしめた理由かと思いますが。お父さんが非常に計算の上手な商人だったらしいですね。
鶴見 薬屋でしょう。
関川 ええ。中学のときに、司馬さんができない平方根の計算を、お父さんがそろばんで簡単にやっちゃうんです。 「答えはこうだ、理屈はわからんが」と寂しそうにいう(笑)。司馬さんは、「ああ、これが日本の庶民なんだ」と思ったそうです。
鶴見 そこから、司馬さんが出てくる。
関川 父親の寂しげな表情を語る口調に、わたしは司馬文学の出発点を感じました。

(鶴見俊輔・関川夏央『日本人は何を捨ててきたのか』筑摩書房)

「8%の消費税を含めて三千円ちょうどになるような買い物をせよ」と言われたら、「ええと税を含むってことは、部分を全体で割ってやればいいんだからまず三千円に軽減課税税率の八分を掛けて、それを十割八分で割って、それを三千円から差し引いた 2,778 円を原資にして、このお醤油が 648 円……」(パチパチ)などと考える前に指が動いて、そろばん片手に難なくできてしまうのが日本人なのだろう。

2024 年 1 月 28 日 千石図書館前の花壇

六義園正門前から見た富士山

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【在れ】

【在れ】

在るものだけがそこに在る。そうであるなら、在る物だけがそこに在るようにしか見えない者には、その能力の可動域内に在る物しか見えない。宇宙に果てが無いようにしか見えない人間に、宇宙の果てを見ることはできない。

一人ひとりの人間には、その人らしい根本的な在り方の形式が生まれながらに備わっている。それを個人の特性という。見えない人に「見えろ」と命令形で強制することはできない。無いものに「在れ」と命令形で言えるのは神だけだ。

   ***

老老介護になった先輩夫婦宅に三組の夫婦が集まって賑やかに飲食する大相撲を観る会。早いもので初場所が始まり、もう 14 日目の取り組みになっている。

写真は友人宅のベランダから眺める武蔵小杉方向。不思議なお菓子はカメラマン夫婦の山形県鶴岡出張みやげ。

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20 音オルガニートで

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【チクチク】

【チクチク】

針仕事のことを子どものころ「チクチクする」と言った。トックリ首のセーターが嫌いで、母親に「なぜ」と聞かれると「チクチクするから」と答えた。

かかりつけの診療所に行くと高齢の先生が注射を打つ直前に「ちょっとチクッとしますよ」と言う。

針仕事をするお母さんが布に向かって「ちょっとチクッとしますよ」、首を通されようとするセーターが人間に向かって「ちょっとチクッとしますよ」と言っているようで妙におかしい。

よせばいいのに古い記憶をたどって嫌な思い出を呼び出すとチクッとする。チクっとするのは身体ではなく心の方らしい。思い出は「ちょっとチクッとしますよ」。

2007 年 1 月 27 日 台東区内あたり

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20 音オルガニートで

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【続・出る声、書く声】

【続・出る声、書く声】

昨日の、読んでいる本に向かって、文句を言ったり、反論を投げかけたり、質問をしたりする話の続き。

「『かきいれどき』は帳簿の記入に忙しい時期のことで、漢字で書けば『書き入れ時』なんだけど、そうか、言葉を場へ発することもまた『書き入れ』って言うんだね」
と、読んでいる本に向かって独り言を言うように思う。

 お父さんが社から帰って来て、一同晩餐(ばんさん)の食卓を囲む時、その日起った特別の事件が話題に上(のぼ)る。
「今日は里(さと)の母が見えて、私、上等の浴衣地(ゆかたじ)を戴きましたよ」
 なぞというのはお母さんの書き入れ事件である。それに対してお父さんは、
「ふうむ、それは宜(よ)かったね。彼方(あっち)でも皆丈夫(みんなじょうぶ)だろうね?」
 と応じる。(佐々木邦『親鳥小鳥』より)

「この『なぞ』の使い方にも馴染みがないんだけど、この『なぞ』は話し言葉的に書くと『なんぞ』なんだよね。著者が『皆』を『みんな』と読ませたくってルビをふっているように、僕は『なぞ』に『など』でもなく『なんぞ』ってルビをふりたくなっちゃうんだ」
なんぞと、また読んでいる本に対して独り言を言うように思うのである。

2024 年 1 月 25 日 北区西ヶ原

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20 音オルガニートで

20 音オルガニートでセレナード「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」より 
Eine kleine Nachtmusik K. 525
作曲/W.A.モーツァルト

20 音オルガニートで菩提樹 Der Lindenbaum
歌曲集「冬の旅」より第5曲
作曲/F.P.シューベルト

20 音オルガニートでロンドン橋 落ちた London Bridge Is Falling Down
イングランドの古いマザーグース・ナーサリーライム

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【出る声、書く声】

【出る声、書く声】

テレビに向かって、文句を言ったり、反論を投げかけたり、質問をしたりしている人を見るとぼんやり奇妙に思う。誰に向かって話してるんだろうと。

義父はそういう人だったけれど、それに文句を言っていたわが妻もやはりそれをする。そして、ぼんやり奇妙に思う程度にそれを許容している自分がいて、ということはなんだ、自分にも同じようにそういう奇妙な行動があるのかもしれない。そういう確率が高い。同じ穴のムジナである。

テレビならまだしも、読んでいる本に向かって、それをするのは変だ。したくなるけど。

混み合った電車内で読書しながら、本に向かって文句を言ったり、反論を投げかけたり、質問をしたりしていたら危ない人なので、乗り合わせた人たちは距離をおこうとして離れていくだろう。別に離れていってもいいけれど、そういう方向で自分が目立つのはさみしい。

2024 年 1 月 24 日 本駒込

自宅での読書なら遠慮なく声が出せる。出せるけれど、そういう自分に自分で違和感があるので、声を出すのをこらえて文句や反論や質問を文字にして書いている。それがときどき日記にもなる。

どちらかというと文句や反論や質問ではなく賛意を表することのほうが多いのだけれど、やってみるとおもしろい。頭の中が片付いてすっきりする。たぶん咄嗟に声が出る人たちは、そうすることで思いつきを次々に片付けながらテレビの深いところを視聴しているのだろう。弁証法的に生きる知恵である。

背の高いアナウンサー「青井アナ」が NHK を退職し、2024 年 4 月からフジテレビ系の報道番組でキャスターを担当するらしい。妻がこのニュースを見たら咄嗟に
「なんで?!」
とテレビに向かって聞くだろう。

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20 音オルガニートで

20 音オルガニートでセレナード「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」より 
Eine kleine Nachtmusik K. 525
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【たいへん】

【たいへん】

息を吸って息を吐くこと、唾が溜まるたびに吐き出さないで飲みこむこと、涙がこぼれないようまばたきを続けること、手を振り足を交互に前へ出して歩くことなどが、ひどくめんどうでたいへんなことに思われ「人間ってたいへんだね……」と言って母親に笑われたことがある。目黒区の保育園に通っていた頃だ。

「病気じゃなくて人はみんなそうなのよ、生きているかぎり誰でもそれをやり続けるものよ」と言われたら気が遠くなった。いまでも、心臓は随意筋だから一生自分でポンプを押し続けなさいと言われたら、そんなこと無理だと絶望するだろう。意識せずにできていることも、意識してやり続けることは難しい。

「言われてやるからたいへんなのよ、言われなくても自分のことは自分で気づいてやりなさい」
と、言われてからやるのは何事でもたいへんだ。だから、人間をやるのもたいへんだと思うのだ。

たとえ幼い保育園児であっても、そこのところが気になってしまったら、それはもうたいへん哲学的な難問なのである。

写真はペットサロンでもらったカレンダー。自分で意識して「立っている」というより、ぼんやり「立ててしまっている」ような幼い柴犬の前脚。

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【メリー・ポピンズ リターンズ】

【メリー・ポピンズ リターンズ】

2023 年 10 月にウォルト・ディズニー・カンパニーが創立 100 周年を迎えた。それもあってか『ウォルト・ディズニーの約束』(2013)という映画を観る機会があった。映画『メリー・ポピンズ』製作の背景を描いた映画である。

『メリー・ポピンズ』(Mary Poppins)は、女性作家 P・L・トラヴァースが書いた 8 冊の児童文学シリーズ(1934 - 1988)で、長年、ディズニーから映画化の申し込みを受けつつ断り、映画化されるにあたってさまざまなな条件をつけた。そのエピソードを映画化したものだった。

映画『メリー・ポピンズ』公開当時は妻も僕も小学生で、街に流れる劇中歌「チム・チム・チェリー」(Chim Chim Cher-ee)は覚えているけれど映画自体は観ていない。

2024年1月21日 文京区千石 千石図書館脇

ウォルト・ディズニーの約束がどう守られたか見たくなったので文京区立図書館から DVD を借り出して家庭内映画大会をした。ロンドンさくら通り 17 番地(Number Seventeen Cherry Tree Lane)を舞台にした素晴らしい映画で感心した。なんと 60 年遅れの感心である。

感心した勢いで『メリー・ポピンズ リターンズ』(Mary Poppins Returns)という、2018 年公開の続編を借り出して家庭内上映会をした。ロンドンさくら通り 17 番地の家が銀行に差し押さえられるのを阻止する話で、前作に続けて観たので細部の柄合わせという仕立て方の工夫がよくわかった。

2024年1月17日 北区西ヶ原 滝野川会館

桜吹雪に送られて小学校の校門を出るように家庭内映画大会を終えたら、挿入歌 「Let's Go Fly a Kite (凧をあげよう)」のメロディーが耳について今も聞こえている。

時代に乗り遅れたおかげでよい三本立て連続上映だった。

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20 音オルガニートで

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【大いなる賭け】

【大いなる賭け】

「大いなる賭け」という名前の映画があったような気がして検索したけれど見当たらない。

かわりにロジャー. L.サイモン『大いなる賭け』という推理小説が懐かしい造本によるハヤカワ・ミステリの古書でヒットした。1979 年発行の邦訳版で英国推理作家協会最優秀新人賞受賞作(1973)だという。これもなにかの縁だと思って注文しておいた。

2024 年 1 月 21 日 本駒込

気になるのでしつこく英語版ウィキペディアを見ていたら、この小説、原題『The Big Fixはちゃんと映画化されていて、

The Big Fix is a 1978 American political comedy thriller film

とあるのがそれではないかと思う。ジョージ・ルーカス『アメリカン・グラフィティ』のリチャード・ドレイファスが主役を演じていて政治喜劇らしい。

2024 年 1 月 21 日 本駒込

賭けには失敗が伴う。失敗すると賭けるんじゃなかったと後悔する。
「どうです、いっちょう賭けてみませんか。絶対に後悔はさせませんから」
と言われたと思ってする大いな賭けが毎晩の睡眠である。

気持ちよく目覚めて喜ぶ自分がいても、「しまった、二度と目覚めないなら寝るんじゃなかった!」と後悔する自分はいない、自分がいなけりゃ後悔なんてできない、という人生喜劇なっている。

だから毎晩、気軽に「おやすみ」と言いながら「大いなる賭け」ができるわけで、死後の世界を見てきて「なかったよ」と言う人がいないから安心して死ねるのも同じ道理だろう。死は最後の「大いなる賭け」である。

なんてことを考えながら「大いなる賭け」をポチポチ検索していたわけだ。

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20 音オルガニートで

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【夢の種】

【夢の種】

目を開けてもう起きなくてはいけない、と思って頑張るのだけれど眠くて眠くて、まぶたが重くて重くて、どうしても目を開けることができない、という疲れる夢を見た。

《夢の中で眠っていて起きたいと思うのにどうしても起きられない》という入れ子になった夢は珍しいので、見終えて残った種だけを標本としてメモしておく。

2024 年 1 月 16 日 本駒込

  ***

図書館から借り出した映画の DVD を返却しに行ったら、『帰ってきたヒトラー』(2015)というドイツ映画が棚にあったので『グッバイ、レーニン!』(2003)といっしょに借りてきた。期せずしてドイツ週間になった。

2024 年 1 月 16 日 本駒込

『帰ってきたヒトラー』の原作本は本国(2012)でも日本(2014)でも出版されて話題になったらしい。知らなかった。久しぶりに口の中に酸っぱい種が残る梅干しのような映画を見た。

記憶の中で転がしていたら、あれこれ細部が気になるので、河出文庫の上下巻合本を電子書籍版で買って読み始めた。

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20 音オルガニートで

20 音オルガニートでセレナード「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」より 
Eine kleine Nachtmusik K. 525
作曲/W.A.モーツァルト

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【否定の否定】

【否定の否定】

国語辞書で「否定」の項目を引くと、おもしろいことがいっぱい書いてある。

【否定的】に続いて【否定的概念】【否定の否定】【否定判断】【否定論理積】【否定論理積回路】【否定論理和】【否定論理和回路】などの項目が並んでいて、どれを読んでもおもしろい。

こういう話になると、生まれて始めて階段のある家に住んで、最初に受けた感動のことを思い出す。

階段の上と下に、よくあるシーソー型のスイッチがあり、上でパチンと押すことで階段の照明をオンにして明かるくし、階段を下りきると、そこにある同じ形のスイッチは相対的にオフになる機能を持っているので、パチンと押して消灯する。上る時はその逆になる。

上下のスイッチは互いに否定し合う機能を持つように配線されていて、そのおかげで階段の照明を上でも下でも相対的にオン・オフできるのだ。どこにでもある原始的な配線だけれど子どもながらに「おもしろいなあ」と思い、やはり今でもおもしろいと思う。

 ここにひまわりの種がある。それを地面にまくと、芽が出てくる。やがて茎が伸び、茎は葉をつけ、夏になると大きな花が咲く。花びらが散ったあと、花の中央にたくさんの大きな種がみのり、年を越して春になると、この種がまた芽を出す。それがひまわりという有機体の生命過程である。 
 これを弁証法的に表現するとこうなる。種が否定されて芽となり、芽が否定されて茎や葉となり、茎や葉が否定されて花となり、花が否定されて種となり、こうして有機体はおのれにもどってきて生命としてのまとまりを得ることができるのだ、と。(長谷川宏『はじめてのヘーゲル』より)

上記引用は著者も言っているように、わかりやすさを優先して生命過程に当てはめているので持って回った言い回しになっているけれど、シーソー式スイッチと階段の思い出に妙に重なって思える。

否定の否定というスイッチをオン・オフしながら階段を上り下りして自分は大きくなった。その家の階段下にあったモルタルの塗り壁には、酒が飲める年齢になった僕が酔って足をすべらせて尻餅をつき、肘打ちで空けた記念の穴があいていた。辞書の【否定】の子項目に混じって【尾骶骨(びていこつ)】があるのが笑える。

2024年1月18日 千石図書館

否定の否定の弁証法により、通い慣れた千石図書館玄関脇で、昨年蒔かれた菜の花の種が芽吹いてもう花を咲かせている。

人もまた生と死という相対的なシーソー構造スイッチを持っている。「年々歳々花相似たり」と思うなら、歳々年々顔ぶれが入れ替わっていく人間もまた相似たりなのである。

冬のスイッチを否定して春のスイッチが入り、そうやって季節は永遠にめぐる。

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20 音オルガニートで

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歌曲集「冬の旅」より第5曲
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【輪ゴムの学校】

【輪ゴムの学校】

子どもの頃、輪ゴムと遊ぶのが好きだった。輪ゴムを弄りながら考えたり試したりするとき、子どもの奇抜な発想を受け入れる柔軟さが輪ゴムにはあった。

2024年1月18日 本駒込

輪ゴムには、引っ張られたりねじられたりしても、変化を拒む頑固さと、新たな枠組みを受け入れる寛容さがあった。ひとり遊びの友でありながら、意志と反発と許容を教える師でもあった。空間の性質というトポロジーの学校である。

2024年1月18日 本駒込

しばらく遊んで学んで、その指を舐めると苦かった。昔の輪ゴムは苦かったのである。最近の輪ゴムは苦くなくて、その伸縮にも持続力が認められない。時間が経つとすぐにだらけてしまい、輪ゴム根性というものを欠いている。

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20 音オルガニートで

20 音オルガニートで『アルプス一万尺 Yankee Doodle』
アメリカ民謡

20 音オルガニートで『おうまはみんな The Old Gray Mare』
アメリカ民謡

20 音オルガニートで『お猿と鏡 Osaru to Kagami』 
チェコ民謡

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