2021年2月26日 10:17 京都新聞
参照記事 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/514773
5世紀に造られた芝山遺跡・古墳群の方墳で出土した2本の蛇行剣。刀身が波打っているのが特徴で、祭祀で使用されたとされる
見晴らしの良い丘陵地に古墳が点在する芝山遺跡・古墳群
京都府埋蔵文化財調査研究センター(向日市)は、城陽市富野の芝山遺跡・古墳群にある古墳時代中期から後期(5世紀後半~6世紀前半)の埋葬施設で、刀身が波打つ「蛇行剣(だこうけん)」が出土したと発表した。祭祀(さいし)で使われたとされ、府内3例目の発見で、山城地域では初めて。同センターは「蛇行剣は全国で80本程度しか見つかっておらず、被葬者の功績や役割が大きかった可能性がある」とする。
府道山城総合運動公園城陽線に面する芝山遺跡・古墳群は東西約950メートル、南北約840メートル。新名神高速道路の整備に合わせて、2015年度から調査を続け、20年度で終了する。
本年度は、敷地内の南東約4800平方メートルを調べ、古墳時代中後期に造られた方墳と円墳計7基を確認した。そのうち、5世紀に築造された小型の方墳から、長さ83センチと63センチの蛇行剣2本が見つかった。鉄製で波のように曲がっているのが特徴で、実用品ではなく儀式などで使用されたとみられる。過去には奥大石古墳群(綾部市)と城谷口古墳群(南丹市)で見つかり、複数本が同時に出土するのは府内で初めて。
6年間の調査で計37基の古墳を発見した。同センターによると、複数の集団が丘陵地の見晴らしの良さに着目し、大小さまざまな古墳を造ったという。
今回の調査では、中国・魏で作られた鏡や、奈良時代に住居や倉庫として使用された掘立柱建物8棟の跡も見つかった。同センターは「古墳の築造や住まいといった時代ごとで異なる土地の活用方法が、具体的に分かる貴重な資料」とする。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、現地説明会は実施しない。発掘資料は同センターのホームページで近く掲載する。