2023年12月28日 12時42分 CNN.co.jp
米インディアナ州北西部で釣りをしていた男性2人が橋の下のトラックを発見し救出活動が開始
クリスマスの翌日、米インディアナ州北西部の渓流へ釣りに出かけた2人の男性が、遠くの方で何か光るものを見つけた。
マリオ・ガルシアさんと義理の息子のニバルド・デラトーレさんは、釣りを終えて引き上げるところだったが、好奇心に駆られて見に行くことにした。今月26日の出来事だった。
光るものに向かって歩いて行くと、州間高速道路に架かる橋の下にたどり着き、ようやく正体が分かった。
トラックの残骸だった。
2人は運転席のドアに近付き、ガルシアさんが車内に手を入れてエアバッグをどけると、それまで見えていなかったものが見えた。運転席に、男性がいた。
死亡していると思い、男性の肩に手を触れたというガルシアさん。「揺さぶると目を覚ました」と振り返る。
驚いたガルシアさんは、すぐに助けを呼ぶようデラトーレさんに促した。
ほぼ1週間ぶりの奇跡的な救助が始まった瞬間だった。
運転席にいた男性はインディアナ州ミシャワカに住む溶接士のマシュー・リームさん(27)。座席にはさまれて20日以来、身動きできなくなっていた。車体は変形して携帯電話には手が届かず、大声で叫んでも助けは来なかった。
州警察によると、リームさんは6日間、雨水を飲むなどしてしのいでいたという。
現地はこの数日、最低気温が氷点下になる寒さが続いていた。
「この天候の中で生きていたのは奇跡だ」と警察は話し、リームさんは命にかかわりかねない重傷を負っていたと指摘する。
ガルシアさんによると、リームさんは2人に発見されるまで、「誰もいないのでほとんど絶望していた」と話したという。
救助を待つ間、リームさんは何度も2人にお礼を言ったとガルシアさんは話し、「あれほどの安堵(あんど)は見たことがなかった」と振り返った。
救急隊が到着した際は、橋の下の現場に機材を搬入することさえ難しかった。26日午後、州間高速道路片側の車線を通行止めにして救出作業が行われ、リームさんはヘリコプターで病院に搬送された。
治療費の支援を呼びかけるクラウドファンディングサイトによると、リームさんは骨折や脚のけがのために手術が必要になる可能性もある。
病院によれば、27日午前現在、リームさんの容体は重いという。
リームさんは談話を発表して発見者や救助隊など関係者に謝意を表し、「どんなに厳しい状況でもトンネルの先には光がある。時にはいちばん予想しない形で」とコメントしている。
リームさんのトラックが道路から転落した経緯は不明だが、ガードレールを外れて車体が宙に浮き、川に転落して橋の下で止まったと思われる。
しかし警察に事故の通報はなかったといい、通報があったとしても橋の下の残骸は見えなかった可能性があると警察は説明。もしもガルシアさんたちにあの日発見されていなければ、リームさんは助からなかったかもしれないと指摘した。
ガルシアさんは、帰ろうとしていた自分たちをトラックの方へと押しやった好奇心に幸運を感じていると語り、「奇跡だって? 自分には分からない」「でも彼を見つけることができて、ただうれしい」とコメントした。