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龍馬の黒幕 明治維新と英国諜報部、そしてフリーメーソン (祥伝社文庫) |
加治 将一 | |
祥伝社 |
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石の扉―フリーメーソンで読み解く世界 (新潮文庫) |
加治 将一 | |
新潮社 |
龍馬の背後にグラバーあり。
今でも観光名所として知られる長崎のグラバー邸のトーマス・グラバーである。
このグラバーはイギリスの武器商人というのが表の顔である。
しかし彼のもう一つの顔はフリーメーソンであった可能性が強い。
坂本龍馬はこのグラバーの代理人として使われた可能性が強い。
龍馬が設立した亀山社中(のちの海援隊)はグラバー商会のダミー会社として利用されていた。
グラバーは当然日本に開国を求めている。
しかしそれに対して反対する急先鋒の藩が長州藩である。
1 ペリーの来航以来日本はまず最初に、開国するかどうかで割れた。
2 次に開国した幕府を支えるかどうかで割れた。
1から開国派と攘夷派が分かれた。
2から佐幕派と倒幕派が分かれた。
この2つの分裂から次の4つの対立ができる。
1 佐幕開国派……幕府を支え、開国する立場。
(幕府、薩摩、坂本龍馬)
2 佐幕攘夷派……幕府を支えるが、開国に反対する立場。
(幕臣小栗忠順ら)
3 倒幕攘夷派……幕府を倒して、開国に反対する立場。
(長州藩)
4 倒幕開国派……幕府を倒して、開国する立場。
(グラバー 明治新政府)
幕末史は佐幕開国(1)で始まり、倒幕開国(4)で終わる。
龍馬は佐幕開国派(1)である。薩摩藩ももともとはそうであった。
ところが長州藩は倒幕攘夷派(3)である。
佐幕攘夷派(2)は、幕末史の最初で幕府によって粛正され、小栗忠順は自害させられているため、表だった活動はなかった。
ということは、幕末史の大きな柱は、
佐幕開国派(1)の薩摩と、
倒幕攘夷派(3)の長州の対立である。
グラバーは開国に反対する長州藩が目障りでしかたがなかった。
だから龍馬を使って、長州藩を攘夷派から開国派に転向させた。長州は倒幕開国派(4)になったのである。
これが1966年の薩長同盟(薩長連合)である。
このときに龍馬が社長を務める亀山社中がグラバーから長州への武器輸送に利用された。
その際に薩摩は、佐幕派から倒幕派に変わった。薩摩も倒幕開国派(4)になった。
つまり薩長同盟は倒幕開国(4)の旗印の下に成立した。
これがグラバーの狙いである。
しかしそれを仲介した坂本龍馬はあくまでも、佐幕開国派(1)である。
龍馬は幕府と薩長の対立が避けられなくなった後も、大政奉還を献策してどうにか徳川の延命を図った。
(大政奉還とは幕府は潰れても、徳川が日本最大の大名として生き残ろうとするものである。)
薩摩と長州が倒幕に向けて走り出すなかで、幕府と薩長の武力衝突を避けようとする龍馬は、次第に孤立していった。
そして1867年、何者かによって暗殺されたのである。
私は坂本龍馬の考え方は穏健でバランスの取れたものだと思うが、明治維新は龍馬の思惑を超えて、幕府の滅亡どころか徳川の消滅にまで進んでいった。
もし龍馬の構想が実現していたら、戊辰戦争といういくさも起こらずにすんだ。
そうなれば日本はもっと穏健な近代国家としての改革を進めていったと思う。
ところがそうはならなかった。
なぜなのか。
そこにはフリーメーソンという背景を持つ武器商人トーマス・グラバーの存在が隠されている。
グラバーは武器商人である。戦争を起こすのが商売である。
長州の伊藤博文や井上馨が幕末のどさくさのなかでイギリスに密航していたことはよく知られている。
その密航の段取りを調えたのがトーマス・グラバーである。
坂本龍馬も極秘のうちに海外に密航していたのではないかと思われる。
当然トーマス・グラバーの手によってである。
それ以後龍馬はトーマス・グラバーの代理人として活躍する。
日本で最初の会社組織といわれる亀山社中もグラバーの援助によって設立されたものである。
今年の大河ドラマ『龍馬伝』にはそのような視点がなかった。
龍馬はグラバーを巧く利用したように描かれている。
しかし事実は逆である。
『スパイに選ばれるのは決まって最下層のにわか侍たちである。龍馬も同じ出である。』
『当時の日本ほど、完全にスパイ活動を行った国はないだろう。……その技術は芸術の域に達していた。』
その後の日本は伊藤博文や井上馨などのグラバーの息のかかった、またフリーメーソンの息のかかった政治家たちによって運営されていく。
歴史ミステリー 『 龍馬の黒幕 』 Vol.1 作家 加治将一
歴史ミステリー 『 龍馬の黒幕 』 Vol.2 作家 加治将一