ひょうきちの疑問

新聞・テレビ報道はおかしい。
2020年のアメリカ大統領選以後はムチャクチャ

エロティシズムと国家

2020-02-29 15:12:37 | 歴史
 エロティシズムの興奮は、宗教的法悦感と似たものをもっているが、そのことをまともに取り上げて論ずることには、何か不謹慎なことでもしているかのような、居心地の悪さがある。
 しかしこの両者は人間に特徴的な感情であり、非常に似た精神作用である。そのメカニズムも似かよっている。
 そのことは人間が発情期を失い、性的興奮を本能によってではなく、知的な精神作用によって生みださねばならなくなったことと関係している。

 さらにそのことは、人間社会における国家の発生とも関係している。国家は、神とも女性とも関係している。建国神話に必ず出てくるものは、この二つ、神と美女である。変形してこれが一つになると、女神になる。

 エロティシズムは、性的欲求の源であるだけではなく、宗教を生みだし、国家を生みだす源泉である。「英雄、色を好む」ことも、これと関係がある。英雄は、色を好み、神仏を奉じ、国家をつくるのである。
 そこにはありとあらゆる感情が注がれる。女性の色気は、国家の崇高さと同じである。少なくともその作り方は同じである。
 女性の色気は、見た目もあるが、本当は見た目と知性との調和、あるいはその乱調にある。乱調の美は、調和がなければ生まれない。
 国家も人を異次元へと導くものをもっている。それは祭りとも関係しているし、戦争とも関係している。祭りと戦争が似たものであることは、昔から気づかれていた。そして祭りは「まつりごと」となり、「政りごと」を生む。「政りごと」とは政治のことである。
 政治にカリスマが登場するのは、その宗教性による。

 国家の発生は、男性よりも、女性のオーガズムの発生に似ている。男性のオーガズムは多分に肉体的なものだが、女性のオーガズムは多分に精神的なものであり、しかも男性のそれよりも格段に強烈なものである。
 このことの意味は、多くの人間は肉体的快楽よりも、精神的快楽が格段と優れていることを知っているということである。この精神的な快楽こそが、人間を突き動かしてきた。

 宗教は精神的なものである。であるならば、国家も精神的なものである。そこに注がれる人間のエネルギーにはすさまじいものがある。
 宗教家と政治家はまったく別のように見えるが、この二つはたやすく結びつく。古来、宗教性のない国家は短命であった。

 女性がどうやってオーガズムに達するか。そのことは国民がどうやって国家の建国に歓喜するかに似ている。
 このオーガズムには、あらゆる器官の神経が動員される。そしてそれがすべて知的なものと結びついている。だからオーガズムは、知的で健康な女性ほど深くなる。
 国民が国家に関心を示さないとき、それはオーガズムに関心のない女性と同じである。また女性のオーガズムに関係なくセックスを続ける男性と同じである。
 そこに人間のセックスの味わい深さはない。

 もし人間がオーガズムの快楽を見失えば、国家は成立しない。

 国家の成立には、性的な結合が不可欠であった。王の娘は、伊勢神宮の斎宮のように、神の配偶者として巫女となった。このことは日本だけではなく、古代オリエント社会など多くの地域で見られることである。神との結合の手段として、一番強烈なものは、性的交わりである。性的交わりのあと、食べられることもある。いまでも「食べる」ということは、「セックスする」ことと同じ意味で使われる。
 年に一度のお祭りの日は、フリーセックスの時であった。そこでできた子は神の子として育てられた。その日は女性がすべて巫女となり、神に捧げられる日だったからだ。誰が父親であろうと、その子は神の子だと信じられた。

 そういう宗教儀礼をとおして、王自身が神の化身として宗教性をもつこともあれば(神王・ゴッドキング)、神官が神の声の受取手として宗教性をもつこともある(神官王・プリーストキング)。
 王の娘や妹が、神との結合の相手として巫女として差しだされることもあれば、王自身が神と同じ布団をかぶって一夜を過ごす真床襲衾(まどこおぶすま)を行い、神と同衾(どうきん)することもある。もし古式に則っているのであれば、昨年の新天皇の即位儀礼でもおこなわれたはずである。

 このようにして人々のもつエロティシズムに触れたものだけが、本物の王として認められた。そうであってこそ、人々はオーガスムの疑似体験を、国家を通しておこなうことができたのである。
 国家とはエロティシズムに満ちた、おどろおどろしいものであった。
 だから国家には、悪魔や邪気などの人間に害を及ぼすものが同時に内在していた。それを国家が封じ込めてくれるから、国家が必要なのである。
 悪魔や邪気の一つに戦争がある。神の命令がなければ戦争は成り立たない。もっと正確にいえば、人々から本物の神だと認められた神の命令がなければ戦争は成り立たない。
 そういう精神作用をおよぼす神をもっている国家だけが、戦争で勝利をえることができた。
 このような神を造りあげる作業と、色気のある女性を造りあげる作業とは、その中身は違っても、その精神作用は同じである。男は、色気のある女性を手に入れるために、血眼になって戦うではないか。
 それは、理性を越えた宗教的な快感をどこかから持ってこなければ、成立しないものである。

 戦後、アメリカが日本から無くそうとしているものは、これである。それはアメリカが無宗教国家であるからではない。アメリカは、いまも強烈なプロテスタンティズムの国家である。彼らは宗教をなくした国民がどうなるか、よく知っているのである。

新型コロナで、戒厳令の準備

2020-02-29 04:58:47 | 教育もろもろ
土曜日

 来週月曜から、新型コロナウイルス対策で、学校が休みになる。
 2月27日(木)の夕方、政府は突然、来週月曜(3月2日)からの小・中・高校の臨時休校を全国に要請した。来年度4月の始業式まで学校は閉鎖される。その日、すでに学校は終わっているから、学校は2月28日(金)だけで、残りの処理をしなければならない。
 他の組織が活動しているのに、学校だけが閉鎖されるのは、なぜか。

 こんな場合、少なくとも、2日の猶予期間は必要である。あまりにも唐突である。
 
 最高裁長官の人事をめぐっても、安倍政権の横暴は度が過ぎている。でもそのことは、新型コロナの陰に隠れて目立たなくされている。
 最高裁判所長官の人事権を握り、司法を味方につければ、裁判沙汰になっても、負けることはない。
 国民の安全にかこつけて、「なんでもやれる」政権を国民に示したいのだ。
 これは戒厳令の準備のようだ。
 だからわざと1日でできるかどうかを試したのだ。

 「このようすだと、戒厳令が発令されても、国民はしたがうだろう」
 その案配をさぐっているのだ。だから現場の混乱をよそに、1日でできるかどうかが、ポイントだったのだ。これは政府による強権発動の実験である。
 そのために、教育機関を利用するのが一番やりやすいのだろう。
 なぜなら、教育機関はすでに安倍の手中に落ちているから。
 しかしなかには、現場の混乱に配慮して、安倍政権の指示に従わなかった都道府県、市町村もある。安倍政権のホンネを見透かしている首長がちゃんといることは、「日本もまだ捨てたものではない」と心強いものであった。 


 私の不安は、新型コロナウイルスもさることながら、教育が安倍政権の手中に落ち、さらに司法までもが行政府の手中に落ちようとしていることである。
 このままいけば、司法が「国に賠償を命じる」判決はありえないことになる。そのことによって、どれだけの国民が苦しむのか。
 この国は平成30年間にどれだけの失政をくりかえしてきたことか。

 このことは新型コロナウイルスよりも、日本の将来にさらなる災厄を及ぼすに違いない。

「紅茶は英国製ではありません」。EU離脱でBBCの教育番組が強烈な皮肉

2020-02-03 06:30:14 | 歴史

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200202-00010003-huffpost-int

「紅茶は英国製ではありません」。EU離脱でBBCの教育番組が強烈な皮肉

2/2(日) 19:05配信

ハフポスト日本版

 

 

イギリスの公共放送BBCが、子ども向けチャンネルであるCBBCの番組で、イギリスのEU離脱を揶揄したとして、注目を集めている。動画を投稿したTwitter上では、賛否の意見が飛び交っている。

【話題となっているBBCの動画】

話題になっているのは、CBBCの人気番組「Horrible Histories(おそろしい歴史)」。学校で教わらない歴史の側面を、面白おかしく紹介するコメディー番組だ。イギリスがEUから離脱した1月31日に、CBBCの公式アカウントで動画をTwitterに投稿。日本時間の2月2日までに290万回以上再生されている。

動画は、「イギリスはヨーロッパを去る。行け、イギリス!」と男性が呼びかけて始まる。ヴィクトリア女王に扮した女性が、「イギリスのもの、イギリスのもの」と歌いながら、紅茶を頼み、砂糖を入れようとする。すると、サーブしようとしたばとら男性が「紅茶はイギリスのものではなく、インドから持ってきたものです」「砂糖はカリブ海から輸入されました」と矢継ぎ早に、「不都合な真実」を女王に告げる。

ヴィクトリア女王は、世界中に植民地支配を広げた大英帝国時代を象徴する存在として知られる。紅茶の紹介では、インド支配の過程で多数の犠牲があったことや、カリブ海での砂糖生産は奴隷労働があったことなどにも触れられている。

真実を告げられ、女王の表情はだんだんと険しくなってきたところで、「イギリスのものはたくさんあると思っていたけど、実はあまりない」と告げられる。

極めつけが、イギリス王室だ。バトラーから「女王も外国由来だ」と突きつけられると、女王もついに「それは正しい。私も外国の家系がある」「夫はドイツ人だ」と明かす。「少なくとも私はイギリスの名前を持つ」と女王が苦し紛れに言うと、男性は「ヴィクトリアはラテン語です」ととどめを刺す。

動画は「私たちの大好きなイギリスのものは他のどこかから来たようだ」と歌い上げ終わる。

Twitter上に投稿された動画は、290万回以上再生され、6000回以上リツイートされている。投稿には、「反イギリス的なプロパガンダ」「BBCが潰れるのを待ちきれない」と批判するコメントがつく一方で、「素晴らしいビデオだ。この国の真実と歴史を人々に教えてくれてありがとう」とするコメントもついている。

中崎太郎/ハフポスト日本版


「新型ウイルスはバイオ兵器?」の噂が囁かれる背景

2020-02-03 05:17:46 | 国際・外交(日米関係)

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59168 JBPRESSより


「新型ウイルスはバイオ兵器?」の噂が囁かれる背景

疑いの目が向けられるバイオ研究所の存在と中国のいびつな対応
2020.1.30(木) 福島 香織



新型コロナウイルス肺炎の感染が拡大し封鎖された中国・武漢市(2020年1月27日、写真:AP/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 中国武漢で発生した新型コロナウイルスは、すでに確認されているだけで感染者は6000人規模、疑似感染1万人規模、6万人近くが感染者接触者として医学的観察を受けている。死者は1月28日24時時点で132人。治癒・退院患者の103人を超えてしまった。

 このまま増え続けるのか、感染のピークはいつになるのか。そして中国当局は出すべき情報をきちんと出しているのだろうか。たとえば、このウイルスが本当に自然発生的なものなのか、という疑いは、一部の専門家たちもひそかに思っている。

4~5月にピーク、減退は6~7月か?

 ピークについて、中国の中央の専門家チームのリーダーでもある呼吸器感染症の権威、鐘南山は「(ウイルスへの対策がうまくいけば)10日か1週間以内にピークを迎え、スーパースプレッダー(感染拡大の感染源となる患者)も登場せず、大爆発的な感染にいたらない」との見方を新華社通信などを通じて示した。

 一方、香港大学医学院の梁卓偉院長が研究モデリング分析をもとに予測したところでは、目下の新型コロナウイルス感染者は6.2日ごとに倍増しており、武漢市ではすでに4.4万人が感染、全体として4~5月にピークを迎え6~7月ごろにゆっくり減退していく、と1月27日の記者会見で語っている。


信じ
たいのは鐘南山の意見だが、説得力があるのは梁卓偉の見立てだ。素人目にみても今回のコロナウイルスの感染力はただごとではない。初症例が出たのは12月初めで、わずか2カ月前なのだ。SARSはスーパースプレッダーの登場で世界に広がったが、通常の感染率はさほど高くなかった。おかげで4カ月以上の隠蔽のあとでも感染経路が比較的分かりやすく、だからこそ封じ込め作戦も効果的だった。


 だが、今回のコロナウイルスは1月2日までの患者をもとに分析した研究では、濃密接触者の85%が感染しているという。しかも咳や熱の症状が出ていない潜伏期間が2週間に及ぶこともあり、その間も感染するとみられている。武漢からの中国人ツアー客を乗せた奈良の観光バスの運転手が感染したということは、元気に観光している一見健康体の人間から感染しているということで、これは非常に深刻な事態だ。効果的な封じ込めや水際防止は事実上困難、とみていいだろう。

成田経由で武漢から1万人が来日していた

 ちなみに武漢は1月23日から都市封鎖されているが、春節移動はその3週間前からすでに始まっていた。1月23日以前に500万人が武漢を離れ、(300万人が武漢に入って)市内に900万人いると、武漢市長の周先旺が記者会見で発表している。

 武漢を離脱した500万人の内訳をみると、7割が湖北省内の地方に行き、6万人以上が北京へ、5万人以上が上海、広州、成都へ、7000人以上が香港、6100人以上がマカオへ、7500人以上が台湾(桃園、高雄、松山空港経由で)へ移動したという。海外へは多い順にバンコク(2万0558人)、シンガポール・チャンギ(1万0680人)、東京・成田(9080人)。なんと、日本に成田経由で武漢から1万人近くも来ていたのだ。

 おそらく専門家の間では、すでに日本の感染状況予測などもモデリング計算され、効果的な防疫対策がとられているはず、それができる実力が日本にはある、と私は信じたいのだが、心配なのは、それに必要な基礎情報がきちんと中国から得られているのかということだ。


 ち
なみに、武漢市長の周先旺はCCTVのインタビューで、「もし感染がコントロールできるならば免職すら願う」といった悔恨の意と、情報を適時に公開できなかったことについて「中央から許可を得てからやっと情報公開ができるのだ。多くの人には理解してもらえないだろうけど」と発言し、対応の遅れなどは中央に責任の一端があることを示唆した。党中央の喉舌(宣伝機関)であるCCTVで、地方の市長レベルの官僚がここまで明確に中央を批判することの異常さに、多くのチャイナウォッチャーが驚いている。

 周先旺によれば、1月20日の国務院会議で、武漢の肺炎を一類伝染病に指定することが決定された。この決定によって地元政府が責任を負うことになり、市としての具体的措置をとることができるようになったという。これは1月20日までの情報隠蔽を事実上認める発言であり、同時に、末端の公務員の間にも、中央メディアにも、習近平政権のやり方に対する不満がたまっていることがうかがえる。


囁かれる「研究所からウイルス流出」の噂

 今回の最初の発生例から現在までの経緯を振り返ってみると、SARSとの闘いを経験した中国当局としてはかなりいびつな対応だ。初期対応が明らかにおかしいのは、前回の当コラム(「新型肺炎が感染拡大、やはり隠蔽していた中国政府」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59081)でも指摘したとおりだが、その後、金銀潭医院の医師たちが医学誌「ランセット」に寄稿した分析によれば、初期から発生源が多源的であった可能性がわかっていた。金銀潭医院が収容した初期の41人の患者(1月2日まで)について調べたところ、12月1日に入院した最初の1例を含めた最初期の患者4人のうち、3人が華南海鮮市場とは関係がなく、また呼吸器症状も出ていなかったという。また41人中、華南海鮮市場が関与しているのは27人だった。

 同医院の副院長、黄朝林は「財新」のインタビューで、移動する野生動物が発生源の可能性を示唆している。海鮮市場は漢口駅から1キロほどの位置で、ここで買い物をして列車に乗る人も多いから感染拡大が早かったとみられているが、その前に、市場に感染を持ち込んだ動物、あるいは人間がいる、かもしれないというわけだ。

 そこで、急に気になってくるのが、この市場の32キロほど離れたところにある「中国科学院武漢国家バイオセイフティラボ(生物安全実験室)」の存在である。このラボは中国最初のP4(レベル4、BSL-4、密閉式で危険なウイルスを取り扱うことができる)のラボであり、2015年1月末に竣工、2018年1月に正式運用が始まっている。SARS感染を経験した中国がフランスに技術協力を求めて建設されたラボである。新型コロナウイルスはこのラボから流出したものではないか、という噂は専門家も含めて気にしている。

 実は2017年2月の英科学誌「ネイチャー」に、米国のバイオセイフティコンサルタントのティム・トレバンが、中国の官僚文化の伝統からみてこのラボは安全ではない、と警告していた。


 実
際、2004年に北京のラボからSARSウイルスの“脱走”事件があり、また2012年にカナダ国家微生物学ラボ(NML、カナダ唯一のBSL4ラボ)から中国系研究員の“スパイ”が非常に安全ではない方法(郵送)でエボラウイルスなどを持ち出そうとした、あるいは持ち出した、とカナダのテレビ(CBC)が昨年夏に報道したことがある。この事件が直接、今回の新型コロナウイルスと関係あるわけではないようだが、中国がウイルス兵器の研究を行っているのではないか、その目的のためにフランスの技術供与を得て武漢にBSL4のラボを建設し、カナダからウイルスを盗み出したのではないか、しかし一方で、中国はウイルスの安全管理に対する感覚が甘いのではないか、という疑いの目はずっと向けられていた。

 ちなみに武漢のラボは中国科学院と武漢市の共同建設ということになっているが、実は人民解放軍系の施設だとみられている。当初の計画では、設計を請け負うのはフランスの会社だったが、最終的に解放軍系の企業が請け負ったという。


 トレバンがネイチャー誌で訴えた懸念は、武漢のラボで動物実験が行われることになっていた、という点だ。中国でこうした動物実験が行われる場合、欧米などと比べて規制が甘い。だからこそ、ワクチン開発などのスピードが速いと世界からの期待もあるわけだが、同時に危険な実験も安易に行える。2018年に運用開始したこのラボにすでにエボラウイルスやSARSウイルスなどのコロナウイルスが集められていたことは公にされているし、サルが実験に使われていたともいう。

 また、イスラエルの軍事情報官のダニー・ショーハム(バル・イラン大学タスパーク・サダト戦略研究センターで中国のバイオ兵器戦略を専門に研究)が統一教会系米国紙のワシントン・タイムズの取材に対して、武漢には2つの軍事用生物化学兵器開発のためのラボがあり、「新型コロナウイルスは兵器用に開発されたものではないか」というかなり大胆な問いかけを行っている。異様に感染力の強い謎のウイルス。地方は情報に関する権限が与えられず、中央の動きも鈍く、情報隠蔽も行われていた。その一方で、ウイルスが海外に出たと知れるやいなや、都市を封鎖し、渡航禁止措置を発令といった党中央政府の慌てぶりが、解放軍マターであるとすればなんとなく納得がいく気がする。中国のネット上では、このウイルスがSARSと同じく中国人をターゲットにした米国のウイルス兵器であり、バイオテロだ、といった陰謀論が流れているが、これこそが事実を隠蔽する情報戦ではないか、とショーハムは言うのである。

 こうした“怪情報”をどこまで信じるかは読者にお任せする。だが、まことしやかにこうした言説が流れてしまうくらい今回の中国の対応はいびつだということだ。こうしたいびつさの背景に、いまだ明らかにされない重大な問題が隠されているのではないか、と疑われてしまうのは致し方ない。

末期症状を示す共産党独裁体制

 この数年、特に習近平政権2期目が始まって以降、末端の官僚と中央の間に大きな不信感の溝があり、中国をこれまで支えていた官僚機構が機能不全に陥っている傾向が見えることは何度か指摘してきた。それがウイグル問題の内部文書(新疆文書)の流出や、香港デモの対応不全や、経済の予想以上の減速、そして今回の新型コロナウイルスの対応に表れている。


 今
回の、習近平の大号令ですぐに都市封鎖したり海外渡航禁止令を発令する行動力を「さすが一党独裁」と評価する声が一部で聞かれるが、私は習近平が声を上げなければ何も動かない中国のシステムの危うさがむしろはっきりみえたと思う。つまり官僚の末端が能動的に動くことを放棄し、サボタージュを決め込む。これは習近平個人に権力を集中しすぎ、有能な官僚政治家たちを自分の権力を脅かす敵として大量に失脚させてきたことのツケともいえる。体制がこういう末期症状を示すとき、いろいろな災いは続く可能性がある。たとえば原発事故や、偶発的な軍事的衝突などなど。そういったものへの警戒をいま一度持つことだ。

 さて、厳しい予測をいえば新型コロナウイルスの感染は7月まで続くことになる。とすれば、もはや習近平の国賓訪問どころではない。東京五輪が無事開催できるかも心配になってくる状況だ。重大感染地域(中国)と世界の人、金、モノの流れが絞られ、米中対立の先鋭化で始まった西側経済圏、グローバルサプライチェーンからの中国分離は今後加速することが予想される。今回の新型コロナウイルス感染拡大は、世界が100年に一度の大変局を迎えるプロセスで、今後の米中ヘゲモニー戦争の行方を決定づける要素となるかもしれない。

 そこで、まず日本が注意すべきは、中国と一緒に西側世界からデカップリングされてはならないということだ。日本は中国との距離感を慎重にはかりながら、西側国際社会と連携しながらこの危機を乗り越えていかねばならないし、それができる実力を備えていると信じている。