今年8月に閉鎖が決まった、セラフィールドMOX燃料再処理工場関連の記事です。
東京新聞 (2011年10月18日 10時26分)
日本負担の数十億円無駄に 英MOX燃料工場の閉鎖で
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011101801000149.html
[ロンドン共同] 原発の使用済み核燃料を再利用するプルサーマル計画をめぐり、日本の電力10社が費用負担して改修工事が進んでいた英国のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料工場の閉鎖が決まったため、既に拠出した少なくとも数十億円が無駄になったことが18日、分かった。関係筋が明らかにした。
工場閉鎖の直接的な原因は、東京電力福島第1原発事故で「日本がMOX燃料を受け入れる見通しが立たなくなった」と英側が判断したためだ。
工場の改修が必要になったのは以前から故障が相次ぎ、計画通りにMOX燃料の製造が進まなかったという英側の事情からだった。
さて、インターネットの記事はここまでなのですが、本日の東京新聞の夕刊にある記事には、このあとにこう続いて書かれています。
日本側は、英国に搬入した使用済み燃料から取り出したプルトニウムは、安全上の理由により英国内で加工するしかないため、やむなく改修費用を負担。さらに想定外の工場閉鎖で、支出済みの改修費が完全に無駄になる事態に陥った。
電力業界は「閉鎖決定はやむを得ない」としているが、こうした費用は最終的には電気を使う消費者に跳ね返るだけに、業界の説明責任が問われそうだ。
工場は英中西部セラフィールドに英政府の外郭団体、原子力廃止措置機関(NDA)が所有。東京電力、中部電力など原発を持つ日本の電力10社は1969年から使用済み核燃料を英国に順次輸送していたが、工場のトラブルのため日本のMOX燃料はまったく製造できていなかった。
このため10社は昨年4月、工場設備の改修などで日本側が数百億円負担する契約をNDAと締結。浜岡原発(静岡県)向けMOX燃料製造を目指し中部電が先行して作業を進めていた。
関係筋によると、閉鎖には日本側も同意したため、違約金などの請求はできなかった。
さて、記事の後半は若干疑問が残る部分がありますが、それはともかく、日本の電力会社がいかに巨額を「一番割安」といわれていた原発のためにかけていたことがわかります。
セラフィールドの工場閉鎖自体は喜ばしいですが、金銭面だけみると日本は大損。
7月に書いたブログ、『沈みかけている船アレバ、九州電力の理性』
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20110710
で、フランスへのウラン濃縮工場ジョルジュ・べスII についての記事も紹介しましたが、このプロジェクトにも大金が注がれているままなのでしょうか。
参考:
『セラフィールドMOX燃料再処理工場閉鎖、人間扱いされていない原発請負労働者』
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20110804
『セラフィールドMOX燃料再処理工場-2007年ガーディアン紙の記事』