Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

セラフィールドMOX燃料再処理工場-2007年のガーディアン紙の記事

2011年08月04日 | 原発・核・311

英国セラフィールド工場について、2007年のガーディアン紙の記事の紹介が、Jan Jan News (by 桐生広人氏)にありましたので、リンクと抜粋を貼り付けます。

閉鎖となるセラフィールドのこの工場は、海洋汚染として取り上げられることが多かったようですが、ここまでしていたとは絶句です。(日本も他人事では済まされません。)

遺族に無断で臓器を摘出・英核燃料再処理(1)(2007629日)http://janjan.voicejapan.org/world/0706/0706280021/1.php

抜粋:

 イギリスの新聞「ガーディアン」によると、1960年代から90年代初期にかけて、65人の死亡した労働者などから臓器や組織片の摘出が行なわれていたことを、4月18日に通商産業大臣(Alistair Darling)が発表し調査に乗り出した。

 臓器や組織の分析記録は再処理工場を運転するBNFL(旧イギリス核燃料公社、現BNG)が持っているものの、サンプル自体は分析によって破壊され、廃棄されたので今は残っていないという。しかし、過去のセラフィールド労働者の臓器摘出と放射能検査が、だれの指示で、何の権限と目的のもとで行なわれたかについてBNFLは明らかにしないとガーディアンは書く。その後5月には、労働者の遺族が損害賠償を得るために資料を公開するよう促す公聴会の開催を求めているという。

ウイリアム少年の白血病・英核燃料再処理(2)(200771日)http://janjan.voicejapan.org/world/0707/0706290081/1.php

抜粋:

 イングランドのリバプールにある王立アルダーヘイ小児病院は西ヨーロッパでは最大規模の小児病院といわれる。しかし1999年、1990年代に同病院で亡くなった赤ちゃん約850人から2000あまりの臓器を、親の許可なく秘密裏に採取、院内に貯蔵していたことが発覚した。

 亡くなった子どもの臓器の返還を求める親たちが病院に殺到、さまざまなトラブルが起きた事件があった。その時の調査委員会議長だった弁護士が今回の事件調査の議長に就任したことから、人々に「baby-harvesting(赤ちゃん収穫)」スキャンダルを思い起こさせたとガーディアン紙は指摘する。

私は、「ガンと放射能 英国科学者が警告」で、北ウエールズのメーナイ海峡周辺で00~03年にかけて、白血病と小児がんと診断された子ども40人が地元テレビ局iTVによって確認されたことを記した。

 これらのガンになった子どもたちが入院する病院がこの王立アルダーヘイ小児病院である。骨髄移植、口唇や口蓋裂、心臓や頭蓋などの手術や治療の専門診療科がある。これらの幾つかは放射能汚染に関係する先天性奇形や脳腫瘍、白血病などの疾病によく対応する診療科のようにもみえ、小児がんの専門病院ともいえる。

 また、セラフィールドの放射能でひどく汚染されたアイリッシュ海を視界におさめる大都会リバプールは、人々の健康と関係の深い放射線被曝の影響を調べるには絶好のポイントともいえよう。ところが、90年代の異常な赤ちゃんからの臓器採取と放射能汚染が関係するような証拠は調査でもほとんど見つかっていない。

 病院側は「小児科医療の向上のために赤ちゃんの臓器を預かっている」と主張するだけだった。実際、臓器サンプルが分析された形跡は少なく、大部分が放置されていたと言われ、採集の目的に謎は深い。

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セラフィールドMOX燃料再処理工場閉鎖、人間扱いされてない原発請負労働者

2011年08月04日 | 原発・核・311

82日のWorld Nuclear News(WNN)に、英国セラフィールドにある、MOX燃料再処理工場から再処理をした使用済み核燃料(廃棄物とウラン・プルトニウム)を日本に向けて送り出された記事がでていましたが、

Nuclear waste shipment begins

http://www.world-nuclear-news.org/WR_Nuclear_waste_shipment_begins_0208111.html

83日の記事では、この工場が閉鎖になることが書いてありました。

Sellafield MOX plant to close

http://www.world-nuclear-news.org/WR_Sellafield_MOX_plant_to_close_0308111.html

日本の福島原発事故、そしてドイツの脱原発による受注の見込みが減ったことが、経済立て直しを急がされる英国に決断させたようです。

さて、ところでこの3日の記事のなかで、600人のプラントワーカーが失業することを懸念する箇所があります。

しかし、再処理工場で働く人-これも原発従事者と同じで、そもそも安い賃金で健康や命を犠牲にして働いている人たち(特に請負労働者)も多くいると思います。

失業の心配よりも、仕事をしているときのこの状況を、WNNなどは決して取り上げなかったことでしょう。

ちょうど、フランスねこさんが、原発従事者(請負作業員)についての記事を翻訳して紹介してくださっています。リンクと抜粋を貼り付けます。(是非、リンクから全文をお読みください。)

なお、記事中、フランスのストライキに触れていますが、日本では、下請けの人たちがストライキを起こすことさえありせん(「起こせない」という方が正しいか・・)。

『「514日、福島原発における請負作業員の死がドイツ人に与えた衝撃/Jungle World &クーリエ・アンテルナショナル(728日)』

http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/514jungle-world.html

抜粋:

1. 原発で働く請負作業員の現状 ~福島からフランスへ~

514日に福島原発で起きた請負作業員の死は(注1・注2)、ドイツ国内に論争を巻き起こした。私たちは突如として、これまでも大した秘密ですらなかった事実に気がついたのである―原子力発電所では、最も困難で最も危険な仕事を、ろくな給料も払われず、社会保障もほとんど受けられず、原発の停止時期に合わせて原発から原発へと渡り歩くしかない、そんな請負作業員たちにやらせている、という事実を、である。

これは、日本だけの問題ではない。たとえばフランスには3万人以上の「原子力の流浪民」がいる。エリザベス・フィロルは「発電所」という題名でこうした請負の原発作業員たちの話を集めた小説を福島原発事故の前に出版していた(Elisabeth Filhol, ? La Centrale ?)。

ドイツ人ジャーナリストのハンス・ヴォレーはフランスの原発で働く請負作業員の状況をドイツ国営放送のために取材した。それによると、燃料棒を入れ替えるため原子炉を停止させる度に、フランス中から何百人という請負作業員たちがやってきて、何週間もしくは何ヶ月もの間、原発の近くにキャンピングカーをとめてキャンプをする。もしくは自分の車の中で眠る者すらいるのである。

ハンス・ヴォレーによれば、彼等は年に4万から7万キロの距離を移動するが、月に手取りで1400ユーロ(約154千円)も稼ぐことはない。20年の経験があっても、である。これらの作業員たちは以前よりますます厳しいプレッシャーの中で働かされている。以前は燃料棒をとりかえるのに原子炉を2ヶ月停止させた。現在は同じ作業に原子炉を1ヶ月以上止めることはない。原発の流浪民は常に危険と背中合わせだ。労働法によって決められている「年間20ミリシーベルト」という被曝許容量の上限を超えないよう、びくびくせざるを得ない。この上限被曝量に達した作業員は、仕事を失うのである。

2. ドイツにも存在する「被曝を強制される最底辺労働者」

フランスでは、公営の大グループであるフランス電力公社(EDF)が原子力産業の運営を行っている。しかし、労働者が働く業務環境には何の良い影響も見られない。原発の維持管理のために原子炉を停止する期間中、最も危険な業務は請負作業員たちによってなされる。414日付けの「週刊フォーカス」が報じたところでは、国立健康・医療研究所(Inserm)はフランスにある原発で働く関係者全体が受ける放射線量の80%までを請負作業員たちが浴びていると述べている。2年前、請負作業員たちを正式雇用に切り替えるようEDFに求めるストライキがフランス原子力産業に対して起こされたが、むなしい結果に終わった。

ドイツの原発でも同じことが起きているのだろうか?

恐ろしいほどの類似点が存在する。原発で働く関係者のうち、その大多数を外部企業の雇用者が占めている。実際、66日にドイツ政府が発表したところでは、一時的に停止されているものを含む全国12基の原発と17基の原子炉において、24,346人の請負作業員が働いているが、これに対し正社員の数は5,298人にすぎない。こうした不安定な契約で雇われた「請負」たちが、燃料棒を取り替え、高い放射線区域で管を修理し、燃料棒保管用プールの洗浄を行っている。

シーメンス社によれば、非常時に原発を停止させるための制御棒の交換もまた、こうした非正規社員によってなされている。ドイツでも、原発を稼働させているのは基本的に低い賃金しか払われていない労働者たちなのである。

外部からやってくる作業員たちが作業を行うのは年一回、原発を止めて検査を行う時である。エーオン、アール・ヴェー・エー EnBW(全てヨーロッパ有数のドイツ電力企業)といった原発運営企業が専門技術を持つ労働者のみならず技術レベルの低い作業員についても集合の号令をかける。部品を製造したメーカーより派遣された技術者を除き、これらの労働者の大多数が人材派遣会社から送られてきている。フランス同様ドイツでも、原発の検査期間は過去数年間のうちにどんどん短縮されている。これには原発の停止期間を最小限にとどめ、コストを下げる狙いがある。

たとえばネックカルヴェストハイムにある原発ではこの5年のうちに検査に要する期間が33日から17日に短縮された。検査はますます形骸化しており、事故の危険を高めている。「週刊金曜日」によれば、ドイツでも被曝量の高い作業を請負に出している。1980年以来、一時雇用の作業員たちが浴びる放射線の量は増え続けており、原発がますます最底辺の労働者に危険な仕事をまかせていると推定せざるを得ない。こうした請負作業員たちは生活を維持するために何度も出稼ぎを重ねざるを得ない。しかし働けば働くほど、より多くの放射能にさらされるのである。

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