Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

「フリーズ」状態のエネルギー政策、人工メタンハイドレートや南関東のガス

2011年05月24日 | 環境・エネルギー

ニューズウィーク日本版のコラムより:

「フリーズ」状態のエネルギー政策、濃厚な空気を打開する道筋はあるのか 

http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2011/05/post-298.php

それにしても日本における原発懐疑の空気は濃厚で、定期点検中の炉の再稼働をスムーズに認められる県はどこにもなくなる中、現在稼働中の炉も続々定期点検に入るという流れが続きそうです。事故直後の早い時期から一部の原発懐疑派から「脱原発は意外に早く可能」だという発言がありましたが、こうなると本当に2012年の前半には日本の原発は全炉が停止状態になってしまいます。

 いくら何でもそんな事態は行き過ぎだと思うのですが、今のところ政府には「福島の事故を受けた安全基準」を責任をもって示す動きはありません。それどころか、政府から発信されるメッセージのほとんどが、福島第一の問題だけでなく、日本全国での「脱原発」の動きを加速するようなものに結果的にはなっているように見えます。

 例えば、先週には経産省サイドから「原発輸出政策の見直し」という方針が出されたかと思うと、海江田経産相は「ベトナムと韓国を対象とした原子力協定について国会承認を見送る」方針を発表しています。「事故を起こして申し訳ないので、危ない日本の技術を供与するのは日本として遠慮したい。ついては政府間で署名している合意だが国会承認をストップする」というわけで、これも「脱原発」の潮流に沿うためなら相手のあることでも仕方がないという感じです。

(中略)

そのように官界や財界が「超防衛モード」に入っているのであれば、中長期的なエネルギー政策など冷静に議論できるはずもないのです。世論が感情的だからだけではなく、官界や財界が「過度に恐れて」いることも理由の一端です。

 キッカケをつかむためには、とにかく世論調査の方法を変えることです。

 NHKが浜岡停止の直後に行った調査のように、「浜岡の停止に賛成か反対か」とか「原発は拡大、維持、縮小、廃止のどれか」などという単純な調査で、中長期の日本経済の盛衰が判断されてはたまったものではありません。第一、聞かれた方も聞かれたままに答えただけで、そんな責任を押し付けられても迷惑でしょう。

 例えば浜岡ですが、再稼働についても聞くべきです。「(1)津波防護壁が完成したら再稼働しても構わない、(2)防護壁に加えて全電源喪失の対策が講じられれば再稼動しても構わない、(3)全国的な新安全基準を政府が決定し、その基準を満たせば良い(4)再稼働は一切行わず浜岡全機は廃炉」少なくとも、こうした4つの選択肢を示せば、その差異、現地と遠隔地の違い、恩恵を受ける中京圏の反応、福島の反応、東京の反応などから立体的な世論が浮かび上がって来るのではないかと思うのです。

 原発政策もそうです。「(1)国際的な競争力も国民の生活水準も低下して構わないので原発依存からの脱却を加速すべき、(2)脱原発を前提とするが、産業の競争力と国民の生活水準を維持しながら順次エネルギーの多様化を実現すべき、(3)まずこの夏の電力需要に不安のないように発電量を設定して、そこから許される原発の稼働数を逆算すべき、(4)浜岡以外の津波の危険が低い原発は従来の基準で再稼働すべき」このような選択肢で調査をすれば、世論の複雑さや濃淡は明らかになるでしょう。

(後略)

このコラムの題名は、『「フリーズ」状態のエネルギー政策・・・』ですが、むしろ『「フリーズ」状態の原子力政策・・・』とすべきだったと思います。

書き手の冷泉彰彦氏は比較的好きな論客なのですが、今回のコラムの場合、私の考えが彼と対極にあるせいもあって、彼の案じることが私には「歓迎すべきこと」だったり、違和感を覚える部分がいくつかあります。

世論調査については、私は『原発容認派が過半数以上とした調査結果』しか目にしたことがないので、反対の意味で彼の「世論調査の方法を変えよう」という意見には同意します。

(ただ、彼が提示する質問項目は偏りがあるように思われるので、そのまま使うのは問題だと思います。)

『「フリーズ」状態のエネルギー政策』という題名を使うとしたら、これは現在ではなく、原発政策を推し進めようとした段階で使うべきだったのでしょう。

最近ガスのことを勉強しだしましたが、たとえば、「日本近海の天然メタンハイドレートには注目が集まっているけど、人工のメタンハイドレート技術をもっと促進させれば良いのに」「南関東にはガスがたくさん埋まっているが、地盤沈下を理由に採掘を認められているのは昔から採掘している数社といくつかの個人だけ。採掘しなくても空気中に放出されたり、ガス爆発を起こしたりしているのだから(大地震が関東を襲うと地中からガスが出て大火災を起こす可能性もあり)、本当はもう少し採掘しても良いのではないか」「ガスの幹線パイプラインの整備は、もっと国が主導してやるべきだったのではないか」等々、素人ながら、ガスについてだけでもいろいろ疑問が沸いてきます。

エネルギー政策をフリーズさせたのは政府のせいだったと思いますが、元を正せば、勉強してこないで受入れた、国民一人ひとりのせいでもあったのでしょう。

参考:

①「天然ガス、輸送と日本における幹線パイプラインの敷設の問題点」200412月の論文(札幌学院大学 山本純氏、秋山雅彦氏)のPDFをネットで検索してみてください。古いものですが、大変勉強になりました。

②経産省資料、メタンハイドレート (2008)

http://www.meti.go.jp/press/20080423006/06.m_h.pdf

③関東天然瓦斯開発株式会社-天然ガスの歴史、質問コーナー

http://www.gasukai.co.jp/gas/index2.html

http://www.gasukai.co.jp/gas/index6.html

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