Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

『北方領土』を利用する者、振り回される者

2011年03月01日 | 国際・政治

昨日のWedge Infinity 『北方領土、民主党が見逃したロシアのサイン』(国際政治学者・廣瀬陽子氏)の記事は、最近のもののなかで一番的を得ているように思えたので、抜粋を貼り付けます。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1251

抜粋:

・・・・日本が北方領土交渉で逃してきたいくつかのチャンスについては、これまで多くの研究や回想録などが出ているので詳述しないが、日本は歯舞・色丹の「二島返還」(ただし、歯舞は群島であるが便宜的に「島」と書かれる)であれば、勝ち取れたかもしれない機会を何度も逃してきた(歴史的経緯を純粋に考えると、国後・択捉は日本がサンフランシスコ条約で放棄してしまった千島列島に含まれる可能性が否定できないが、歯舞・色丹は学術的研究によっても領有権を主張できると見なされている)。そして、昨年のメドヴェージェフの国後島訪問以後は、ロシアは「二島返還」の可能性も完全に封印し、非常に厳しい姿勢になり、交渉は当面難しい状況になったかに思われた。 

 しかし、実はチャンスはあった。そのチャンスを日本はみすみす逃してしまったのだ。

 実は、24日にメドヴェージェフ大統領は定例の安全保障会議で、セルジュコフ国防相の北方領土訪問を受け、当地の軍備の近代化を進める方針を表明していた。だが、同時に大統領は、日本とは平和条約締結問題を含め、あらゆる局面での関係発展を進める必要があるとし、日露関係を戦略的パートナーシップの新段階に引き上げたいと強調していたのである。この発言は日本に対して重要なメッセージを含んでいた。

 第一に、大統領が北方領土訪問直後に「ロシアは1956年の日ソ共同宣言を履行しない考えを固めた」という決意を表明していたにもかかわらず、「平和条約締結問題」の協議を継続する用意を示したことだ。そうだとすれば、日ソ共同宣言で謳われているように、平和条約を締結して色丹、歯舞両島を日本に返還することで領土問題の解決とするというラインをメドヴェージェフ大統領も踏襲することにしたと読み取れる。

第二に、日本と「戦略的パートナーシップ」を構築していきたいという意向が表明されたことだ。2004年に中露が懸案だった領土問題を解決してから、ロシアは東アジアのパートナーを中国と決め、関係を強化してきた経緯があることを考えれば、「戦略的パートナー」関係の構築と「領土問題解決」は切り離せない関係であるとも言える。大いに期待が持てたとも言えるのだ。

しかし、これらのメッセージに対し、日本側は全く反応をしなかっただけでなく、その3日後に、菅首相が「許し難い暴挙」という発言をしたため、ロシアはその発言こそが、メドヴェージェフ大統領のメッセージへの回答であると受け取ったのである。(中略)

筆者は、既述のようなロシアの最近の動きの中で、ロシアの進出が、日本の領有権が歴史的には疑問視されてきた国後、択捉両島のみならず、歯舞・色丹両島にまで及んできたことを最も懸念している。既述のように、歯舞・色丹両島については日本が胸を張って領有権を主張できるはずであり、実際、ロシアもそれには配慮し、日本に返還する姿勢を見せたことも何度もあった。昨年から始まったロシア首脳陣の北方領土訪問も、国後、択捉に限られており、日本への配慮は守られているかに思えた。しかし、中国や韓国の企業や投資は、色丹島にまで進出してくる模様であり、また、まだ予定ながら、3月にはアンナ・チャップマン率いる「若き親衛隊」も国後、択捉両島のみならず、色丹島にも訪問する予定だとされている。日本にとって最後の聖域といえる色丹、歯舞両島にまでロシアの主権が誇示され、特に外国資本や企業まで入ってきて、それが「ロシアの法」に基づいて活動をすれば、日本はその二島ですら取り戻せる可能性は極めて低くなることは間違いない。筆者は、もちろん、最終的には四島すべてが返還されることを望んでいるが、四島一括返還はロシア人住民の人権問題もあり、極めて難しいと考えている。そこで、まずは二島を返還してもらってから、北方領土の経済開発などで協力し、信頼関係を構築しながら、残りの二島の返還について粘り強く交渉していくという路線が現実的だと考えていたが、それももはや難しくなった。・・・・

中国といえば、嘗ては「北方領土は日本領」と日本に同情してきた中国も、ここへきて方向を転換しつつあるといいます。(現在もロシアからのビジネスのお誘いに反対する人達もいるようですが。)

北方領土と直接関係がありませんが、ロシアの方でもプーチン首相とメドヴェージェフ大統領の権力争いかどうか、プーチン批判もあったり。たとえば、本日の東京新聞から、“「極秘に宮殿」プーチン氏疑惑続々”の記事もその一つ-

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2011030102000032.html)、落ち着きつきません。

メドヴェージェフ大統領が、国内の『受け』を狙って『北方領土』を使っている部分が大きいと、私には思えます。

コメント
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