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なにわB級グルメ探訪14 なんば自由軒の名物カレー

2009年11月15日 15時30分12秒 | なにわB級グルメ探訪
   

 今日は久しぶりに、このシリーズについての記事を書きます。
 今回取り上げるのは、大阪・難波千日前にある老舗洋食「自由軒」です。この老舗は、作家の織田作之助も好んで食べたという、あの名物カレー(右上写真)で有名です。このカレーは、実は私も既に何度か食べてはいるものの、ブログではまだ取り上げていなかったので、この前の休日に再び食べてきました。

 この「自由軒」の店名は、自由民権運動の活動家でもあった創業者が、当時「自由」「ハイカラ」の象徴でもあった西欧料理を、もっと日本でも気軽に食べられるようにとの願いを込めて、1910年の開業時に付けられた所に由来します。ご飯とカレーを混ぜてその上に生卵をまぶした名物カレーも、この時に誕生しました。
 やがて、それが大阪人の好みに合い、織田作之助の小説「夫婦善哉」にも取り上げられる所となりました。その後、店は戦災で一旦焼失の憂き目に会いますが、戦後まもなく再建され、現在では難波千日前の本店の他に、市内港区や堺に支店を構えるまでになっています。その途中では、二代目経営者が本店と袂を分かつ形で、1970年に市内船場で新たに「せんば自由軒」を開業します。こちらの方は、いち早く東京進出を果たし、カレーの通販事業にも取り組むなど、「なんば自由軒」とはまた違った独自の道を歩んでいます。

 それで、その名物カレーですが・・・。確かに悪くはありません。卵を絡める事で、カレーの味がまろやかになるのも、その通りです。他の店にはないメニューでもあります。しかし、ただこれだけでは、別にわざわざ自由軒で食べなくても、自宅でカレーを作って、カレーのルーを、そのままご飯に掛けるだけでなく混ぜ合わせて、その上から卵をまぶして食べたら、同じ事ではないか・・・と。
 要するに、自由軒の、織田作之助ゆかりのカレーだと思うから、みんな食べに来るのでしょう。確かに、休日ともなれば、自由軒の前には行列が出来ます。約30数席ある店内は全て満席で、そのお客の大半が名物カレーを注文します。でも、ただそれだけなのです。

 しかも、実際の名物カレー(普通サイズで650円)はと言うと、具は殆どない上に、串かつとセットで食べても、何か物足りません。満腹感を得る為には、カレーライスを大盛りにするか、串かつよりもボリュームのある、もっと別のサイドメニュー(トンカツ・チキンカツなど)を付けるかしかない。そうすると、確実に千円を超えてしまいます。
 どちらかというと少食気味の私ですら、物足りないのですから、大食漢の人はとても持たないでしょう。その為に、セットメニューも用意されてはいるのですが、こちらの名物カレーは何とミニサイズなのです。それで価格は千円なのです。
 これでは、難波なんて他に食べる所は幾らでもあるし、カレー専門店でも800円ぐらい出せばカツカレーが食べれるのですから、みんなそっちに流れるに決まっています。
 聊かきつい言い方をすれば、老舗商法に胡坐をかいているだけではないか。今はまだ大丈夫だと思いますが、このまま行けば「くいだおれ」の二の舞になる可能性も、十分あるのではないか。斯様に思うのですが。

 確かに、素材は良いものを使っていると思います。夕食に名物カレーと串かつの中では一番安いえび串かつとを食べて、それでも少し物足りなかったので、近所のコンビニでまた、うずら卵とソーセージの串かつを一本買って食べたのですが、使っている油が全然違います。コンビニで買ったほうは、とても食べる気にはなれませんでした。
 素材は良いのですから、あともう一工夫さえすれば、外食産業激戦区の難波でも、十分やっていけると思うのですが。例えば、ミニではなく普通サイズの名物カレーと串かつ(又はサラダ類)のセットを、平日のランチ限定でも良いから、千円以下の価格帯で売り出すとか。そうして、観光客だけでなくサラリーマン・OL層の需要を掴んでこそ、休日だけでなく平日のランチ時にも行列ができ、店の経営も信用もさらに安定すると思うのですが。休日の観光客なんて、所詮は一見さんにしか過ぎません。肝心なのは、普段(平日ランチ時)の客を幾ら呼び込めるかなのですから。

 あともう一点。「せんば自由軒」とは、将来的には再統合すべきでしょう。どういう経緯があったのか分かりませんが、今のまま「なんば」と「せんば」が睨み合っていても、客が迷惑するだけです。
 元は同じ老舗で、店構えやレシピもほぼ同じ。しかも、本家の弱点も分家で一定補える関係にある。そこまで統合の下地がありながら、何故今まで再統合に向かわなかったのか。
 おそらく、「せんば」がいち早く関東圏や通販事業に進出し、それを「なんば」が苦々しく思っていて、それで統合話が進まなかったのであろう事は、両者のHPからも伺えます。しかし、その「なんば」にしても、今や時代の趨勢には逆らえず、通販にも乗り出しているのですから、今や統合には何の障害もない筈です。過去の経緯なんて、当事者にとっては大問題でしょうが、客にとってはどうでも良い事。客は、美味しいカレーを安く食べられたら、それで良いのです。

(参考資料)
・大阪名物 自由軒の名物カレー(なんば自由軒)
 http://www.jiyuken.co.jp/
・本物の自由軒(同上)
 http://www.jiyuken.co.jp/history/real.html
・カレー通販のページ(同上)
 http://www.jiyuken.net/SHOP/s-001.html
・せんば自由軒 大阪名物カレー~明治四十三年以来の伝統の味~(せんば自由軒)
 http://www.senba-jiyuuken.co.jp/
・自由軒の歴史(同上)
 http://www.senba-jiyuuken.co.jp/history/index.htm
・織田作之助 夫婦善哉(青空文庫)
 http://www.aozora.gr.jp/cards/000040/files/545_33102.html

※後日(11月23日)にせんば自由軒もブログで取り上げたので、その関係上、記事タイトルを標記のものに変更しました。
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