アフガン・イラク・北朝鮮と日本

戦争も人権抑圧もNO!万国のプレカリアート団結せよ!

当ブログへようこそ

 アフガン・イラク戦争も金正日もNO!!搾取・抑圧のない世界を目指して、万国のプレカリアート団結せよ!

 これが、当ブログの主張です。
 詳しくは→こちらを参照の事。
 「プレカリアート」という言葉の意味は→こちらを参照。
 コメント・TB(トラックバック)については→こちらを参照。
 読んだ記事の中で気に入ったものがあれば→こちらをクリック。

統一地方選、変化への胎動

2007年04月24日 09時43分13秒 | 反石原・’07東京都知事選
 統一地方選挙が前半戦・後半戦ともに終わりました。この統一地方選挙で、各党の消長や政治の流れがどう現われたのかを見ようと思うのですが、これがなかなか難しい。まず、後半戦の市町村長・議員選挙については、この間の「平成の大合併」で市町村数や議員定数自体が激減しているので、前回との比較が出来ません。そして私も、全国の選挙について、くまなく知っている訳ではありません。そういう訳で、目についたものを中心に幾つか。東京都知事選挙については今までも散々書いたので、出来るだけそれ以外の所から。と言いつつも、また書いてしまった様ですが。

●あの羽柴秀吉が次点に詰め寄る?!(北海道夕張市長選挙)

 財政破綻で一躍有名になり、「再建請負人」を自称する人たちの宣伝の場と化した夕張市長選挙ですが、結果は地元出身者の当選となりました。そして次点に詰め寄ったのが、あの青森県金木出身のホテル成金の羽柴秀吉。この人、テレビで見ましたが、金木にお城みたいな御殿を築いて、朝食に金箔を食べて「うまいうまい」と言っていた、あの有名人です。財力にモノを言わせてあちこちの選挙に出馬する「選挙マニア」でもあり、まあこの手の人は昔から他にもいましたが(大阪では藤井吉三郎とか)、まさか当選者にあそこまで僅差に詰め寄るとは思いませんでした。
 地元のホテルを買い取るとの公約が効いたのか。あんな泡沫候補でも「藁をもすがる」気持ちで投票せざるを得なかった夕張市民の気持ちを思うと、あそこまで市民を追い詰めた国や炭鉱資本の悪辣さには、今更ながら憤りを禁じ得ません。確かに売れない観光施設を作った歴代市長のバカさ加減も糾弾されなければなりませんが、その事で、炭鉱資本が撤退に際してその尻拭いを市や市民に押し付け、国はそれを見てみぬふりした挙句に交付金削減で止めを刺したという、根本原因を忘れてはならない筈です。全国各地で、「夕張」が福祉切り捨ての格好の口実に利用されようとしている事には、引き続き警戒の目を向けていかなければ。

●「民主党の躍進」(都道府県議選・参院福島補選)

 都道府県議選で一番注目を集めたのが、民主党の躍進。何せ得票も議席も倍増で、その躍進ぶりは、かつての70年代初頭における共産党のそれを、彷彿とさせるものがあります。まあ議席も得票も増えて「躍進」しているのは間違いないのだろうけれど、「実態はどうなのよ?!」という気持ちが、私はどうしても拭えないのですが。
 だって、そうでしょう。都道府県議や政令指定市議こそ、そこそこ居るものの、地方や末端の市町村議レベルに行くに従って「影も形も無くなる」じゃない、あの党は。自分の町や職場に、民主党の党員や支部があって、実際に活動している?全然していないじゃない。実態は、かつて自民党や社会党にいた議員の後援会組織が「民主党」を名乗っているだけで、自前の支部も党員も殆ど居らず、党財政も殆どが政党助成金で賄われるような「蜃気楼政党」じゃないか。その時の風の吹きようで、ある時は「憲法改正・行革推進」、風向きが変わればその時だけ「格差是正・反自民」を口にする、それで議席を取れる「気軽な商売」。保守二大政党制の下で、こんな政党に「格差是正」を託さなければならない庶民の無力が悲しい。

●小泉劇場の再現か?(参院沖縄補選)

 参院沖縄補選では、与党候補がからくも逃げ切り、野党統一候補が惜敗しました。選挙戦では与党は徹底して、基地問題を選挙戦の争点から外しまくったらしい。そして40歳代の女性候補を押し立てて、「台所からの視点」だの「格差是正」だのを言いまくったとの事。その選挙戦術が失業率ワーストワンの沖縄では功を奏して、選挙にせり勝ったのだとか。勿論、それに加えて、安倍マルコスを始めとした閣僚の梃入れとか、基地対策交付金を使っての「アメとムチ」や、本土や地場のゼネコン資本を中心とした企業ぐるみ選挙の締め付けもあったのでしょう。ここでは与党が、民主党の「生活維新」のスローガンを奪った格好になりました。労組出身の初老のオヤジに対して、「市民派」の衣をまとった女性候補をぶつけるとは、あの安倍マルコスにしては、なかなかやるじゃない。おそらく小泉や世耕弘成あたりが裏で手を回したんだろうけれど。私としては、連合沖縄出身の候補が、ここまで反自民・反安保の姿勢を鮮明にして、野党統一候補としてよく戦えたなあと感心していたのですが。当該選挙が47%余の低投票率だったのも気にかかる所です。

●変化への胎動(東京・国立市長選、他)

 しかし、そんな中でも、変化の胎動を予感させる動きも感じられます。高知県東洋町の町長選挙では、国の尻馬に乗って核廃棄物処分場誘致で独断専行したワンマン町長が敗れ去りました。滋賀県議選では、新幹線栗東新駅の建設凍結を掲げた嘉田知事支持派が躍進して、自民党が大敗しました(ただその肝心の嘉田知事が言う事が二転三転して頼りない、そういう意味では浅野史郎とよく似ている)。定数一の選挙区でも共産党候補が相次いで当選を勝ち取ったり(大阪・大正区の府議選、長崎市議選など)。あと、沖縄県の宜野湾市長選挙でも、普天間基地撤去を公約に掲げる民主市政の継続・発展に成功した事も。こういう「変化の胎動」を感じさせる予兆もありました。

 その中でもとりわけ私の目を引いたのが、東京都国立市長選挙で、上原公子市長の後継者が見事当選を果たして、民主市政の継続・発展に成功した事です。国立といえば、一橋大学のある文教都市として有名で、街中に湧水があったりして、武蔵野丘陵の面影が残る町です。戦前から消費生活協同組合の活動があったりして、中央線沿線や三多摩の「革新ベルト地帯」の一角を構成してきた所でした。石原都政にとっては正しく「目の上のタンコブ」で、だから手下の都議や右翼を使って、あの手この手の民主市政妨害策を弄してきたのでしょう。その延長線上に上原市長の不出馬表明があり、民主市政の継続が危ぶまれていました。
 またあそこは一方では、あのキチガイの石原を始め、神奈川県知事の松沢成文(しげふみ)や埼玉県知事の上田清司(きよし)に代表されるように、松下政経塾や日本会議・「新しい教科書をつくる会」の流れを引く右翼ネオコン・ネオリベ政治家が猛威を振るって、恰も福祉を攻撃し弱い者虐めをするのが、さも「改革」であり「流行」であるかのように装い、それが一定の根強い基盤を有している、そういう土地柄でもあります。そんな「東京・南関東ネオコンベルト地帯」の中で、中央線沿線・三多摩の「革新ベルト地帯」がどれだけ底力を発揮出来るのか、我ながら心配でした。まずは民主市政の継続・発展に成功したという事で、ホッとしています。
 こんな事を書くと、改憲手続(国民投票)法案を始め、少年法改悪案や教育3悪法などの反動法案が目白押しで出てきているのに、「何を暢気な事を書いているのか」と言われるかも知れません。実は斯く言う私自身も、半分そんな気持ちで書いています。しかし、こんな時だからこそ、どんな小さな「変化への胎動」をも見逃さず、それを「今の流行、トレンド」にまで押し上げるくらいの気持ちでいなければいけないのではないでしょうか。外山恒一の様に「選挙など全て茶番だ、もはや政府転覆しか無い」の一事で以って、それで全部済ます事が出来たらどれだけ楽か(しかしあのYouTubeの政見放送の動画は面白かった、もう見れないのが残念)。

 ちなみに、浅野+吉田の反石原票が石原票を上回ったのは次の行政区です。いずれも出典は「きまぐれな日々」の下記記事より。数値は反石原と石原の票比率です。武蔵野(109.76%)、三鷹(103.86%)、小金井(105.69%)、国分寺(105.32%)、国立(105.26%)、清瀬(112.49%)、多摩(107.14%)、西東京(100.17%)。それに対して、都心(中央・千代田・港)や城東(葛飾・江東・江戸川など)の区部ではやはり石原がまだまだ強く、そういう意味では、過日の拙稿記事「石原都政を誰が支持しているのか」でも触れた内容が裏付けられた形となりました。

(参考記事)

・注目! 国立(くにたち)市長選(きまぐれな日々)
 http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-293.html
・注目! 国立(くにたち)市長選(2)(同上)
 http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-312.html
・“嘉田チルドレン”大躍進 滋賀県議選(中日新聞)
 http://www.chunichi.co.jp/ee/feature/chihosen07/070409T0405002.html
・新幹線「栗東新駅」、自民が凍結容認へ(朝日新聞)
 http://www.asahi.com/politics/update/0423/OSK200704230050.html
・東洋町長選 「核処分場はいらない」(徳島新聞)
 http://www.topics.or.jp/index.html?m1=10&m2=33&eid=news_117728976605&vm=1
・核廃棄物処分場の建設地調査(高知県東洋町)町長が応募(ブログ・ヘッドライン)
 http://www.blog-headline.jp/archives/2007/02/post_2158.html
・長崎市議選/定数1の2選挙区で当選/合併区 津村(香焼)、内田(伊王島)の両氏(しんぶん赤旗)
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-02-07/01_02.html
・私財200億円「羽柴秀吉」夕張市長選に殴り込み(産経・イザ!)
 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/42063/
・「夕張市の財政破綻」と「日本の行方」(岸田コラム)
 http://kishida.biz/column/2006/20060822.html
・島尻氏が初当選 狩俣氏に2万7018票差 参院沖縄補選(琉球新報)
 http://ryukyushimpo.jp/modules/news/article.php?storyid=23200
・沖縄の参院補選での与党勝利について沖縄育ち「やきとり」氏による分析(低気温のエクスタシーbyはなゆー)
 http://alcyone.seesaa.net/article/39873750.html
・特集「基地と沖縄」(沖縄タイムス)
 http://www.okinawatimes.co.jp/spe/k_index.html 
コメント (1)
この記事をはてなブックマークに追加

地元市長選を敢えて都知事選に準えてみた

2007年04月23日 10時13分45秒 | 反石原・’07東京都知事選
 統一地方選挙の後半戦には我が市の市長・市議選がありましたが、はっきり言って、少なくとも私にとっては「しらけムード」そのものでした。それでも棄権だけはせずに、それなりに考えて投票はしましたが、気分的には「もう棄権もありかな」という感じで。

 我が市の今の市長は三期目で、数年前の初当選時には「市町村合併の押し付け反対」を公約に掲げて、当時の保守系現職にダブルスコアの差をつけて当選してきた人でした。この時は、当時の市長による余りにも露骨な合併ごり押し策への反発から、誰もが予想しなかった初当選を飾り、私も投票日翌日に「おおっ」と驚いた記憶があります。その後は議会と対立して、自ら市長を辞任して信任投票に打って出て無投票で二期目に当選して、今度がその三期目という訳です。

 そういう経過から、私も今まではこの今の市長を応援していたのですが、近年はこの市長は評判が余り宜しくなく、私も今はもう興ざめしてしまっているのです。前市長からの保育所民営化施策をそのまま引継いだり、最近は市の発注工事を身内の業者に引継いだりして、余り評判が宜しくない。最近公開された米国映画「オール・ザ・キングスメン」のあらすじを正に地で行く様な展開を辿っていました。

 ただ、そんな市長を告発する方もする方で、今の市政の「一体何が問題なのか」を上手く伝えられていないのか、一市民にしか過ぎない私にとっては「一体何が何だか全然分らない」のです。前市長派の保守勢力と批判派に転じた共産党が、今の市長を批判しているのですが、共産党市議発行の新聞折込の市政ニュース(ビラ)を読んでも、事件となった落札の経過や文書類の解説が為されているのですが、説明がやたら専門的すぎて「何が何だか全然分らない」。この間も、この事をその議員関係者にぶつけたら、その人も同じ意見で、しかも他からもそういう声は聞いているが、「分りやすく書ける書き手がいない」という事を仰っていました。

 それで今回の市長選・市議選なのですが、市長選にはその今の市長を含めて3人が立候補しました。今の市長と、かつての市長派と袂を分った新人女性候補(共産党が勝手連で応援?)と、以前から反市長派だった保守系新人(前市長派で自民・公明両党が実質支援?)の、3人です。しかも市議選では、現市長派の数人の市議が徒党を組んで、駅前で揃いぶみで演説したり、選挙ポスターに「無所属・市民派」の統一ロゴを入れたりして(これで何が無党派かよ、完全な党派じゃないか)、私の「興ざめムード」が更に煽られる形になりました。
 私は最終的には消去法で、市長選挙には新人女性候補に投票しました。前述の党市議とのつながりや、久々の女性候補である事や、選挙公約の内容なども勘案した上で、あくまで消極的な支持という形で。結果は、今の現職市長が70%余りの票を集めての圧勝でした。まあ、保守系(前市長派)の当選という最悪の選択だけは避けられたので、それだけはホッとしています。

 これを、経過も背景も異なる事を承知で、敢えて東京都知事選に準えて考えてみたら、心変わりした浅野タイプの現職が圧勝して、吉田タイプの新人女性候補が次点で、石原タイプ(但しこの比喩はあくまでも思想的に一番近そうという意味合いにしか過ぎず、実際には幾ら何でも石原ほど酷くはないとは思う)は泡沫に終わり、そういう意味では、我が市では「浅野vs吉田の、夢の競演」に持ち込めたのかも。投票率も低かったとの事なので、案外東京都民も、私みたいな人が多かったのでは。
コメント   トラックバック (2)
この記事をはてなブックマークに追加

見損なったぞ義家弘介

2007年04月10日 22時47分06秒 | 反石原・’07東京都知事選
 都知事選絡みで石原慎太郎の事を調べているうちに、義家弘介氏の思想的変節について知る事になりました。今回の都知事選でも、石原陣営は、藤原紀香などの「護憲派」タレントに石原支持の発言をさせて、それを選挙ビラで宣伝していました。その石原支持の「護憲派」タレントの一人に、義家弘介氏がいる事を知りました。

 ヤンキー先生こと義家弘介氏といえば、あのTVドラマ「ヤンキー母校に帰る」のモデルにもなった、元不良少年の熱血教師と呼ばれた人です。憲法・教育基本法改悪反対の立場からの発言も度々しておられました。そんな人が何故、安倍内閣の教育再生会議のメンバーになれたのか、今まで全然分りませんでした。しかし、きっこの日記や下記資料を読んで、初めてその訳が分りました。以下、義家弘介研究会のサイトに掲載中の当該資料から引用します。

(引用開始)
主張の変遷(日の丸・君が代編)

第1ステージ(北星余市在職中)

「世界」特集「日の丸・君が代」戒厳令 『なあ、みんな、学校は好きか?』義家弘介(2002.4)
教育現場に「日の丸・君が代」を持ち込めば、道徳教育を徹底すれば、日本人としての自覚や、国際協調の精神が培われると、文部科学省は本気で思っているのか、ということである。
(中略)
現在、高い場所からの強制では子どもをコントロールすることはできない。もし、強制を貫こうとするならば、恐怖政治を敷き、有無を言わせず一方的に従わせる方法しかないだろう。そんなことになってしまったなら、まさに戦前教育の再来となる。
(中略)
安心しろ。卒業式には、お前たちを邪魔するものは何もない。卒業式のシンボルはお前たち自身だ。そしてテーマソングはお前たちが最後の学園祭で、大声で歌ったあの歌だ。胸を張ってあの舞台に立て。お前らは俺の夢だ!「なあ、みんな、学校は好きか?」(了)

第2ステージ(安倍政権教育再生会議室長就任)

※朝日新聞10/17に掲載 義家弘介氏インタビューより抜粋
―国旗・国歌法は。
公立校に勤務していたら、順守します。キリスト教の学校で、(教師が)「私は仏教徒だから礼拝に生徒を出しません」ということがまかり通れば教育現場はメチャクチャになってしまう。
ttp://blog.livedoor.jp/suruke/archives/51147357.html

--「愛国心」教育をどう考えますか。

◆この国を愛せずに、どうやって国際人になれるのか。公務員であり校則順守を指導している教員が(国旗掲揚、国歌斉唱を定めた)学習指導要領に従うのは当然だ。(毎日新聞 2006年10月19日 東京朝刊)

第3ステージ(室長就任後保守から批判されて)

資料集(その3)参照
つまり、母校北星余市で間違った思想を植えつけられ、それに沿った発言をしていた、今は北星余市の教育方針も間違っていると。
(引用終了)
 http://www20.atwiki.jp/mekemekedash/pages/18.html

 なるほど。氏の教育再生会議メンバー入りも、決して安倍の選任ミスなんかではありませんでした。氏が、受験産業で安倍政権から学力テスト作成を丸投げされているベネッセのHPにも顔写真入りで頻繁に登場している理由も、これで初めて判りました。私は、確か過去に旧掲示板で、義家弘介氏の事を賞賛する投稿をした記憶があります。この事については、今更ながら自分自身の不明を恥じます。当該投稿内容については、これを以って全面的に撤回します。賞賛対象としての義家弘介氏は既に過去の人となりました。
コメント (7)   トラックバック (2)
この記事をはてなブックマークに追加

石原圧勝ではなく反石原勢力の前進だ

2007年04月10日 10時41分06秒 | 反石原・’07東京都知事選
 統一地方選の前半戦(知事・道府県議・政令市議選)が終わりましたが、マスコミ報道によると、知事選では「自民優位、民主敗北」、道府県議選では「民主躍進、社共退潮」と、盛んに書きたてています。しかし、実際はどうなのでしょうか。まずは東京都知事選の結果から見てみましょう。

●東京都知事選の結果概数 及び今回2007年と前回2003年の比較
 但し四捨五入して万単位で表示しているので合計値と総数は一致しません。

(投票総数・率) 
今回 556万 54% (増減+112万、+9P) 
前回 444万 45%
(候補者系列別の得票数・率)     
与党系
今回 石原慎太郎 281万 51% (増減▲28万、▲19P)
前回 石原慎太郎 309万 70%  
民主党系
今回 浅野史郎  169万 31% (増減+87万、+12P)
前回 樋口恵子   82万 19%
共産党系
今回 吉田万三   63万 11% (増減+27万、+3P)
前回 若林義春   36万  8%
その他系
今回 計11名で  37万  7% (増減+24万、+4P)
前回 計 2名で  13万  3%

 確かに、石原氏は次点の浅野氏との間に100万票以上の大差をつけて当選しているので、その現象面だけで見れば「石原圧勝」なのかもしれません。しかし、私たちは傍観者ではなく、都政を変えるという立場から選挙総括を試みようとしているのですから、そういう立場から前進面と克服すべき弱点の両方について見ていかなければなりません。

 そういう意味で今回の都知事選を見ると、投票総数が前回より112万票増え、投票率は9ポイント上がりました。その増加票は殆ど浅野氏と吉田氏に流れ、石原氏は逆に28万票減らしました。減った分は何処に流れたかと言うと、黒川その他の泡沫候補に流れた格好になりました。勿論、各候補者ともそれぞれ票の出入りがあるので、実際はもっと複雑な流れになるのでしょうが、全体を概観すればそういう事になります。今回の選挙では候補者が乱立して反石原票の拡散が懸念されましたが、これを見る限りでは、その候補者乱立のあおりを一番受けたのは、実は石原氏だったのでは。従って、今回の都知事選結果を単に「石原圧勝」とだけ見るのは余りにも表層的な見方であって、実際は寧ろ「反石原勢力の前進」「あの石原をここまで追い込んだ」と見るべきではないでしょうか。

 しかしその一方で、克服すべき弱点もリアルに見ておかなければならないでしょう。反石原陣営の統一が出来なかったという不十分さは勿論あります。これは必ず今後の教訓としなければならない事です。ただ、それだけでは充分ではありません。得票を見れば、浅野票と吉田票を合算しても尚且つ石原票とは約50万票の差がついてしまっています。今回の構図では、浅野・吉田の一方が降りる形で候補者の一本化が出来ていたとしても、敗北していた可能性が濃厚です。では何が足りなかったのか。

 私は今まで何度も、「浅野氏には人をひきつけるだけの魅力が感じられない」と書きました。これは必ずしも、私が共産党支持者である事や、浅野擁立に至る経緯への反発だけで言っているのではないのです。若し共産党が今回擁立したのが前回と同様の無味乾燥な党人候補なら、私はひょっとしたら浅野擁立の方に回っていたかもしれません。また、浅野陣営がもっとパンチの効いた候補者を擁立していたとしても同様です。私も、兎に角あの石原だけは何があっても落したいですから。しかし出てきたのが元宮城県知事の浅野氏で、如何にも官僚然としていて、言っている事もあやふやで定まらず、候補者としてのインパクトが全然無い。要するに「華が無い」のです。はっきり言って、吉田氏の方がよっぽど華があり、主張も具体的でぶれないので説得力がある。だから、単なる反石原勢力の「前進、善戦」に止まってしまったのです。

 それと、戦術的にもどうかと思う所はありました。浅野擁立の主力メンバーというのが、中山千夏や上野千鶴子といった「進歩的文化人」で、「手作り」とか「市民・無党派」という事を全面に押し出していましたが、これでは70年代の「革新自由連合」と何ら変わりません。これでは、あの石原と戦うには余りにも役不足です。
 石原の支配が強固なのは、改憲・新自由主義の「勝ち組」政治を全面に押し出しながら、「負け組」の溜飲も適度に下げさせて支持を集める、そういう「二重統治」を上手く使い分けているからでしょう。そうであるならば尚更、反石原勢力の方も、反ネオコン・反ネオリベの「貧乏人大反乱」を強力に組織しつつ、「勝ち組」の顔もこちらに向けさせるような、そういう陣形でなければならない筈です。「七人の侍」の武将たちや郡上一揆・三閉伊一揆の指導者、ホーチミンやゲバラがそうであったように。現代日本で言えば田中康夫がそれに近い。
 それが実際には、ひ弱な「進歩的文化人」が中心になって擁立した「官僚」だったので、「負け組」の力も100%引き出す事が出来ませんでした。この戦いは、候補者と陣形如何によっては勝てる可能性がかなりあったのでは、と悔やまれてなりません。

 ただ、戦いはこれで終わりではありません。選挙期間中はブレーンの佐々淳行(元内閣安全保障室長)や三浦博史(当選請負人の異名を持つ選挙プランナー)の言うがままに(こういうのをブレーンに据えていたのを見ても、そもそも本気度からして浅野氏とは全然違った)猫をかぶっていた石原慎太郎ですが、当選後さっそくまた老害を曝け出して兵庫県知事をカンカンに怒らせしまったようですが、こんな知事は4年後の任期満了など待たずにさっさとリコールしてしまえばよいのです。石原もさすがに高齢には勝てないのか、今期限りを最後に引退を仄めかしたりしているようです。大方、大型開発やオリンピック招致失敗のツケは後継者に押し付けて、自分は首尾よく花道を飾る算段なのでしょう(あの小泉とソックリ)。そうは問屋が卸すか。都民へのツケ回しは許しません。必ず石原に拭わせてやる。

 道府県議・政令市議選については、本当にちゃんと総括するには地域・選挙区別の得票分析が必要なのですが、今そこまではとても手が届きません。とりあえずは雑感という事で。

●道府県議・政令市議選の党派別獲得議席数・前回比
       道府県議       政令市議
 自民党   1212 ▲ 97  276 + 24
 民主党    375 +170  194 + 68
 公明党    181 +  3  169 + 23
 共産党    100 ▲  7  124 + 20
 社民党     52 ▲ 21   15 +  2
 国民新党    1 +  1    0
 諸派      40 ▲  6   39 ▲ 18
 無所属    583 ▲104  166 + 38
 合計    2544 ▲ 61  983 +157

 道府県議(都議選は2年後)も政令市議も議会の総定数が変化していますから、議席数自体よりも、総定数の増減がどの党に流れたのかを見なければなりません。また、前回の統一地方選の時よりも政令指定都市が3つ増えてますから(静岡・堺・新潟)、それに伴う選挙区分割・定数減も考慮に入れなければなりません。

 それでざっと見たら、やはり民主党の躍進が目につきます。ただこれを以って、米国や英国の様な二大政党制に日本も近づいたとする見方には、どうかなという気がします。何故ならば、地域には民主党なんて陰も形もありません。日本では本当に組織政党と言えるのは共産党と公明党しかありません。それ以外の自民党や社民党は、議員後援会や労組が形だけ支部を作っているのが実態ですが、それでも地域には一応職域支部があり、少なくない党員も居ます。翻って民主党はどうでしょうか。支部も党員も殆ど影も形も見えず、選挙の時に連合労組や議員後援会が出てきて活動するだけの「蜃気楼」政党というのが実態ではないでしょうか。党の財源も殆どが政党助成金と企業・団体(労組)献金で賄われているだけでは。
 民主党躍進なるものの実態も、臨調行革と総評解体で丸裸にされた後に売上税反対闘争で一時的に人気挽回に成功した1980年代末期の社会党と同じようなものではないでしょうか。米国の民主党と比するにしては、余りにも組織実態が無さ過ぎます。こんな「蜃気楼」みたいな政党はさっさと解体してしまって、現代的保革対決にその道を譲るべき。民主党右派のバカウヨなどは、世を欺く為にガラにも無く野党ポーズや弱者の味方を騙ったりなどという姑息な事は止めて、はやく自民党や日本会議や維新政党新風にでも逝けば良いのに。

 「社共退潮」に関しては、社民党については概ね当っているでしょう。ただ共産党について言えば、二大政党制キャンペーンやゲリマンダー紛いの選挙区分割の中では、割りとよく踏ん張ったと言えます。大阪府・市議選では府議で1議席増の微増、市議では3議席増の躍進です。地方でも、定数1~3の所での新議席獲得や返り咲きも少なくありません(長野・高知・大阪・奈良など)。しかし全体的に見た場合、この党の停滞もやはり否めません。特に今まで金城湯地だった京都で地盤後退が著しいのが目立ちます。保守二大政党制の廃棄を展望しつつも、尚且つ当該現行制度の中でも地歩を確保して、一共産党のみならず革新陣営全体の拡大にも貢献出来るような戦略を編み出していけるかどうかが、この党には問われていると思います。
コメント   トラックバック (3)
この記事をはてなブックマークに追加

「反石原・反ファシズム」オリジナル・リンク集

2007年04月07日 23時59分59秒 | 反石原・’07東京都知事選
■お知らせ&更新履歴

・「浅野vs吉田の"どんちゃん騒ぎ"」に供する為に、とりあえずこういうリンク集を作ってみました。これ以外にも、お勧めのリンク等があれば適宜補充していきます。また、当リンクについては転載自由とします(但し標記の趣旨に適う使い方をされる場合に限る)。(2007-03-12 21:53 記)
・本投稿を都知事選告知日前日まではブログ・トップに表示されるようにしました。(2007-03-17 09:00 記)
・本投稿のブログ・トップ表示期日を都知事選投票日前日まで延長する事にしました。特定候補者の当選を直接の目的としないブログでの、政治批評記事一般や一般人同士の政治談義の掲載については、選挙告示後も何ら問題なしと判断しましたので。そんなものまで禁止されたんじゃあ、選挙期間中はネットでは一切政治談議が出来なくなってしまいます(北朝鮮じゃあるまいし)。(2007-03-22 14:00 記)
 http://katteren.blog97.fc2.com/
・リンク集の内容は適宜更新中。

■石原の「ボカサぶり」を示すリンク

・石原慎太郎研究会
 http://www.winterpalace.net/isrg/
・悪質政治屋・石原慎太郎の監視小屋
 http://www.geocities.jp/social792/isihara/isihara_kansi.html
・特集:石原慎太郎とは何か!
 http://www.linelabo.com/bk_sp003.htm
・宣戦布告(戦争扇動・ヘイトスピーチ垂れ流しの石原公式サイト)
 http://www.sensenfukoku.net/
・石原慎太郎暴言データ集
 http://homepage3.nifty.com/m_and_y/genron/ishihara/data/
・サヨナラ石原都知事(公選法の規定で3/20日までの限定公開)
 http://www5.famille.ne.jp/~ishihara/(HP)
 http://blog.goo.ne.jp/sayonaraishihara/(ブログ)
・石原都知事のフランス語発言に抗議する会
 http://www7a.biglobe.ne.jp/~mcpmt/toppagejp.html
・石原慎太郎と朝鮮人コンプレックス
 http://www8.ocn.ne.jp/~hashingi/page021.html
・石原慎太郎の人生(本多勝一「貧困なる精神」)
 http://www1.odn.ne.jp/kumasanhouse/hinkonnaru_seisin/k121.html
・映画「君が代不起立」公式サイト
 http://vpress.la.coocan.jp/kimi.html
・税喰う人びと―特集:都知事の豪遊・ムダ使い―
 http://homepage2.nifty.com/taxeater/top.html

(論考紹介)
・東京都知事選:石原氏への「批判のしにくさ」と「社会の成熟」(上・中・下)(M.H.Square.)
 http://www.officemh.com/blog/archives/2007/20070317_2340.php
 http://www.officemh.com/blog/archives/2007/20070319_2345.php
 http://www.officemh.com/blog/archives/2007/20070320_0111.php
・なぜ女性が石原慎太郎を支持?(Munchener Brucke)
 http://d.hatena.ne.jp/kechack/20070326/p1
・石原都政の検証1~4(青山貞一、独立系メディア)
 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col7350.html
 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col7357.html
 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col7358.html
 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col7360.html

■「反石原・反ファシズム」リンク

(吉田さんを支持するリンク)

・のびのび東京!吉田万三(吉田万三さんのHP)
 http://www.manzo-y.jp/
・革新都政をつくる会
 http://www.ny.airnet.ne.jp/kakushin/
・都知事候補 吉田万三を勝手に応援するブログ
 http://blogs.yahoo.co.jp/lifelove7373
・がんばれ吉田万三
 http://blog.goo.ne.jp/takashi5776/
・大津留公彦のブログ2
 http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/
・M.H.Square.
 http://www.officemh.com/blog/
・万三さんの掲示板(吉田万三さんHPの掲示板)
 http://www.manzo-y.jp/bbs/bikke.cgi?board=manzo

(浅野さんを支持するリンク)

・浅野史郎・夢らいん(浅野史郎さんのHP)
 http://www.asanoshiro.org/index2.htm
・都民のハートに火をつける会
 http://asano46.exblog.jp/
・石原都政はもうご免だ!
 http://www.red-piper.com/
・東京。をプロデュース2007
 http://www.tokyo-produce.net/
・ある国際人権派の雑食系ブログ。(仮)
 http://blog.livedoor.jp/zatsu_blog/
・てらまち・ねっと
 http://blog.goo.ne.jp/teramachi-t/
・四トロ同窓会二次会
 http://6305.teacup.com/mappen/bbs?

(反石原・反ファシズムでの共同・統一の呼びかけ)

・石原都知事3選阻止署名活動(JANJAN)
 http://www.janjan.jp/government/0701/0701228615/1.php
・夢の保革一騎打ち(そいつは帽子だ!)
 http://teagon.seesaa.net/article/35557109.html
・東京都知事選:石原都政を変えたい人たちへ。ということで「石原知事はスルー!新都知事を選ぼう!キャンペーン」はじめませんか?(M. H. Square)
 http://www.officemh.com/blog/archives/2007/20070311_0150.php
・「反石原」なトラックバック募集(旗旗)
 http://bund.jp/modules/wordpress/index.php?p=347

■都政一般

・都政新報
 東京都政関連の自治体専門紙。「石原都政の検証」特集ページなど。
 http://www.toseishimpo.co.jp/
・東京都の公式HP
 都議会関連、知事選関連、知事広報、各種統計資料など。
 http://www.metro.tokyo.jp/
コメント (2)   トラックバック (26)
この記事をはてなブックマークに追加

ファシスト石原、下北沢で遂にブチ切れ、地金を晒す

2007年04月07日 22時41分35秒 | 反石原・’07東京都知事選
※以下、スポーツ報知の記事より
 http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20070405-OHT1T00108.htm

・慎太郎知事 ヤジにブチッ「うるさい、黙ってろ!」…8日都知事選

 石原慎太郎都知事(74)が4日、ついに爆発した。再開発計画を巡って物議を醸している下北沢の駅前で街頭に立ったが、開発反対派からの猛烈なヤジにヒートアップ。当初は柄にもなく?謙虚な姿勢を見せていたが、我慢も限界だったようだ。

 下北沢の駅前で「安心と安全」をテーマに「ここも救急車や消防車が入れるような開発をしないといけません」と再開発の必要を訴えていた石原氏。最初はヤジにも「黙って聞きなさいよ」といなしていたが、聴衆から「住民感情を排除している」などの声を浴びてついにキレた。

 「うるさい、黙ってろ!」と一喝。「(再開発について)いろんな意見を出してもらいたい。それを区長に取り次いでですね、当たり前の手順を踏んで、民主的にやるんだよ! 物事は多数決なんだから!」と怒りまくった。

 今回の選挙では、選対本部長の佐々淳行元内閣安全保障室長が「失言ブレーキ係」を自任。告示日の3月22日には「皆さんのお力を貸してください」と殊勝に訴えたり、同30日の会見では「説明不足だった」「謙虚にならざるを得ない」などと“らしからぬ”休火山ぶりをアピールしていた。

 しかし選挙戦が進むにつれ徐々に本領を発揮。同31日には、銀座の街頭で、ヤジを飛ばす男性を「静かにしなさい」と一喝している。ここにきて陣営では過去にあった数々の失言が街頭でも飛び出すのではないかとヒヤヒヤしているという。

 この日は演説が進むうちに雨が本降りに。石原氏が噴火すると、頭上では雷鳴がとどろいた。下北沢をめぐっては、対立候補の浅野史郎氏(59)が、告示前の3月10日に、再開発反対派の住民の案内で視察。それもあってか、400人以上の聴衆を前に、SPもピリピリムードだった。

 演説後は、開発反対派と石原氏に同調する人たちが入り交じって一触即発に。土砂降りの中で「石原帰れ!」コールがこだましていた。

※ちなみに、下北沢再開発問題については下記リンクを参照の事。石原が下北沢で野次の洗礼に遭ったのには、ちゃんとそれなりの理由があるのです。「救急車や消防車が入れるような開発」?「当たり前の手順を踏んで、民主的にやる」?それが大ウソである事は、築地市場の豊洲移転劇をみれば一目瞭然。やっている事は、オリンピック招致に名を借りた「乱開発、地上げ、街壊し、住民追い出し」でしかないじゃないか。

・Save the 下北沢
 http://www.stsk.net/
・下北沢フォーラム
 http://shimokitazawa-forum.net/
・下北沢再開発を考えるページ
 http://www.big.or.jp/~solar/shimokitazawa.html
・シモキタらしさを守ろう!下北沢再開発問題(JANJAN)
 https://www.janjan.jp/area/0603/0603221210/1.php
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

「石原的なモノ」をどう打ち破っていくか

2007年04月07日 11時09分13秒 | 反石原・’07東京都知事選
 昨年12月に、政府税調会長の本間正明が、「官舎売却」を主張しておきながら、自分の愛人をその官舎に住まわせていた事が発覚して、会長辞任に追い込まれるという事件がありました。庶民には日頃から「官から民へ」とか「痛みに耐えろ」とか言いながら、当の自分は官の甘い汁を吸って良い目を見ていた事が発覚して、世論から指弾を浴びたという事件ですが、このTVニュースを職場の休憩室で見ていた時に、一人のドライバーがこんな事をつぶやいていました。「愛人を官舎に囲わなかったら良かったのに」と。
 私はこれを横で聞いて「あれっ?」と思いました。普通なら、この本間やそれを庇う安倍内閣の、鼻持ちならない特権意識や、身内偏重、二枚舌に対して憤りを覚える筈なのに、このドライバーはそうならずに、寧ろ本間に対して同情的で、「出来れば自分もこんな風にして愛人を囲ってみたい」という感じでした。

 翻って4月8日投票の東京都知事選ですが、マスコミの情勢予測によると、石原の逃げ切り勝ちの気配が濃厚との事。選挙は水物なので私は最後まで石原打倒の希望は捨てませんが、恰も「憎まれっ子世に憚る」かの如く、「何でこんなに石原はしぶといのだろうか」と考えた時に頭に思い浮かんできたのが、この時の情景でした。
 石原慎太郎の強さというのは、これはまた小泉政権の強さにも相通じる側面があるのでしょうが、庶民の中にある支配欲・出世欲・英雄願望や、「他者を押しのけても自分が良い目をしたい」という、ある種のドロドロとした本音みたいなものを代弁している所にあるのではないでしょうか。

 「ババア」「三国人」「障害者に人格はあるのか?」「虐められるような弱い奴が悪い」等々のヘイトスピーチに示された石原の特異な差別思想の背景には、そういう庶民の本音に悪乗りした部分が確実にあります。私は、当初は石原の弱肉強食肯定の差別思想に頭にきて、しかもそのトンデモぶりがあんまりなので、「こんな奴の化けの皮など剥がすのは簡単だ」と思っていました。しかしその後色々調べていくうちに、前述の石原支配の強さ・巧みさも段々分かってきて、今はもう「この支配を突き崩すのはそんなに容易ではないぞ」と思い始めています。

 石原新太郎の書いた小説には、自由奔放な快男児が出世して女性をモノにするといったシチュエーションがよく出てくると言われます。そこにあるのはある種のマッチョリズムで、石原が戸塚ヨットスクールの校長を擁護するのもそういう所から来ているのでしょうが、それが案外すんなりと受け入れられる土壌は確かにあるような気がします。石原がキャリア・ウーマン(奥谷禮子の様なネオリベ女性)に意外と受けが良いのも、彼女らが肯定する「世の中は成り上がった者が勝ちよ、それを弱肉強食だ何だと批判しているのは負け犬よ」という考えが世間にも受け入れられているからではないでしょうか。

 それに加えて、何だかんだ言っても、東京が「勝ち組」都市である事も石原に有利に作用しているのではないでしょうか。経済グローバリゼーションの下では、経済の一極集中は進み、都市と地方の格差が広がります。謂わば、先進国と第三世界との間に見られるような経済格差が、国内においても見られるのです。ハリケーン・カトリーナに被災した米国ニューオーリンズとニューヨークの間に見られるような格差が。東京で言えば、ヒルズ族とホームレスやネットカフェ難民との間に典型的に見られる形で。

 勿論、東京に住んでいるのは「勝ち組」ばかりではありません。以前のテレビ番組で、六本木ヒルズ族が億ションでホームパーティーに耽っているその同じ港区内で、一人暮らしの高齢者が年間数万円の年金だけを頼りにどうにか生きながらえている姿を映し出していました。しかし、東京都全体で言えば前者の「勝ち組」が全都民の62%を占めるのです(「反石原・都政革新の戦いは第二ラウンドへ」参照)。その62%が石原(ひいては小泉・安倍)支配の根幹を為し、「負け組」の中からも彼らに同調する事で日頃の鬱憤晴らしをする人たちが現れます。それ以外の残り20~30%の「負け組」は、「物言わぬ民」として、今の保守二大政党制の下では完全に疎外・排除されているのです。小泉政権が先の郵政民営化選挙でキャンペーンを張った時に、そういう「負け組」についてはA・B・C層のどれにも含めず、完全に視野の埒外に置いた様に。

 この石原支配の政治構造をどう打ち破っていけば良いか。「ただ何となく、気分だけの反石原」の立場で、石原のあれこれの差別発言を面白おかしく茶化しているだけでは不十分なのは間違いないでしょう。ではどうすれば良いか。簡単に結論が出る様な問題ではありませんが、若しその手がかりがあるとするならば、「如何に自分の問題として捉えられるか」という所に、そのヒントがあるかも知れません。

 石原の例で言えば、石原を支持する人は、自分を石原の側に置いているのです。ヒルズ族やネオリベ女性にとっては、年金でどうにか生きながらえている独居老人や、ワーキングプアや生活保護世帯や、ホームレスやネットカフェ難民や、ババアや三国人などと言った人たちは、全て自分とは関わりの無い、下手すれば自分の今の豊かな生活を脅かしかねない、「得体の知れない、向こう側の人たち」なのです。だから、平気でこれらの人たちにバッシングを加え、石原を支持する事が出来るのです。
 今までのバッシングが全てそうでした。イラクの日本人人質、拉致被害者家族会、公務員、労組、高齢者、農民、地方住民・・・これらの「抵抗勢力」は、全て自分とは関わりの無い、「得体の知れない、向こう側の人たち」なのだと。

 しかし、その中でも例外があります。JR福知山線事故の被害者やホワイトカラー・エグゼンプション(WE)に反対する声に対しては、不思議とバッシングは起こっていません。ひょっとしたらバッシングされているのかも知れませんが、少なくともイラク人質や抵抗勢力に対する様な露骨なバッシングは起こっていない筈です。それは何故か。通勤災害もサービス残業も、ともに身近にあって、直ぐに自分の生活に跳ね返ってくる事柄だからです。
 或いは、かつての売上税・消費税反対闘争の中で、参院選の与党過半数割れを生み出し、「山が動いた」と形容されるような政治変化が生まれた例も挙げられるのではないでしょうか。たとえ数円・数十円でも、誰しも自分の財布の中からお金を吸い取られるのは嫌です。そういう身近で、自分の生活に直接関係する場合は、「あちら側」ではなく「こちら側」の話として、政治が捉えられるのです。
 如何に、「こちら側」の、自分の身に迫った問題として捉えられるか。「石原的なモノ」をどう打ち破っていくかという事のヒントも、そこに隠されている様な気がします。
コメント   トラックバック (4)
この記事をはてなブックマークに追加

緊急転載:「きっこの日記」は、何故、削除・謝罪したのか?(毒蛇山荘日記)

2007年04月05日 09時58分45秒 | 反石原・’07東京都知事選
※ファシスト石原による言論弾圧を許すな!

(転載開始)
「きっこの日記」は、何故、削除・謝罪したのか?

しばらく留守にしていたので、よくわからないが、都知事選挙関連の記事で、「きっこの日記」がキナクサイ雰囲気に包まれつつあるようだ。「きっこの日記」は、問題の記事を削除しただけではなく、「お詫び」http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2007/04/post_caed.htmlと称する全面降伏ともとれる謝罪文をも掲載している。明らかに異常である。公職選挙法に抵触しているとかいないとかいう議論があるが、僕はそれだけではないだろうと思う。おそらくわれわれの知らないところで、何かが起こっているのだろう。問題の記事は、都知事候補者で、ほぼ三選間違いなし、と言われ、大手マスコミの予測調査でも圧倒的に優勢と伝えられ始めた石原慎太郎に関するもののようだ。僕も、保守派とは言いながら、石原慎太郎の言動には批判的であり、今回の都知事選挙では、浅野史郎を応援している者だ。だから何回も石原慎太郎批判を繰り返してきた。さすがに選挙期間中は、自分なりのスタンスでどの候補者に対してであれ、あまり過剰な批判や罵倒は控えているが、しかし、公職選挙法や名誉毀損罪等を持ち出して、ネットの言論を封殺しようとする怪しい動きには違和感を覚える。そもそもネットやブログや「2ちゃんねる」等を使って、選挙期間であろうとなかろうと、様々な怪しい個人情報を流し、それをネタに批判・罵倒を繰り返し、しかもそれを政権維持の「手段」化したのは小泉・安倍一派か、もしくは彼等に雇われた、今ではその正体がバレて、「チーム施行」と揶揄される一部のネット右翼一派だったはずである。しかし、最近は、ブログやネットや「2ちゃんねる」も、小泉・安倍一派の「傭兵」ばかりではなくなっている。というより、むしろ反小泉、反安倍の勢力の方が強くなりつつあるのが現状だろうと、僕は見ている。たとえば、「植草事件」、つまり植草一秀教授痴漢疑惑事件でも、ネットやブログの世界では、植草擁護論(つまり冤罪論)の方が威勢がいい。というわけで、今度の都知事選挙でも、ネットやブログには、スキャンダルまみれの石原慎太郎を批判し罵倒するものが選挙公示前から少なくなかった。僕のこのブログもその一つだった。おそらく「きっこの日記」もその一つだったのだろう。僕は、ネット言論を体制擁護へ誘導したり、管理統制がうまく機能しなくなった時には、権力側からのネット言論論弾圧が始まるだろうと思っていたが、おそらく今回の「きっこの日記」つぶしの動きは、その一環だろうと思う。石原陣営は、「きっこの日記」の記事に激怒し、報復を宣言しているらしいが、そもそも様々なスキャンダルを穿り出して、石原慎太郎批判のキャンペーンを大々的に開始したのは共産党機関紙赤旗のはずだが、石原陣営は、言うまでもなく赤旗を恐喝したり告訴したりすることはないだろう。相手が個人、もしくは弱小ライターだから強気に出ているのである。作家であり、言論人であるはずの石原慎太郎の正体、見たり枯れ尾花、である。自分は、「言いたい放題」言うが、他人が「言いたい放題」言うことは許さない、というわけであろうか。

★きっこさんの「お詫び」
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2007/04/post_caed.html

★オフィスマツナガ 
http://app.blog.livedoor.jp/takashikitaoka/

★「石原陣営が激怒」のj-castニュース 
http://www.j-cast.com/2007/03/28006465.html

★問題の記事?は…
http://megalodon.jp/?url=http://cache.yahoofs.jp/search/cache%3fp%3dwrt%26u%3dwww.kikko.cocolog-nifty.com%2Fkikko%26d%3dXMKwGBIeOhQq&date=20070328235912
(転載終了)

・出典:文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記』
 http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20070404/p1
コメント (1)
この記事をはてなブックマークに追加

反石原・都政革新の戦いは第二ラウンドへ

2007年04月05日 00時30分39秒 | 反石原・’07東京都知事選
・都知事選 本紙世論調査 石原氏依然リード(東京新聞)
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007040202005336.html
・統一地方選:東京で石原氏優勢 神奈川は松沢氏 中盤情勢(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/senkyo/news/20070402k0000m010107000c.html

 今回の東京都知事選挙、マスコミ報道を見る限りでは「今回も石原慎太郎の逃げ切り勝ち」の気配濃厚との事ですが、石原都政2期8年の長期スパンで見ると、又別の姿が浮かび上がってきます。この2期8年で石原は確実に追い詰められつつあります。
 8年前の1999年の都知事選も候補者乱立でした。この時は舛添要一や明石康や鳩山邦夫といった有名人が一杯出て、その間隙を縫って石原が初当選を飾りました。4年前の2003年の都知事選では、石原は300万票以上の大量得票で二期目をスタートさせました。その前2回のいずれの選挙も石原にとっては上り坂の選挙でした。
 翻って今回の都知事選挙はどうでしょうか。石原がここまで追い詰められた事は、かつて無かったのではないでしょうか。オリンピック招致、大型開発、福祉切捨て、日の丸・君が代強制、築地市場移転問題、そのどれをとっても石原は、他候補からの論戦に対して防戦一方の闘いを強いられています。そして他の候補者が全て石原に集中砲火を浴びせている事も含めて、こんな事は今まで無かった事です。ここに、前2回の都知事選とは違う、石原打倒の闘いの新たな質的発展が示されています。

 今回言われている「石原逃げ切り」の気配も(但し選挙は水物なので今後の数日間でどう変わるか予断は許しませんが)、反石原統一戦線の不成立や候補者のタマの問題に助けられて、今の所はどうにか命拾いをしているだけではないですか。石原は論戦では確実に追い詰められています。花粉症対策の都のポスターまで自分の売名行為に動員したり、あの傲慢不遜な性格の持ち主が「ちょっとは反省してよね、でもやっぱり石原さん」なんて内容の選挙ビラを出さなければならない所まで追い詰められたり、オリンピックで言い訳に回ったり、急に中学生までの医療費無料化を言い出したり、演説にもいつもの様な強気の調子が見られなかったり。こんな所にも石原の狼狽ぶりが如実に現われています。

・石原知事ポスターの掲載お断り(JANJAN)
 http://www.janjan.jp/government/0702/0702190366/1.php?action=tree
・【都知事選】「少しは反省してよね! だけどやっぱり石原さん!」今回から配布可能となったビラ、各候補のセンスは・・・(2ch)
 http://news22.2ch.net/test/read.cgi/wildplus/1175334604/

 但し、根拠の無い楽観主義や侮りは禁物です。石原が2期8年に渡って都政の座を維持し高支持率を保ってきた背景やその統治の強さ・巧みさについては、前号エントリーでも言及したように、冷静に分析する必要があります。
 青森や秋田の一人当たり県民所得が200万円そこそこのワーキングプア水準であるのとは対照的に、東京都では年収800万以上の所得階層に属する人が都民の62%を占めます(出典:総務省「全国消費実態調査報告」、「石原都政の検証」P40掲載)。この様な大都市圏への所得偏重、地方との経済格差は、何も今に始まった問題ではないのですが、昨今の経済グローバリズムの進展によって、ますます酷くなりつつあります。
 これらの相対的高所得階層に属する都民の多くも、かつての戦後の高度成長期においては、そのひずみ(公害問題、交通戦争、伏魔殿・黒い霧都政など)を蒙る事によって、美濃部革新都政を誕生させる原動力となりました。しかし、80年代以降の反動攻勢によって革新勢力が退潮し新自由主義イデオロギーが台頭してくるに従い、これらの人たちは次第に「資本の論理」に絡め取られるようになり、今や小泉・安倍・石原政治を積極的に支持するようになりました。
 石原都政打倒が至難の業であるのは、その様な支配構造に絡め取られている事に都民自らが気付いて、意識的にそれを打ち破っていかなければならないからなのです。そういう石原都政の強さ・巧みさも知ればこそ、今回石原がここまで追い詰められた事の意義も初めて理解できるのです。

 終盤戦の各マスコミの世論調査によると、オリンピック招致に賛成は僅か3割で、築地市場の豊洲移転は反対が賛成を圧倒し、都政転換を望む声は過半数超との事。ここにこそ石原打倒の次の展望があります。4月8日の都知事選投票結果がどうあろうと、そこで一喜一憂している場合ではありません。況してや石原に負けて敗北主義に陥ったり反石原陣営同士で責任の擦り合いをするなどは愚の骨頂です。石原が勝っても負けても、その時から石原都政打倒、東京都政民主化の闘いは、それまでの論戦の優位性と反石原の大義を保ったまま、次の新たな発展段階に移るのです。
 これは何も次の都知事選まで待つ事を意味しません。あの傲慢不遜な石原の事ですから、そのうちにまた問題発言・差別発言でボロを出すか何かヘマをやらかすに決まっています。今のブッシュ・安倍政権の様に。その時こそ、石原をリコールに追い詰め、新規まき直しで統一候補を擁立し直して、もう一度都知事選に臨めば良いのです。
 今はまず何よりも、投票箱の蓋が閉まるまでの第一ラウンドで、反石原陣営がそれぞれ最善を尽くす事です。それで石原が負ければ良し、たとえ石原が逃げ切ったとしても、投票結果如何に関わらず、都知事選はそのまま次の第二ラウンドに移るだけです。
コメント (2)   トラックバック (1)
この記事をはてなブックマークに追加

石原都政を誰が支持しているのか

2007年03月31日 23時59分18秒 | 反石原・’07東京都知事選
 誠に時宜に適った本が世に出ました。小宮昌平氏他2人の識者の共著で青木書店から刊行された「石原都政の検証」という本がそれで、昨日早速買ってきました。まだ読み始めたばかりですが、早速「これは!」という箇所がありましたので、時節柄の事も在るので早々にアップしてみます。

 この本は石原都政2期8年間の全体像(誕生の背景、政策評価、強みと弱みなど)を多方面から捉えようとしたものですが、その中の第7章の「石原都政を誰が支持しているか」という項目について、読んだ感想などを少し。

 この項では、石原都政の高支持率の歴史的背景の解明と支持層の分析が為されています。前回2期目の'03年4月の都知事選と'05年7月に行われた都議選の、東京23区における得票動向の分析を通して、標記テーマの解明を試みたものです。都下市町村ではなく区部に的を絞ったのは、此処が石原大量得票の主戦場であり、尚且つその中で各区の政治的地域性の違いも現われており、得票動向の分析にはまたとない材料を提供しているからです。当該知事選の直ぐ後に行われた国政選挙ではなく2年後の都議選を比較検討対象に選んだのも、選挙規模が都知事選とほぼ同一で、生活者ネットを含む全党派が候補者を擁立しているので、どの政党支持層が石原を支持しているのかがよく分るからです。

 ちなみに、'03年4月都知事選と'05年7月都議選の結果は下記の通り。(注:ネット=生活者ネット、東京都議会の中の市民会派)

●'03年4月都知事選 候補者別得票数・率・主な支持層
 投票総数 4,441,972 投票率 44.97% 有効投票数 4,397,294
 石原慎太郎(無所属) 3,087,190 (70.21%) 自民・公明(+民主) 
 樋口恵子(無所属)   817,146 (18.58%) 民主・社民・ネット
 若林義春(共産党)   364,007 ( 8.28%) 共産
 ドクター中松(無所属) 109,091 ( 2.48%)
 池田一朝(無所属)    19,860 ( 0.45%)
 http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/data/data01_07_02.html

●'05年7月都議選 党派別得票数・率・獲得議席
 投票者数 4,435,435 投票率 43.99%
 自民党 1,339,548 30.7% 48
 民主党 1,070,893 24.5% 35
 公明党  786,292 18.0% 23
 共産党  680,200 15.6% 13
 ネット   181,020  4.1%  3
 社民党    10,165  0.2%  0
 http://www.asahi.com/politics/2005togisen/

 まずは、'03年都知事選での石原慎太郎の300万大量得票の全体像について。石原はこの時には投票総数約440万票の実に7割にも及ぶ得票を記録しています。その300万余票の党派別内訳はというと、自民支持層130万余、公明党支持層80万弱の票に加えて、民主党支持層や無党派層からも90万票を集めているのです。
 それに対して、民主党・社民党が事実上支持した樋口恵子の得票は約80万票に過ぎず、民主党支持層からは半分ぐらいしか票が集まりませんでした。共産党公認の若林義春も同じで、共産党支持層約70万票の約半分しか集められず、残りの共産党票は主に樋口に流れました。(いずれも'05年7月都議選との比較)

 つまり、この選挙での石原の一人勝ちは、自公両党だけでなく民主党や無党派層をも飲み込んだものであったという事です。「反石原」の2人の候補(樋口・若林)は、そのあおりで、それぞれ自陣営の基礎票を半分づつ減らして、自分の「右側」に位置する相手候補に奪われた格好になりました(樋口→石原、若林→樋口)。

 次いで、その投票のバラツキ具合と、それをもたらしたもの(石原暴走の歯止め要因)に対する考察について。'03年都知事選における石原の得票ですが、区部の得票率は67~75%で、全体的に高得票ながらも、以下の様に地域によって有意のバラツキがみられます。

●'03年知事選各区別の石原票得票率と政治・生活動向の比較(前述書から)
 石原得票上位3区
 中央区 石原票75.59% 自民支持率高、世帯当り納税額・本社集積度高
 墨田区 石原票75.55% 自民・公明支持率高、生活保護率・高齢化率高 
 台東区 石原票75.09% 自民支持率高、生活保護率・高齢化率高 
 石原得票下位3区
 文京区 石原票68.92% 自民支持率低、生活保護率低、共産支持率高
 板橋区 石原票68.87% 自民・公明支持率低、生活保護率高、共産支持率高
 杉並区 石原票67.98% 自民・公明支持率低、生活保護率低、市民運動の存在
 (尚、当該著には全区のデータが掲載されています。詳細はそちらを参照の事)

 得票上位は都心(中央・千代田・港)と城東(江戸川・墨田・荒川・葛飾など)・大田の各区です。このうちで大田区は衆院議員時代の地盤を引継いだものですが、高所得者が集まる都心と低所得者の多い城東に支持基盤が二分されているのが目に付きます。
 それに対して支持が相対的に弱いのが城西・城北(杉並・板橋・中野・北など)と文京・世田谷の各区ですが、ここはいずれも生活者ネットや共産党の支持が強い地域です。石原に対立(或いは対抗)する社会運動・市民運動の存在が石原票の出方に影響を与えたとも言えます。

 この様に、石原の支持基盤が、自公両党の枠を超えて無党派をも巻き込んだ「草の根保守、草の根ファシズム」ともいうべきものであるとともに、より興味深いのは、都心の勝ち組・新中間層とともに城東・下町の低所得者層(主に自営業・主婦・高齢者で、学会・公明党の有力支持基盤でもある)が有力な支持基盤となっている事です。貧者が何故この様な強者の差別主義者を支持するのか?これが、同著第7章の当該項目における一つの眼目です。

 同著はここで「石原都政の性格の二面性」に言及します。石原が掲げた公約には、高所得層向けのものと低所得層向けのものが同居しているというのです。都市再生・再開発や羽田空港の国際化といった公約が高所得層(財界)向けのものであるとするならば、環境対策(ディーゼル車排ガス規制)や銀行税(外形標準課税)や治安対策などはさしずめ低所得層向けの公約となります。
 その中では、とりわけ前者の財界向け公約が、石原都政の中ではより本質的で根幹を為すものである事は言うまでも無いでしょう。石原が掲げる「世界都市・東京」というスローガンは、グローバリゼーションの下での新自由主義・新保守主義政策を掲げる自民党・財界の利害を代弁したものでもあるのですから。だからこそ石原は、圏央道や環状道や高層ビル群の建設にあそこまで拘り、その格好の口実となるオリンピック招致に拘るのです。

 後者の低所得層向け公約はそれを補うものであり、低所得層は排ガス規制や銀行規制に蛮勇を奮う石原を見て溜飲を下げるのです。謂わば、ヒットラー・ナチスがユダヤ人を排撃し小泉が抵抗勢力を排撃したのと同じ構図です。目に見える小悪叩きに溜飲を下げさせて、その実、より根幹を為す巨悪から目を逸らさせる。東京都が力を入れているものに「eモニター制度」というeメールによる政策アンケート活動があるのですが、そこで都民の要望を吸い取って、前述の様な政策を編み出していっているのだそうです。

 例えば石原都政は教育行政の分野では、日の丸・君が代強制などの国家主義的色彩の濃厚な施策の他に、都立高校の階層化と多様化を推し進めています。進学指導重点校に予算と人員を配分する一方で、低学力校は「エンカレッジ・スクール」として入試の学力選抜も定期考査も無くして職業訓練に特化する、そして「奉仕」(!)という科目を導入して生徒を街頭の清掃活動に動員する。これで、生徒は勉強しなくてもよくなったと喜び、地域のオッちゃん・オバちゃんは不登校が減ったと喜ぶ。これが石原都政の真骨頂なのだそうです。

 要するに上手いのです。おそらく石原という人物は、人を騙すという手腕にかけては天才的な能力を持った政治家なのでしょう。だから、新自由主義政治に苦しめられている犠牲者が、小泉を古い自民党政治を打破する旗手と看做して応援する、「自分で自分の首を絞めており、しかもその事に気付かない」という事になるのです。
 だから、石原都政を批判する場合は、石原政治と同じ土俵・基盤・発想の上で、単にあれこれの差別的言動を後追い的・表面的に批判しているだけでは不十分なのです。その裏にある「偽りの二面性」「弱者の味方を装ったファシズム」の基盤そのものを、事実に即した批判・検証によって暴き、石原になびいている「自分で自分の首を絞めている人たち」に、自分たちが騙されている事を気付かせなければならないのです。この種の批判が多少なりとも展開され大なり小なり対抗勢力が存在する所では石原支持が相対的に弱い事が、何よりもその証です。ただ如何せん、現状ではその対抗勢力が余りにも微弱で、しかも分散してしまっている事が、同著でも指摘されています。私はそれに加えて、石原の論理に絡み取られ殆ど与党と化してしまっている党派(民主党)もある事も指摘しておかなければならないと思いますが。

 この「石原都政の検証」という著作ですが、私もまだ読み始めた所ですが、なかなかお勧めの内容です。 
コメント (3)   トラックバック (2)
この記事をはてなブックマークに追加