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正しくなくても切れざるを得ない時もある

2010年03月27日 23時34分06秒 | 職場人権レポートVol.1
  

 ブログ更新が滞り、申し訳ありません。実は水曜日ぐらいから風邪を引いてしまい、殆ど身動きがとれませんでした。一時は熱が38度以上も出て、その日は帰ってからずっと寝ていました。それでも、朝目覚めたら平熱に下がっていたので、どうにか欠勤せずに済みましたが。自分のブログ管理の「仕事」も、もっぱら携帯で済ませていました。

 本日は急遽予定を変更して、以下の話を書かせて貰います。先日、私のブログで社会フォーラムの報告をした際に、地域労組関係者の「どうせ切れるなら、労働法を盾にとって正しく切れよう」という発言を紹介しました。その伝でいけば、今から私が書く事は、必ずしも「正しい切れ方」ではないかも知れません。でも場合によっては、「正しくなくても切れざるを得ない」、寧ろ「切れなくてはいけない」時もあるのではないでしょうか。

 実は私、今の仕事を今月限りで辞めようと思っています。その理由は、今の勤務先で業務を請負っている某大手スーパーのやり口が、余りにも人をバカにしたものだからです。具体的に言うと、今までは納品業者が毎日午後から店別に仕分けしていた(我々は検品のみ)牛乳を、4月からは自前で仕分けしなければならなくなったからです。クライアント(業務発注元)の某大手スーパーが、今まで納品業者(乳業メーカー)に支払っていた委託作業(牛乳仕分け)手数料を、けちって削減してきました。そして、その作業を、二次下請けの、私の勤務先の業務請負会社に押し付けてきたのです。下請けには、「既にそちらに支払済みの委託手数料(=私の会社の収入源)から費用を捻出しろ」と、幾らでも言えますから。
 何のことは無い。仕事の成果は追及するが、それに伴う雇用や労働安全衛生上の義務については、一切頬かむり。そういう事に他なりません。

 しかし、毎日数千ケースからあるリッター牛乳の仕分けを、何でたった時給880円そこらの、重労働とはとても引き合わないような低単価で、朝7時から出てきている人間が、夜6~8時位までかかって(多分それ位かかるだろう)やらされなければならないのか。
 その様な、あからさまな労働条件の不利益変更が、何故いきなり出てきて、それがすんなり通るのか。今の話は数日前からあったものの、あくまでも一部の噂でしかなかった。本日退勤時点でも、その噂が単に表面化しただけにしか過ぎません。もう直ぐ数日後に始まる重大な業務変更であるにも関わらず、今に至るも人伝の噂でしか情報が来ないというのは、一体どういう事か。

 しかも、今回の様な不利益変更は、決して今回に限った事ではありません。一々ここには書かなかっただけで、これまでも類似の事例は多々ありました。外部(業者)仕分けを減らして自社(自前)仕分けがどんどん増やされたり、前に書いたハンディ検品の様に、全然作業の合理化にならずに、現場の手間だけが増やされる、そういう事がずっと続いていました。
 何のことは無い。上から一方的に命令だけして、下の意見は一切聞かない。そういう事ではないですか。一応、元請・下請けの正社員が集まってのミーティングも毎週ある訳ですが、同じ下請け同士で傷口舐め合うだけで、発注元に意見具申一つする訳でもない。それは、私の会社の社員らの、「そんな事言っても仕方が無い」という、普段の口癖からも明らかです。しかし、発注元のスーパーにとっては、そのミーティングが、「意見もちゃんと聞いていますよ」という、アリバイ作りの格好の場となっている。

 そして、スーパーもスーパーなら、下請けも下請けで、うちの契約社員も契約社員です。どう仕事を乗り切ろうかとか、どれだけ残業代掠め取ってやろうかとか、そんな話ばっかりで、誰もこの急な不利益変更に対して、愚痴は言っても本気で怒ろうとはしない。果ては、「皆を見捨てて自分だけ定時では帰れないから、自分も残業する」とか言い出す始末で。
 バカバカしい。奴隷根性も大概にしろよ。幾ら業務請負先(発注元)と下請けの関係でも、労働者・人間として許せる事とそうでない事があるでしょう。それとも、客や上司から「お前死ね」と言われたら死ぬのですか。それでは、戦時中の特攻・玉砕・集団自決の発想と何ら変わらない。心中相手が国から客・上司・会社に変わっただけで。

 たとえ、若いうちは無理が効いても、そのしわ寄せは必ず後で来ます。私の腰痛の様に。とりあえず明日の休みは、日曜も開いている大阪市内のハローワークに直行して職探しです。そして、次の仕事が見つかっても見つからなくても、月曜日には今月限りでの退職を申し出るつもりです。それで向こうが、就業規則違反(自己都合退職の2週間前申告)を云々して来たら、それこそ労働法を盾に「正しく切れてやる」。その足で地域労組に駆け込む事も当然考えています。手前らが思い切り好き勝手やっておきながら、2週間前ルールも糞も無いでしょう。折角、快方に向かっていた風邪も、これですっかり、ぶり返してしまった様です。

(追記)
 今日行って来たハローワークでの求人状況や、非公式の場でいただいた助言も参考にして考えた結果、しばらく冷却期間をおいて相手の出方を伺う事にします。辞めるのはいつでも出来ますし、そのフリーハンドの「伝家の宝刀」を自ら捨て去ってまで、「物流・運輸関係で、大阪市内勤務の、フルタイム勤務で、出来れば月収18万円以上」という程度の、ごくありふれた希望条件すら殆ど聞き入れない様な(該当件数僅か2件!)冷酷な労働市場に、みすみす自分の方から飛び込んでいく事もないだろうと、判断しました。
 今後は、合間を見て求職活動をしつつ、地域労組とも何かあれば連絡を取り合いながら、引き続き今の仕事を続けていこうと考えています。但し、もう若くはないですし、腰痛も抱えている身なので、何よりも自分の安全と、次に仲間の安全確保を最優先に考えながら。

※参考資料
・日雇い派遣原則禁止ってどう?~四トロ二次会での議論(1)
 http://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/bad03cd251488aa4a711390b926e4b73
・日雇い派遣原則禁止ってどう?~四トロ二次会での議論(2)
 http://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/efa1b34df75adc3a530972fe0259828b
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参考資料:日雇い派遣原則禁止ってどう?~四トロ二次会での議論(2)

2010年03月27日 23時34分01秒 | 反貧困・新自由主義
(以下、第1部からの続き)

■労働者派遣業について
■投稿者:伊達 純 投稿日:2010年 3月26日(金)14時56分51秒

 そもそも労働者派遣業そのものが、労働基準法の禁止した中間搾取(ピンハネ)ではないかと思う訳です。

 最近、『昭和史』(遠山 茂樹、藤原 彰、今井 清一 岩波新書)を読んだのですが、昭和初期、やはり日雇いやピンハネが盛んに行なわれていたのですね。戦後、労働基準法で中間搾取を禁じたのは、そういった歴史的な経過を踏まえてのことではないでしょうか?

 それから、これは派遣ユニオンの関根秀一郎さんが広島で講演をした時に言っていたことですが、派遣先も、マージン(まさに中間搾取であり、ピンハネ)を支払わなければならないので派遣労働者を雇うのは高くつくと言っていたということを聞きました。

 考えてみれば日雇いや短期のアルバイトは昔からあった訳で、その際に派遣会社を通していたのでしょうか? 通していませんでしたよね。

 確かにインターネットと派遣会社を利用することで日雇いや短期の仕事を見つけやすくなったということは言えるかもしれないけれども、別に派遣会社を通さずにインターネットで仕事を見つけるということも可能ではないでしょうか?

 例えば日雇いや短期の仕事情報を書き込むことの出来るインターネット掲示板を派遣ユニオンやフリーター全般労組などの労働組合がボランティアで運営する。別に派遣ユニオンやフリーター全般労組に限らない。日雇いや短期アルバイトを募集している会社(複数の会社の連合体も含めて)が運営したってかまわない訳ですよ。これならインターネットを利用はするけれども、派遣会社を通したら取られる中間搾取(マージン、ピンハネ)なしで日雇いや短期の仕事を見つけることが出来ますよね?

 あるいは労働組合が職業紹介を無料で行なう。これだと中間搾取にはなりません。

 こうなると派遣会社は存在そのものがムダではないか、とすら言える訳で。

 登録型派遣は、確かに日雇いや短期の仕事を自分で見つける手間を省いてくれるということはあるかもしれません。しかし、やはり労働者派遣業が中間搾取であるということを踏まえると、問題ありと言わざるをえません。

 私も詳しい訳ではありませんが、そもそも職業紹介や職業教育(訓練)をヨーロッパでは労働組合が行なっているということを聞きました。ところが日本の労働組合が職業紹介や職業教育(訓練)を行なっているという話はついぞ聞きません。そういうところにも日本の労働組合、労働運動の弱さがあるのではないでしょうか?

※しかし、まことさんの問題提起へは私もレスをつけようと思っていたんだけど、人民食堂で「あ」法師やプルトニウム猫を相手にしていて、よねざわさんに先を越されちゃったな~(苦笑ひ)。

■労働者供給業者としての労組
■投稿者:dk 投稿日:2010年 3月26日(金)16時33分1秒

労働組合は、現行派遣法以前から、労働者供給業(派遣に近い)を営むことができたはずです。理由は伊達さんが言われているように、中間搾取の阻止のためですね。
一部組合が実施しているはずですが、正社員クラブの性格が強い大きな組合連合には期待できないかも知れません。案外、労働組合には色々な可能性もありそうです。
http://www.asahi-net.or.jp/~RB1S-WKT/qa7040.htm

■Re: 労働者派遣業について
■投稿者:バッジ@ネオ・トロツキスト 投稿日:2010年 3月26日(金)18時19分40秒

伊達 純さんへのお返事です。

>  こうなると派遣会社は存在そのものがムダではないか、とすら言える訳で。
>
>  登録型派遣は、確かに日雇いや短期の仕事を自分で見つける手間を省いてくれるということはあるかもしれません。しかし、やはり労働者派遣業が中間搾取であるということを踏まえると、問題ありと言わざるをえません。


その通り!
就労斡旋業務の資本主義的企業化こそが「先祖返り」としての新自由主義の究極の姿なんです。そして、このような「民営化」こそは「所得介入」を行うという点でマクロ経済観点から不生産的・寄生的な資本主義の典型。


>  私も詳しい訳ではありませんが、そもそも職業紹介や職業教育(訓練)をヨーロッパでは労働組合が行なっているということを聞きました。ところが日本の労働組合が職業紹介や職業教育(訓練)を行なっているという話はついぞ聞きません。そういうところにも日本の労働組合、労働運動の弱さがあるのではないでしょうか?


日本の労組が労使協調的な企業別組合として長らく過ごしたことによる限界(ツケ)ですね。
(ちなみに、オレは、労働組合というものは、企業別どころか産別や地域別でももう古いと思いますね。
産別労組の限界については自動車産業の黄昏みたいな業界丸ごとのスクラップ&ビルドが起こることを資本主義の歴史は証明したし、地域別にしても「職場」という空間概念が成立しない業種が近年多く登場してきていますからね)

■労働組合による労働者供給事業
■投稿者:まこと 投稿日:2010年 3月26日(金)23時09分10秒

労働組合による労働者供給事業は新運転(新産別運転者労働組合)などが展開していますね。

http://www.sinunten.or.jp/

以下、濱口桂一郎氏の「新しい労働社会-雇用システムの再構築へ」(岩波新書)に掲載されているコラム「日雇い派遣事業は本当にいけないのか?」より引用します。

『実は、労働組合による労働者供給事業や臨時日雇い型有料職業紹介事業においても日雇いという雇用形態が一般的です。そして、そのこと自体がそこで働く労働者にとって問題とされたことはありません。むしろ、日雇いが悪いという一方的な決めつけによって、労働組合の労働者供給事業が弾圧されたことがあるのです。

新運転は一九六〇年以来、労働者供給事業を行ってきましたが、翌年運輸省が旅客自動車運送事業運輸規則の改正により日雇い運転者の使用を禁止したため、反対運動を繰り広げたことがあります。当時、国会で社会党の議員は「日雇いのどこが悪いのか。そもそも運輸省が雇用関係を規制するのはおかしいではないか」と運輸行政を責めていました。結局、貨物輸送については日雇い禁止を適用しないこととされ、同労組はそちらに活路を見出していきます。しかし、日雇いが悪いという単純な発想で政策を立案することがもたらす問題点が言いがたいようです。

ちなみに、上記法案(※二〇〇八年に国会に提出された労働者派遣法改定案)は日雇い派遣事業の原則禁止を定めていますが、政府は一方で物流やイベント設営などこれまで日雇い派遣事業を活用してきた分野には日雇い職業紹介事業で対応するという意向を示しています。これは、法的構成を抜きにしていえば、日雇い派遣事業に派遣先の使用者責任とマージン規制を導入してそのまま認めることと社会的実体はほとんど同じです。』

http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0907/sin_k479.html

■労働組合による労働者供給事業(2)
■投稿者:まこと 投稿日:2010年 3月26日(金)23時30分44秒

>あるいは労働組合が職業紹介を無料で行なう。これだと中間搾取にはなりません。

とは言っても、現実に労働者供給事業を行っている労働組合も組合費という形で組合員からお金を集めているのではないでしょうか。で無ければ、継続的に労働者供給事業を行うことは不可能ですから。

労組の職業紹介にしても、それが現在の派遣会社を代替するほどの機能を有するものであるならば、現実問題としてやはり運営コストという問題を考えることは避けられないでしょうね。

この点についても、前掲の濱口桂一郎氏の著書は以下のように指摘しています。少し長くなりますが、引用します。

『実態として登録型派遣事業における登録状態に最も近いのは、労働組合の行う労働者供給事業における組合員としてのメンバーシップでしょう。(略)

登録型派遣事業とは、労働組合以外によるものであっても、一定のメンバーシップに基づく労働者供給事業には弊害がないから認めたものなのではないでしょうか。そして、そう考えれば、登録型派遣事業についても労働者供給事業と基本的に同じ規制を行えば足りるはずであり、逆に同じ規制を行うべきであるということになるはずです。

労働者供給事業については、極めて乏しい議論しかされていませんが、いくつかの裁判例は存在します。鶴菱運輸事件(略)、渡辺倉庫運送事件(略)、泰進交通事件(略)といった地裁レベルの判決はいずれも、供給先と供給労働者の関係を「使用関係」としながら、供給組合と供給先の間の供給関係が存在する限りで存続する特異な使用関係としています。(略)登録型派遣事業における派遣先と派遣労働者の関係も、社会的実態としてはこれと同じであると考えられ、同じような特異な使用関係と捉えることが最も適切であったはずです。ところが、一九八五年に労働者派遣法が制定される頃には、実態的に労働者供給事業と類似する登録型派遣事業を、請負や出向と類似する常用型派遣事業と全く同じ法的構成(「自己の雇用する労働者を……」)の中に押し込めてしまったのです。(略)

現在の仕組みでは、労働者供給事業を行う労働組合と供給先の企業が労働協約を締結し、これが供給契約になるとされていますが、そうすると供給先と供給先の間の商取引契約である供給契約が、同時に供給労働者の労働条件に規範的効力(略)を有する労働協約でもあるということになってしまい、労働法規制のあり方として問題をはらんでいます。(略)

登録型労働者派遣事業、労働組合の労働者供給事業、臨時日雇い型有料職業紹介事業を横に並べて考えると、社会的実態として同じ事業に対して異なる法的構成と異なる法規制がなされていることの奇妙さが浮かび上がってきます。そのうち特に重要なのは、事業の運営コストをどうやってまかなうかという点です。労働組合の労働者供給事業は法律上は「無料」とされていますが、組合費を払う組合員のみが供給されているのですから、実質的には組合費の形で実費を徴収していることになります。これと同じビジネスモデルである登録型派遣事業では、派遣料と派遣労働者の賃金の差額、いわゆる派遣マージンがこれに当たります。正確にいえば、法定社会保険料など労働者供給事業や有料職業紹介事業では供給先や紹介先が負担すべき部分は賃金に属し、それ以外の部分が純粋のマージンというべきでしょう。』

私見では今の派遣制度の問題点の一つには、派遣会社がどれだけ中間マージンを引いているのかが派遣労働者には分からないというところだと考えています。派遣会社には中間マージンに対する法的規制を負わせるべきですし、派遣労働者への開示を義務付けるべきだと考えます。

(転載終了)
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参考資料:日雇い派遣原則禁止ってどう?~四トロ二次会での議論(1)

2010年03月27日 23時34分00秒 | 反貧困・新自由主義
 この後の記事とも関係すると思いますので、読者のまことさんがミクシイでまとめてくれた、標記の掲示板での議論内容を、参考資料として、こちらにも転載させて貰います。尚、このまま転載したのでは、当レンタル・ブログでの制限字数を超過してしまいますので、2つに分割して転載させて貰います。

(転載開始)

日雇い派遣の問題について、いま四トロ二次会(注:下記リンク参照、各人の投稿には■印を添付・明示)で議論になっています。ちなみに、私は現時点での日雇い派遣原則禁止には問題があると考えております。

http://6305.teacup.com/mappen/bbs?

■派遣法改定で本当にハケンは「保護」されるのか?
■投稿者:まこと@日雇い派遣会社登録者 投稿日:2010年 3月24日(水)16時33分37秒

●「労働者派遣法改正で失業者が増える!? 中小企業は対応に苦慮、派遣女性も困惑」(MSN産経ニュース)

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100321/biz1003210701003-n1.htm

今回の労働者派遣法の「改正」の目玉は、いわゆる26業務を除き登録型派遣を原則禁止する点でししょうが、これ、本当に派遣労働者の「保護」に繋がるのでしょうか?

というのも、私は前職の頃から時間の合間にいわゆる日雇い派遣副業として従事してきたのですが、その経験から言えば、日雇い派遣労働者の多くは働き方の一つとして日雇い派遣を有効に活用していますし、いわゆる「運動」に関わっていない普通の労働者で「日雇い派遣を禁止すべきだ」と言っている人に私は出会ったことが無いのですね。

それに、今回の法改正によって、日雇い派遣で食っている人達は確実に収入を減らすか、あるいは仕事を失うでしょう。ここ昨今、全面禁止を見込んで、日雇い派遣業界では仕事が減っていましたし、こうした流れに拍車を掛けるでしょう。

一体どうすれば良いのでしょうか。
まさか、日雇い派遣を生業としている人々が全て正社員などの直接雇用に置き換えられると、本気で考えているのでしょうか。

確かに今の派遣に問題があるのは事実ですし、日雇い派遣を生業にせざるを得ない状況は私もおかしいとは思います。が、安直な全面禁止論は派遣労働者の「保護」どころか、派遣労働者を窮地に追い込むだけではないでしょうか。

■エリートの言い分
■投稿者:よねざわいずみ 投稿日:2010年 3月26日(金)08時45分51秒

登録型派遣がどれだけ理不尽な首切りを正当化してきたのか、合同労組に関わる人たちからすれば歯ぎしりと悔しさばかりが思い出されます。

まことさんがそうおっしゃるのは、端的に言えば、まことさんがそのような危機にさらされたことがない「エリート」派遣労働者だからなんじゃないでしょうか。でもそれは幻でしかない。エリートでも奴隷は奴隷ですから。

■Re: エリートの言い分
■投稿者:まこと 投稿日:2010年 3月26日(金)10時26分13秒

いずみさん、こんにちは。

> まことさんがそうおっしゃるのは、端的に言えば、まことさんがそのような危機にさらされたことがない「エリート」派遣労働者だからなんじゃないでしょうか。でもそれは幻でしかない。エリートでも奴隷は奴隷ですから。

確かに、私自身は登録型派遣を本業にしている訳ではないです。が、でも今は派遣での収入に「かなり」依存している面があるのが実態です。

ただ、私がこれまで出会ってきた日雇い派遣労働者の中には日雇いを生業としてきた人もいますが、 いわゆる運動に携わっていない人の中で、「日雇い派遣廃止」を切実な声として訴える向きはこれまで殆ど耳にしたことが無いのですね。

それに、日雇い派遣というシステム自体は労働者の側にも支持されている側面もあるのは否めない現状に対しては、どう思われますか?他に本業なり学業なりがあり、スポット的にアルバイトをしたい人は日雇い派遣を「便利」に活用しているんじゃないですか。

■古典的労働観と現代の労働
■投稿者:バッジ@ネオ・トロツキスト 投稿日:2010年 3月26日(金)11時09分30秒

現在問題になっている非正規雇用や変則労働条件について、それらの問題を資本の剰余価値追求手段に「のみ」解消して理解し、非難するような態度は教条主義の一種でしょうね。
もちろん、資本の貪欲性は基本的に絶対押さえておかなければならない原因ですが。

しかし、資本とは、全ての人間活動を自己の下に包摂し賃労働に転化することによって、賃労働自体の解体にもまた従事せざるを得ないような矛盾です。
マルクスは、このことを著作の中では詳しく展開しませんでしたが予見だけはしていました。『要綱』や『諸結果』の中には、現代をも射程に入れた労働論が散見されます。

例えば、他に志望する「本業」をもち、当面はあくまでも「副業」として就労しているような若年層などの問題は、単純な企業規制だけでは解決しえない。
また、本来は「賃労働」に適さない(「公務」とすべき)分野まで、現在では資本の下に賃労働として包摂されている。

単純な「資本=悪」説だけでは問題は解決しないでしょうね。
私見ですが、問題は、投下労働価値説が妥当しないような分野まで資本が包摂してしまっていることにより起こっているのだと思います。資本の胃袋が消化不良を起こしているというのが現代でしょう。

■時代の変遷
■投稿者:まこと 投稿日:2010年 3月26日(金)11時17分21秒

派遣問題を考える上では、労働を巡る環境変化も考えなければならないと私は思うのですね。

高度成長期以降の日本の(少なくとも大企業)の賃金思想は生活給という考えが背景にありましたよね。独身の若い頃には安い賃金で抑える代わりに、配偶者や子供を抱え物入りになる世代になればその分賃金を上げていく。だから、長年同じ企業で働いていないと労働者の側も損ですし、資本の側も企業内福祉や教育制度を拡充しつつ、労働者を囲い込んでいたのですし。これが、労使協調という名の下の労使馴れ合い・労働貴族と資本の癒着に陥った一因でもあるでしょう。

しかし、昨今の労働現場では、同じ企業で長く働く熟練労働者を以前ほど必要としていません。だから、生活給思想や企業内教育思想を捨ててきている。また、労働者の側も状況の御変化に併せ、「終身雇用」を信じなくなってきています。

現在の派遣制度はこうした時代状況の中で捉えられるべきだと思いますね。
例えば、日雇い派遣にしても、「会社から縛られるのがイヤだ」という思いで、敢えてそういう働き方を選択している人達もいることを見過すべきではないでしょう。

私は「社会化」がキーワードになると考えています。
派遣にみられるような労働現場の流動化を否定するのでは無く、社会全体のシステムとして労働者の生活を保障していくことが必要なのではないでしょうか。

「派遣断固廃止!」ではなく、「派遣でも安心できる社会を!」をスローガンにしたいものです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(追記 11時50分ころ)

連続投稿になるといけないので、追記の形にしますが。

現在の日雇い派遣が労働者の願望(好きな時間に働きたいとかいずみさんが指摘されるトランスジェンダー等々)を利用・搾取している面も多分にあるのは否めないと思いますよ。

ただ、とりわけ第三種産業には正社員による常時雇用を困難にしている業種が少なくないという現実も一面にはあると思いますよ。例えば、今の時期日雇い派遣業界では引っ越しの仕事が増えていますが、引っ越しなんて「季節商材」みたいなものなので、全て正社員で雇用することなんて出来ません。人手が要る時だけ集められる日雇い派遣は経営側にとってはありがたいし、また、そうした需要と「空いた時間だけ働きたい」という労働者側のニーズが合致することもあるわけです。

問題は、今の日雇い派遣というシステムが基本的に雇用主にとって有利になっていることだと思います。例えば、都合の良い時だけ労働者を雇うのだから、むしろ時給は正社員よりも高く支払うよう義務付けるとか、派遣会社や登録型派遣を常用するような企業からは割り増しの法人税なりを取り、その分を派遣労働者の生活保障に回すようにするなど、企業にとって都合の良い働き方をさせる企業にはそれなりの社会的責務を負わせるようなシステムは早急に必要だとは思います。

■Re: エリートの言い分
■投稿者:よねざわいずみ 投稿日:2010年 3月26日(金)11時25分54秒

> 確かに、私自身は登録型派遣を本業にしている訳ではないです。が、でも今は派遣での収入に「かなり」依存している面があるのが実態です。

私も、今は請負受注が低値安定しているのでやってませんが、かつて乱高下していたときは仕事の合間合間でかなり助けられました、日雇い派遣に。

そのとき私が感じた日雇い派遣のメリットは、自分のぶろぐにも書きましたが、
(1)ニコニコ現金払い
(2)性別問題
(3)普段出会わない人との休憩時間の会話とかが勉強になる
といったあたりです。

ただ、他のあらゆる出会いの場にあてはまる(3)はともかく、(1)はそのことで正規雇用の機会を奪っているわけですし、(2)はそのことでトランスジェンダーの「願望」を搾取しているだけです。もちろん、私はそのおこぼれでよい思いをしたわけですが。

> ただ、私がこれまで出会ってきた日雇い派遣労働者の中には日雇いを生業としてきた人もいますが、 いわゆる運動に携わっていない人の中で、「日雇い派遣廃止」を切実な声として訴える向きはこれまで殆ど耳にしたことが無いのですね。

これはおっしゃるとおりです。というか日雇いでない登録派遣でもほぼ同じような印象です。

> それに、日雇い派遣というシステム自体は労働者の側にも支持されている側面もあるのは否めない現状に対しては、どう思われますか?他に本業なり学業なりがあり、スポット的にアルバイトをしたい人は日雇い派遣を「便利」に活用しているんじゃないですか。

繰り返しになりますが、これはまさに「イスの奪い合い」そのものであって、そうすることによって労働者総体の雇用状況を悪化させています。もちろん、悪化させようが何しようが個人個人は食べていかないといけませんから、個人個人がそういう働き方を選ばざるを得ないのは仕方がないことですが。

私が登録型派遣を絶対悪だと思うのは、それが、解雇という本来緊急時にしか認められない手法を、堂々と、胸張って行うことができる方法だからです。
日雇い登録派遣は、まさに、毎日解雇されています。究極の解雇です。

■Re: 時代の変遷
■投稿者:よねざわいずみ 投稿日:2010年 3月26日(金)11時31分54秒

> 現在の派遣制度はこうした時代状況の中で捉えられるべきだと思いますね。
> 例えば、日雇い派遣にしても、「会社から縛られるのがイヤだ」という思いで、敢えてそういう働き方を選択している人達もいることを見過すべきではないでしょう。

まるで財界人のコトバを聞いているようでびっくりしてしまうのですが。
コトバが生まれた頃のフリーターの多くはまさにそうでしたが、いまやそういう向きはかなり減少しています。
同様に、日雇い派遣しかできないという人も増えています。

> 私は「社会化」がキーワードになると考えています。
> 派遣にみられるような労働現場の流動化を否定するのでは無く、社会全体のシステムとして労働者の生活を保障していくことが必要なのではないでしょうか。

これだけ取ればそのとおりです。
で、私は、日雇い派遣を認めることが社会全体のシステムとして労働者の生活を保障することにはつながらず逆向きだと考えるから、日雇い派遣廃止に賛成しています。

> 「派遣断固廃止!」ではなく、「派遣でも安心できる社会を!」をスローガンにしたいものです。

これに「失業者、障碍者、病者でも安心できる社会を」とつけ加えるなら大賛成です。

もう1つ、なんで女性の労働問題がこの議論で出てこないのかが不思議なんですが。

■主意主義的な「撤廃」ではなく、
■投稿者:バッジ@ネオ・トロツキスト 投稿日:2010年 3月26日(金)12時32分46秒

賃労働の「死滅」の必然性までを射程に入れた労働観、労働政策をこの際一緒に考えてみませんか?そう、賃労働も、国家同様にやがて死滅するからです。
マルクスは、生産過程での科学(的労働)の比重増大が労働時間に基づく価値生産という資本の存立基盤自体を掘り崩す(『要綱』)とか、サービス部門などの非物質的生産の領域の発展は資本の下では「考慮する必要はない」(『諸結果』)などと錯綜した書き方もしてますが、賃労働が解体して行く道程を明確に認識していました。

現在論議されている問題も、このような普遍性の地平に据え置かれてこそ理解を誤らないと思います。
自説に都合の良い事実を投げ合うだけのような実証主義的認識態度では、歴史の問題を解決出来ませんよ!


なお、資本の下での賃労働を人間能力の全面発達に資する肯定面もあると考えるマルクスの立場からは、「日雇い」の対立的究極である「終身雇用」を擁護するという主張は当面の改良政策としてさえ出てこないと思いますよ。

(以下、第2部に続く)
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TBリンク集2:日々追記更新中

2010年03月24日 20時13分06秒 | リンク集
 「TBリンク集1」の続きです。制限字数オーバーにより、追記更新が出来なくなったので、新たに第2集を作りました。こちらは比較的最近の分で、日々追記更新していきます。(TB以外のコメント欄を通してお近づきになったブログも追記しました)

・名無しのデムパ論
 http://maidenhead.blog5.fc2.com/
・ニートのガラパゴス日本脱出日記
 http://corpchic.blog.fc2.com/
・Afternoon Cafe
 http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/
・極点と扇動
 http://tariho80.blog.fc2.com/
・徒然雑言(すみんちょさんのブログ)
 http://ameblo.jp/ryo3216/
・弯曲していく日常
 http://d.hatena.ne.jp/noharra/
・矢野 匠の、日々是大波
 http://yanotakumi.blog97.fc2.com/
・みなと横浜みなみ区3丁目
 http://ojirowashi.no-blog.jp/ykminami/
・コミュニスタ紅星の幡多荘草紙 ~取り戻そう 共生の国・日本。~
 http://tosanishikigyorin.blog47.fc2.com/
・罪団法人 汽車旅と温泉を愛する会(旧・人生チャレンジ20000km)
 http://blog.goo.ne.jp/hitorasiku
・バスのる!―つくば・土浦・牛久・龍ヶ崎のバス約50路線
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・日本deカナダ史
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・たたかうあるみさんのブログ
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・日本国憲法擁護本当の自由主義と民主主義連合~法大OBのブログ
 http://navy.ap.teacup.com/union/
・zames_makiの日記
 http://d.hatena.ne.jp/zames_maki/

※これより以前の分は第1集に載せています。
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もう一つの世界は可能だ! おおさか社会フォーラム全体会参加報告

2010年03月22日 23時52分31秒 | 反貧困・新自由主義
  
  

 前回記事でもお知らせした標記の催しに行って来ました。行って来たと言っても、参加出来たのは21日の全体会だけで、翌日の分科会には行けませんでした。本当は両日とも参加したかったのですが、実は直前まで日程を一日ずれて覚えていて、その勘違いに気付いた時には、既に次月の勤務シフトが組まれていて、有休取得のタイミングを完全に逸してしまいました。おまけに全体会の方も、こちらも当日直前まで所用で塞がっていて、一時は参加を諦めていました。しかし、何とか初日の全体会だけは参加する事が出来ました。以下はその参加報告と感想です。(写真は左上から時計回りに、全体会登壇者、WSF統一ロゴ、通行証、コーヒー販売コーナー)

 当日は大阪・扇町の北区民センターに13時開演で、二人の司会で始まった。二人のうちの一人は、市民団体代表の藤永延代さん。おおさかパルコープの理事を務めた事もある人で、私もこの人の名前は聞いた事がある。もう一人は、安原さんという地域労組の人。この人についてはよく知らない。
 その次に、最初のフォルクローレの演奏の後、実行委員会代表として、橋下徹相手に府知事候補として戦った梅田章二さんが挨拶。「大人しく聞いていてはいけない、立ち上り歩き回り喋りながら聞くのが社会フォーラムの流儀」との事。そのせいもあって、講演中も会場は常にざわついていたが、それが全然苦にならず、逆に催しに色を添えていたのだから、不思議なものだ。

 13時半から14時過ぎまでリレートーク。
 まず、補完通貨研究所というNGO団体の人から、パワーポイント(PP)を使っての、連帯経済や補完通貨の話。フェアトレードに関する非常に重要な事を話されたのですが、如何せん、話が端折り気味でPP画像も文字だらけだったので、話についていけなかった人も多かったのでは。
 次いで、気候変動ネットワークの人が地球温暖化に警鐘を鳴らしていた。今後は、平均気温が1度上昇する毎に、300kmづつ赤道に近づく計算になる。温度上昇を2度以内に止めるには、全世界で5割、先進国だけでは8割ものCO2削減が求められる。
 その後は、「パレスチナの平和を考える会」から、BDSキャンペーン(対イスラエル・ボイコット)の提起。果物のスウィーティーやアハバというコスメ商品などの、パレスチナから奪った入植地で採れた農産物を輸入・消費しない・させない取り組み。今ここで起こっているのは「暴力の連鎖」なぞではない、イスラエルによる一方的侵略だ。それを問わない「ニセ中東和平」の枠組みなぞナンセンス。
 「地域労連おおさか」からは失業・貧困問題。「普通に結婚・子育て・生活出来ない」「働けば不当労働行為にぶつかる」、そんな現状の中で、「我慢した挙句にうつ病か過労死に至る」か「切れて辞めてしまう」かの、二つの選択肢しか見えなくさせられている。しかし、どうせ「切れる」なら、労働法を学んで「正しく切れよう」。若者ユニオンによる模擬団交の取り組みで、ブラック会社の社員も続々加入。全労連と全労協の共闘も進展している(郵政労働者ユニオンなど)。

 14時からは海外ゲストの発言が続く。最初に南米エクアドルから。子どもの半数が栄養失調、8割の国民が社会保障から除外され、債務支払いの自転車操業に追い込まれていた、かつての状態から、先住民の運動によって、新自由主義反対を掲げる新政権を誕生させた。そして、ヤスニ・プロジェクトによって、石油乱掘から国立公園の自然を守り、CO2削減を目指す取り組みへ。

 途中でフォークソングと休憩を挟んだ後、15時頃から、タイ・フィリピン・韓国NGOの報告。この社会フォーラムは、大阪以外にも世界41ヶ国で同時開催されている、との報告。しかし、もうこの辺になると、少々疲れが出てきて、おまけに休憩中に買ったパンフレットに見入っていた事もあり、あまり話が聞き取れず。

 奄美島唄の演奏の後、16時前から再びリレートーク。
 市民メディアネットの人から、韓国など海外の動き。いくら資本にメディアを握られ、「売らんかな」の情報ばかりが巷に溢れても、市民もそれに対抗してコミュニティメディアを立ち上げていけば、大手メディアも全く無視出来なくなる。日本でも、そんなコミュニティラジオ局が、京都三条ラジオカフェを初め17局ある。大事なのは、批判的視点とともに、自分自身も発信源となって、世界と繋がる事。
 シングルマザーズフォーラムからは、女性差別とパート差別との関係。今まで陰に隠れて見えなかったものが、貧困問題の顕在化と共に見えるようになってきた。それでも依然として、「離婚は我が儘」などの自己責任論が吹聴されるが、これなぞ典型的な精神的・経済的ハラスメント。暴力は何も肉体的なものだけとは限らない。
 農民連の代表からはWTO・FTA農政への批判。民主党農政は、自由化推進の矛盾を所得保障(税金で穴埋め)という飴で誤魔化すものでしかない。本質は自民党農政と同じ。APEC単位でFTAなんてやられたら、国内食料自給率はゼロになる。
 小学校養護教員からは学校の貧困問題。相対的貧困率、OECD平均8%に対し日本では13%で世界第二位、一人親世帯では何と50%。かつての中流幻想、今や見る影もなし。共働き貧困家庭では親も働き尽くめで過労死寸前、とても教育どころではない。親も子も、病気になっても医者に診てもらえない。「餌がもらえる犬猫に生まれたかった」という作文を、子どもが書くまでの状況が広がっている。

 16時15分過ぎからはフリートーク。発言者も、エスペラントの会、報償費(官邸機密費)返還訴訟に取り組む市民団体、AALA、非核日本の会、郵政労働者ユニオン、みどり関西、ATTAC京都・・・と、多士済々。書籍販売コーナーには、山口県上関原発反対の座り込みの記録や、風力発電の危険性に警鐘を鳴らすもの、セクシャル・マイノリティ関連など、私が今まで知らなかった事も多い。いずれも非常に興味を覚えたものの、時間と金の持ち合わせがなかったので、次回の機会に回す。買ったのは先のパンフとフェアトレードのコーヒーだけだったが、署名は出来るだけした。
 
 再びフォルクローレの演奏。数多くの演奏の最後を飾ったこれが一番上手かった。その後、17時前に、沖縄からのピースリレー行進団がメッセージを携えて登壇。名護市長選勝利の歴史的意義。今までの「飴とムチ」が次第に効かなくなっている。ヒロシマ・ナガサキ議定書の内容に沿って、2015年に核廃絶を目指す。特別法(特定の自治体に適用される法律)制定に際しては住民投票を経なければならないという、憲法95条に基づく民主的住民自治の実現を。

 17時10分から閉会挨拶と諸連絡。社会フォーラムは、特定の綱領・規約に基づく組織運動ではなく、参加型の社会運動だ。謂わばお祭りのようなもの。「参加と平等」がキーワード、その中で民主主義を学んでいく。本日は約450名の参加で成功裏に終了した。明日も終日別会場(エル大阪)で分科会があるので、通行証(葉書大で首からかける)を忘れないように、との注意喚起。終了後は参加者全員で会場の椅子を片付け、有志で梅田までデモ行進(私は参加出来なかったが)、という日程でした。

 以上が全体会の参加報告ですが、それを踏まえての感想を二つほど。本当は他にも色々書きたい事はあれど、冗長になるのを避ける為に、敢えて二つだけに絞ります。

 一つは、数年前の「9条世界会議」と同様に、今までの運動では考えられなかった程の、参加の広がりが見られる事です。パルコープの人や府知事候補の梅田さん、地域労組やAALA(アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会)が音頭を取っている事からも、この運動への共産党系組織の力の入れようが偲ばれますが、決してそれに止まるものではありません。それは、それ以外にも、郵政労働者ユニオンやジュゴン保護キャンペーン、全労協、イラク平和テレビ、メキシコ先住民運動連帯関西、みどり関西などの「非共産党」系組織も、広範に加わっている事からも明らかです。それどころか、会場の外ではアナキスト・グループ(自由労働者連合)まで街宣に加わっていました。それが、前回記事でも触れた「おおさか社会フォーラム憲章」の5原則に沿いながら、ごく自然に行われるようになっている事に、非常に感銘を受けました。
 こんな事を書くと、新左翼や無党派市民運動などの非共産党系左翼の方から、「何をまだそんな事に拘っているのか」と、逆にお叱りを受けるかも知れませんが、それでも「昔の共産党」と比べると、大きな変化なのです。勿論、これは「フォーラム形」の運動だからこそ出来る事なのでしょうが。反動攻勢を打ち破っていく為には、「フォーラム形」とは別に「組織型」の運動も必要なのは分かっています。しかし、得てして後者が「民主無き民主集中制」に陥りがちなのは、北朝鮮や「いずみ生協」の例からも明らかです。今までは、こういう取り組みが余りにも為されなさ過ぎたのでは、と思います。

 もう一つは、この社会フォーラムの運動と比べると、今の日本政治の後進性はもはや覆うべくも無いという事です。この間、巷に流れたニュースは、鳩山邦夫の自民党離党であったり、与謝野・升添・枝野・渡部などの自・民「反主流派」の動きであったり、生方幸夫・民主党副幹事長解任劇だったりでしょう。もうウンザリです。鳩山邦夫なんて、一体幾つ政党を渡り歩いたのよ。「どっちについたら得か」と損得勘定で動いているだけのくせに、何を「坂本竜馬」気取りでいるのか。これら名前の挙がった与野党政治家は、生方だけ少し毛色が違うものの、後は全て、いずれ負けず劣らず「元・自民党」系ではないですか。小沢・民主党幹事長なぞ、その最たるもので。
 一連のニュースが流れた時は、ブログでも取り上げようと書き始めたものの、余りの沙汰に、もうバカらしくなって止めました。後は前回記事にも書いた通り。鳩山政権・民主党の支持率低下は、「反日・反米」が原因ではない。寧ろその逆で、「反自民」「対米従属・格差社会からの脱却」などの選挙公約が、いずれも口先だけだったからに他ならない。
 それが何ですか。やれ「平沼新党」がどうの「みんなの党」がこうの、「小沢」がどうたら「反日」がこうたらとか、そんな「ネトウヨ」レベルの話しか出来ず、現実の貧困な労働条件や低福祉には何も言えずに「下見て暮らせ傘の下」で鬱憤を晴らし、在日米軍の治外法権には何も言えずにアジア人の「在日特権」ばかり言い募る、そんな「自民党なき自民党政治」「自民党を別の名に言い換えただけの保守反動政治」から、もういい加減に脱却すべき時に来ている。
 まあ、そうやって、自民党はますます衰退すると共に、「ニセ反自民」の党が次々に登場した挙句、やがて「ニセ」では誤魔化せなくなる時が必ず来ます。これ以上、ネオナチ・靖国右翼や新自由主義者どもの好き勝手にはさせない。

(参考資料)
・おおさか社会フォーラム(OSF)公式ブログ: 翌日分科会の報告も有。
 http://osaka.socialforum.jp/
・WSF大阪連絡会: WSF(世界社会フォーラム)運動の解説有。
 http://www.geocities.jp/wsfosaka/
・ATTAC(アタック)関西: トービン税についての解説有。
 http://attac-kansai.sakura.ne.jp/index.html
・Drop the Debt ! ジュビリー関西ネットワーク:
 途上国の債務問題に取り組むNGO団体。OSFにもエクアドル代表が参加。
 http://d.hatena.ne.jp/Jubilee_Kansai/
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おおさか社会フォーラムのご案内

2010年03月19日 22時55分56秒 | 反貧困・新自由主義
 

 3月21日(日・祝日)、22日(月・振替休日)の二日間に渡って、標記の催しが大阪で行われます。この様な「反グローバリズム・アンチ新自由主義・脱資本主義」の国際連帯を掲げた大規模な催しが大阪で行われる事は、私の知る限り、今まで殆どありませんでした。折角の機会ですので、興味のある方は是非参加してみて下さい。私も両日参加したいのですが、生憎、参加出来そうなのは初日だけで、それも「若し開演時間に間に合ったら」という留保付きです。
 日本では、世界のこういう動きについては、マスコミは殆ど取り上げません。スポンサーの財界がそれを許さないからです。その代わりに、自民・民主をもっと酷くした、極右ネオナチ「平沼一派」や新自由主義の「みんなの党」みたいな反動的潮流が、まるで「脱二大政党の受け皿」であるかの様に、もてはやされています。そうして日本は、やれ「小沢」がどうたら「反日」がこうたらとか、そんな「ネトウヨ」レベルの話しか出来ず、現実の貧困な労働条件や低福祉には何も言えずに「下見て暮らせ傘の下」で鬱憤を晴らし、在日米軍の治外法権には何も言えずにアジア人の「在日特権」ばかり言い募る、「奴隷」跋扈の国に成り下がってしまいました。
 しかし、それを乗り越えようとする「もう一つの世界」も、確実に存在し日々発展もしています。それを是非肌で感じてきて下さい。

(以下、当該HPより) 
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おおさか社会フォーラムとは
 グローバル資本主義と新自由主義経済の破綻がますます明らかになってきている中、世界社会フォーラム(WSF)を軸とした「もう一つの世界」を求める世界的な潮流が形成されています。2010年には、世界の至るところで社会フォーラムが開催され、2011年にアフリカで開かれる予定の第9回WSFに合流していこうとしています。このおおさか社会フォーラム(OSF)は、ここ大阪の地において「もう一つの世界」「もう一つの大阪」を求める声を結集していこうとするものです。
 OSF は、「おおさか社会フォーラム憲章」に沿って開かれ、この憲章を承認するすべての団体に開かれています。憲章の精神を列挙すると、 (1)行き過ぎた資本主義、新自由主義への批判、(2)人種差別、民族差別を認めない、(3)暴力で問題を解決しようとするグループの排除、(4)政党、政府の参加は認めない、(5)以上の原則を踏まえて、あらゆる社会運動にかかわる人々に優先順位をつけないで、発言の機会を与える、の5 つです。
 この原則に沿って、すべての問題について開かれた場を目指しますが、世界情勢などに鑑み、(1)もう一つの大阪、(2)グローバル金融危機、(3)気候変動・生物多様性、(4)平和・核兵器廃絶の四つのテーマを重点領域とします。

■日程

【全体会】 日時 3 月21 日(日) 13:00〜17:00
会場:北区民センター大ホール (地下鉄堺筋線「扇町」駅 徒歩3 分 JR 環状線「天満」駅 徒歩3 分)
■海外代表も交えさまざまな団体の活動紹介、社会フォーラムが取り組む課題の全体像を描きます。

【分科会】 日時 3 月22 日(月・祝) 10:00〜16:00
会場:エルおおさか(京阪「天満橋」・地下鉄谷町線「天満橋」駅 徒歩5分)
ワークショップ 本館/南館、オープンスペース: 7F・会議室(4室)、文化イベント:地下プチエル
■平和、労働、環境、人権などさまざまな課題ごとに分科会がもたれるほか、映画の上映、音楽演奏等の文化の催し、さまざまなグループからの出展や展示などが準備されています。

■参加費 1,000円。
※ただし高校生以下、介助者は無料。その他個々の事情に応じた措置を検討しますので、お気軽にお問い合わせください。

◆おおさか社会フォーラム実行委員会
 http://osaka.socialforum.jp  osaka@socialforum.jp
 市民オフィスSORA 06-7777-4935
--------------------------------------------------------------------
まんが 反資本主義入門
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明石書店

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グローバリゼーション・新自由主義批判事典
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スポーツ選手を国籍で差別するな

2010年03月15日 19時04分33秒 | 映画・文化批評
朝青龍、引退会見で涙


 昨今は、この前のバンクーバー五輪だけでなく、トヨタのリコールや捕鯨規制の問題でも、やたら外圧を強調して、国家意識を煽るような報道が目に付きます。
 この土曜日の夕方も、整体治療の待ち時間に聴いていたラジオのDJ番組(注1)で、デーモン小暮が、朝青龍引退の件に託けて、「横綱には国技たる大相撲の最高位に相応しい品格が求められる、今後は横綱には日本国籍保持者しか昇進できないようにすべし」という趣旨の発言をしていました。
 私、それを聴いて、一瞬「あれっ?」と思いました。そんな事を言い出したら、逆に、メジャーに移籍したイチロー・松井・新庄といった日本人メジャーリーガーも、米国籍を取得しなければならなくなってしまうのでは。メジャーなんて、米国の国技みたいなものなのでしょうから。

 私は、野球や相撲については余り興味がないので、以前嗜んでいた競馬にたとえてみます。例えばGIレースの天皇賞で考えてみましょう。
 競馬は、それ自体は欧米から入ってきたスポーツ・ギャンブルであるものの、国内で広まる中で、軍馬育成と密接に結びつくようになりました。つまり、軍国主義とも全く無縁ではなかったのです。特に天皇賞なんて、戦前は「帝室御賞典競争」という名称で呼ばれ、天覧試合として行われていたレースです。そういう意味では、天皇賞は、謂わば日本の国技に相当すると言えるでしょう(注2)。
 しかし、だからと言って、レースには日本人しか出走できないなんて言い出したら、外国人騎手のぺリエやデムーロは一体どうなります?ぺリエなんて、日本語こそ殆ど喋れないものの、日本国内競馬場各コースの良し悪しについては、下手な日本人騎手以上に熟知しているのですが。

 斯様に、今や野球・サッカー・相撲などのプロスポーツや、競馬などのキャンブルにおいても、国際化の流れの中で、外国人プレーヤーにも門戸を開くようになりました。相撲力士についても、外国出身者の進出には目を見張るものがあります。これだけ国際化が進展している中で、今さら国籍ばかりに殊更拘った所で、果たしてどれだけの意味があるのでしょうか。
 勿論、それは手放しで賞賛されるべき事だけではありません。国際化に伴う負の側面としては、アディダスやミズノなどのスポンサー資本によるスポーツ界支配や商業主義の弊害があります。しかし、それを是正するのも国籍やナショナリズムなぞではなく、あくまでも市民の良識です。

 デーモン小暮は、自分のブログでも、今回の件について以下の様に書いています。

>朝青龍は、スポーツ選手・力士としては類まれな身体能力と気力・集中力・闘争心を兼ね備え「超優秀」であった。しかし一方で、「横綱」とは単なる最強者ではなく「日本人の心の奥底にある美徳」を具現化し全力士の模範であることが求められる存在、であるということを最後まで完全には理解できなかったのではないかと感じざるを得ない。(Feb.05.DC12:朝青龍引退。)
 http://demon-kakka.laff.jp/blog/2010/02/feb05dc12-00fb.html

 しかし、そもそも「土俵の上で勝負が終わった後に相手にきちっと礼をする」なんて事は、「日本人の心の奥底にある美徳」云々以前に、「市民道徳としての常識」ではないか。日本人だの米国人だの中国人だのいう以前に、一人の人間として求められるべき事ではないのか。
 それが、デーモンみたいに、それをまるで「日本人特有の美徳」であるかのように捉えてしまうと、逆に「外国人は野蛮で結構」となってしまうのではないでしょうか。

 デーモンは、知る人ぞ知る相撲ファンなんだとか。少なくとも、私なんかよりも遥かに相撲の事をよく知っている筈。朝青龍についても、彼が決して単なる無頼漢なぞではなく、それどころか母国モンゴルでは事業家として大成した人物である事や、話題になった「療養中のサッカー試合」も、母国でのストリートチルドレン救援チャリティーの一環として参加したのであり、誉められこそすれ貶される理由なぞ何も無い事も、当然知っている筈です。ならば、朝青龍に対しても、素人衆と一緒になってのバッシングではなく、もっと適切な助言があって然るべきと思うのですが。

(注1)後で調べたら、MBSラジオの関西限定番組「INO-KONボンバイエ」でした。
(注2)天皇賞レースの詳細については、JRA公式サイトを参照の事。このレースも、外国馬の参戦実績こそないものの、今やれっきとした国際競争の一つとなっています。
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ネオリベの兄貴が更にネオコン化してしまった

2010年03月11日 23時48分25秒 | 当ブログと私の生い立ち
 書こうかどうか迷いましたが、やっぱり書く事にします。私の兄貴の事について。
 以前にも一度だけ書いた事がありますが(2008-02-22 12:49:11コメント「ネオコンの兄貴」参照)、その兄貴とは、ここ数年来、政治的な議論になると悉く私と意見が衝突して、お互い気まずい思いをする事がしばしばでした。じゃあ、「そんな政治的な話なぞしなければ良いのに」と思うでしょうが、私は全然その気が無いのに、いつも兄貴の方から議論を吹っかけてくるので、もう頭にきているのです。「適当に受け流せば良いじゃないか」と思いつつも、私からすれば兄の意見が余りにもトンデモなので、ついつい私もムキになって応戦してしまい、後で互いに気まずい思いになるのです。

 その前に、兄と私の関係について、もう少し詳しく説明しておきます。歳は50歳代後半で、私とは10歳近く歳が離れています。大学卒業後は、10年ほど地方銀行に勤めた後、脱サラしてビデオ屋を始めました。そして、それと同時に嫁さんをもらい、私の実家から独立しました。今も嫁さんと二人で住んでいます。子どもはいません。
 ビデオ屋は、当初は羽振りが良かったものの、2000年前後から次第にネットに押され、商売に陰りが出てきました。今まで雇っていた二人のバイトも辞めさせて、代わりに私が、バイト終了後の空き時間に、自分の収入補填も兼ねて、店を手伝うようになります。今は、もう後述するように、そのビデオ屋も店終いしてしまいましたが。

 最初は政治絡みの話題をする事もなく、普通に兄貴の店を手伝っていました。しかし、2003年のイラク戦争開戦前後の頃から、兄の「政治的異変」が、次第に目につくようになりました。兄は、事ある毎に、当時のフセイン・イラク大統領の悪口を言うようになりました。尤も、フセインは当時から「悪の枢軸」呼ばわりされていた人物ですから、悪口を言っても一向に不思議ではないのですが、その嫌い方が、私から見たら、とても尋常ではなかったのです。世界の独裁者は他にもおり、それどころか、イラク開戦に踏み切った米国のブッシュも覇権主義の権化のように思われていたにも関わらず、明けても暮れてもフセインだけを、まるで今の金正日みたいに論っていたのです。
 私は、当時既に今のブログの前身HPで、イラク戦争については反ブッシュの立場に立っていたので、しょっちゅう兄貴と衝突していました。

 次に兄と衝突したのは、橋下徹が初当選した2008年大阪府知事選挙の時でした。その時には、兄は既に熱狂的な小泉・橋下信者に変貌していました。小泉の「自民党をぶっ壊す」発言や両者の「脱官僚」姿勢に心酔していたのです。私が、「小泉改革や郵政民営化なんてニセ改革にしか過ぎない」「今までの土建屋利権から米国のハゲタカファンド利権に乗り換えただけじゃないか」と、幾ら口を酸っぱくして言っても、一向に聞く耳を持ちませんでした。

 また、その頃から、「嫌韓流」漫画や「新しい歴史教科書をつくる会」関連本を読み始め、北朝鮮・拉致問題についても異様な関心を示すようになりました。何が異様かというと、事あるごとに、私に向かって「北朝鮮や金正日についてどう思う?あんな悪い奴は他にいないだろう」と、しきりに言ってくるようになったのです。
 既に私も、前身HPや今のブログで金正日を批判していたので、「反・金正日」については異論はないものの、それでも、余りにも「北朝鮮の脅威」ばかりを言い募り、それと対を為すブッシュのアフガン・イラク侵略や、それに無批判に追随する当時の小泉外交については何も言及しない、兄の思想的偏りぶりには、流石について行けませんでした。

 その一方で、拉致被害者や北朝鮮人民の「人権」を云々するくせに、例えば橋下徹が提唱する「関西州」「道州制」については、私が「あれは『平成大合併』の都道府県版ともいうべきもので、大都市圏による地方切捨てでしかない」「切り捨てられるのは地方だけでない。大都市圏に住む低所得者層も、福祉・教育予算を削減され、『ヒルズ族』による都市再開発の踏み台にされるだけだ」と言うと、何と「離島や山間部なんて元々人の住む所ではない」「農業も外国から安い農産物を買い叩けばそれで良い」という意味の事を言ってのけたのです。言い方は流石にそこまで露骨ではありませんでしたが、言っている事はそういう内容でした。そんな「弱肉強食論者」が、よくも北朝鮮・拉致問題についてだけ「同情」出来るものだと、呆れたのを覚えています。

 そこで、兄に対して「ネットウヨクみたいな事を言うな」と言ったら、「わしはあくまでも反自民だ、ムチャクチャ言うな」と、えらい反発されたのを覚えています。しかし、当然ながら「反米」や「反自民」にも色々あります。「アフガン・イラク反戦、憲法改悪・派遣切り反対、ジェンダーフリー要求」も「反自民」なら、「第二次大戦は米国の陰謀」「日本核武装・更なる規制緩和推進、女系天皇反対」という「後ろ向きの反米・反自民」もあります。「反米・反自民」と「ネットウヨクではない」事とは、全く別問題なのですが。もう反論するのもアホらしくて、そこまでいちいち言いませんでしたが。

 確かに、兄はウヨク一色ではありません。元々兄貴は昔も今もノンポリです。寧ろ、昔はどちらかと言えば革新系の意見に近かった。ビデオ屋時代も民商に加入し、辻元清美を支持してピースボートのポスターを店の横に張ったりしていました。「日の丸・君が代」強制にもどちらかと言うと批判的で、北朝鮮についても、最初の頃は「戦前の日本と同じだ」と言って批判していました。

 それが、この前の日曜日に所用で兄貴の家に行った時も、ちょうど例の「やしきたかじん」のバカウヨTV番組を見ていて、また暫くするといきなり「中国は侵略国家」で「日本に攻めてくるかも知れない」だの、「このままでは第三次世界大戦になるかも知れない」「今はもう食うか食われるかだ」「もっと日米同盟を強化しなければいけない」だの言って来た。
 それに対して、私も「経済成長の真っ最中で、米国債も世界で一番買っている中国が、いきなりそんな、自分で自分の首を絞めるような真似なぞする筈ないだろう。もう少し冷静に物を考えられないか」「沖縄・普天間の問題にしても、戦時中に米軍が勝手に村や農地を潰して、強盗みたいにして作った米軍基地を、たった一箇所返せという事すら言えないとは、幾ら同盟国でもおかしいじゃないか」と言い返し、私も兄の事を「ネオコン」(新保守主義者=覇権主義・軍国主義の米国保守派)呼ばわりして、また互いに気まずい雰囲気になってしまいました。私も、そんな事は言いたくはなかったのですが、あそこまで言われると、黙ってはいられなかった。

 しかし、何故、兄貴はここまで変わってしまったのかね。実は私、兄貴には、自分がこのブログをやっている事は、今に至るまで一切喋っていませんし、今後も喋るつもりは一切ありません。下手に喋って荒らされでもしたら、適いませんから。もう漫画みたいな話ですが、残念ながら実話です。

 以下、考えられる要因(可能性)をいくつか挙げてみました。その中でも、まだ(3)の場合なら良いのですが・・・。若しこれに補足する点やアドバイスなどがあれば、コメント投稿やメールでも構いませんので、お願いします。

(1)最悪、「在特会」や勝共連合(統一教会)みたいなものに絡み取られてしまった可能性がある。まさかとは思うが、全く在り得ない訳ではない。現に「嫌韓流」本が本棚にあったのだから。まだ壷や経典の類がないだけでもマシなのかも知れないが。

(2)自営業としての物の見方も、微妙に影響しているのかも知れない。自営業(事業家・資本家)というのは、ある意味「弱肉強食」の競争社会。そこでは「団結して搾取と闘う」よりも「自分だけ這い上がろう」という考えになりがち。そのネオリベ(新自由主義=弱肉強食資本主義)的な発想が、歪んだ排外主義と結びつくと、「北朝鮮・中国なんかに負けてなるものか」という形になる。ネオリベの橋下徹が国粋主義的発言を繰り返し、右翼の石原慎太郎も経済弱者や少数派を露骨に差別するのが、その何よりの証拠だ。「北朝鮮・拉致問題」も、彼らが云々する場合は、自らの差別心を誤魔化す為の口実として使っているに過ぎない。

(3)カルトに染まったのでも、新自由主義に絡み取られた訳でもない。兄貴は、今はビデオ屋も畳んで、別の自営業と、ビデオ屋跡に入ったテナントからの家賃収入で、何とか食ってはいけている。しかし、過去の成功体験と現状との落差に、たとえ無意識ではあっても、心の中に忸怩たる思いを今でも抱えており、その憂さを「北朝鮮・中国叩き」で晴らしているのではないか。人間関係も、今の自営業中心の、狭いものになっている可能性がある。若しそうならば、もっと空き時間に可能な範囲でバイトをするなり、北朝鮮難民救援活動に参加するなりして(但し、ネオナチ・勝共・靖国右翼みたいな「変なトコ」以外で)、一刻も早く「北朝鮮オタク」状態からの脱却を図る必要がある。

“癒し”のナショナリズム―草の根保守運動の実証研究
小熊 英二,上野 陽子
慶應義塾大学出版会

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橋下「大阪改革」の正体
一ノ宮 美成,グループ・K21
講談社

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おバカ産経の自爆記事

2010年03月07日 22時43分23秒 | バカウヨ・アホノミクス批判
  

・民主党連合系16衆院議員 関連株40銘柄所有 総数14万6000株 「癒着の疑い」指摘も
 日本労働組合総連合会(連合)の組織内議員である民主党の衆院議員38人のうち16人が、本人や妻の名義で連合傘下の労組と関連のある企業計40社の株を所有していることが3日、産経新聞の調べで分かった。保有株式の総数は約14万6千株にのぼる。北海道教職員組合(北教組)の政治資金規正法違反事件で、労組と民主党の「政治とカネ」の問題に批判の目が向けられる中、識者からは「労組の組織内議員が、労組と関係のある企業の株を持っていれば、癒着を疑われて当然」と指摘する声も出ている。(中略)
 最も多くの「連合関連」株を所有するのは、NTT出身でNTT労働組合の支援を受ける田嶋要氏で10銘柄。NTT株は持っていないが、NTTグループと関係のある企業の株を複数所有し、連合傘下の労組がある古河電工などの株も保有する。次いで、トヨタ自動車出身の古本伸一郎財務政務官がトヨタ自動車など5銘柄を所有。古本氏は全トヨタ労働組合連合会の元顧問だ。川端達夫文部科学相は、出身企業の東レなど4銘柄を持っている。川端氏は東レ労働組合の滋賀支部長を務めていた。(後略)(以上、産経新聞より)
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100304/crm1003040131001-n1.htm

 アホじゃないか。

 多分、産経新聞は、北教組・日教組の労組献金問題で民主党を叩くつもりで、この記事を載せたのでしょう。しかし、その事で却って、民主党だけでなく自民党をも叩く事になるとは、露ほども考えなかったのでしょうか。流石は「労働組合が日本侵略w」クオリティの単細胞・産経だけの事はあります。

 この記事を読んで、普通の読者はどう思うでしょうか。産経的に「労働組合が日本侵略w」とバカ正直に取る人よりも、「大企業の労組って、やはり裏では財界・自民党ともツーツーだったのね」と取る人の方が、遥かに多いと思うのですが。イデオロギー云々以前に、労働者の生活実感・皮膚感覚として。
 そりゃあそうでしょう。特に、献金問題で叩かれている北海道や山梨の日教組なんて、今や管理職への出世コースと化しているのだから。これは他の連合系民間労組とて同じ。余りにも体制べったりだと組合員にソッポを向かれるので、時にはホワイトカラー・エグゼンプション導入に反対したり、共産党を大会来賓に呼んだりしていますが、しかし内部に目をやれば、会社とグルになって派遣法改正に反対したり、果ては9条改憲を唱えたりしている所も、決して少なくないのですから。

 では、実際は「財界・自民党ともツーツー」の連合・民主党や、国・文科省との協調路線にとっくに転じている日教組を、何故未だに産経や自民党は叩くのか。それは、飴玉をしゃぶらせるだけでなく、時にはムチで叩かなければ、増長しかねないからです。つまり、「お上にちょっとでも逆らえばこうなるぞ」という、「見せしめ」に他なりません。「小沢vs検察」対決と同じ構図です。だから、同じ日の社説で、「『疑惑まみれ』正すが先決」なんて偉そうに書いていても、書き立てるのは小沢献金問題や日教組の問題ばかりで、同種の献金が自民党にも回っているのに、企業・団体献金廃止や「政党助成金との二重取り」の問題については、何も言わないのです。
 そうやって、国民の間にある政治への不満や社会変革への希望に、冷水を浴びせかけて、国民を諦めさせようとしているのです。

 しかし、そんな子供だましみたいな手口が、いつまでも通用すると思ったら大間違いだ。それが証拠に、いくら鳩山内閣や「小沢」民主党の支持率が落ちても、自民党の支持率は全然回復しないじゃないか。国民はそこまでバカじゃない。
 まあ、産経とて、それは織り込み済みでしょう。だから、舛添・橋下・河野・東国原・「みんなの党」などの新自由主義者や、安倍・石原・平沼・田母神などの靖国右翼を、「目くらまし」役に動員してまで、同じ自民党政治を、「自民党」の看板だけ架け替えて、何とか今まで通り続けられないかと、焦っているのです。

 考えている事、やる事が、もう見え見えなんだよ。
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災害と新自由主義

2010年03月06日 19時59分20秒 | 反貧困・新自由主義
チリ大地震、被災地で略奪行為も


・チリ地震 市民の略奪行為相次ぎ、軍が出動
 地震の発生したチリでは死者数が700人を超えた。現地では、市民による略奪行為が深刻になっており、チリ政府は軍部隊を出動させて治安維持にあたっている。
 チリ・バチェレ大統領は先月28日、この地震による死者が708人に達したと発表した。震源地近くの都市・コンセプシオンでは、アパートのがれきの下に約60人が生き埋めになっており、マグニチュード5を超える余震が続く中で夜を徹した救助活動が行われている。被災地では水や食糧が不足していて、略奪行為が相次いでいる。
 また、チリ政府は軍部隊を出動させて治安維持にあたっているが、AP通信によると、略奪をやめさせるために使用した催涙ガスで救助活動に支障が出る事態も起きている。(以上、日テレNEWSより)
 http://www.news24.jp/articles/2010/03/01/10154510.html

 私、先日起こった上記の南米チリでの大地震に関するニュースをネットで読んで、その時はただ「ああ、そうか」で終わっていました。しかし、後でマイミクの「ミー猫」さんの日記を読んで、「何故、略奪行為が起こったのか」という事を、改めて再認識させられました。下記がその日記の要旨です。

●チリのアジェンデ人民連合政権が、ピノチェトのクーデターによって打倒されたのが、1973年9月11日。南米で「911」というと、NY同時多発テロではなく、このクーデターの事を指す。
●その後16年間に渡って続いたピノチェト軍政の下で、数万人もの活動家や市民が、投獄・拉致・処刑された。
●また、「新自由主義経済政策の実験」が世界で最初に行なわれたのも、この軍政下においてであった。「新自由主義の教祖」と呼ばれるミルトン・フリードマンの息のかかった、シカゴ学派に属する米国の経済学者が大勢呼ばれ、後の日本の小泉構造改革にも匹敵するような、大規模な民営化・自由化・規制緩和政策が強行された。
●その結果、貧富の差が急激に拡大し、貧困率(所得がその国の平均の半分以下の人の割合)はアジェンデ時代の2倍の40%以上を記録。失業率も1975年の4.3%から80年代平均の22・5%にまで上昇。その為、最後には「シカゴ学派」はチリを追われる事になった。
●軍政が倒れた後もその後遺症は残り、1996年時点でも富裕層の上位5%は、最貧層5%の平均より100倍もの収入を得ていると言われている。
 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1426903281&owner_id=935361

 勿論、現地の被害拡大については、上記以外にも、もっと色んな要因があるでしょう。しかし、上記の要因も、社会的背景として在るのは、ほぼ間違いないでしょう。そう言えば、私もかつては、2005年に起こった米国ニューオーリンズでのハリケーン災害のニュースに際しては、旧掲示板に下記の投稿をしていたのに。それが今回は、「略奪行為」というマスコミの表現に目を奪われ、その裏にある背景を危うく見過ごす所でした。「もっと情報に鋭敏にならなくては」と思った次第です。
 以下は、その旧掲示板時代の拙稿「ニューオーリンズ水害の社会経済地理学」(2005年9月6日付)の要旨です。

●ニューオーリンズの市街地は、蛇行するミシシッピ川とその後ろの海跡湖の間に挟まれた狭い地域に立地している事が、グーグルの地図からも伺える。
●そこには、治水工事の痕跡が全く見られない。まるで、上町台地以外は全て大和川・淀川の氾濫原だった、中世以前の大阪平野の様な状態だった事が分かる。
●ハリケーン来襲時に、「勝ち組」は素早く車で避難出来たのに引き換え、車を持たない「負け組」は、避難も出来ずにニューオーリンズに取り残され、それが余計に被害の拡大を招いた。
●実際、ブッシュ政権になってからは治安対策優先で災害対策が後回しにされ、救援活動にも支障をきたす状態になっていたという。
●翻って日本でも、95年の阪神大震災や戦前の阪神大水害で最も被害が集中したのは、神戸市長田区にある在日コリアン・低所得者集住地区や未解放部落だった。「災害弱者」の問題は、古今東西問わず、極めて階級的な問題でもある。
 http://afghan2004.hp.infoseek.co.jp/kakolog91.htm
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