ぜじろぐ

SAMBATOWN・ゼジの書くブラジル音楽やその他あれこれ

その新着アイテムですけれどもが

2007-12-29 02:55:34 | CD

というような気持ちの悪い日本語がここ東海圏ではまかり通っております。自分で喋ってておかしいと思わないのでしょうかこの方々は。類似パターンとしましては「ですけどが」「ですけれどが」といったものもあります。もう、ホント、何というか、やめてーッ!!

さて、そんなわけでサンバタウン通販サイトに先日の記事の新着アイテムをアップしました。画像リンクは29日中に作業完了予定です。中には早くも品切れのものが出ましたが、年明けに補充予定です。申し訳ありませんがしばらくお待ち下さい。それにしても一番最初に売り切れたのがネルソン・カヴァキーニョの73年Odeonモノの再発盤。むう。日本のブラジル音楽シーンは、そしてサンバタウンの客層は果たしてどうなっているのでしょう。まあいいけど。

ところでサンバタウン通販ですが、12/31と1/1のみ出荷のお休みをいただきます。その他は稼働しておりますので、年末年始のお供に新譜をご希望の方はどうぞ奮ってお買い求め下さいませ。

年末年始の入荷アイテム一覧

2007-12-27 15:55:24 | CD

こんにちは、昨日到着した新譜に耳を通していてすっかり夜更かししてしまい、目が若干シュワシュワしている自己管理の下手くそなサンバタウン店主です。ブラジル音楽業界には「年末年始入荷モノに化け物盤多し」というジンクスがありますが、今回も例外ではなく、とんでもない傑作がゴロゴロしています。買えとはいいません、でも見逃すと後でかなり悔しい思いをするのは必至、請うご期待!

通販ページへのアップはもう少し時間がかかりそうですが(商品データ入力したりジャケ写のスキャン画像をトリミングしたり、で最後にアップロードして照合チェックしたりと結構手間がかかルンです)、ひとまず入荷したモノの一覧をざっとあげてみました。
お急ぎの方・何が何でもこれだけはの方は恐れ入りますがzezi@sambatown.jpまでメールにてご連絡いただければご予約・お取り置きを承ります(当記事へのコメントでの受付は致しかねますのでご了承下さい)。

【CD】
Arlindo Cruz/ Sambista perfeito
 ・・・大御所アルリンドの新作。昔に比べメロウながらも裏では絶対悪いコトやってそうなサンバ。シーンの中心人物らしくレアンドロ・サプカイのプロデュースにゲストはマリア・ヒタとD2、あとセレーノ(笑)。

Beth Carvalho/ Canta o samba da Bahia
 ・・・これは好企画!サンバ界の肝っ玉母さん・ベッチがバイーアの由緒正しきサンバを豪華ゲストと共にお送りするライヴ盤!

Chico Saraiva/ Saraivada
 ・・・ヴィオラゥン系ブラジリアンジャズファンお待たせ!シコ・サライヴァ本来のスタイルに立ち戻った最新作は、寡黙な表情ながらも裡に情熱を秘めた実に玄人泣かせの1枚。

China/ Simulacro
 ・・・元シェイキ・トザードの(笑)シーナ君の実質セカンドソロ。ムンド・リヴリS/Aやナサゥン・ズンビ好きは要チェック。

Claudio Jorge/ Amigo de fé
 ・・・良質なサンバアルバムの裏にこの男あり。腕利きのギターとともに渋さと涼やかさが同居する大人のサンバをどうぞ。もうホントこの人絶対ハズレがないよね。

Deo Rian e Noites Cariocas/ Ineditos de Jacob do Bandolim
 ・・・実は店主が一番好きなバンドリン奏者、デオ・ヒアンの裏ジャコー集。相変わらず頑固者らしい芯のある音が侠気を感じさせてくれます。

Diogo Nogueira/ Ao vivo
 ・・・ジョアン・ノゲイラの息子、ヂオゴ・ノゲイラのライヴ。親父殿はもちろんウィルソン・シモナルさえ彷彿とさせるエンターテイナーへと成長した感あり。ゲストにD2登場、無類のカッコ良さで場内の興奮は最高潮に。

Fernanda Takai/ 彼女の瞳が輝く処~ナラ・レオン・ソングブック
 ・・・パト・フのフェルナンダちゃんが待望のソロを出したと思ったらこれがまた一筋縄ではいかないポップなナラ・レオン集。ボサノヴァファンは腰抜かします。アドリアーナ・カルカニョット好きはかなりの高確率で一発KO。

Ivan Lins/ Saudade de casa
 ・・・イヴァン・リンスの新作。そういえばまだ聴いてないな(自爆)。

Letícia Tuí/ Sambaião
 ・・・タイトル通り北東部風サンバ。ノルデスチーナではなくラパ人脈の女性ヴォーカル。最近話題のエドゥ・クリエゲルが7弦ギターとして参加。要注目です。

Lupa Mabuze/ D-bem
 ・・・切れ味冴えまくりのディスコ系ブラジリアンソウル。もうイケイケです。

Maria Bethânia/ Dentro do mar tem rio
 ・・・年を経るごとに凄くなっていくのは兄だけではなかった!過去のライヴ名盤を平気で凌駕する2枚組ライヴ大作、バイーアの歌の女神が降りてきてます。この人絶対イタコに違えねえ!

Mateus Sartori/ Dois de fevereiro- Interpreta Caymmi
 ・・・ヘナート・ブラスあるいはゼー・ヘナートが好きな方に是非。美声ヴォーカリスト、M.サルトーリの新作は腕利きギタリスト多数を1曲ずつゲストに迎えたアーティスティックなカイミ集です。ギターファン要チェック。

Moyseis Marques/ Moyseis Marques
 ・・・まだ年度内というのであれば、こいつこそがダントツで今年のサンバアルバムNo.1!余計な説明不要、ただただ素晴らしいという以外にありません。ラストの方でZé Paulo Beckerの佐々木小次郎的ヴィオラゥンとかが出てきたりして。ほらね。

Nação Zumbi/ Fome de tudo
 ・・・ナサゥン・ズンビの会心の一撃的ニューアルバム。音のキレも吹っ切れ具合も最高潮です。恥骨にズンズンきます。やったね!(死語)

Sergio Santos/ Iô sô
 ・・・今回の入荷の中では個人的にベストを争うなあ。かの超名盤「Africo」の路線に立ち返った生命力みなぎる大作!凄い!

Seu Jorge/ America Brasil o disco
 ・・・セウ・ジョルジのファンキーでアーシーなサンバ。今までのソロの中でも最もバランスの取れた好作品がやって来ました!

T.Kaçula & Renato Dias/ Samba rural urbano
 ・・・ルーツサンバ好きにオススメ!アフロの香り漂う素朴ながらも元気が出るサンバアルバムです。いや実に良い。

Yamandu Costa/ Lida
 ・・・(ひとつ前の記事をご覧下さい)

VA/ Cidade do samba
 ・・・あのCasa de Sambaシリーズを超えた!想像を絶する異色コンビで繰り広げるサンバサミットライヴの決定版!

VA/ Sambas de enredo 2008 (RJ)
 ・・・まあ、毎年恒例のお約束ですけど一応(笑)。

【再発・再入荷】
Cartola/ Disfarça e chora(紙ジャケ)
Cartola/ O mundo é o moinho(紙ジャケ)
Marco Pereira/ Valsas brasileiras
Nelson Cavaquinho/ Nelson Cavaquinho (1973)(紙ジャケ)
Paulinho da Viola/ Dança da solidão(紙ジャケ)
Paulinho da Viola/ Foi um rio que passou em minha vida(紙ジャケ)
Revelação/ Velocidade de luz
VA/ Salvador negroamor

【DVD】
DVD-Arnaldo Antunes/ Ao vivo no estúdio
 ・・・あのトリバリスタスの陰でチラついていた変態性の全貌が今ここに明らかに!驚異の低音域ヴォイスでアナタを麻痺させるシークレットスタジオライヴ、脳髄からチリチリ火花が出そうなモノクロ幻想ワールド!

DVD-Beth Carvalho/ Canta o samba da Bahia
 ・・・あっ、ホントにサルヴァドールの会場でライヴやってるよ。ベッチ母さんのバイーアサンバ集。前に出たAo vivo convidaのまんまバイーア編って感じ。最初から最後までこれ全て見せ場。ゲストがとにかくすげえ~。

DVD-Caetano Veloso/ Multishow ao vivo Cê
 ・・・初上陸時は仕入れさえ間に合わず国内在庫が売り切れた賛否渦巻くライヴDVD。この人ホントに65歳?!

DVD-Elza Soares/ Beba-me ao vivo
 ・・・出ました「進化するババア」の強力ライヴ盤!こんなに凄いステージなのに客席のなんちゅうノリの悪さ!だからSESCって嫌い。それ以外は完璧に近い圧巻のショウです。でも一番凄いのは涼しい顔してメチャクチャ弾きまくる7弦のナンド・ドゥアルチ。コイツとんでもねえ。

DVD-Germano Mathias/ Ginga no asfalto
 ・・・Vai-vaiの重鎮にしてサンパウロ屈指のサンビスタ、「ヘンなおじさん」ことジェルマーノ・マチアスのライヴDVD。エスコーラで活動する人は必見!店主、サンバ始めた頃を思い出して思わず泣いちゃいました。

DVD-Inezita Barroso/ Ensaio 1991
 ・・・マジもんのムジカ・カイピーラ大御所、イネジータ・バホーゾの典型的なEnsaio作品。自らヴィオラを取って弾き語ります。

DVD-Maria Bethania/ Pedrinha de Aruanda
 ・・・よほど自分の人生に誇りを持っていないと作れない、マリア・ベターニアの「過去と現在」を映し出す2枚組ドキュメンタリー超大作。ポル語字幕あり!ドナ・カノーやカエターノらと一緒に歌うシーンで泣けないやつは果たしているのか?!

DVD-Teresa Cristina & Grupo Semente/ Ensaio 2002
 ・・・今やサンバ・カリオカといえばこの人抜きには語れない、テレジーニャのEnsaio映像。

DVD-VA/ Cidade do samba
 ・・・今回最もツッコミどころ満載の最高に楽しいDVD!豪華絢爛・奇想天外の出演者組み合わせの衝撃、感動、そして悲哀。今や時の人・ホベルタちんに萌え、ネグラ・リー(もうホント可愛いったら)に萌え倒す一方で、完璧すぎるバックの演奏への敬意と「ブラジルサンバ界の老害」ことヒルド・オーラへの嫌悪にも近い感情が複雑に絡み合い、愛憎ひしめく音と映像に店主大興奮。ブラジル音楽仲間と一緒に観るとめちゃめちゃ盛り上がること間違いなし!関係ないけどCasuarinaのヴォーカルがラティーナの船津さんに似てて面白かったです。

以上、勢いに任せて一気に書いてしまいましたが、やはり前回と同様、これ書くよりも通販サイトへのアップの方が優先度としては高いよなと、後になって気付く店主を笑って許して。

世界のやまちゃん

2007-12-26 14:01:14 | CD

という手羽先が旨い名古屋系居酒屋チェーン店があるのですが、首都圏の皆さんはご存知でしょうか。先日アルゼンチンのギタリスト、フェルナンド・カブサッキが名古屋のライヴに出演しましたが、その打ち上げは実は毎回ここ「世界のやまちゃん」なのであります。フェルナンドはこの手羽先を最初に食った年に、あまりの気に入りように一皿テイクアウトまでしたそうです(笑)。さすがです、やまちゃん・オブ・ザ・ワールド。やまちゃん・ド・ムンド。

こんにちは、年内最後の入荷にドタバタモード再突入のサンバタウン店主です。
今回も再発モノを含め数ある新譜のなかからCD21タイトル、DVD12タイトルを厳選(←要は単なる自分の好み)して仕入れてまいりました。

その中でひときわ目を(耳を)惹いたのがコレ、もう一人の「世界のやまちゃん」こと(誰も呼んでねえっつうの)ヤマンドゥ・コスタのニューアルバム「Lida」。なんとTratoreからのリリースです。それはそうとこの作品、一発目の音で「あ、録音丸い!」と思いました。それほど彼のギターの音色が今までと違っていたからです。しかしほどなくしてどうやらそれはギターの使用機そのものを変えたからということに気付いたのであります。ま、ジャケ見ればわかるんだけどね。それまでのヤマちゃんの愛器であったテルシオ・ヒベイロから、今回見たこともないギターに持ち替わっていました。ところがところが、これがまたたまらんエエ音するんですよお客さん。ちなみに店主はこれがどこの工房のものなのか見分けがつきませんでした。まだまだ修行が足りません。もちろんかつてのT.ヒベイロの、あのベアナックルでぶん殴ったような魂100%むき出しの音も素晴らしかったのですが(当時のヤマちゃんにはとてもよく合っていたと思います)、今回のギターの音は、彼の音楽的(あるいは人間的?)成長に合わせて出会いを果たしたかのような、なんとも言えずまろやかな趣を持っています。演奏や楽曲がただスローになっただけというのでは決してありません。やってることは今までとそんなに変わりはないのですが、音の成熟度が違うのだと店主個人の印象としてはそう感じました。

今回はヤマちゃんのみならず、ウッドベースのグト・ヴィルチとヴァイオリンのニコラス・クラシッキがサポートしてのトリオ編成なんですが、これがまた素晴らしく溶け合ったコンビネーションで、まるでko-ko-ya(コーコーヤ)をちょいと武闘派系にした感じ。はっきり言ってワタシは彼のこれまでの作品中いちばん気に入るかもしれません。是非来年はこの三人で再来日を果たしてもらいたいもんであります。今までヤマンドゥのガチャ弾きなところ、あるいはバッキンバッキンのサウンドが気に入らなかった方は是非お試しあれ。

取り急ぎ新着情報第1弾でした。

出たよ出たよ出たよガロート集が

2007-12-22 00:23:36 | CD

こんにちは、ていうかリアルタイム的には夜分恐れ入りますって感じなんですが、どういうわけかキーを叩く手が止まらないサンバタウン店主です。

そろそろ大きな書店にも音楽情報誌ラティーナ1月号が並んでいることかと思いますが、今月号は2007年ブラジル・ディスク大賞の集計結果が特集されています。皆様、是非ご購読よろしく!

その中で店主も拙筆ながら関係者投票に参加させていただき、再発大賞部門のくだりで「どなたか是非ガロートの企画を!」と訴えたのですが、そんな店主の願いを瞬時に叶えてくれた最高の作品が到着しました。カヴァキーニョ奏者のエンヒーキ・カゼスと7弦ギタリストのマルセロ・ゴンサルヴェスが組んだ「ガロートの思い出(原題 A música do Garoto por Henrique Cazes & Marcelo Gonçalves)」であります。説明するのもはばかられますが、かいつまんで言うとガロートとは1930~50年代に活躍した伝説のマルチ弦楽器奏者。かのジョアン・ジルベルトやルイス・ボンファの登場以前に、既にボサノヴァのハーモニーを体現していたという、ブラジリアンギターを志す人にとっては避けては通れぬ最終関門のような偉人なのであります。

この二人は以前にもKuarupから全く同様の手法でピシンギーニャ集(残念ながら廃盤!)をリリースしており、耳の肥えた弦楽器ファンのお客さんが狂喜して買っていって下さいましたが、今回のやつもそれを凌がんばかりの出来。ワタシの勘に狂いはありませんでした。やはり時代はガロートを求めているのであります。そう断言できるだけの楽曲、そして演奏の美しさがここに収められているのです。

ブラジル音楽に携わる仕事に就けてつくづく幸せを感じるのは、こういう傑作に出会える時であります。もう夕方に届いてからというものずっとコレばかり繰り返し聴いています。じっくりと楽しめる掛け値なしに素敵な作品ですので、弦楽器ファンの方は絶対の絶対にお見逃しなく!

あ、毎回コメントいただくのもアレなんで予め申し上げておきますが、いつものお取り置きメンバーの皆様の分はこちらで一方的にキープさせていただいておりますのでご承知置きのほどよろしくどうぞ(笑)。

マラカトゥやんべ♪

2007-12-21 15:29:25 | イベント

ふう、なんとか今週も三連荘で記事を書くことができて一安心のサンバタウン店主です。ワタシは仕事にせよ何にせよ、ひと段落着いたらすぐに気が緩んじゃってサボってしまう昔からの悪いクセがあるのですが、そろそろ己に打ち克つことを覚えなければなりません。

さて、そんな大袈裟な一念発起(の繰り返し)モードに入った店主のもとに、こんなチラシが舞い込んで来ました。おお、マラカトゥのワークショップじゃありませんか。それも名古屋での開催ですね。ふむふむ。

店主の今の嗜好では、打撃系の音楽としては断然マラカトゥが好きです。
それは素朴で、マッチョで、伝統的で、そして暴力的だから。
わざと音程ハズしてるんじゃねえかと思うくらいにヨレたコール&レスポンスの後に颯爽と入ってくるカイシャ(スネアドラム)のリード。そこへゴンゲ(お化けカウベル)のとガンザの無骨な金属音が響き渡り、最後にアルファイア(木胴の皮太鼓)の乾いた爆音が周囲の人々の度肝を抜きます。く~ったまんねえ。日頃のストレスが一瞬にして吹き飛ぶこの威力。そんなわけで店主、このたび晴れて名古屋で結成されたばかりのグループ、Maracatu Democrático Nagoya(マラカトゥ・デモクラチコ・ナゴヤ)に店主も嬉々として加入致しましたですよ。先週末に初練習に出かけたのですが、いやあ何が凄いって翌日以降の筋肉痛。普段使ってない体の部位に負荷がかかるもんですから、腕・首・肩・背・腰おまけに腿までパンパンになりました。マジで整形外科に行こうかと思ったくらいです。大丈夫なんでしょうかねワタシ。

それはそうと、要するに身内グループとなってしまったマラカトゥ・デモクラチコ・ナゴヤ主催のワークショップ、ただいま受講者を大大大募集中であります。初めての方を対象としたカリキュラムですので、動きやすい格好ひとつでそのままお越し下さればOK。みんなでハジけましょう!

日時:
  ① 2/ 2(土) 14:00~16:00
  ② 2/16(土) 18:00~20:00
  ※両日とも同じカリキュラムです
場所:西文化小劇場 練習室(名古屋市西区)
   ※地下鉄鶴舞線「浄心」駅すぐ
参加費: 2,000円(楽器レンタル代含む)
定員: 先着7名(各回)

申し込み&お問い合わせ:
  代表・田畑 TEL 090-2261-9906 maracatunagoya@hotmail.co.jp


フライング新着情報

2007-12-20 15:52:29 | CD

すみません、あれほど「確実に入荷するまでは新着情報の宣伝はすまい」と心に誓ったはずなのに、先方からの「送ったよー」という知らせに居てもたってもいられず、つい気がはやってぜじろぐ記事にしちゃう、青臭さが未だ抜け切らないサンバタウン店主です。

昨日は映画「ディス・イズ・ボサノヴァ」をネタにしてしまいましたが、映画の中での中心人物としてボサノヴァ思い出話に花を咲かせる二人、「青春好々爺」ことホベルト・メネスカルと「永遠の伊達男」カルロス・リラ。その後者の甥っ子であるクラウヂオ・リラ(Claudio Lyra)という人物と、彼のファーストアルバムとなる自主制作CD「Em paz com os meus」を紹介させていただきたく候。

クラウヂオは・・・えーと、そういえば彼、何年生まれなのか訊くのを忘れちゃいました。いきなりバイオグラフィ解説につまづいております。大丈夫でしょうかワタシ。まあ気を取り直していきましょう。クラウヂオは元々コパカバーナの生まれ。もちろんバリバリのカリオカです。現在は有名なサッカーチーム・フラメンゴの本拠地ガヴェア在住ですので、当然ながらフラメンギスタらしいのですが「ガヴェアに住み始めたのは3年前。でもそれ以前にコパカバーナにいた子供時代、ジュニオールっていう元ブラジル代表のスーパースターがフラメンゴにいたんだけど(おお!存じ上げておりますぞ!)、当時の僕の家はそのジュニオールと同じマンションでね、その時からフラメンゴの大ファンだったのさ」と筋金入りのサポーターぶりを披露してくれています。なに音楽と関係のないサッカー談義で盛り上がってるんでしょうかワタシ達。さっさとCDの中身の話に移りましょう。

それにしてもどうです、このとことんフラワーでハンドメイドなアートワーク。60-70年代テイスト炸裂です。おじさんとの接点を見つけづらいったらありゃしません。肝心のサウンドですが、これはもう21世紀のラヴ&ピース。純粋かつ素朴に音楽と向き合っていたデビュー当時のレニー・クラヴィッツと共通するものを感じました。あの頃彼が残した「楽器というものはそれ本来の温かさで鳴るべきだ」という、言ってることはわからんが言いたいことはわかる、そんなコメントをつい思い浮かべてしまいました。つまりはですね、クラウヂオの音楽のベースはまぎれもなくロックなわけであります。ところがところが、そこへ70年代前後の肌触りのするソウル&ファンクありーの、とろけそうに優しいマラカトゥ・アクースチコ、最近のロス・エルマーノスの作品で聴かれるセンス抜群のホーンありーの、最後にゃとどめにベベートの新作「Amendoeira」かと間違ってしまいそうなハートウォーミングなボッサ調ありーのと、最強のMPB布陣ともいうべき楽曲がズラリ勢揃い。だからといってただの懐古趣味的な音使いばかりしているわけではなく、今を生きるミュージシャンとしての自覚が作品からちゃんと伝わってくるのです。彼の音楽性を伝えるにあたり、カルロス・リラの名はヘンな先入観を与えてしまって、むしろ邪魔にさえなってしまうんではなかろうかと心配になってくるほどカッコいい音楽を展開してくれています。この寒い季節、クラウヂオのモッサリした親しみのある歌声で、心が芯からあったまりそうです。恋人(死語)とコタツでみかんでも食べながら聴いたらあまりのシアワセ感ゆえにハグ&キッスの嵐で凄い展開になるんではないかと、ワタシにはもはや関係のない情景を想像してしまいます。

なお蛇足ながらゲストにCarlos Lyra(やはり), Fatima Guedes, Chiquito Braga, Mauricio Maestro (元ボカ・リヴリ), Kay Lyra(カルロス・リラの娘さん、つまり従姉妹), Nicolas Krassikといった面々が名を連ねております。

能書きはともかく、百聞は一見に如かず。彼の音楽と動画はサイト「MySpace」にてご覧いただくことができますので、是非チェックしてみて下さい。

ボサノヴァシンガーの山本のりこさんのご紹介がキッカケとなって、今回めでたくクラウヂオ・リラのCDを取り寄せることに成功しました。のりちゃん本当にありがとうございます。今回は小規模ショップにも卸売できます(但し1オーダー3枚以上)ので、ご興味がおありの方は是非zezi@sambatown.jpまでご連絡下さいませ。

というわけで、サンバタウン単独での取扱量なんて所詮たかが知れてますが、これを契機に彼の名前が日本でも広く知られるといいなあと願うばかりです。どっか日本盤とか出してくれないかなあ(またゆっとる)。

それでは年末年始あたりに入荷しましたら、また大々的にプロモーションさせていただきますのでよろしくお願い申し上げます!

強力ボサノヴァ環境DVD

2007-12-19 15:07:07 | DVD

こんにちは、ちょっと油断するとすぐぜじろぐ記事に穴があいてしまうスーダラ店主です。今回は、まあ、フツーにDVDの紹介コーナーであります。

少し前に名古屋でも映画「ディス・イズ・ボサノヴァ」という作品が公開されましたが、皆さんはご覧になられましたでしょうか。また、いかなるご感想をお持ちになられたでしょうか。ワタシもこういう仕事をしているものですから街で関係者に会った時など「どうだった?」とかよく訊かれるのですが、もう、なんというか、「ハハハ・・・」と笑って誤魔化すしかないって感じです。もちろん評価は人それぞれ。ボサノヴァフリークにはとてもためになる講釈やマニアックなエピソードをお楽しみいただいたことでしょう。反対にボサノヴァ初心者の方など観ている途中でつい舟を漕いでしまったときもあったんではないかとお察しします。店主個人としましては当時のボサノヴァアーティスト達の今のお姿をどアップで映すのだけは勘弁してほしかったですね。オジー・オズボーンのようなワンダ・サーとかね(でも歌と演奏は同じく出演していたジョイス並みにしっかりしていました)。レニ・アンドラーヂも結構迫力満点でした。何よりタイトルは「Coisa mais linda」という綺麗な原題から「ディス・イズ~」というあまりにベタなタイトルに変わっていたというのが最大の興醒めの理由かもしれません。ディス・イズって言われてもなあ。まそれはさておき。

さて、今回のDVD。店主は上記の映画の後、お口直しに観てしまいました。そのDVDの名は「Pure Brazil- Bossa in Rio」という、もう「ディス・イズ・ボサノヴァ」にだって全くひけをとらないゲロ甘なタイトル。五十歩五十一歩って感じです。まずBrazilの「z」が気に入らない。おまけにpureですよピュア。困っちゃいますね。ましてや「ボッサ・イン・リオ」なんて今どき使うことすら恥ずかしいフレーズ。中身も典型的なリオの街、丘、そして海岸といった風景がこれでもかとばかりに映し出されるお約束映像。だがそれがいい。どうにも抗えないリオの風光明媚。ここばかりはベタでいいのです。そしてBGMは以下のような感じのやつが流れるのです・・・。

Tom Jobim/ Samba do avião
Caetano Veloso/ Lindeza
Nara Leão/ O barquinho
Tom Jobim/ Garota de Ipanema
Sylvia Telles/ Você e eu
Marília Medalha/ Copacabana
Nara Leão/ Samba de uma nota só
Jorge Ben/ Menina mulher da pele preta
Emílio Santiago/ Domingo
Toquinho & Chico Buarque/ Samba pra Vinícius
Chico Buarque/ essa moça tá diferente
Gal Costa/ A rã
Sylvia Telles/ Balanço zona sul
Tom Jobim/ O morro não tem vez
Nara Leão/ Corcovado
Vinícius & Toquinho/ Carta ao Tom 74

「O morro não tem vez」あたりで、ファヴェーラの風景がおっかなびっくりな調子で収録されていたところなどちょっと可愛くて笑えました。大してアブナくない地域でサラッと録ったのがモロわかり(笑)。

ボサノヴァとリオが大好きで大好きで大好きで、もうホントややもすると畳の上をごろごろ転げ回ってしまいそうな方、それからブラジル系のトロピカルな映像を常時流している飲食店にはこれ以外ないというDVDでございます。ぜひ!


日本人としてのショーロ

2007-12-14 12:05:39 | CD

こんにちは、珍しく再び連荘で記事をアップするという、仕事に結構ムラのあるサンバタウン店主です。どうして昼イチの早い時間帯に記事を載せる意欲が湧いたかというと、今日は通販の出荷がないからです(フッと自嘲気味な笑い)。まそれはともかく。

店主もトシをとってきたせいか、最近妙にショーロに愛着がわいてきております。そして日本の四季折々の情景にはショーロが本当に良く似合うなあとも思うようになったわけでありますが、それって一年中ショーロが似合うんじゃんと言われれば身もフタもありませんのでナハナハとせんだみつおのように(古いね)笑ってごまかすしかありません。

今日の名古屋は少し暖かい感じですが、そんなときにはほっこり系の音楽をBGMに仕事をしてみたいものです。そこでリリースされたばかりのショーロアルバムをご紹介しましょう。それがこれ、日本のショーログループ、Rosa Roxa(ホーザ・ホーシャ)のセカンドアルバムとなる「Saryo's collection vol.5 -Rosa Roxa plays」であります。

タイトルからお分かりの通り、この作品は東京・神楽坂の人気カフェ「茶寮(Saryo)」から発信されるCDシリーズの第5弾として製作されたもので、これまではブラジルとは直接関係のない国内ミュージシャン(楽器はピアノ、マンドリン等)らの作品がリリースされてきましたが、今回晴れてショーロという題材がこういったところで採り上げられたというのは、いちブラジル音楽ファンとして大変喜ばしく思っております。またCDの価格が税込¥2,000とリーズナブルなのもいいですね。たとえば「茶寮」でお茶してる時に、お店でかかっているBGMが気に入ったので、店頭販売しているCDを買っていっちゃう、なんて光景が目に浮かびます。こういった「良い音楽」との自然な出会いの場の提供という視点では、茶寮さん及び製作元のカム・トゥルーレコーズさん、お見事というほかありません。

さて、調子に乗って行ったこともない茶寮さんの広告宣伝までしちゃいましたが、肝心のRosa Roxaの新譜の中身が実に素晴らしい仕上がりを見せております。CDを再生するといきなり弦楽器の小気味良いハーモニー。これです。このシャープな録音がワタシのような弦楽器フェチにはたまりません。これぞヘジオナル(Regional、弦楽器と打楽器のみで構成された演奏形態のこと)の醍醐味であります。ある種ハードコアなプレイが弾き倒しファンから熱い支持を受けている(かどうかはよくわからんけど)ブラジリアのReco do Bandolimを彷彿とさせる中沼浩のバンドリン。独特の声とオーラで時にはショーロ・ボサともいうべきオリジナルな世界まで構築してしまう山本のりこのギターと歌。決して逸脱せず、寡黙なゴールキーパーの如くストイックにビートを刻み続ける栗山豊二のパーカッション。クラシック仕込みの玄人好みのプレイで聴かせる田嶌道生のギター。そして躍動感溢れるカヴァキーニョでバンドのグルーヴを支える「だいちゃん」こと大道寺栄。ファーストアルバムから更にバンドとして熟成を遂げた確かな音がここに収められています。

まさにショーロ入門盤、それも「さてここらで腰据えてショーロを勉強してみようか」という路線ではなく「ボサノヴァもそろそろ卒業してもうちょっとイイ感じの品の良いブラジル音楽が聴いてみたいな」といった方にうってつけの1枚です。お歳暮・年末年始のご挨拶にもどうぞ(笑)。

【収録曲】
01. Gostosinho 「いい感じ!」
02. Trenzinho caipira 「田舎の汽車」
03. Choro negro 「ショーロ・ネグロ」
04. Minha Vida 「In my life」
05. City light 「シティ・ライト」
06. Cochichando 「ひそひそ話」
07. Noites cariocas 「カリオカの夜」
08. Beija-me 「キス・ミー」
09. Revendo o passado 「過ぎし日をふりかえって」
10. 石畳の街 「Ishidatami no machi」

というわけでサンバタウンはRosa Roxaを応援しています。って何かのスポーツの世界大会直前の企業広告みたいね。

ああ、しまった・・・。

2007-12-13 18:39:15 | CD

情けないことに、あれだけ張り切って毎日書くみたいな意気込みを見せながらも、ここ一週間というものぜじろぐ記事が一向に書けず、穴があったら地底深く潜りたいスーパーダメダメ店主ですが、いよいよ寒くなりゆく今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

さて、今回は遅ればせながら懺悔とともにこのCDを紹介するとしましょう。
マウリシオ・ペソアというシンガーソングライター。このエレンコっぽいというか昔のセルメンっぽいというか、そんな懐古調のジャケットが目を引きますが、中身はそれ以上のポテンシャルを秘めたスーパーマシン。いやマシンじゃないんですが、まるで見た目はほとんどクラシックカーの如きロータス・ヨーロッパなんだけど、実はバリバリのV6カリオカエンジンを搭載した(そんなのねえっつうの)バケモノみたいなクルマの如き作品です。さっぱりワケわかりませんね。よろしい。それでは具体的にアーティスト名を挙げて公式化してみましょう。こうです!

マウリシオ・ペソア=(シコ・ブアルキ+男ホベルタ・サー+60年代オーセンティックボサノヴァ)÷3

これでどないでっしゃろ!?
シコ・ブアルキがお好きな方良し。時折マジでシコ様かと思う時があるほどです。
ホベルタちんの実質ファーストアルバム「ブラゼイロ」がお好きな方なお良し。真剣に「ブラゼイロ」を彷彿とさせる作風になっております。
それからフツーにボサノヴァ大好きな方も無条件降伏。
そんなアルバムです。

バックにはホベルタちんの「ブラゼイロ」で良い仕事をしていたホドリーゴ・カンペーロがここでも親指グッ級のナイスなヴィオラゥンを展開、冒頭のドラムはウィルソン・ダス・ネヴィス、ベースはゼカ・アスンサゥンが鉄壁の全面サポート、アルマンド・マルサウ(パーカッション)やマルコス・ニムリキテル(ピアノ&アコーディオン)の参加曲も多く、3曲目では実際にホベルタちんもゲスト参加(これがもうたまらんのです・・・)とあれば何をか言わんやでありましょう。ただ流しているだけでOK、世はすべて事もなし、誠に結構な1枚であります。

・・・と偉そうに書くワリにはこれもう2ヶ月くらい前には日本上陸してたンですよね。しかも最近になって仕入れるという、チェック不足もはなはだしいワタシ。サンバタウンのアンテナも少し錆び付いてしまったようです。反省。というわけで案の定少量しか入手できませんでした。早い者勝ちということで今回もどうかご容赦あれ。

再入荷が待たれるところですが、出所がMP,Bレーベルですし、インパートメントさんかNRTさん、この際ぜひ国内盤リリースのご検討をよろしくお願い致します!いや絶対売れますって、コレ!!

増える納戸、蕪崎先生

2007-12-07 19:57:57 | ライヴ

こんにちは、ブログ記事アップにあたり、第二回目の三日坊主にあえなく失敗したダメ人間のお手本のようなサンバタウン店主です。まあ、昨日はオフ日であったと捉え、前向きに生きるようにしましょう。ハハ、ハハハ・・・。

さて、2007年も残すところあと3週間ぽっちと聞くと何やらガクゼンとなってしまう今日この頃ですが、年の瀬にまた面白いライヴが入ってまいりました。アルゼンチン音響派の雄、フェルナンド・カブサッキ選手の入場です。今回の名古屋会場、2004年の来日時に聴衆が桃源郷に連れて行かれた記憶も新しい、相性バツグンのパルル(旧カノーヴァン)。恐るべきことに、今回は2005年にリリースされた「十牛図(The Ten Oxherding Pictures)」のレコ発ライヴという趣旨らしいです。2年後のレコ発ライヴ、遅っ!(笑)まあとにかく、12/20は店主もライヴ会場のフロアに体育座りして瞑想状態で蕪崎先生ほか気鋭のギタリスト達のフリープレイに酔いしれる予定をスケジュール帳に書き込み書き込み。

たまには世俗を離れたこういう音楽がワタシには欠かせません。あと2週間、待ち遠しいです。職場のくだらん忘年会で下品なカラオケ合戦やらスケベ上司のセクハラなんぞに神経をすり減らすより、自身の肥やしになることに投資した方が人生楽しいに決まっています。いや、肥やしになるかどうかは人それぞれだとは思うんですが、まあ滅多にない機会ですし、ね(←何が「ね」なんだか)。

【イベント「十牛図」第20回 アルバム「十牛図」発売記念ライヴ】

会場:名古屋・新栄 parlwr(パルル)

日時:2007年12月20日(木)

   開場18:30 / 開演19:00
   Charge ¥2000+1オーダー

出演: 
フェルナンド・カブサッキ (gt.)

kei (gt. frm Ett etc.)

厚海義朗 (b. frm えみとよしろう、GUIRO)

亀田暁彦 (synth. frm GUIRO)

dj タケヤママサヤ (T.F.L、十牛図co-producer)

cafe parlwr カフェ・パルル
〒460-0007 名古屋市中区新栄2-2-19
TEL 052-262-3629

アルバム「十牛図」(ccd-010)に参加のカブサッキが来日するので2年遅れたレコ発ライブですw初CDを発表したGUIROからサポートに厚海亀田両氏も参加。djはアルバム共同制作者タケヤマ氏。

Fernando Kabusacki

Ett

GUIRO


※12/16~18と、東京・京都・大阪でもライヴがあるようです。詳しくは蕪崎先生のサイトにてご確認下さい。

店主のひそかな自慢

2007-12-05 23:44:55 | CD

えー、ただいま11月入荷商品の通販アップ鋭意作業中であります(言い訳)。
この焦燥感、むかしサラリーマン時代に上司からやたらと仕事を急かされ「おいっ、まだできんのか」「はっ、はいッ、すみません、もう少しでッ」とオタオタ劇を繰り広げていた頃をふと思い出し、何かしら口の中が苦い感じになってしまったサンバタウン店主です。現在はおかげさまでほぼマイペースの仕事に恵まれております。

さて、三日連続で記事をアップできて少し嬉しいワタシですが、絵に描いたような三日坊主で終わらないようにしたいものです。何かの本で読みましたが、三日坊主のポジティヴな思考法として、「よし、よく三日坊主をやり遂げた。この調子であと三日がんばろう」と再び三日坊主に挑戦するというものがありまして、店主も大いに共感するものがあります。あれ、何の話でしたっけ?そうそう、通販商品アップのことだ。

今回の入荷アイテムも新作が多いわけですが、中には「リリースからしばらく経過し、今になってようやく口コミで作品の良さが伝わり始め、多くのリスナーが欲しがるようになっているのだけれど、時すでに遅し、もはや廃盤同然の状態になっており、国内在庫はおろかブラジル取り寄せさえままならないレア&貴重盤」という感じのやつもちらほらと入荷しーてーおーるーわーけーでございますよこれがまた。性格悪いですねワタシ。

そのひとつがこれ、ネルソン・ゴンサルヴェス&ハファエル・ハベーロのデュオによる「A voz & o violão ao vivo」なのであります。この作品は90年か91年に収録されたもので、ハファエルの死後リリースされていますが、その頃は一部の玄人リスナーから熱狂的な支持を受けた(らしい)ものの、セールス的にはそれほどパッとしなかったといいます。さもありなん、恥ずかしいことに当時完全にロック耳だったワタクシ店主も、ネルソンの古風でストロングスタイルなサンバ・カンサゥン(スローナンバーばっかりだしね)が聴いててちょっとツラく、このアルバムにはほとんど興味を示さなかったのです。しかも買わんかったし。なんともったいない。はっきりいって罰当たりです。

ところがそこから10年近くたち、アラ不思議、今ではすっかりショーロ耳となってしまった店主が取り寄せリストの中にこのライヴ盤を発見し、色めきたってオーダーした結果、めでたく到着したのを聴いてみましたらば・・・。

最高です。今更ながら涙が溢れ出ました。

ご存知ハファエル・ハベーロの7弦ギターはもちろん素晴らしいことこの上ありません。あの熱きベストセラー盤「Todos os tons」ですら「普通にカッコいいギターアルバム」にしか聴こえなくなるくらいの凄まじい音色が聴き手のハートに突き刺さります。鬼気迫る出音です。ギターがのべつまくなしに爆発を起こし続けているかのようですらあります。しかしもっと心に響いたのは、以前うっとうしくて仕方なかったネルソン・ゴンサルヴェスの歌。クラシックスタイルです。R発音はバリバリの巻き舌です。ヤクザなテナー歌手のように力強く歌い上げます。だがそこがいい。魂が震えるとはまさにこのこと。今となっては両方ともこの世にはいない二人から迸り出る情熱をまともに受け止め得なかった当時の薄っぺらな自分をただただ深く恥じ入るばかりであります。

サンバ/ショーロ/ブラジリアンギターをこよなく愛する方は是非どなたかこのCDを持っておられる方から借りてでも聴いてみて下さい。貴方の中の何かが変わります。

あと数時間したらサンバタウンの通販サイトにもアップされると思いますが、これはとお感じになられたお客様からの熱烈オーダーを心からお待ち申し上げます(やっぱりそれかい)。

強烈無比なこの1枚。

2007-12-04 13:30:34 | CD

こんにちは、心を入れ替えてなるべくこまめに記事を上げるべく奮起しちゃうサンバタウン店主です。あからさまな態度の変わりようですが、これは決して日本代表野球チームが北京五輪アジア予選を無傷で勝ち抜いたのを見て勇気をもらったからだとかそういうわけでは決してありません。

さて、本日ご紹介させていただくのは「進化するババア」と店主が勝手にキャッチフレーズをつけているエルザ・ソアレスの新譜「Beba-me ao vivo」。これがまたライヴ盤なわけですよ。キャーッ。2007年3月にサンパウロのSESC(Vila Mariana)で収録された出来立てホヤホヤな1枚。いうなれば生誕70周年記念アルバムとも言えましょう。あっ書いちゃった。

70歳。セブンティーンならぬセブンティ。国内ジジババ達に喩えれば、タッチの差で消えた年金問題の直接の被害に遭わずにすんでホッとしているお年頃です。彼らのフィジカルアクティヴィティといったらせいぜいウォーキングかゲートボールといった感じでしょうか。ところが地球の裏側では、ありえないほど見事なバスト&ヒップラインの肉体にスパンコールのドレスで身を包み、野菜のみじん切りが出来そうなサンバステップをズガガガガガと刻みながら絶唱するババアの艶姿(いやCDですから当然お姿は見えないわけなんですけど、まあ間違いなくそうであろうと)。のっけから名物「うがいヴォイス」が炸裂。次いで今大人気の高速ガフィエイラバージョンのイントロから、スタンダードナンバー「Beija-me」で瞬時にトップギア。あとはもうご想像の通りファンキーチューンからコテコテのサンバ・カンサゥンと、最後まで息つかせぬハイテンションワールド。面白いことに、いま国内外で非常に高い注目を浴びつつあるギタリスト、Zé Paulo Beckerがほぼ全てのアレンジを担当しておりまして、彼自身ギターでは参加していないものの、代わりにそのギターを演奏しているNandoなんちゃらとかいう人がかなりウマいです。カッコいいです。あと気になるのが2曲目Beija-meのサブタイトルに「Beba-me(アタシをお飲みよ)」とクレジットされています。そこだけは「いえ、せっかくですが・・・」とご遠慮申し上げたい心持ではありますが、それにしても、世界って、人の寿命って、生きるって何?そう思わずにはいられない傑作ライヴ盤と呼んで差し支えありません。

このBiscoito FinoからリリースされたCD、当然ながらもう少ししたら怒涛のDVDが追って登場してくるんではないかと勝手に期待しておりますが、元よりDVDは普段ご覧にならない方、i-podあたりに落として通勤中にガンガン聴き倒すような方は、是非今のうちにチェックしておいた方がいい・・・かも(クスッ)。

リオ発、期待の新人

2007-12-03 15:35:25 | CD

おおいけません、私事でバタバタとしているうちに11月下旬はまるっきりぜじろぐに記事を上げずじまいでした。退屈させてしまってごめんなさい(誰に言っているのだ?)。

さて、現在も遅れに遅れている新着(もはや新着とも呼べない)アイテムの通販アップですが、お先にひとつご紹介させていただきたいCDがありました。それがこのEdu Krieger(向こうではエドゥ・クリエゲルと発音されているそうです。ドイツ系移民の末裔なのかしらん)という期待の新人SSWさん。新人といってもこのアルバムが彼の初リーダー作であるというだけで、けっこう前からマリア・ヒタやホベルタ・サーといった人気シンガーが彼の作品を好んで取り上げているようで、耳の肥えたリスナーは既にチェック済みの人物。リオ新世代サンバの若手衆が集まって作った「Samba novo」というオムニバス盤(なんと全曲このCDのためだけのオリジナルトラックなのだ)が今夏サンバタウンでもバカ売れしたのは記憶に新しいところですが、この中にもエドゥの作品がフィーチュアされていました。

そのエドゥのソロ、これがまた一筋縄ではいかないシロモノ。最近リオの新しいサンバの潮流としては「アコースティック色強め」「トラディショナルサンバ」という二大要素がまず共通項として存在することが多いのですが、エドゥの場合、自身の甘い歌声となかなか達者な7弦ヴィオラゥンを下味に、エッジの効いたエレキギターやエフェクトかましまくりのフルートで焼き色がつくまで炒め、そこへ遠慮なしに打ち込み系の音をぶちこんでじっくりと煮込み、最後にアコーディオンでお味を整える、みたいな荒ワザを連発しております。韻を踏んだ歌詞の流れもス・テ・キ(中点やめれ)。これは歌詞カードに合わせてちょっと歌ってみればその気持ち良さがわかります。また北東部系のエッセンスもしっかり入っており、一概にサンバ・カリオカ、とばかりは断じづらいミクスチャーサウンドに仕上がっています。とにかく新しい感覚に満ち満ちておるわけでありますです。正直なところサンバタウンではアコースティックベースの音楽が特に売れているのですが、これは問答無用にカッコいいですね。先入観なしにニュートラルな耳で音楽を追っておられる方ならきっとついつい反応しちゃうんではないでしょうか。

エドゥのこのアルバム、まだ全体的には静かなブームといった感じで、今のところそう爆発的なセールスを国内で叩き出しているわけではなさそうです。が、この人、もう少ししたら必ずブレイクします。新しい音に飢えていらっしゃるリスナーは是非トライしてみて下さい。