ぜじろぐ

SAMBATOWN・ゼジの書くブラジル音楽やその他あれこれ

いつだって、一番、一番。

2015-04-25 23:59:18 | ライヴ

こんにちは、ドローンです。嘘です!
いやあ、それにしてもラジコンのちょっといいやつが屋上に落っこちたくらいで大慌ての首相官邸、何と申しますか、いろんな意味ですごいですね。これでテロと戦うだの屈しないだの、どの口が言うんだろう。寝言は寝て言うものだと思うのですが、まそれはともかくとして。

やって来ます、吉田慶子&笹子重治の黄金デュオ。敬称略。
名古屋公演は今回もサンバタウンをご指名いただき、誠に光栄至極にござりまする(平伏)。名古屋場所はこれで四年連続であります。まさに前人未到、不滅の大記録ですね。知らんけど。

ライブ開催にあたり毎回思うのは、慶子姉さまと、笹爺こと笹子重治大先生の二人が醸すオトナの(オッさんくさいとも言う)佇まいは、円頓寺の空気にとても良くフィットする、ということです。ファンの方には今さら説明するまでもないのですが、ある種の「奥ゆかしさ」というものが彼らの表現する世界から伝わってまいります。そしてそういった空気をこよなく愛するお客さんが毎回楽しみにご来場下さって、その日和気藹々とした時間空間を皆で共有できること。すなわちこのシリーズは数あるサンバタウンの企画の中でも群を抜いて大切な行事であると断言して何ら差し支えありません。あっ言い切っちゃった。

折りしもここ円頓寺商店街は三月にアーケードもリニューアルし(これがまたすンげえカッコいいのだ)、更には知る人ぞ知るフランスのパッサージュ・デ・パノラマとの姉妹提携も実現したばかり。これはもう今秋の「円頓寺秋のパリ祭」がどれほどの盛り上がりを見せるのか推して知るべし。しかも円頓寺が誇る伝説の老舗喫茶「西アサヒ」の復活(しかも二階には格安ゲストハウス機能付きだぜ)、みんな大好きコメダ珈琲も新たに出店、どうしましょう、ますます活気を帯び注目を浴びつつあるこの最高のタイミングでこのお二人を迎えられるのは本当に嬉しいことです。もうウキウキワクワクで楽しすぎて何が言いたいのやら自分でもわからなくなってきました。ありがとうございます。ごっつぁんです(息荒い)。そうッスね、もう、横綱に胸を借りるつもりで、何も考えずに無我夢中でぶつかりました(まだ息荒い)。

惜しむらくはあと1ヶ月開催がスライドすれば、大相撲名古屋場所と見事重複したであろうことですが、別称「吉田稽古」が意味する通り、大の大相撲ファン(それもかなりクレイジーなレベル)である稽古、もとい、慶子姉さまのライブトークもまた楽しみなところ(MCの半分近くが相撲ネタという説あり)。いつかは姉さま&爺さまと名古屋場所を桝席で一緒に観戦したいものです。なんせサンバタウンから愛知県体育館まで徒歩で行けちゃいますからね。スポーツにせよ音楽にせよ、やはり生で観るのが一番であることはもはや疑いようがございません。いざ現場主義。どすこい。

そんなわけでサンバ・カンソン/ボサノヴァファンの方はもちろん、円頓寺商店街の雰囲気がお好きな方々にも文句なしでオススメしたい絶品ライブ、是非お早めにご予約下さいませ!

吉田慶子&笹子重治DUOライブ
「円頓寺で逢いましょう」
2015.6.14(日)
場所:サンバタウン
(名古屋市西区那古野1-2-16)
時間:Open 16:30 Start 17:00
出演:吉田慶子(vo) 笹子重治(g)
料金:予約3,500yen 当日3,800yen ドリンク別
※ドリンクオーダーは自由です
30名限定
ご予約・お問い合わせ:
サンバタウン TEL 090-1989-6008
mail:info@sambatown.jp
織音工房 TEL 090-1278-7284
mail:orionkobo@gmail.com


※今回の記事はライブ演奏(音楽)の告知です

またやり直すということ

2015-04-15 19:37:19 | 訳詞

Começar de Novo (またやり直そう)


またやり直そう
僕を頼ってくれ
こうして夜が明けてしまったことにも
きっと意味があるだろう
反抗したこと
口論したこと
傷ついたこと
生き延びたこと
テーブルをひっくり返したこと
身の程を知ったこと
船が転覆して 救われたことにも

もう一度はじめよう
僕を頼っていい
いつも手入れの行き届いた
おまえの爪にひっ掻かれることもなく
おまえのまぼろしに惑わされることも
おまえの額縁に嵌められることもなければ
おまえが足枷になることも
おまえに振り回されることも
おまえの口車に乗ることも
おまえに見惚れることもないまま
こうして夜が明けてしまったことにも
何か意味があるのだろう

もう一度やり直そう
あとはもう僕を頼ってくれればいい
もうおまえを忘れてしまったことにも
なにがしかの意味があるはず

またやり直すんだ



Começar de novo e contar comigo
Vai valer a pena ter amanhecido
Ter me rebelado, ter me debatido
Ter me machucado, ter sobrevivido
Ter virado a mesa, ter me conhecido
Ter virado o barco, ter me socorrido

Começar de novo e contar comigo
Vai valer a pena ter amanhecido
Sem as tuas garras sempre tão seguras
Sem o teu fantasma, sem tua moldura
Sem tuas escoras, sem o teu domínio
Sem tuas esporas, sem o teu fascínio

Começar de novo e só contar comigo
Vai valer a pena já ter te esquecido
Começar de novo


【作詞 Vitor Martins/作曲 Ivan Lins】


※店主の蛇足解説コーナー※
最近は60~80年代の、軍事独裁政権下にあった頃のブラジル音楽の訳詞にハマっています。

この曲はイヴァン・リンスが1979年に発表した "A Noite(邦題:ある夜)" に収められているシブい名曲で(ていうかこのアルバム自体が名曲揃いの超名盤なんであります)、当時の圧政に対する批判を、男女の別れ話(一説には復縁話)になぞらえて歌っていると言われています。ですので "Sem as tuas garras sempre tão seguras" というくだりなんかは本来「いつもあんなに頑丈だったおまえの鉤爪」と猛禽類の鋭い脚の爪を表現すべきなのでしょうが、それだと歌詞がやたら堅苦しくなっちゃうし、プロテストソングというのがモロバレだと野暮なので、敢えて男女の痴話喧嘩っぽく訳してみた次第です。

お互いまた別々の道を歩いていこう、あるいはまた二人やり直さないか、というようなニュアンスでありながらその実は、徐々に地滑りを起こしつつあった軍事政権に対し「あんたら自分の過ちをしっかり総括反省してまたイチから出直しなよ、あとは俺たちがやるから」と突き放すように歌っているのか、はたまた民主化のチャンスが幾度も訪れては逸し続けた、その敗北感・無力感を嘆きながらも「あきらめずに俺達また始めようぜ」と自らを奮い立たせている風に解釈できないでもありません。まあ歌詞の真意はイヴァン・リンス本人に直接確認したわけではないのでこれ以上当て推量でモノは言えませんが、なんとなくどこかの国の現状に重なる部分すら感じられますし、とりわけ今の自分の心境にぴったりシンクロしてたりして。ま、私事にて恐縮ですが。

いずれにしましても、当局による執拗な検閲の網に悩まされていたこの時代のブラジル人アーティスト達が、自分たちの意思をいかにして発信するか、そんな苦難の末に生み出された珠玉のMPB作品に触れるにつけ、ワタシは毎回痺れるほどの感動と勇気をもらい、それを糧にサンバタウン店舗営業再開に向けて少しずつ準備しながら日々を過ごしています。

※4/16補足※
我が心の師匠、翻訳・通訳家の國安真奈さんからアドバイスをいただき、それに基づき修正を加えました。
真奈さんお忙しい中誠にありがとうございます!