ぜじろぐ

SAMBATOWN・ゼジの書くブラジル音楽やその他あれこれ

あてはめてみる

2009-04-14 18:41:02 | CD

突然ですが、ワタクシ今もってバンド活動(少々休眠中ですが)をやっており、自ら音楽表現をするという夢を捨てきれない男です。ところがワタシの楽器の腕前はてんで中途半端。おまけにキャリアとしては一番長くやっているヴォーカルも、声質から音感まで、自分の演奏の録音など絶対聴き返したくないというくらいの(なんて無責任なやつだ)トホホぶりで、特に最近は歌において自粛中なのであります。

そんなワタシでも「これを歌わせたら日本で我の右に出る者なし」と自負するブラジル人ミュージシャンがいます。

その人物の名は、アルセウ・ヴァレンサ(Alceu Valença)。
かのレニーニも自らのルーツとして位置づけている、北東部の雄であります。

だからといってワタシが、
Zezi ao vivo -Canta Alceu Valença-
という演題のライヴを仮に打ったとしても、果たして誰が観に来てくれるだろうかとすぐに考え直してしまうのですが、それはまあともかく、このアルセウ様のニューアルバム「Ciranda mourisca」が最近のお気に入りで、よく聴いております。内容はレシフェ海岸を爽やかに吹きぬける浜風のような、清涼感溢れたアコースティック音楽。90年代前半にリリースされた名盤Maracatus, batuques e ladeirasを彷彿とさせます。必ずといっていいほどアルバム終盤に登場する130-160bpmの豪速球フレヴォは今回抜きにしておりますので、いつも以上にリラックスした印象の作品といえますが、アルセウのパワフルで伸びのある声は相変わらず健在です。

そう、歌は力。国内外問わず最近のブラジル音楽シーンに大きく欠けている要素ですが、多少コテコテであろうがこの人の歌からはブラジルらしいバイタリティをいつも分けてもらえます。皆さんも元気のないとき、もっと元気がほしいとき、体の中から毒気を抜き去りたいときの音の友として、是非。