蛇口屋

リフォーム業界のあれこれ

笑う蛇口屋…フッフッフ…

2007-05-12 20:37:11 | Weblog
設備の工事を行っていて、ほんのりと幸せを感じる一時があります。

工事が上手くいった時、お客さんに褒められた時。

いえいえ、そんな事ではありません。
もちろん、それらは嬉しいですけど、そう言うことではなくて、なんか、こう、良く言うじゃあありませんか、「幸福の神様が微笑む時」って奴ですよ。言うなれば、「設備の神様」が微笑んでくれる時って言うのがあるんです。

つまんない事ですけどね。

例えば、シールテープってあるんですが、あの蛇口のネジにグルグル巻くシール材の言わば代表格みたいな物なんですが、これって、巻く回数は、設備屋さんそれぞれで、蛇口屋は3ボンドの奴だと4回、テフロンテープだと3回、って決めているんですが、それが、丁度廻したい回数で綺麗に無くなった時は、思わず「お~おぉ!」って感じです。
いつもは、適度に余ったり、巻き数に満たないで無くなってしまうので、ほどいて新しいのを巻き直したりって手間のかかる事をやっているのが常なんですがね。

ボイラーの交換工事で、配管替えの為に必要だと思われる大体の長さの銅管を家の中に入れて、その銅管が1ミリも余らなかった時も、「なんか俺凄くない?」って感じで、一人悦に浸ってしまいました。

適当に切った既存の管が器具の接続にピッタリだったとか、しかも、一本じゃなくて二本三本がストライクになると、もうこれは何かの意志が働いているとしか考えられなくなってきます。

お風呂の工事なんかで、どうせ、動くし、図面もアテに出来ないからと、適当に出した排水管がドンピシャリの位置だった時とか、さぶイボ出まくりですよね。

でもまあ、冷静に考えてみれば、全ては工事の件数から見れば、確率の問題な訳で、偶然の産物って考えれば、それまでなんですけど、それでも、その時は、どこかの空の上で、沢山仕事をして、しかも、A山や社長に悩まされて、殺伐としている蛇口屋に小さな幸せを、一時の潤いをくれている誰かがいるような気がして、思わず感謝の心を持ってしまいます。

そして、この喜びは、誰でもない、蛇口屋一人にしか判らないってところも寂しいですよね。「凄い凄い! ちょっと見て見て!」って思って喜んでも、そこには蛇口屋しかいないんです。誰かに話しても判らないんです。

しかも、一人で声を上げるわけにも行かず、いい歳した大人がニヤニヤ笑いながら工事をしているって、お客さんから見れば、ヘンな工事屋さんですよね。

それでも、蛇口屋は、喜びに噎びながら、来週も工事をしてゆくんです。