蛇口屋

リフォーム業界のあれこれ

社長の頭にUSB端子!

2007-01-30 22:43:23 | Weblog
今日も、社長の長い話をきかされてトホホな蛇口屋でした。

本日の仕事は、今まで仕事をいただいたお客さん。札幌、江別、北広島、千歳、岩見沢、恵庭、栗山、栗沢、南幌、小樽と、全ての地図を製作して、春になったら、その地図を使って営業するんだそうです。

ゼンリンの地図から縮小コピー取って、切って貼り付けて、区画に分けて切って、またそれをコピーするっていう作業を繰り返していました。

蛇口屋、こういう作業は決して嫌いでは無いんですが、なんせ、無駄な事が嫌いなんで、こんな事をして一体何になるのかなあ、となるべく考えないようにしながら、作業していると、社長が蛇口屋に問いかけてきます。
「こういう地道な作業は、パソコンじゃあ出来ないんだぞ、人の手がないとな」なんて言って、この人の頭の中ではパソコンってどんな装置になっているのだろう? とほとほと疲れ切ってしまいました。今はゼンリンの地図くらい、CDロムどころか、ネットならダウンロードも出来ると言うのに、説明しても、言葉の意味すら理解しようとしない社長は本当に無敵です。

社長にとって、パソコンは、無駄な機械らしいです。

その理由というのが、今から15年以上前、割と大きなリフォームの会社で、全ての業務をオートメーション化させようとして、億単位のお金をかけて失敗。
担当の方は、途中までは他社の力を借りずに自力で作り上げようと、奮闘もむなしく、途中で心労がたたってか、入院、そのまま帰らぬ人になったそうです。
担当者は変わって、彼が途中まで作り上げた物を、破棄して、他社に任せて、そこでまた数億の損益を生み出してしまったと言う話が、社長の中で、『パソコンは上手くは行かない、一部のマニアが騒いでいるだけ』と言う概念を作り上げたそうです。

蛇口屋は、その話を聞いて、社長とは全く別の見解を持ちました。

15年前ですよ。

多分、まだOSなんてまともなのDSくらいしか無かった時代です。ギリギリWindows3,1があったか無かったくらいで、これだって既存のDS走らせてから使うっていう、何のためのOSなんだって言うソフトだった時代です。
PCだってNECのPC98シリーズが全盛で、ハードディスクの容量なんて100メガバイトで大喜びしていた時代です。

そんな頃、会社を自力でコンピューター化しようとしていたんです。
たった一人で。

いろんなプレッシャーがあったらしいです。揶揄もされたみたいです。
この業界は、うちの社長みたいな固定概念の更に固まりで臭ってきそうな腐った人間だけはうじゃうじゃいますからね。

きっと、そう言う時代が来たんだ、ってそう思っていたんでしょうね。
彼の経営者が、彼の事をもっと良く理解していれば、協力者がいれば、時代は、その会社の物になっていたでしょうね。

だから、蛇口屋は、凄い人がいたんだなあ、と、想いを馳せてしまいました。
結果は上手く行かなかったけど、彼の考え方は間違ってはいないと、蛇口屋は思います。

「な、パソコンなんて、人間の血の通った仕事には必要ないんだ」と言う、全く情けない結論を言い続ける、悲しいけど蛇口屋の社長を少し怒ってしまいました。何を言っても理解しないし、理解できない人間です。言っても仕方ない事ぐらい蛇口屋は知っているけど、一言出てしまいました。

「だって社長、15年前ですよ!」

蛇口屋が言った15年って言う言葉の意味、社長にはとうてい理解できないでしょう。

きっと社長の大好きな偉大な発明家達も、笑いものと紙一重って事すら気がついていないんですから。

そんな蛇口屋は切っては張って、コピーして、っていう作業を繰り替えしていると、蛇口屋の机の前で、A山と社長がなんか楽しそうにお話しています。

会話の方はどうでも良くて、ただ蛇口屋は、社長の向けた後頭部をジッと見てました。
この堅そうな、頭にドリルで穴を開けて、腐りかかった大脳にUSB端子を入れれないだろうか?

話して理解できないんだったら、直接信号を送って何とかならないかなあ、なんて考えていました。
外付けハードディスクを付けられたら便利そうだし。
万が一、これが原因で死んじゃっても、このまま毒をまき散らして生きるよりは良いんじゃあないかなあなんて、考えてました。
社長の為にすることだから、逮捕されても、殺意の立証は出来ないから、業務上過失致死で決まりですよね。
社長の改良に、物理的干渉をしたい気持ちでいっぱいの蛇口屋でした。


冬のY談(あんまり刺激的でもないです)

2007-01-29 20:05:19 | Weblog
蛇口屋の仕事って言うのは、人ん家にお邪魔して、そこそこの時間をかけて工事して、帰って行く。
人間関係を構成するには短く、初対面と考えるなら長い時間を、見ず知らずの他人様のお宅で過ごしていると、特に女性が絡むとピンク色した抜き差しならない事態に巻き込まれる事がままあります。

マンション系にお住まい皆さんは、多分、一般住宅と違って、若干大らかな傾向にあるような気がします。特に、マンション改修工事などで、とてつもなく長い時間(3ヶ月~1年間)一緒に過ごしていると、蛇口屋達、工事している人間も、なんか一緒に住んでいる仲間というか、一種の家族みたいな錯覚に陥る傾向にあるようです。

札幌の北にある、とあるオーナーマンションの改修工事を行った時、それはもう、ピンク色の事態に巻き込まれました。
そのマンション、レディイスマンションだったんですよね。
独身の女性だけのマンション。皆さん、18歳くらいから20代で、その話が出たときは会社内で社員は色めきだち、『一体誰が?』と言う話が出て、もの凄い醜い争奪戦になりました。結局、社長の一言で、担当は蛇口屋になりました。
当時の蛇口屋はそりゃあもう、硬派でしたからね。硬派。今はおぢさんなんで、プチ硬派ですけどね。

そんな蛇口屋でしたが、工事中、すれ違う女性の美しさや可愛らしさに、ちょっと『役得』かも…、なんて思ってしまいました。
でもそれは工事が本格化することで、淡い、表面上の事で、仄かに抱いていた甘い気持ちなど露と消えてしまいました。

まず、本当に、工事が滞りました。

断水、排水禁止は、ことごとく無視され、文句を言われ続けていました。
物によっては彼女たちの私室まで入らなきゃならない時があって、掃除するから2,3日待って欲しい、とか、入らないでやってとか、来年にはここを出るから、工事はその後お願いしますとか、本当に、自分中心の世界観で言いたい放題言われていましたね。全て少なくとも数日前に掲示板による張り紙、全室にチラシ配布で告知しているにもかかわらず、皆さん、銘銘に勝手な言動、行動を取って蛇口屋を困らせてくれます。

本当に、もう、工事がどうにもならない、と言うときには、オーナー立ち会いの下、強行突入もさせていただきました。
積み上げられているブラジャーとパンティーをかき分け進み、工事の箇所にたどり着いたこともありました。
どういう訳か、いないはずの男性に怒鳴られた事もありました。もの凄い非常識なカップルでしたね。大学生でしたが、強制退去させられてましたよ。

本当に、蛇口屋に取っての女性への淡い希望とか、期待とか、夢とか、ってものを、ブローアウト式洗浄便器で綺麗に流していただきましたね。もう、こびりつく物さえない。

某、コミックスで『もう愛などいらぬ!』と言っている南斗鳳凰拳の経絡秘孔が左右反対に付いている方の気持ちがケースは違えどちょっぴり判ってしまう蛇口屋でした。

あの当時、色気とか、女性の持つ全ての物が、蛇口屋に取っては日々の敵その物でしたね。
前の会社の人によく言われるのが、工事後半の蛇口屋はナチスの将校の様だったと言っていました。

それでも救われたのが、水商売系のお仕事をされている女性の方々ですね。挨拶はしっかりしているし、家の中は片づいているし、何よりも協力的でした。

この工事は2期に渡っていて、さすがに、2期目は、社長に泣きついて他の工事に廻して貰いました。その後、社長の息子さんである専務さんが、このマンションに入って、一人の女性に手を付けて、その女性、もてあそばれた事を知って、屋上から飛び降りるの飛び降りないのの大騒ぎになりました。専務の仕事を手伝っていた方も、家庭を捨てて、そのマンションに住んでいた女性へと走ってゆきました。

今考えてみると、そこはまさに魔淫の坩堝だったんですね。

でも、そういう事態って、蛇口屋はへっちゃらなんですよ。
よく木石に例えられるくらい、鈍い人間で、遠回しに気持ちを伝えるとか、何となく気がついて貰うとかっていうあらゆる攻撃は全く通用しません。だいたい伝わるのって早くて4~5年掛かるって言われています。

その後、他のマンション、超高級マンションでしたが、日常生活において、服を全く着ないと言う、珍しくも潔い、ご夫婦の方々に出会いました。

今風に言えば裸族って言うんですか?

本当に、室内にいるときは一糸まとわぬ姿で、普通に日常生活を営んでおられました。

ここも長い工事でしたので、最初の内は服を普通に着られているご夫婦だったんですが、蛇口屋にも馴れだした頃、突然、カミングアウトされて、その後そのような接触となった訳です。

ホント、普通にされていますからね。こっちも普通に察しないと駄目だなあ、って概念から、馴れてくると、彼らが普通なんじゃないかって思って来るんですよね。不思議な物で。

今思い起こすと、マンションって不思議な人がいっぱいいたなあ。
それに比べると、一般住宅にお住まいの方って、本当に普通の人しかいないですよね。
それでも、あの頃の苦労って、ちょっぴり楽しかったと思い出す蛇口屋なんですよね。





冬の怪談(そんなに怖くないよ)

2007-01-28 17:13:48 | Weblog
以前、ちょっと不思議な経験をしたことがあります。

先日、K沢くんの起こした粗相の後足末をして、会社への途に着くと、一軒、除雪もされていない、雪に埋もれた一軒の大きなお宅が目に入りました。

道に面した居間の大きな窓には、『売り物件』の紙が貼られていて、人の気配の全くないその家をみて、『ああ、そうか、もう人はいないんだ…』と当たり前の事を呟いたりしてしまいました。 

そこは以前、蛇口屋が工事を行ったお宅でした。

今から4年ほど前になります。丁度季節は今くらい。
ボイラーの交換を依頼してきたのがここの奥さんで、大きめの住宅に一人暮らしをしていました。
奥さんと言ってもかなり高齢なご婦人で、年齢は70歳以上(享年74歳でした)だとは思えない、体の芯がピシッとしている印象があって、どこか高貴な空気が漂っていました。
家自体も、古いんですが、それでも相当良い建築をされているのか、手入れが良いのか、年代の古さや時代は感じても、立派な物でした。
昔の家って、今の住宅より、無垢な木を本当にふんだんに使ってますよね。

玄関に入って、まず一番最初に思ったことは、家の中が暗かった事です。
今は、高齢な奥さん一人だけしか住んでいないと言う話だったので、電気の無駄遣いをしないようにしているのだろうなあ、と思っていました。

「ご苦労様です」と迎え入れられて、奥のユーティリティーへ案内されました。
交換工事自体は、普通の工事だったんですけど、そのお宅、ユーティリティーの床が妙に軋むのが印象的でした。
蛇口屋くらいの体重で、なんか床が沈む感じがするんですよね。
水回りが絡む室内の木材って、他の部屋に比べて湿度が高いから、割と痛みやすいので、この家もそうだと思っていました。

工事を始めると、程なくして奥さんが、お茶と、お茶請けを持って来たくれました。
普通に世間話をして、この家が実はもうかれこれ40年くらいの築年数になることとか
今は、奥さん一人で、この家を維持させていると言うことでした。
これだけ広ければお掃除も大変だろうなあ、なんて事を考えていると、
「そんなに寂しくは無いんですよ」と奥さんはおっしゃいました。
そうですよね、一人って言うのは、寂しさだってあるけど、ご主人や家族の思い出の詰まったこの家ですもの、心細さなんてなのは無いでしょうね。なんてな事を言おうと思っていると、次の奥さんの言葉は、蛇口屋なんかの想像を絶する物でした。

「主人は、この家で、待ってるんですよ、私が死ぬのを」

聞き間違いだったら良かったんですが、奥さん、か細く笑って、そう言ったんです。
でもその言い方って、決して重い物ではなくて、なんか、銭湯に行って、帰りに遅い方の人を待っている、ぐらいの言い方でした。
蛇口屋的には、笑って、『またまた!』なんて軽くかわす所なんでしょうけど、この家の雰囲気と奥さんのどこか透き通った声が、蛇口屋のそんな言葉の介在を許してはくれませんでした。嘘や、冗談ではない。少なくとも彼女にとってそう言う意志みたいな物を見せつけているんです。

蛇口屋には理解しがたい事ですが、確かに奥さんにとって、ご主人はこの家にいると言うことなんだろうなあ。と何となくです判ったような気にもなりました。
そして、自分が死んでも、「一緒に逝こうよ!」って待っている、相当に寂しがりやのご主人です。きっと生前は奥さんにあらゆる意味で甘えていたんでしょうね。

でも、多分、蛇口屋はその時、半信半疑な顔をしていたんだと思うんですよね。奥さんの思い入れって言うか、気持ちって言うのを、言葉先で捉えてはみても、本当に芯から納得する事が出来ない、狭間な感情が顔に出ていたんだと思います。

そんな思いを察してか、「あ、工事の邪魔でしたね」って言って、背を向けようとしたとき、彼はやって来ました。

キシっと床が軋んだんです。
まるで見えない誰かが歩いて来るみたいに、ゆっくりと、床が軋んで来たんです。

そう、ご主人です。

蛇口屋と、奥さんの間、距離にして3メートルに満たないその場所に人はいません。
それなのに、床がゆっくりと軋んで僅かに下がる、その感触が、蛇口屋の足の裏から確実に伝わってきて、いるはずもない、男の人の気配が伝わって来るんです。
見えてもないのに、「結構大柄な人だ」という印象、どういう訳か、毛深い二の腕も、視覚以外の感覚で伝わって来るんです。

本当に、驚きました。多分、目なんか飛び出すくらい開けてましたよ。

確かに目の前にいるのはご高齢の奥さん一人、彼女自身、全く動く気配も無く、蛇口屋を見て微笑んでいる奥さん一人がいるだけです。
キシ、キシとそのきしみはゆっくりと蛇口屋に近づいてきます。
確実に、蛇口屋に向かって誰かが歩いてきているんです。
別に、何をされるって訳もないでしょう。しかも蛇口屋自身に何の遺恨の繋がりもない。
そうは思っても、体の芯からこみ上げる感情は、恐怖以外の無いものでもありませんでした。

「ほら、あなた、職人さんの邪魔しちゃ駄目ですよ」

奥さんがそんな一言を告げると、床に掛かっていた加重は、スーっと消えて、生暖かな人の気配も消えて、替わりに、この家の何処か、奥の方の部屋の戸が、パタンっと閉まる音が聞こえました。

ただ立ちつくす蛇口屋に、奥さんは、「ごめんなさいね、もう邪魔はしませんから」と居間の方へ戻ってゆきました。

それ以上のことは無かったんですが、あんまり幽霊や心霊体験なんてすることがない蛇口屋で、おおむね人の生み出す物だと決めつけていたんで、目の前に迫る理解しがたい現象の恐怖を実感しました。

本当に不思議な体験でした。

今、あの家に、誰も住んでいる人がいないって言うことは、ご主人の望みが叶ったって事でしょうか?
それとも、ご夫婦揃って、また誰かを待っているのかなあ? 

なんて思うと、そう思うと、誰もいないはずのあの家の中で、蛇口屋の付けたボイラーがいないはずの誰かのためにお湯を沸かすため、今でも動いている気がして、ちょっと確認したいような、したくないような。この時期なんで、凍結も心配な少し複雑な気持ちです。

向き、不向き。

2007-01-27 18:12:32 | Weblog
久しぶりに、本気で怒っている人と、どうあがいても何を言い訳しても、逃れようもなく一方的に被害を出した、怒られるべき人間という、全く持って判りやすい図式を見てきました。

昨日の話の続きです。

どうしたら、暖房ボイラーと、給湯ボイラー(しかも壁掛け)を間違うか? っていう話です。
お宅のドアを開けた瞬間、対応してくれた奥さんはもう鬼の形相でしたし、ご主人は仁王立ちだし。

現場のユーティリティーに言ってみると、K沢くんは、バルブ以降で切ったパイプ(もはや止めようがない)を押さえていて、A山は真っ赤になって夥しく広がっている不凍液を拭き取っていて、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図でした。

久しぶりの大爆発の現場に、蛇口屋はただあきれて立ちつくすしかありませんでした。
ご主人は、「ホント、素人よりもタチが悪いよ、ボイラー交換初めてだって言いやがったぞ、こいつ!」
多分、K沢くんが言ったんでしょう。確かに真実ですが、引き受けてしまった以上、会社の人間ならともかく、お客さんに向かっては言ってはいけないことです。
我々はプロだから、お客さんから仕事を任せていただけるんです。
こんな簡単な事が判らないようなら、K沢くんは職人には向いてませんね。
例え、社長が「大丈夫、出来るから」って言っても、それは引き受けてしまった以上、もうK沢くんの失敗なんです。
K沢くんには、「出来ません」と言う選択肢も存在していた筈です。

そして一番の犠牲者は考えの浅かったK沢くんでも、物事を簡単に考えすぎる社長でもなく、お客さんです。
ホント、出来ることなら、丸一に怒られていて欲しいくらいです。もう、かばいようがありませんから。

K沢くん、A山、涙目になって蛇口屋を見ない。

一体、どうして?と言う感情より、ひとまずここを処理しなければなりません。
セントラルヒーティングをよりにもよって一番寒い今日みたいな日に停止に追いやるなんて、なんとしても今日中の復旧しなければなりません。

その家の小学生くらいのご兄弟も、階段から不安そうに、こちらの様子を見ています。
見たらパジャマですよ。風邪引いて休んでいたなら、本当に申し訳ないです。
幸い切った所は一箇所なんで、そこを治して、不凍液を入れ替えさえすれば、なんとかなりそうでした。
時間は掛かりそうでしたけど、躊躇している暇はありませんから、すぐに処置にかかりました。

夕方頃には、ER谷係長も来てくれたので、お客さんに聞いて、OKを貰えたので、給湯ボイラーも交換して来ました。こんな事故をおこしてますからね、工事を反故にされても文句は言えません。

おおむね、工事が順調に進んでいる様子を見て、ご主人は怒りの表情から、安堵の表情になって、
「良かった、ちゃんとした人が来てくれて…」と言っていました。
一生涯忘れられない工事になりそうだとも言っていました。

最後に、床のクッションフロアの張り替えを約束して、試運転調整をして異常が無かったんでお礼を言って帰りました。

帰りに、良くは見ていないけど、K沢くんは泣いている様でした。

もう彼は二度と設備の仕事をすることは無いでしょう。
蛇口屋も、悪いんですが、彼が彼の性格では設備工事には向いてはいないと、帰って言うつもりです。

基本的には、設備の仕事なんて、誰でも出来るとは、蛇口屋は思っていますが、
物を考えない人間、言い訳の多い人、心配性過ぎる人はこの仕事に向いていないって言われています。
彼の場合全て適合する上にプラスαがありますから。
それを社長に言うのも、蛇口屋の責任の一つですから、他の職種で頑張れK沢くん。

一歩進んで一光年下がる

2007-01-26 19:42:26 | Weblog
今日をもってお風呂の工事は終了しました。
4日間の我慢の末、お客さんはようやく、新品のお風呂に入れますね。

ずっと蛇口屋の工事に付き合っていた奥さんも、「うわー、お風呂だけ新築みたい」と微妙な感じで喜んでおいででした。
今まで、一番、老朽化の酷かったお風呂が、今日、輝くようなお風呂に生まれ変わった物ですから、次点で老朽化の酷いユーティリティーの汚れがなお目立って、陰鬱になってました。

クロス張り替えますか?

とおたずねしたところ、もう少し我慢して、家のクロスは全部張り替えるそうです。
それまではグッと耐えるそうです。

そうですか、頑張ってください。と思わず蛇口屋、エールを送ってしまいました。

半日ほどで仕事を終えて、
会社に帰ると、社長を数人の社員、おやK沢くんがいませんね。あとA山も。
それ以外の社員が社長を中心になにやら相談事をしてまいたね。ちょっと嫌な予感がしている蛇口屋をみて、社長が、喜々として「おお、良いところに帰ってきた!」と喜んでしまいます。どうやらその顔は何か、またくだらない事を思いついたっていう顔です。

内容聞いてみると、
社長:「(前略)北海道を含みむ積雪地は、冬場は仕事が無いだろ、だから俺は考えたんだ、実は、30年前から考えていたんだ、30年前って言うとな、まだ会社が札幌にあった頃で、菊水には怖いお兄さんがいっぱいてな(中略)こうして、地下鉄東西線が引かれたときは、みんな胸をなで下ろしたものだ、それまでは人によっては(中略)雪は少なくなったなあ、通年で雇用する会社が増えて来ているから(中略)昔は江別に恐竜がいたんだぞ(後略)」

と延々と話は続けられ、もちろん、そんな時間も無駄にはしたくないので、片付けをしている蛇口屋に、ようやく結論を言いました。
「つまりだ、この会社で、蛇口屋以外に、設備が出来る人間を作れないかって事なんだ、すぐにじゃなくても、一歩一歩、確実に憶えてゆくようにな」

要するに、今いる社員の中に、蛇口屋スキルを持つ人間を作れないかって言う事らしいです。

あれ? 以前、K沢くんに設備系の仕事を覚えさせるって言ってなかったかな?
確か本人も乗り気だったから、彼で良いジャン。

そのことを言うと、

「いやあ、あいつじゃ無理だ」
確かに、ウォシュレットを付けるのに、ほぼ一日掛かりの時もありましたからね。古いウォシュレットを外させれば、便器ごと外してくるし。混合栓を付けさせれば配管をねじ切るし。
彼の場合だと、一歩進んで二十歩くらい下がるってのが実情でしたけど。

でも、失敗は仕方ないって言っていたんじゃあないですかね?

すると、社長、なにやら、急に深刻な顔になって、「いや、物には限度があるんだ」

実はこの日、蛇口屋に内密に、K沢くんはボイラー取り付けデビューをしていたそうです。
内密にしている意味がよく分かませんが、とにかく、社長とA山は蛇口屋を驚かせたかったらしいです。

今回、K沢くんが行った事故は、暖房ボイラーと、給湯ボイラーを間違えて外してしまったそうです。
ちなみに外すのは、壁掛け式の給湯ボイラーです。床に置いてある暖房ボイラーは、2年前に取り替えたばかりの物だったそうです。

ちなみに不凍液の色は赤で、切った瞬間、吹き出た不凍液をみて、「血だ、血がでた~!」とA山に連絡をいれて、A山は現場に急行してゆきました。

多分、今頃、土下座の真っ最中ですね。

良かった、仕事半日で終わって。
現場は会社の近くらしいので、少しは救われました。

それにしても、K沢くん以外の人に、設備の仕事を覚えさせるって、今話す話じゃあないだろ!

ホント、今回は派手に下がったねK沢くん。普通、ウォシュレットを付けるのに、ほぼ平均二時間は掛かる君が、鉄管と銅管の違いを今一把握していない君が、モンキーレンチとパイプレンチの違いを把握していない君が、いきなりボイラーって、その一歩は踏みとどまって欲しかった。

蛇口屋は今、この会社の責任者の代役を捜しています。



扉には鍵を…

2007-01-25 19:29:29 | Weblog
徐々にですが仕事が増え始めてきて通常運営に近い感じの会社になってきました。

明日、エクステリア班は、普通にカーポートを建てるそうです。
凍った地面に穴を掘って基礎石を設定して、凍らないうちにモルタル練って、流し込んでって、本当にご苦労なことです。

蛇口屋は明日はお風呂の仕上げですよ。

今日は、午後から追い炊き機能付きのボイラーを取り付けてきました。
ノーリツのOTX313F。
普通に苦労して完成してきましたよ。

今日問題だったのは、午前中も朝一に行った、一軒のお宅に、ビューティートワレ2台と、浴室サーモスタット式シャワー混合栓を付けてきた仕事です。

お邪魔して、ひとまずシャワーくらいから変えようかと思っていると、その家の奥さん、「1階のトイレから初めて下さい」との事で、どれどれ、どんなトイレかな? とノンビリトイレの扉を開くと、人が入ってました。

C-730、パステルブルーの便器にちょこんと、小柄なおばあちゃんが今まさに事の真っ最中な感じで座っていました。

花柄のパジャマがかわいらしかったです。

凍てつく時間。
多分、一瞬の出来事でしたが、こういう時って、本当に永く感じる物ですよね。

しかも思いっきり、目が合っちゃったし…。
更に、おばあちゃんの目は、「あんた誰?」って言ってるし。

ひとまず、謝って扉を、閉めます。ホント、二度と開かないで欲しいくらい、『封印』って言う勢いで、お札でも貼りたい気分ですよね、こういう時の気分て。許されるなら、そこに何もかもを捨てて、外へ向かって駆け出したかったです。

その様子を見ていた奥さん。蛇口屋の後ろで、締め切ったトイレのドアに向かって、
「お母さん、トイレの時はちゃんと鍵をかけてって言ったでしょ!」
この声に、トイレのドアから、
「急にきたんだよ、ノックもせずに、今日、工事の日なの? 聞いて無いわよ!」
奥さんは負けてません、
「言ってましたよ、ホント、忘れっぽいんだから!」
「聞いてません! どうして2階からやらせないの?!」
扉の内と外で、仁王立ちの嫁(?)おそらくはトイレの中で座りっぱなしの姑(?)の戦いが始まってしまいました。

ひとまず、何の関連もないシャワーから取り替えたい蛇口屋でしたが、事の戦いは、「もうすぐ出そうだった」に対して「トイレが永すぎる」に到達して、もう蛇口屋が話しかけられる様なレベルにはありませんでした。

なんか、工事、やりにくくなっちゃったな~。



お風呂の形だけ完成!

2007-01-24 20:45:35 | Weblog
やっぱり、綺麗ですねー、タカラスタンダードのお風呂。
ユニットバスじゃあなくて、タカラさんはシステムバスって言うんですよね。

一部特定のお客さんから圧倒的な支持を得ているだけのことはあります。

ホーローパネルの生み出す独特の質感は、ガラスや磁器の美しさそのものですね。
洗い場のタイルやステンレスも、言い感じです。
金属や陶器の冷たいって印象を抱かれる方もいらっしゃる様ですが、それにはまた、清潔感や清涼感だって同時に抱かせてくれる造りです。

基本的には、蛇口屋はシステム的に、TOTOのユニットバスが好きなんですけど、タカラスタンダードのお風呂って、ちょっと大人の色気みたいな、『便利だけじゃあないだろ?』って問いかけられている様な気がしてきます。

基本的な構造は全く変わっていないですからね。
メーカーさんの拘りなんでしょう。

今日、マル一日、施工に付き合っていて、タカラさん、排水の抵抗とかきっちり解消してますね。以前は、湯船の排水が遅いと言うお客さんからの意見をいただく事が多かったんですよね。

浴槽の排水が、一度、洗い場の排水とラップを通過するため、もの凄い排水抵抗になって、お風呂の水がなかなか抜けないって言う評判だったんですが、トラップと、排水構造自体を変えることで、見事に問題をクリアーしていました。
今年のタカラスタンダードはひと味違うようです。

結局、終わったのは夜になってしまいましたが、生まれ変わったお風呂を見つめて、お客さんは大変ご満足な様でした。

でも、今日一日、コーキングが渇くまでは、中には入れないんですよね。
最近のユニットバスやシステムバスって、洗い場パンと、浴槽がセパレートになっているから、人に乗られてしまうと、中途半端時間が経過している場合、生渇きのコーキングが割れてしまう時があって、そうなると、せっかくのお風呂が、台無いしになってしまうので、今後20年間以上の為に、一晩は我慢していただきましょう。

明日はもう、お風呂、入りたい放題ですよ。

お湯どころか、水も、電気も、換気扇も繋がっていませんけど、入って座ることぐらいは出来ます。

それもまた、お客さんとしても、施工店としても、目的というか、気持ちというかが、中途半端ですね。

完成にはまだ二日ほどかかります。

だからもうちょっと我慢してくださいね。


本年初はタカラスタンダ~ド♪

2007-01-23 19:38:57 | Weblog
TOTOだと思っていたお風呂は実はタカラスタンダードでした。
ちなみに、どっから出したのか、蛇口屋はA山から受け取ったTOTOのセセーラの図面を持ってます。しかも、今はもうシリーズも違うし。セセーラ無いし。
一体なにがどうなっているのかと、蛇口屋、かなり強めに厳しく突っ込むと、A山は「おっかしいな~」と終始ブツブツ言ってました。

おかしいのは、君だ!A山。

新年早々、いい加減ですね。しかも輪をかけているし。

ちなみに、今日はまだ解体だというのに、どういう訳か、下見とか、顔出しとか言う段階ではない、仕事をやる満々で、壁紙には糊まで付けてきているクロス屋さんも訪ねてきて、蛇口屋達がテキパキ壊している最中に、「俺の仕事は何処?」と、作業工程上の迷子なっていました。彼の話によると、一週間前に、「この日に絶対に入って」とA山に懇願されたそうです。他の仕事を蹴って、駆けつけたそうです。なだめて家に帰しました。

お陰で、最近、遊びに来てくださるタカラスタンダードの施工店の『たり』さんにも、このブログ上で、自信満々に、今度のユニットはTOTOですって言っちゃったじゃない。

もっと早くから判っていれば、施工店をたりさんに指名出来たのにね。

本年中の、蛇口屋とたりさんのコンタクトは、再接近して、コンタクト寸前で顔を見合わす事なく離れてゆきました。

きっとどこか、時の輪の接する場所(松本零士先生から引用)で会えることでしょう。

次の機会に期待します。

ひとまず、今回のお風呂は、タカラスタンダードのエメロードです。
本年、一発目の浴室改修工事は、タカラさんって言うことで、今年は蛇口屋の会社で、タカラスタンダードがヒットしそうな予感がします。

昨年はTOTOが当たり年でしたけどね。

明日は、いよいよユニットバス組み立て工事に入ります。

無事、施工出来ることを祈って、今日は早く寝ることにします。

だって、現場着8:00ですから、会社よって、材料積んで、って逆算すると、起床は6時前って事です。

明日の蛇口屋は早起きです。
でも、寝坊したらゴメンね。



お風呂を食べる虫

2007-01-22 20:43:57 | Weblog
今年初、お風呂の解体へ行って来ました。

普通に0,75坪だったんですが、普通に造り風呂で、モルタルコンクリート、しかも20㎝ピッチで、鉄筋が入っていて、本当に壊れないお風呂でした。

普通、お風呂のスラブって、その住宅が、RCでもない限り、鉄筋なんて入ってないのが通例なんですが、ずいぶん丁寧に施工されてましたね。

お陰で、床は割れずにいたんですが、そのほかの壁や天上は、酷い有様で、隙間だらけで、間柱や柱、土台を軒並み腐らせていました。

問題のあるお風呂って、木の腐った臭いがするからすぐに判りますよね。
浴室の混合水栓シャワーだけの取り替えの時でも、タイルの裏のコンクリートのモルタル壁の中の木の状態が判るようになりました。

ただ、救いなのが、蛇口屋の活躍する北海道はシロアリがいないって事で、腐った木は、小さなアリが食べてしまいます。

このアリ、シロアリとは違って、木の成分であるセルロースを分解する腸内細菌を持っていないので、生の木は食べられないんです。

水と細菌によってほどよく分解された、臭ってくるような腐り果てた柔らかい部分だけ、食べてゆきます。

だから、モルタル壁を剥がした瞬間に、思わず、アリが作った芸術作品を見れる時があります。半割っている間柱に使われる厚さ45㎜の木が、フォークの先みたいになって、その向こうが透けて見える時なんかは、思わず感心して唸ってしまいます。
もちろん、お客さんにしてみれば、このアリの作品は、本当に良い迷惑ですけどね。

そんな風に、腐った部分を取り除いて、新しい防腐剤を塗った木を入れると、臭いも2日ぐらいで収まって、アリの食べ物は無くなります。

しばらくは大丈夫でしょう。

もしも、北海道にお住みの方で、異常にアリが家の中に入って来ると言う方、もしかしたら、今日の蛇口屋のお客さんと同じ現象が起きているかもしれませんよ。
アリさんを追いかけてみてはどうでしょうか?

この時期ですから、しばらくは、出てきませんけどね。
まあ、一つの指標と言うことで、記憶の片隅にでも置いておいてくださいね。

K沢くんの永いお休み

2007-01-21 19:00:00 | Weblog
現在、蛇口屋の会社は、冬期間につき、お休みが増量、そして不定期になっていて、会社に社員全員が揃うことって滅多に無くなってます。

だいたいは、同じ職種の人間がかぶってお休みすることって無くて、例えば、設備の職種で言えば、A山と蛇口屋が二人ともお休みなんてとることはありません。

いつ来るか判らない見積に備えておかないとならないんですね。

でもまあ、北海道の工事の会社が実際、動き出すのは2月くらいです。それも、現場が動くって言えば、もっと先の話ですから、当分、蛇口屋はのんびりモードです。

雪のない時期忙しいですからね。それもまた良いんじゃあないかって思います。

普段、忙しくてしなかった、一日いっぱい読書漬け、ビデオ漬け、ゲーム漬け、ネット漬け、良い感じですね。子供とも遊んでいられるし。

ホント、ビデオは見てますよ。

うちの会社では、K沢くんが良く映画を見るんですが、彼のオススメしてくれる映画はほとんど見ましたね。あまり面白くは無かったけど。

蛇口屋が結構気にしていたのは『間宮兄弟』ドランクドラゴンの塚地さんが出ている作品です。 テレビで映画のCMが流れる度に、おもしろそう! って思っていたのですが、結局見る機会は、今になってしまいました。

面白かったですよ。

K沢くんのオススメに角川映画の『妖怪大戦争』って言うのがありまして、「ほんと」、オススメですよ」とか言っていたんで、見てみたけど、「?」っていう感じでしたね、蛇口屋的には。

ここ10年くらいで見た映画の中では「痛い映画」ベスト3に入賞できる程の仕上がりで、俳優も、ストーリー自体も、悪くはないのに、芯と皮が離れているって言うか、ぶれると映画って駄目になるっていうお手本みたいな映画でした。
次があれば期待はしたいですね。

K沢くんも駄目だな、こんな映画で喜んでいると、末端から日本映画って駄目になってゆくもの。ちょっと映画とか物語とかの神髄を教育してやらないと駄目だな。

と思って、思い返して見ると、K沢くんに、今年1回も会っていない事に気がつきました。
ああ、そうか、蛇口屋が休んでいるときに会社に出ているんだろうなって、社長にいうと、なんか、社長、急にあわてて、携帯でK沢くんに電話を掛けました。
「明日は出てこい」と端的に内容だけ告げて電話を切って衝撃の事実を教えてくれました。

実は社長、今年、雪掻き要員のK沢金は、会社へは社長が呼んだら出てきてくれと、言っておいて、今年の雪の少なさと、社長本人の忘れっぽさの前に、連絡を忘れ出すのを忘れ、存在自体を忘れていたらしいです。

良かったね、K沢くん、永いお正月休みが明けたね。
今週には会えそうです。