9月29日にホームで行われた2024年明治安田J2リーグ第33節モンテディオ山形戦ですが、試合結果は1対2でヴァンフォーレは敗れてしまいました。ヴァンフォーレの得点は前半に挙げた飯田選手のゴールでした。
☆ターンオーバーから10人変更&新フォーメーション採用
現在7日間で3試合をこなす過密日程の後半戦で、週中の水曜日には中2日で先発を8人変更し熊本戦を戦ったヴァンフォーレ。それから中3日。ホーム戦→ホーム戦だったので移動による疲労はなかったのですが、今回の山形戦は大幅に選手を入れ替えてターンオーバーで臨んだ熊本戦から先発をこれまでのメンバーに戻し、GK渋谷選手を除くフィールドプレーヤー10人を変更する策を大塚監督は講じます。そしてリーグ戦で3試合白星のない状態を脱するために、現状の3-4-2-1のフォーメーションから4-4-2のシステムを導入することを決断。積極的に攻撃参加できる両サイドバックを活かした4バックやワイドに配置したサイドハーフによってピッチを幅広く使った展開での攻撃が期待されていました。特にアダイウトン選手はシャドーのポジションに入っていた今までよりも前線での守備の負担が減り、なおかつ高めの位置からドリブルが仕掛けられるのでゴールに絡むプレーが見込めます。最近思うようなプレーができていないアダイウトン選手を最大限活かせるかたちだと思うので、攻撃面での彼の爆発にも注目されていたと思います。
☆不安定なところを山形に突かれて失点
立ち上がりからヴァンフォーレは積極的に動き、試合の主導権を先に握ろうと試みます。しかし現在3連勝中と好調な山形は巧みにこちらの攻撃をいなしながらボールを保持し、ジリジリとヴァンフォーレ陣地に侵入していきます。前半21分、山形は縦パスを土居選手に通すとすぐに後ろにいた國分選手にボールを預けます。その瞬間前方に向かって走り出したディサロ選手にスルーパスを供給。抜け出したディサロ選手は飛び出してきたGK渋谷選手の状態を冷静に確認し、股の間を通したシュートでゴールに流し込み先制点を決めます。このシーンは土居選手が後方にいた國分選手に預けた段階で、そのパスにCBのヘナト アウグスト選手がついていったのがマズかったポイント。それによってヘナト選手の裏のスペースが空き、そこをディサロ選手に狙われてしまいましたね。なおコンビネーションプレーで瞬時に空いたスペースを突けるとは考えづらいので、山形はヘナト選手の前に出てくるディフェンスの特徴を研究&分析して把握し、あらかじめ狙い目としてデータを選手たちが共有していたと思われます。またヴァンフォーレは浅いDFラインを形成していたことも裏目に出たように思います。浅いDFラインでは1人かわされると決定機まで持っていかれるので、だからこそヘナト選手にはこのような状況では慎重にディフェンスしてほしかったですね。CBとしての経験不足がプレーで出てしまった印象でした。
☆飯田選手ヴァンフォーレ初ゴールで追いつく
1点をリードされたヴァンフォーレ。早期の追い上げを図るため攻勢を強めていきます。前半45分、ピッチ中央から仕掛けた三沢選手が左足でシュート。そのシュートは相手GKに弾かれますが、そのこぼれ球に反応したウタカ選手がゴールラインを割る前に懸命にキープしボールを残します。そして後方にポジショニングをとっていた飯田選手に渡すとクロスボールを上げずにそのままシュートを選択。強烈な右足の低い弾道のシュートはニアサイドに飛んでいき、セーブしようとするGKの脇の下を鋭く抜けていってゴール右隅に突き刺さります。飯田選手はヴァンフォーレ加入後初ゴール。そして自身は京都時代に挙げた2021年シーズンぶりの得点となりました。このゴールはウタカ選手が懸命に追いかけてボールを残したのが良かったし、その姿勢が得点へと繋がっていきましたね。そして飯田選手は位置的に通常ではゴール前にクロスボールを選択しがちになる場面でしたが、相手GKの立ち位置をよく見てシュートに切り替えたのは素晴らしかったですね。シュートもニアサイドを狙うことで相手守備陣の意表も突くことができていました。チームが戦っていくうえで希望を見いだせるような飯田選手のゴールだったと思います。
☆受け身の姿勢でズルズル後退&終盤は疲れ
試合は後半になると、これまでやってきたかたちをピッチ上で自信を持って表現する山形と急遽システムを変更して戦っているヴァンフォーレの粗さが目立つ展開となります。そしてスタートから積極的に飛ばしてきた体力的なツケがきて運動量もガクッと落ちていきます。後半の中盤から終盤の時間帯は山形が攻勢を仕掛ける場面が多くなり、ヴァンフォーレは守勢にまわる機会が増加。そして後半31分にはピッチを幅広く使った山形の攻撃に翻弄され、マイナスに折り返したクロスを最後はサイドバックの山田選手に押し込まれて勝ち越し点を許します。誰が斜め前方に出されたクロスボールについていくのか、そして折り返したボールに誰が反応しフォローに行くのかといった決まり事が全くできておらず、やはり守備の不安定さが露呈してしまった結果になりましたね。終盤で1点を勝ち越されたヴァンフォーレはその後に反撃する気力が残っていませんでした。結局1対2で敗れたヴァンフォーレ。目標にしていたJ1昇格プレーオフ入りが霞むような苦しい敗戦となりました。
☆敗因&光明?
この試合ヴァンフォーレが敗れてしまった要因としてフォーメーションの未熟さが出たことを挙げたいと思います。ヴァンフォーレは3-4-2-1を基本フォーメーションとして戦ってきましたが、ここ最近思うような結果が残せずに苦しんでいました。そこでこの試合から再び今シーズン始めから篠田監督体制で導入していた4バックに戻す決断を大塚監督はとります。そしてウタカ選手と三平選手を前線で並べる2トップにして前線の圧力を強化し、アダイウトン選手と三沢選手がワイドにポジショニングをとってサイドから状況打開を企てようと模索していたと思います。攻撃面では相手がこちらの陣形に慣れてないということと攻撃時に4人で主に仕掛けていくので攻撃のバリエーションが多彩となり山形相手にでも効果的に仕掛けられていたと思います。しかし中盤で2ボランチに負担が大きくなり、しかも高い位置にDFラインを設定していたため守備面ではその裏を狙われることが増えてピンチの回数も増加していったのは痛かったですね。そして慣れていないシステムを頑張ってこなそうと努力した結果、いつもと違う動きで体力面での消費が激しくなり終盤に踏ん張って巻き返そうとする力が選手たちには残されていませんでした。その点は交代枠の使用によって運動量をうまくカバーできたら良かったのですが、今回はそれがうまくできなかったのは残念でした。
しかし僅かながらの光明もありました。それはアダイウトン選手のサイドハーフ起用。今までは今シーズンのチームの武器になるであろうアダイウトン選手をうまく使いこなせていない感があり、彼の有効活用がチーム浮上への鍵と見られていました。今回サイドハーフの位置に起用したことにより前線の守備のある程度は2トップの三平選手とウタカ選手がやってくれるので、アダイウトン選手は前線での必要以上のディフェンスをしなくても良くなり、攻撃の仕掛けに比重を傾けられるようになっていました。そして4-2-3-1の攻撃的なサイドの位置よりさらにワイドにポジショニングがとれるので、ボールを受けた時にはゴールに比較的近い位置で1対1の場面を作れたことも良かったですね。アダイウトン選手の特長でもある力強いドリブル突破が繰り出しやすい環境が作れていたと思うので、今回は得点には結びつきませんでしたがその可能性を大いに感じさせてくれるアダイウトン選手のサイドハーフ起用だったと思います。
…この敗戦によりヴァンフォーレの今シーズンの成績は、10勝9分け14敗の勝ち点39で順位は14位に後退。この敗戦によって首の皮一枚残されていたJ1昇格プレーオフに参加できる6位千葉との勝ち点差が ‘13’ に広がり、残り5試合でそこにたどり着ける可能性が極めて難しくなりました。まだ数%は残されているのでそこは目標にしつつ、現実的には一桁順位入りを目標に一つでも良い位置を目指して戦っていきたいですね。そして厳密にはJ1昇格プレーオフに参加できる確率と同じくらいJ3降格圏内に入る可能性も残されているので、その危険性は次の勝利でいち早く取り除きたいですね。
【2024HOME REPORT】第33節 vs山形 三平選手J通算400試合達成 飯田選手3季ぶりGOAL
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