本屋さんの目立つところに平積みになっていた。興味を持ったけれど、素通り。絶対泣きそうな内容だろうから。後日、どうしても読みたくなって購入。期待にたがわない作品だった。(渡辺謙エグゼクティブプロデューサー、主演で、映画化されたそうだ。監督は堤幸彦で、期待できそう。)
ストーリーは簡単。広告代理店に勤める50歳の平凡なサラリーマンが、若年性アルツハイマー病と診断される。本人、家族の努力だけではどうしようも出来ない現実を淡々と追っていく。
この本、ストーリーの進め方が面白い。普通、こういった内容の話は、介護する者、妻といったような人たちの目を通して語られるとか、ドキュメンタリー風に描かれることが多いと思う。しかし、この本は違う。
若年性アルツハイマーになった人、本人が、一人称で綴って行くのだ。少しずつ症状が悪化して、物忘れがひどくなっていく本人の恐怖がもろに伝わってくる。自分のことのように思えてくるのだ。しかし、あくまでも淡々と冷静に話は進んでいく。ここで私は思う、思ったより泣かなくてすむじゃないかと。ところが、ラスト5~10ページ。もう駄目。
映画化されていると知って読んでいるので、当然のことながら、このサラリーマン夫妻は渡辺謙、樋口可南子をイメージして読んでいた。是非、映画にも行きたい作品。
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