goo blog サービス終了のお知らせ 

薫 風 ~KUNPOO~

初夏に薫る爽やかな風に思いをよせ、YukirinとKaorinが日々の出来事などを綴るページです。

カバチタレ!

2006-11-20 | 本  棚
■ 監修:青木雄二、原作:田島隆、漫画:東風孝広『カバチタレ!』(講談社漫画文庫)。法務事務所(行政書士)を扱ったもの。週刊モーニング(?)連載当時から興味があったので、(漫画)文庫となったのを機会に毎回購入して読んでいます。

■ てっきり作者は『ナニワ金融道』を書いた人かと思ってたけど・・・違うのね。青木雄二に弟子入りしてた人(アシスタント)?ど~りで画がそっくりなはずだよ。文字(台詞)も多いし…。『ナニワ金融道』に比べるとドラマの展開が少々荒っぽく、ドラスティックな感じがするけれど、これはこれで生きた法の勉強になりまする。暗に警察や裁判所などの国家権力を批判しているところも小気味いい。

■ 行政書士といえば、自動車を買うときの車庫証明の代行申請みたいに、書類を作成して役所に提出することだけが仕事かと思っていたけれど、なるほど!!法にはいろいろと使い方があるのね。サラ金による多重債務はもとより、不動産契約や交通事故の示談など、法律を知っているかいないかで状況が大きく変わってしまうことも案外多いような気がする。もちろん、そんな場面に出会うことがなければ、それに越したことはないのですが…

■ そういえば私も、20年ほど前に行政書士の資格はとってあったなぁ。その後いろいろと関係法令も改正されて、行政書士の業務もずいぶんと幅広くなっていのね~。今じゃ、とても実務では使えん・・・。

首相官邸

2006-11-14 | 本  棚
■ 『首相官邸』江田憲司・龍崎孝(文春新書)。総理大臣のオフィスである首相官邸の内幕を、政務担当秘書官として首相を支えていた元通産官僚と官邸記者クラブで取材を続けていたジャーナリストにより描いたもの。

■ 現在は新しい首相官邸へと危機管理対応などを充実させ移っているはずだから、“旧”首相官邸の様子ですかね。もっともテロ対策などもあるから、今までは誰も書くことができなかったんだろうな。二・二六事件の傷跡がいまだに残されている、なんて記述には背筋が寒くなってしまいます。(実際、今朝も寒かったが…)

■ 中身的には、「るるぶ」などの観光ガイドと大して差はないか。娘の相手をしながら細切れに読んでいたから、あまり頭に残っていないのが…少し寂しい。

○ックスボランティア

2006-11-13 | 本  棚
■ 『○ックスボランティア』河合香織(新潮文庫)。障害者の“性”を扱ったルポルタージュですが・・・う~む。高齢者の“性”にも同じような問題が孕んでいるのかな。

■ いろいろと大変な状況は理解できるのだが、こういうのを果たして“ボランティア“と言うのか。そもそも“ボランティア”という言葉自体、私は大っ嫌いだった・・・

■ 先日、名古屋で法事があったので、その行き帰りの電車の中で読んでいったのだが、思わずブックカバーをかけちゃった。

集中力

2006-09-15 | 本  棚
■ 谷川浩司『集中力』角川新書。著者は、21歳で史上最年少の名人位を獲得。“光速の寄せ”の異名をとる、終盤にめっぽう強い、年齢も私とさほど変わらない棋士だ。

■ 対局中のプロ棋士の集中力というのは、ものすごいものがある。テレビなどの対局では1手30秒などというごく限られた時間の中で最善手を選択せねばならない。とりわけ終盤の“詰むや詰まざるや”という局面(相手の王様が死ぬか、紙一重で逃げびるか・・・)では、見ているこちら側もハラハラしてしまう。

■ 谷川の将棋は攻めの棋風。王様をガチガチに囲ってチンタラ指すのではなく、まさに“斬るか、斬られるか”という紙一重のところに踏み込んでいく・・・。羽生や藤井の将棋と同様、素人が見ていても、とても面白い。わからないとき、迷ったときは踏み込んでみて、自分が100パーセントの力が発揮できる展開にもっていく(ことを心がけている)のだそうだ。

■ “集中して考え続けるためには、ものすごいエネルギーが必要になる。持ち時間の長い対局では、2時間、3時間と長考することもあるが、その間中、集中力が最高のレベルのままとはいかない。途中、集中力のレベルを下げて張り詰めた神経を休め、またギアチェンジして集中力を高めたりする。”

■ “勝負に限らず、自分のペースを守り、集中力を維持するには、感情をコントロールする事が大事だ。怒りで冷静さを失い、自分を見失ってしまうのは損でしかない。あせらない、あきらめない――常に自分に言い聞かせたい言葉である。”ホントに・・・

■ テニスなんかでも、相手のジャッジが不正だったり、自分やパートナーの凡ミスに腹を立ててフッと集中力が切れてしまう場合がある。そうなってしまったあとの結果は悲惨だ・・・。確かに、いい思い出はひとつもないなぁ。

■ 新書ということで、無理やりビジネスマンむけに書かれている部分が気にならないこともないけど、ビジネスにしろスポーツにしろ、どんな世界でも常にトップを維持していくためには人並み外れた集中力が不可欠なのでしょう。世代交代がすすむ将棋界の中で、(同世代ということもあって)谷川浩司はずっと活躍し続けて欲しい棋士の一人ですね。

p.s. 姫様がいると、ちっとも「集中」して読めないよ~

人は見た目が9割

2006-08-02 | 本  棚
■ 竹内一郎『人は見た目が9割』新潮新書。著者は、劇作、マンガの原作者であり、舞台の演出や俳優教育も長年手がけてきている人。これも結構過激なタイトルですね。最近、新書のタイトルにはこのような傾向があるようですが、読み進んでいくうちにそれも納得!?

■ 演出家の仕事は、まずキャスティングをすること。劇を作るにあたり、まずは「見た目」で「どんな人」かを決定していくのだ、と言います。まぁ、映画でもドラマでも「このキャスティングはちょっとなぁ」と思える場面は、多々ありますよね。逆に「見事なはまり役!!」と感じることも・・・。NHKの『功名が辻』でいえば、前者が山内一豊、後者が羽柴秀吉、といったところでしょうか(まったく私的な意見ですが)。

■ “心理学では、実は人間が伝達する情報の中で話す言葉の内容そのものが占める比率は、7%に過ぎない、という研究結果が出ている。多くの人が実は「人を見かけで判断」しているのであり、端的にいって「外見の威力」はそれほどまでに強力なのである。日常生活でいえば、しゃべる内容以前に、声やテンポなど「話のフィーリング」ともいうべき部分が、合っているかどうかも大きい。内容より「誰が言ったか」の方が重要なのである。” たしかに、日常生活でも「あなたの言うことの意味はわかるけど、あなたには言いわれたくない」と思う場面が少なからずあったりして・・・(ふたたびまったくの私見ですが、とりわけ女性にはそういった傾向が強いような気が...)。

■ “私たちは、子どもの頃小学校の先生に「人を外見で判断してはいけない」と教えられた。それは「人は外見で判断するもの」だから、逆にそういう教育が必要だったのだ。逆にいうなら、「人を外見で判断しても、基本的には問題ない。ごくまれに、例外があるのみである」。”フムフム・・・

■ 考えてみれば、こと日本人にはこの傾向が強いのかもしれません。“「相手に、わからせ、自分を通す」のがヨーロッパ流。「お互いに、語らずに、察する」のが日本流。私たち日本人は、相手の欠点を指摘して、わからせようとする習慣が少ない。人前で恥をかかせては、逆効果だという認識を持っている。誇りを傷つけられると、テコでも動かない人がいるからだ。”まさに、そのとおり。

■ 物語でも腐心するのはそういう状況の作り方だ、と言います。“主人公が自分の考えを変える瞬間がある。多くの場合、それは問題解決の糸口となる感動的なシーンである。誰かに、原則論で説教をされ、それで主人公が気づくことはありえない。説教されれば、人は反発しかしない。だから親友や上司などが発する主人公を変える一言は、一見、主人公の問題点とかけ離れたものでなくてはならない。親友や上司の、何気ない一言を媒介に、主人公は「自分で気づく」のである。あるいは、主人公は、自然現象の中に真実を見つけ、そこに問題解決の糸口を発見するのである。”ナルホド、こういうパターンは実に多いですな。

■ 本書の後半は少し退屈に感じましたが、目からウロコの一冊でした。漫画なども取り上げて、例もわかりやすいし・・・。これから県知事選、自民党の総裁選挙とイベント事が続きますが、きっと政治(家)も「見た目が9割」なんだろうな。

ビートルズ学入門

2006-07-22 | 本  棚
■ 広田寛治『ビートルズ学入門』新潮社。ビートルズ・ネタをもうひとつ。自分の無知さ加減がよくわかったので、図書館で資料を漁ってたどり着いた中の一冊。世の中にビートルズ・ファン(マニア)は多いからなぁ。いくらマイナーな公民館報といえども、あまり出鱈目なことも書けないし…これをいい機会に読んでみました。

■ 本書はメンバーの誕生から解散後の生き方までの、およそ30年間を扱ったもの。ビートルズというバンド名を使い、プロの演奏家としてハンブルク巡業に出発した1960年8月17日から、ポールが解散を公表した1970年4月10日までをビートルズとしての活動期間と定義している。

■ 日本での公演は1966年。アメリカで成功して以来、ビートルズは映画にも出演し、はじめて野球場でコンサートを開くなど、すでに世界のアイドルとなっていた。歓声が大きすぎて、自分たちの出している音さえ聞こえなかったというのだからスゴイ!でも、そんな状態にやがてうんざりしたメンバーは、次第にコンサートよりもレコーディングの方に重点を移していく。

■ ビートルズの曲って、今聴いても前々古さが感じられないし、飽きませんね。“古典”として語り継がれていく芸術とは、かくもこういうものなのか。ちなみに私のもっとも好きな曲は『ノルウェーの森』。インドの楽器シタール(ジョージが弾いている)のかもし出す雰囲気がたまらない。もっとも、歌詞を見ると曲のロマンティックなイメージとはだいぶかけ離れているような気もするが・・・。

オニババ化する女たち

2006-07-17 | 本  棚
■ 『オニババ化する女たち』三砂ちづる(光文社新書)。ずっと過激なタイトルが気になっていましたが、読む機会がなく・・・。でも、この前ふらりと寄ったBOOK OFFに100円で置いてあったので読んでみました。

■ 要は、“女性は子どもを産み、次の世代を継いでいく力を持った存在で、生物としてはそれを目的に生まれてきているわけだから、その力を使わずにいると多くのエネルギーが行き場を失ってしまい、ひいてはオニババと化してしまう”といったところ。いわゆる男性の側からではなく、女性という同姓の側からの指摘という点が注目すべきところでしょうか。でもまぁ、いつの時代も“女性の敵は女性”だからなぁ。

■ 著者は国際協力機構の疫学専門家として、約15年間、海外で疫学研究(女性の保健?)、国際協力活動に携わるという経歴を持つ。しかしながら、本書の内容がどの程度科学的根拠に基づくものなのかははなはだ疑問で、それほど説得力は感じませんでした。

■ もっとも、最近はbabyの不穏行動が活発なため、おちおちと読書もしていられません。新書1冊読むのに、1ヶ月近くもかかっちまった・・・。はよ寝てくれ~。

刀狩り-武器を封印した民衆-

2006-04-05 | 本  棚
■ 藤木久志『刀狩り』岩波新書。秀吉の刀狩り、明治の廃刀令、そしてマッカーサーの刀狩りという「三つの刀狩り」を取り上げた本。

■ 豊臣秀吉の“刀狩り”というと、百姓や町民たちの武器が根こそぎ没収され、民衆はまったく武装解除されてしまったようなイメージを持つ。黒澤明の映画『七人の侍』でも、映画に登場する百姓たちは、戦いにはまるで無気力で、刀の持ち方一つ知らないように描かれている。

■ しかし、(歴史の)現実はまったく違っていたようだ。“刀狩り”によって禁止されたのは帯刀(刀を二本さすこと)であり、それすらも許可制度による比較的緩やかなものであったらしい。実際、旅をするときや公式の行事のときなどには脇差をさしていたし、害獣を追い払うため刀や鉄砲までもごく一般的に用いられていたようだ。すなわち、“刀狩り”の目的は武装解除というよりは、武士と百姓・町民らとの身分の違いを明確にするという目的からであったところが大きいという。

■ その上で著者は、民衆の側にも、武器をなるべく使用しないよう平和裏に生きるコンセンサスが強かったのではないかという。これまで、まともな刀狩り研究がゼロであったという学界の状況も指摘した上で、強大な国家権力による民衆の武装解除(丸腰の民衆像)から、民衆の自律と合意による武器封印論(自立した民衆像)へ、「秀吉の刀狩り」をめぐる歴史の見方を大きく転回することを提案している。

■ う~ん、私達が学校で教わってきたことは一体なんだったのか。近年の歴史学の進歩は著しいものがあるようですね。

死の壁

2006-03-28 | 本  棚
■ 養老孟司『死の壁』新潮新書。『バカの壁』に続く新書第二弾。人間にとって決して避けては通れない“死”についての考察…というよりは“雑感”みたいなものか。

■ とはいっても、日常から“解剖(学)”に携わっているだけあって、説得力があるような気がします。医療関係者でもない限り、普通の人は“死”に接するなんて、あまりないことですから。まして、“死体”ともなると、なおさらのこと。

■ そもそも「生死の境目」とはどこか。突き詰めて考えてみると、明らかではありません。臓器移植の必要性から脳死もヒトの死であると認められたものの、機械をつけていれば一部の臓器は動いているし、髭や髪の毛だって伸びることもある。

■ 『バカの壁』同様、編集者による口述筆記のため、たいへんやさしく書かれていて読みやすい。著者によれば、“これで自分の中に溜まっていたものは、ほとんどすべて吐き出した”そうです。

姜向中の政治学入門

2006-03-22 | 本  棚
■ 姜向中『姜向中の政治学入門』集英社新書。“知的な語り口”が好感度抜群の姜さんの本です。アメリカ、暴力、主権、憲法、戦後民主主義、歴史認識、そして東北アジアという“7つのキーワード”で読む現代の日本。

■ 最後の「東北アジア」という視点を除けば、さして真新しいことはないか。まぁ、“政治学入門”となっているから、あまり期待してもいけないかも。だいたい映画のタイトルでも、「○○の」と俳優の固有名詞がつけられているような作品は、えてして内容的には面白いものではない(例:トムクルーズのバニラスカイ)。

■ 「戦後民主主義」の章でも、“憲法学者の宮澤俊義は、日本における真の民主主義革命は1945年8月にポツダム宣言を受諾したことであったとする、いわゆる、「八月革命説」を提唱しました。この考え方は丸山眞男など、当時のリベラル派知識人を中心に多大な影響を与え、以後、戦後民主主義を支える一つの重要なテーゼとなっていきます”とあるけれども、これは逆ではなかったか。そもそも丸山の発案を、宮澤が憲法学に採用したのではなかったっけ?

■ 入門書を意識してか、さりげなく(?)ところどころに専門用語がちりばめられています。そういった意味においては、すこしは楽しめたかな。