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薫 風 ~KUNPOO~

初夏に薫る爽やかな風に思いをよせ、YukirinとKaorinが日々の出来事などを綴るページです。

さおだけ屋はなぜ潰れないのか?

2006-03-20 | 本  棚
■ 山田真哉『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』光文社新書。超ベストセラーとなっている“身近な疑問からはじめる会計学”の入門書。

■ 会計学とはいっても難しい専門用語などはほとんど出てこない。タイトルの“さおだけ屋はなぜ潰れないのか?”からはじまって、“ベッドタウンに高級フランス料理店の謎”など、平易な言葉で“会計の本質”に迫っていきます。

■ 面白かったのは、“数字に弱くても「数字のセンス」があればいい”というエピソード7。会計を学ぶうえで、数字に強い必要はまったくない、という。たとえば、「50人にひとりが無料」というキャッシュバック・キャンペーン。元ネタは全日空の「楽乗キャッシュバック・キャンペーン」ということですが、家電量販店でもときどき目にしますね。

■ 消費者の立場からすると、たとえ50人に一人であっても「無料→お得」と短絡的に考えてしまいがちだが、冷静になって計算してみるとたかだか2%の値引きでしかなく、消費税分にもならない。“たいして得ではないことを別の表現で言っているに過ぎない”のだ。多くの場合、優秀な経営者とはこのようなセンスを身につけているものだと、筆者は言います。

■ まぁ、つまるところ「売り上げ」から「費用」を引いたものが「利益」であって、経営(戦略論)とは“費用をいかに減らすか”ということにつきますからね。いま流行の構造改革や行政改革というのも、似たようなものか。最近の粉飾決算などのニュースを見ていると、はたして「公認会計士」っていう人たちも、何をやってんだかわかりませんけどね~。どこが“公認”なんだか…

超バカの壁

2006-03-14 | 本  棚
■ 養老孟司『超バカの壁』新潮新書。『バカの壁』『死の壁』の続編。既刊の二冊についての疑問に答える形で、12のテーマを設けて編集したもの。

■ 面白かったのは、ニートやフリーターを取り上げた第1章。働かないのは、「自分に合った仕事を探しているから」という理由を挙げる人が一番多いという点をとらえて、こう切り返す。

■ “仕事というのは、社会に空いた穴です。道に穴が開いていた。そのまま放っておくとみんなが転んで困るから、そこを埋めてみる。ともかく目の前の穴を埋める。それが仕事というのものであって、自分に合った穴が開いているはずだなんて、ふざけたことを考えるんじゃない、と言いたくなります。”

■ はぁ、しょせん仕事とはそんなものでしょうか。もっとも、合うか合わないかなんて、最初からわかるはずありませんしね。“合うとか合わないとかいうよりも大切なのは、いったん引き受けたら半端仕事をしてはいけないということです。”ごもっとも…

■ 全体的に読みやすいですよね、この人の本はどれも。すべてが書き下ろしというわけではなくて、ライターが講演の内容を起こしたり口述筆記もしているようですが。ユニークな視点に加えて、その辺が人気のある所以かも。

岸 信介

2006-03-13 | 本  棚
■ 原彬久『岸信介』岩波新書。開戦時商工大臣であったことからA級戦犯として巣鴨プリズンに拘束されるが、やがて解放され、最後は総理大臣という頂点まで登りつめた“昭和の妖怪”の記録。

■ 岸信介は、明治29年、現在の山口県山口市に生まれ。旧制一高、東京帝大と首席で卒業し、大正9年には農商務省に入る。昭和11年、農商務省を辞め満州国実業部総務司長に転出。ここで関東軍や東條英機との結びつきが強くなり、昭和14年古巣の商工省に次官として返り咲く。昭和16年東条内閣では商工大臣となり戦時経済体制を率いる。サイパン陥落後は反東條の態度を明確にし、やがて終戦を迎える。A級戦犯として3年余りを巣鴨プリズンで過ごすが、解放後は自由党に入党し保守合同を成し遂げる。昭和32年首相となり、昭和35年安保条約の改定を成し遂げる。

■ 衆議院で強行採決が行われると、安保改定阻止、内閣打倒の運動が全国に急速に広まった。参議院の承認を得ないまま、6月19日午前零時、岸は国会周辺を含めて30万群衆が取り巻く首相官邸の中で、この「自然承認」を迎える。「殺されようが何されようが絶対必要な」新条約の「自然承認」だけをひたすら待った。首相官邸の警備に自信がないという警視総監の警告を無視して「死ぬなら首相官邸で」というのが岸の心境であった。

■ 私も報道特番等でしか見たことがありませんが、全国的に盛り上がったのですよね、安保闘争ってやつが。でも世論を敵に回してでも、「やるときはやる」という鉄の意志みたいなものは感じます(“声なき声に耳を傾けた”という説もあるけれど…)。

■ 安部晋三官房長官はこの岸信介の孫。麻生太郎外務大臣は、吉田茂の孫。小泉首相もお爺さんから続く政治家の家系。現代の政治を動かしている面々は、もうそんな世代になっているのですね。

巨人軍論-組織とは、人間とは、伝統とは

2006-03-12 | 本  棚
■ 野村克也『巨人軍論』角川新書。東北楽天ゴールデンイーグルス監督が語る組織論。野村ID野球の根幹には「巨人軍」から学んだ思想が脈々と流れていた…?

■ とかく精神論に傾きがちなプロ野球界で、実は唯一巨人軍のみが大リーグに戦略を学び、緻密なサインプレーなどの高度な戦略を用いていたのだといいます。特に王・長嶋がまだ現役で、川上監督がV9を達成した頃、巨人軍では中心選手にまで管理野球が徹底されていた。しかし、そんな巨人軍も今では後任の監督や選手を育てる努力もせず、資金力に任せて各チームの主砲級選手ばかりかき集めている。こんなことを続けているようでは、今の凋落ぶりも決して不思議ではない…。

■ 阪神ではこけたものの、弱小ヤクルトを3回も日本一に導いた実績があるだけに、説得力があります(ボヤキもかなりありますが…)。野村監督がまだ現役選手時代、そもそもデータを重視するようになったのは「自分は不器用である」と自覚してから。天賦の才能では足りない部分を、なんとかデータという技術以外のところでカバーしようとしたのでしょうね。戦後初の三冠王などMVP5回、本塁打数657本というのはサスガ。数字に現れていますね。“知識やデータ、情報の裏づけのないひらめきや勘は、単なる思いつきである”と…これは長嶋さんを皮肉っているのでしょうか。

■ そして、いよいよ組織論。考え方の基本にあるのは「中心なき組織は機能しない」ということ。なによりチームづくりの中心となるのは、中心選手の存在である。ただし、中心選手はたんに技量が優れているだけではダメなのであって、「チームの鑑」すなわちほかの選手の模範とならなければいけない。そして指導者は、組織の中心をなす人間に対しても、甘やかして特別扱いすることなく、厳しく接しなければならない。それが、組織から不満があふれることを防ぎ、ひいては信頼を勝ち得るのだ。

■ 監督の仕事とは「人をつくり、チームをつくり、試合をつくる」ことである。なかでも最も大切だと考えているのが「人づくり」。常々「人間学なき者にリーダーの資格なし」と語っている所以である。「成長した」と他人に感じさせるには、「判断基準がレベルアップした」とか「まちがいに気づき、それを正す」能力が備わったことが大きな意味を持つ。そして、気づく選手は絶対に伸びる。「人間の最大の悪とは鈍感である」と私は信じている。…

■ ナルホド、野球以外の部分でも、考えさせられることの多い一冊でした。さてはて、今年のゴールデンイーグルスは、どこまで躍進することができるのでしょうか!?

武器としての<言葉政治>

2006-03-02 | 本  棚
■ 高瀬淳一『武器としての<言葉政治>』講談社選書メチエ。政治家の「言葉で政治をする手法」に注目して、現代政治を分析した一冊。

■ 利益分配型の“角栄型政治手法”から不利益分配型の“小泉型政治手法”へ…小泉首相の登場により、日本の政治は、いま大きな転換期を迎えています。つまり、小泉さんが「自民党をぶっこわす!!」と叫んできたのは、派閥と利益誘導型の金権政治システムだったのだ。

■ 派閥に自己の支持基盤を持たない小泉さんにとって、議会での支持よりも国民の支持のほうが重要視されることになってきました。確かに、昨年の「郵政解散」のときも、小泉首相が直接国民に訴えた言葉、「賛成か反対か国民に聞いてみたい」という呼びかけは、(特別な支持者でなくても)なにか心に迫るものがありましたね。

■ 著者によると、田中角栄以降の、いわゆるテレビ・デモクラシー時代の首相の<言葉政治>能力に着目したとき、もっとも評価が高いのは、中曽根康弘と小泉純一郎であるといいます。なぜなら、ともに言葉やイメージで政治を動かすことを明確に意識し、しかも話術やプレゼンテーション能力に秀でているから。しかし悲しいかな、われらが羽田孜(!?)と宇野宗佑は、在任期間がいちじるしく短かったため(64日と69日)、そもそも分析の対象とさえされていません…。

■ 相変わらず高い支持率を誇る小泉首相ですが、いいことばかりでもありません。首相には国民から絶大な支持が与えられるが、それは内閣に対するものというよりも、首相個人に向けられたものとなります。そのため著者は、「国民の支持さえあれば政党や議会の意向を無視できる、という風潮が広まれば、それは議会制民主主義の根幹を崩しかねない事態である」と政治のパーソナル化という点を危惧しています。

■ しかし、これだけ小泉型政治手法が成功してしまうと、後継者もこのやり方を模倣せざるを得ないでしょうね。われわれも政治家の甘言にだまされないように、<言葉政治>を読み解く力をつけていかねばなりません。

憲法とは何か

2006-02-27 | 本  棚
■ 櫻井よしこ『憲法とは何か』小学館。雑誌『SAPIO』に連載されたものを加筆・再構成し、単行本としてまとめたもの。ベトナム生まれのフリー・ジャーナリスト櫻井女史は、とかくタカ派のイメージが強いのですが、討論番組などでの“知的な語り口”に惹かれて読んでみました。

■ 改憲やら皇室典範の改正問題も取りざたされている昨今ですが、「平易な言葉遣いと簡潔な文章による憲法にする」という彼女の主張には全面的に賛成です。国の根本規範とはいえ、全体として翻訳調でわかりにくい文章であるという印象は拭いきれません。

■ 9条の問題についても、北朝鮮の国家的犯罪行為が明らかになるにつれ、他国の不審船や工作船が領海侵犯していてもしょせん追い回すことしかできない国家とは一体何なのか、と考える国民もきっと多いのではないでしょうか。海外で紛争に巻き込まれ、たとえ捕虜となったとしても、自国民を救出するための輸送手段もない、となるとなおさらです。

■ ただ、実質的に閣議が形式的なものに過ぎなくなっていることに問題があるとしても、そのこと自体を取り上げて、憲法第65条の「行政権は、内閣に属する」という規定に違反しているというに至っては、いかんせん論理が飛躍しすぎ。また内閣法制局が、行政を執行する上で第一義的な憲法判断をしているからといって、憲法第81条の「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」という規定に違反すると談じるのも、ちょっと乱暴すぎる気がします。

■ 挙句の果て、聖徳太子の「十七条憲法」や「明治憲法」「教育勅語」の精神に学べ!!みたいな復古調の議論に至っては、もはやついてゆけません。日本古来の精神や文化を尊重すべし、という気持ちはわからなくもないですが…。

■ 終戦・憲法制定からすでに60年。成文憲法としての<ことば>だけではなく、自衛隊の存在や私学助成のあり方など、そろそろ見直す時期に来ているのではないでしょうか。いわゆる「知る権利」や「環境権」など、憲法制定時には予想すらしていなかった新しい権利(今となっては、さほど目新しくもないけれども)も、憲法の規定に盛り込んだほうがベターでしょう。護憲、護憲、とやたら“保守”的にならずに、国民自らが自分たちの国家のあり方を考えていくいい機会だと思いますがね。

武田信玄

2006-02-17 | 本  棚
■ 笹本正治『武田信玄』中公新書。昨年買っておきながら、書棚に積んだままになっていた本。

■ 信州信濃の国の(歴史的)英雄といえば…やはり期間は短かったとはいえ、一度は天下を極めた朝日将軍木曽義仲だろうか。真田幸村は負け組みだし、佐久間象山は学者さんだしな~。というわけで、信濃の国は戦国時代、信玄や謙信に侵略されっぱなしだったようです。

■ 武田信玄といえば、おそらく(歴史的事実以上に)もっとも崇め奉られている武将?? 川中島での謙信との一騎打ちをはじめ、「人は城、人は石垣、人は堀、情は見方、仇は敵なり」という有名な言葉さえも、後世になって創られた虚像のようです。

■ これら武勇伝のネタ元となっているのが、甲州浪人の小幡景憲が信玄の戦術や軍法などをまとめたという『甲陽軍艦』。江戸時代に最も尊敬崇拝された徳川家康に、三方が原の合戦で生涯最大の敗戦を味合わせたのは武田信玄であったということから、この書物が広く読まれたようです。

■ 信州にもそろそろ英雄がほしいですね。いや、ヤスオちゃんじゃなくて…。

アメリカのデモクラシー

2006-02-10 | 本  棚
■ トクヴィル著/松本礼二訳『アメリカのデモクラシー』岩波文庫。最近新しい翻訳版が出版された政治学の古典です。とりわけ序文に書かれた「私はアメリカの中にアメリカを超えるものを見た」という一節は、あまりにも有名・・・らしい。

■ フランスの政治思想家Alexis de Tocquevilleは1805年生まれ。7月革命の後まもない1831年4月、ニューヨークにたどり着きます。アメリカ旅行の目的は、アメリカに新しく進展していた行政制度の視察でした。彼ら一行が見たものは、ジャクソン大統領時代、はじめて庶民が政治の表舞台に登場した時代のアメリカそのものでした。ボストン、フィラデルフィア、ニュー・オリンズ、ワシントンと1832年2月下旬までアメリカを周遊してフランスへ帰国します。

■ フランス革命後、没落の兆候が見えていた貴族出身であるとはいえ、まだ若き彼の眼に見えていたものは、何より「境遇の平等」だったようです。「この地でデモクラシーの原理は自由に成長し、習俗と相まって進み、平穏に法制まで展開しえたのである。」多数者による専制に対して危惧を抱いていたり、のちに“イギリス系アメリカ人とロシア人とが将来世界を分かつ”と第二次世界大戦後のいわゆる『冷戦構造』を予言していたことも高く評価されています。

■ さて、もし彼が現在のアメリカを見たなら、一体どのように映ったでしょうか。

いりやまさとし作・絵「みどりのくまとあかいくま」

2006-02-06 | 本  棚
■ 娘をベビーカーに乗せ、買物をし、絵本売り場に立ち寄りました。何種類か絵本を見せて、にこにこ度の強かったこの本を買ってみましたヽ(^o^)丿 しかけ絵本「ぴよちゃんシリーズ」と同じ作者でした。

■ みどりのくまの家の隣にあかいくまが引越してきました。
 「やっぱり あかい いろが いちばん すてき」
「どうして あかいくまは みどり いろの よさが わからないんだろう?」と、ふたりはそれぞれ自分の色がいちばん素敵だと思っていました。

■ ある雪の日、外で遊んでいるとひときわ目立つ赤い色が目に入ってきます。
みどりのくまは「あかい いろって きれいだな・・・」と思えてきます。あかいくまもみどりもきれいだなと思えてきます。そしてふたりは仲良くなり一緒に住むようになります。そして翌年の冬には・・・ふたりのもとに白い天使がやってきます(Babyかな)

■ 絵がやさしい感じでかわいいです。SMAPの稲垣さんがこの本をフジテレビ「忘文」で朗読したみたい。またふたりのくまのその後のストーリーも発売されるようです。Baby成長物語かな?(なんて) 

■ 表紙を見せると喜ぶ娘ですが、まだ「ぶぅさんのブー」の方がはしゃぎ度は上ですね~。

一冊でわかるクラシック音楽ガイド

2006-02-05 | 本  棚
■ 後藤真理子監修、成美堂出版。図書館で借りたこの本。値段(1300円也)の割りにカラーで内容豊富だったので購入しました。お買い得な一冊です!

■ 年代別にバッハやモーツアルトなど有名な33人の作曲家の生涯や作品を物語で読むことが出来、交響曲や協奏曲などジャンル別代表曲も紹介されています。

■ ハミダシ記事も面白く、例えばバッハでは「晩年眼疾に悩み、手術を受けたが失明した。執刀医はジョン・テイラーなる自称「勲爵士」だが、実はこの男、ヘンデルも失明させた大ヤブ医者」。またチャイコフスキーでは「《白鳥の湖》は今でこそ古典バレエの代表的傑作だが、初演は大失敗に終わり、落胆したチャイコフスキーが次のバレエ作品《眠れる森の美女》を書くまで、10年の歳月を要した」など。

■ そして巨匠たちの名言・たわごとのページでは
「靴屋になったほうがまし」とはバッハがあるオルガニストを評した言葉。
バッハは大変口が悪く、舌禍で暴力沙汰になったこともあるとのこと。美しい音楽からは想像できませんねぇ。

■ こんな面白い記事ばかりだけでなく、クラシック音楽の歴史と時代、オーケストラの楽器配置や世界の有名オーケストラ、コンサートホール、様々なコンクール、音楽祭カレンダーなどもあって勉強になることがいろいろ。本のタイトル通りです。ちなみにサイトウキネンフェスティバルも出てました(^_-) 一度は行ってみたいと思いつつ・・・

■ この本のおかげで、なんだか偉大な作曲家が身近に感じられ、更にクラシック音楽を楽しめるきっかけになりそうですv(*^^)v
  

<photo:伯父様とパチリ!>