薫 風 ~KUNPOO~

初夏に薫る爽やかな風に思いをよせ、YukirinとKaorinが日々の出来事などを綴るページです。

BIRTH

2012-02-04 | 本  棚

◇ 表紙に何だか惹かれて借りたのは「BIRTH」。

◇ バースコーディネーター大葉ナナコさんの詩と屋久島の自然を写した瑳山ゆりさんの写真。

◇ 「愛する人にしてあげたい

    与える

    待つ

    ゆるす

    つつむ

    ほほえむ」

 


まとめピアノの森♪

2011-12-14 | 本  棚

◇ 漫画大好きな私。出版されているのに購入してなかったこの漫画を先日まとめて三冊買いました(^^;)

◇ 久しぶりに夜中に一気読みして満足♪。オーケストラも良いですが、静かにピアノの音色を楽しみたくなりました。


謎とき 村上春樹

2011-02-13 | 本  棚
◇ 石原千秋『謎とき 村上春樹』光文社新書。早稲田大学で行った「現代文学」の講義を元にまとめたもの。村上の作品として、『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』、そして『ノルウェイの森』を取り上げている。

◇ 村上春樹の小説は大好きで、これまでほとんどの作品は読んだはずだ。でも、ほとんどすべてのストーリーを忘れてしまっていることに気づいた。これでは、「読んだ」とは言えないかな...トホホ。おおかた、ブックオフに売り払ってしまったしなあ。

◇ ともあれ、「ああ、こんな読み方ができるのか。さすが、文学者の読み方は違う」と思い知った一冊だ。「小説を読むことは謎ときをすることだ。・・・だから、小説家は一番書きたいことを隠して書く」。基本的に、村上の小説はホモソーシャル(父権制的資本主義社会)の概念フレームで読み解くことができるという。

◇ 学生時代、はじめて『風の歌を聴け』を読んだとき、なんて変わった文体なんだろう、くらいにしか思わなかったけど、これほどまでに多彩な仕掛けがされていたなんて...まったく、目からウロコである。石原氏はすこしトリッキーな読み方(解釈)で定評があるから、一概に鵜呑みにはできない。でももう一度、しっかりと読み直してみようっと。

<photo>サイパンではなくて、グアムです。

裁判長!ここは懲役4年でどうすか

2011-01-30 | 本  棚
◇ 北尾トロ『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』文春文庫。月刊『裏モノJAPAN』に「人生劇場」というタイトルで連載された裁判傍聴記をまとめたもの。裁判の傍聴マニアを取りあげ、コミックやドラマ化もされている。300ページ以上ある割には、文体・内容とも大したことはない。

◇ 印象的だったのは、交通事故の裁判。ちょっとした不注意で、天国から地獄へ突き落とされてしまう。どんなに謝罪したところで、被害者側の「誠意を見せろ」という言葉に、満足のいく答えはなかなか見つからない。殺人や強盗といった凶悪犯罪と異なり、誰にでも起こりうるような事例だ。

◇ 一応法学部の学生だった私も、実際に刑事事件の裁判を2回傍聴したことがある。ひとつは東京地裁での傷害事件。ふとしたことから喧嘩となり、たまたま当たり所が悪く(?)被害者が失明してしまったため告訴されたケース。たしかに、被告人が手錠をはめられ、逃亡防止用の縄につながれて法廷にはいってくるところは衝撃的だった。

◇ 2件目は、長野地裁松本支部での詐欺罪のケース。市内某大型スーパーで、盗んだクレジットカードを使用しようとしたところ、販売員にばれてしまったというもの。このときの被告は女性だった。厳格な検察官に比べて、裁判官が妙にフレンドリーな態度だったことが記憶に残っている。

◇ 弁護士は決して正義の味方などではなく、はたまた証拠ねつ造などの事件で検察官のイメージは地に落ちている。法廷にも市民感覚を反映させる趣旨で、裁判員制度も導入された。あの頃に比べれば、法廷内の様子もだいぶ変わったのかなぁ?

一番じゃなきゃダメですか?

2011-01-22 | 本  棚
◇ 蓮舫『一番じゃなきゃダメですか?』PHP研究所。ツイッターでもフォローしている行政刷新担当大臣兼食品安全・消費者担当大臣。たまたま立ち寄ったパレア松本で目にとまったので、借りてきてみた。

◇ 「世界一じゃないとダメなんですか?二位じゃダメですか?」スーパーコンピュータの開発を仕分けるときに発した言葉。それに対して文科省の担当者は、「夢です」。それが「どうしても世界一番じゃないといけない理由」なのか?報道された「事業仕分け」は9日間だけど、実はその前の1ヶ月あまり、本番の担当者に2回ヒアリングしていたという。 

◇ 一人歩きした感がある、この発言。とかく「事業仕分け」の乱暴さ、無意味さを強調するときに、象徴的によく取り上げられる。でも、私なんかも素朴にそう思ったけどなあ。気の強い女性は苦手だが、政治家になるまでの生い立ちにもふれられていて「へぇ~、なかなか」と思わされた一冊。

◇ なお、ツイッターについてもいろいろ書かれている。「ツイッターやって、何かよかったことはあるの?」「よかったかどうかはわからないけれど、キレイな月は見逃さなくなった」 ただそれだけのことなんだけど、見知らぬ誰かのつぶやきを、見知らぬ多数の人が温かく共有する。スマートフォンの登場による情報の即時性と相互性。ナルホド。。。実感

◇ 事業仕分けも含めて、(民主党政権は)「『世界一』、『一番』に挑んでいるのではなく、「初めて」のことにチャレンジしているんです。・・・『初めて』の積み重なりが、社会を新しくチェンジしていくんだと思います」と結んでいる。さてさて、社会が「チェンジ」する前に、政権が「チェンジ」しなければよいのだが。

国連の政治力学

2011-01-14 | 本  棚
◇ 北岡伸一『国連の政治力学』中公新書。著者は、東大教授。専攻は、日本政治史。2004年4月から2006年9月まで、東京大学から外務省に出向し、特命全権大使、日本政府国連代表部次席代表としてニューヨークに勤務していた当時の体験をつづったもの。今年7月、松本市で国連軍縮会議が開催されるというので読んでみた。

◇ 国連の最大の目的は、世界の平和と安全の維持。「日本は国連通常予算の16.6%を支払っている。」アメリカこそ22%と日本より多いが、他の安全保障理事会常任理事国であるイギリス6.6%、フランス6.3%、中国2.7%、ロシア1.2%よりもずっと多くの金額を負担している。4カ国の合計額とほぼ同じくらいだ。それにくらべて、国連における日本の発言力、存在感といったら...

◇ 著者が在任中、日本の安保理常任理事国入りを目指してあの手この手で活動したが、結局実現はできなかった。政治家による重大な決意と強力なバックアップが必要だとした上で、「日本のような、核を持たず、アジアの国であって、途上国経験を持つ、シヴィリアン・パワーが、安保理の常任理事国となることは重要であり、むしろ日本の責任というべきであろう」と述べる。

◇ 「国連が生まれたとき、平和に対する主たる脅威は、国家であった。しかし、いまや非国家主体が重要となり、また、破綻国家やテロリズムや、大量破壊兵器の拡散、犯罪組織など、新しい脅威が増えている」という指摘は、「平和」という概念そのものの再考を促す。また、中国などが繰り返し発言する日本の戦争責任については、「日本は1972年になって中華人民共和国と国交を正常化した。そのとき中華人民共和国は賠償を放棄した」にもかかわらず、「1978年、日中平和友好条約締結以後、日本は中国に経済援助をはじめた」と明確に反論する。

◇ 本書は、既発表の論考を再編集されたものなので、多少統一感に欠ける感があるが、「外交は説得と交渉によって、合意に達するアートである」というとおり、現実政治の舞台裏を知るにはよい手がかりになると思う。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら

2011-01-13 | 本  棚
◇ 岩崎夏海『(略して)もしドラ』ダイヤモンド社。書店でおじさんが手に取るにはちょっと表紙の絵が恥ずかしいが、人気の本なので読んでみた。

◇ 結論から言えば、ドラッカーの「マネジメント」そのものを読んだ方が、時間の節約にもなってよいだろう。30年も前に出版された経営学の本が、なぜ今なお有益なのか?流通や消費の形態が著しく変化したとしても、経営のエッセンスは変わらないと言うことなのだろうか。

◇ 「人は、優れているほど多くのまちがいをおかす。優れているほど、新しいことを試みる」なるほど、失敗をおそれないチャレンジ精神が大事なんだね。これは、自分への慰めのコトバとしよう。

◇ 「この小説に出てくる登場人物の何人かは、AKB48という女性アイドルグループのメンバーがモデルになっている」というエピローグの一節を目にしたとき、「やられた~」と思った。かつて大学の先生がおっしゃっていたとおり、やはり本は後書きから読まねばならない。

これからの「正義」の話をしよう

2011-01-12 | 本  棚
◇ マイケル・サンデル『これからの『正義』の話をしよう」早川書房。ハーバード大学での政治哲学の講義をまとめたもの。対話形式による実際の講義の様子は、「ハーバード白熱教室」として、NHK教育テレビでも放送された。

◇ 「正義」とはなにか?古代ギリシャの時代から、人類がずっと問い続けてきた難問である。しかも、未だに明確な結論は見えない。「こんにち、生物学と物理学に関するアリストテレスの著作を読み、内容を真に受ける科学者はいない。だが、倫理学と政治学の研究者は、あいかわらずアリストテレスの道徳・政治哲学について読み、考察している」

◇ 本書では、具体的な(極端な)事例を挙げながら、幸福の最大化(ベンサムの功利主義)、自由の尊重(ノージックらのリバタリアニズム)、美徳の涵養(カントの道徳原理)と話が進んでゆく。そして最後に、「公正な社会は、ただ効用を最大化したり選択の自由を保証したりするだけでは、達成できない。公正な社会を達成するためには、善良な生活の意味をわれわれがともに考え、避けられない不一致を受け入れられる公共の文化をつくりださなくてはいけない」とコミュニタリアンとしての著者の主張が述べられる。

◇ 放送された講義を見ても、ユーモアを交え、巧みに学生に質問したり、意見を要約したりする技術はさすがだ。ハーバードで一番人気のある授業、というのも頷ける。そして、この手の本にしては比較的に読みやすいのは、翻訳者の力量によるところが大きいのだろう。政治哲学(史)を概観するには、ちょうどよい本かも。

神様のカルテ2

2010-11-23 | 本  棚
◇ 勤労感謝の日。昨晩は飲み会で少し頭が重いし、天気も朝からあまりよくなかったので、今日は読書の日とすることに決定。前回に続いて、夏川草介『神様のカルテ2』(小学館)を読む。

◇ 日常的な医師不足に悩む地方病院の忙しい様子は変わりないが、主人公の同級生が同じ病院に赴任してくるなど、医学生時代の過去が描かれる。部員が3人しかいない将棋部、という設定が個人的には好きだ。そして、「医師である前に、一人の人間であるべき」「この町に、誰もがいつでも診てもらえる病院を」といった理想論が語られていく。

◇ 今回は、松本市街地の描写だけでなく、冬の美ヶ原・王が鼻から木曽の御嶽山といった山の描写が加わっている。前作より100ページ増えているけど、インパクトとしては、やはり第1作の方が強かったなあ。ちなみに、このあがたの森公園(写真)は、小説には登場しない。

神様のカルテ

2010-11-20 | 本  棚
◇ 夏川草介『神様のカルテ』(小学館)。信州・松本の総合病院を舞台とした、医師の物語。読書の秋、ということで、話題の作品を読んでみた。

◇ 「本庄病院」「信濃大学」「九兵衛」といった地元の人ならすぐわかるネーミング。患者さんの名前も「明科さん」「豊科さん」「安曇さん」「田川さん」といった調子。松本城や上高地はもちろん、深志神社、女鳥羽川、縄手通りといった地名も出てきて、松本っ子にはたまらない。

◇ 夏目漱石の『草枕』を常に抱えているという主人公の古風な言葉遣い。それも含めて、さらりとした文体などに対してに評価が分かれるところだけれど、私は読みやすくて面白かった。主人公の細君が”世界中を駆けめぐる山岳カメラマン”という設定はどうかと思うが、物語の場面場面で、いちいちなじみの場所の情景が目に浮かんできて、一気に読めた。

◇ レビューを見ると辛口の評価が多かったけれど、きっとそういう人は病院とか病気などに、縁がない人たちなのだろうと思う。肺ガンで母を亡くした私には、どうしても胆のうガン患者の「安曇さん」と母とが重なってしまう。蛇足ながら、実際の「信濃大学付属病院」の先生や看護師さんたちは、とてもよくしてくださった。

◇ 『神様のカルテ』は映画化が決定され、現在も松本市内などでロケが行われている。主演がジャニーズ事務所の櫻井翔ということで、だいぶ規制が厳しいようだが、どんな作品となるのか、今から楽しみだ。