野鳥でも、カラスやスズメ、ツバメなどは、成長するまで親がエサを運び口移しにヒナに与えてやる。
一方、カルガモのヒナは誕生するとすぐに歩き、泳ぎ、エサをとる。
子育てをする母親にとって、「子を見守り、危険から遠ざけること」が何より重要な役割だったはずである。
その通り、母親は常に子に寄り添い、周囲の安全に気を配る様子が見られた。
母親とのお散歩。
そのころは先に行く子の後に、常に見守る母親の姿があった。
ところが、まだ羽も成長しきらず、飛べない子を残して母鳥は姿を消してしまった。
あれほど愛情を注いで育てていたヒナが、一人前の大人(?)に成長する前に突然いなくなるとは・・・。
その時から、兄弟のいないこの子は、前触れもなくひとりぼっちになってしまった。
「あとは自力で生きていきなさい」と子を突き放す、野生の生き物の厳しさを見せられた気がした。
以来すでに10日が経ち、母の面影を残しつつ日を追って成長している。
この子はすでに、それが野生の宿命と悟っているかのようにも見える。