幸隆の国から

歴史の跡、自然、いい湯などを訪ねて出掛けたときの記録。
また、四季折々、日々の雑感です。

能登の旅・七尾市の見どころ

2022-10-23 | 旅行

能登半島の七尾市へは2回目の旅になるが、ゆっくり時間をかけたのは今回が初めてとなる。

 

JR七尾駅を降り、御祓川大通りを真っすぐ10分ほど歩くと、「能登食祭市場」に突き当たる。

海産物やお土産品を買ったり、食事をすることが出来る便利な場所である。

反対側に出ると七尾港の真っ青な海である。

 

少し駅の方に戻り、御祓川を渡り「一本杉通り」を歩く。

ろうそく屋さん、醤油屋さん、昆布・海産物店などのレトロな商家の建物が点在する。

ゆっくりと流れる時間に合わせるように、古い建物の前では自然と歩みがのろくなる。

 

一本杉通りを外れ、少し入ったところに「小丸山城址公園」がある。

天正年間に、前田利家が築いた城跡で、山と言うより小高い丘のような場所にある。

眼下には七尾市街を見渡すことが出来る。

 

小丸山城址公園の入り口の脇にあるのが「花嫁のれん館」である。

木造の、古民家を思わせるデザインである。

 

「花嫁のれん」は、幕末ごろこの地方で始まり、一部には今なお続いている風習とのことである。

ここは、花嫁のれんの常設の展示場で、説明員の方が丁寧に説明して下さった。

以下はその受け売りである。

花嫁は婚礼の当日、嫁入り先の家の玄関先で、新郎・新婦それぞれの家の水を一つの盃にそそぎ飲み干す。

飲んだ後、その場でその盃は割られる。

「二度と元には戻りません」という決意を示す行為なのである。

 

その後、その家の敷居をまたいだ花嫁は、自らが持ってきた家紋入りの「花嫁のれん」が掛けられた仏間に入り、仏壇にお参りをする。

この時に、改めて「この暖簾をくぐったのちは、二度と実家にはもどりません」と誓うのだそうだ。

それが済んでから「結婚式」が始まるという。

 

展示された「花嫁のれん」を見ると、時代とともに色やデザインに変化がみられる。

花嫁のれんの多くは絹が使われ、加賀友禅の技法が使われるという。

大変なコストがかかるのであろう。

結婚式が済むと「花嫁のれん」はタンスの奥深くしまわれ、綺麗だからといって、なにかに用いることは無いようである。

 

見学を終わって・・・。

美しい「花嫁のれん」には、”娘を嫁がせる親の気持ち”、”嫁いでいく娘の覚悟”、そんな気持ちが込められているのを感じた。

「いい風習だな~」