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como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

風林火山・第6話「仕官への道」

2007-02-12 21:58:41 | 過去作倉庫07~10
Story武田の裏切りで福島越前守の叛乱は失敗に終わり、福島は甲斐へ落ちのびる。信虎は残党狩りを家臣に下知し、福島は小山田信有に討ち取られる。家臣の前島昌勝が連座して罪を問われたことで、武田家の家中にも不協和音、信虎と晴信の不和はさらに悪化…。そんなおり、晴信に京から公家の三条家の姫が輿入れし、武田と今川は和議を結んだ。駿河に滞在中の勘助は、今川家への仕官を新当主の義元に懇願するが、勘助の醜貌を嫌悪した義元は冷たく拒絶。屈辱感に打ちひしがれ、さらに憎い武田と和睦した今川に見切りをつけた勘助は、のこる武田家の仇敵・相模の北条家を目指し旅立つ。

庵主のCheck!

 わたし、今回の大河ドラマに惹かれる理由の一番は、主人公が、ひとことでいって怪しいことなんですよね。大河ドラマの主人公というと志高い正義漢というのがお約束のようだったので、臨機応変に乱世を生き抜いていく底辺の人、というのは「なんか新鮮だ…」と思うのです。誰かに「御屋形様に尽くします!命を懸けて尽くします!!」と声を振り絞っった30分もしない後に、別の人に、同じテンションで「私がお仕えしたいのは貴方様だけ!!」と言い切っているような人が…かつて大河の主人公にいた事があっただろうか。
 底辺の人が知恵とガッツで時代の荒波を乗り越え、同時代のヒーローと次々かかわっていくパターンのドラマに、昭和の大河『獅子の時代』があり、私はこれが今のところ大河ドラマの最高傑作だと思ってます。今回の山本勘助=内野聖陽には、『獅子…』の菅原文太に似たものを感じるのかもしれないです。
 というわけで、第6回、見て行きましょう!

 あまりに地味キャラ過ぎて、前後の関係をうっかり忘れていた前島昌勝=塩之谷正幸。この人が、福島越前守=テリー伊藤と信虎様のパイプ役になっていたという設定でした。
 なので、今回の信虎様のフェイントで、いちばん被害を受けたのはこの人です。花倉から逃げてきたテリーを匿い、そのためにおなじ家中に襲撃される…。悲劇ですよね。しかし、いきなり「歯向かうものは斬り捨て、屋敷を焼き払えーっ!!」と命じる小山田信有=田辺誠一もどうなんでしょうか。
 案の定、小山田は家臣一同に呼び出され、吊るし上げを食らいます。スタンドプレイも「御家の為ですよ、何が悪いのですか」と、クールな顔で開き直る小山田。といいつつ、忠義でやってるとは全然見えないところが田辺誠一の上手さですが、それでも、小山田家の微妙な立ち位置については説明を添えてほしいところでした。「甲駿国境が静まれば郡内は得をするのであろう」とか、ゴリさんあたりに言わるとかして。
 しかし、信虎様の眉毛、だんだんスゴくなっていくように見えるんですが。先っぽのほうで二股に割れちゃってますよ。「今回は許そう…そちを」のあたりの眉毛のうねりって、ほとんど劇画…。

 で、三条の方=池脇千鶴が甲斐に嫁いでまいります。姫付きの老女は、今回は浅田美代子ですが、大河『武田信玄』では同じ役が小川真由美で、強烈な妖気あふれる怪演を忘れる事はできません。あれに比べると浅田美代子ってあまりに普通のおばさんみたいですが、これからキャラが立ってくるのかもしれません。
 そんなことより一番驚いたのは、晴信と三条姫の披露宴に大原崇孚雪斎=伊武雅刀が居たことでした。すごい、神出鬼没。何モンや、この坊さんは。

 神出鬼没の伊武雅刀は、次の場面ではホームグラウンドの駿河に戻っています。今川家の家督を継いだ義元=谷原章介が、庵原家に滞在中の勘助を呼び出し、花倉の乱の働きに報償を与えるわけですね。義元、上機嫌で「望むがままの褒美をとらすぞよ」とか言うんですが、勘助が顔を上げたとたんに、だーッと引いて、態度が豹変するんですね。
 この辺の谷原章介の一連の演技は、う、ウマイッ!って拍手ものだったんですが、残念な事に勘助の顔が、そんな義元が一瞬で引くほど醜くないんですよね。だからいまいち、タニショーの熱演も引き立ちませんでした。仕官を望む勘助に、「余にその面を見て暮らせと申すのか」とハッキリきついことをいいますが、どこがそんなに?って思っちゃう。まあ、これはどうしようもないんですが。
 その辺をフォローするためにか、勘助はいつもより念入りに汚くなっていて、汚なカッコいいを通り越し、臭ってきそうでした。汚なづくりもこのへんが限度かもしれません。

…というわけで屈辱に打ちのめされた勘助ですが、偶然知り合った浪人・青木大膳を引っ掛け、相模の北条家に関東管領の間者がいるというネタを手に入れます。このネタを手土産に相模に旅立つのですが、青木をだまくらかしてダシにつかっていくのを忘れません。このあたりで、義元にうけた侮辱からは完全に立ち直っていて、この馬鹿馬鹿しいくらいの打たれ強さ、好きだなー。

 さてさて、相模の北条一族ですが、最後の紀行コーナーでも紹介された、何重にもなった要塞都市だったといわれる小田原に住んでいます。この小田原のビジュアルが、なにかエル・グレコの『トレド風景』か『ハウルの動く城』かって感じで…。NHK、CGにハマりすぎていないだろうか。
 北条の若殿さんが北条氏康=松井誠です。これが初登場の最初っからすごい、独特な人。お初に御意を得て、実はお家に間者が…ってストレートに切り出す勘助も勘助ですが、じゃあその間者の家にいって直接聞こうといって、スタスタでかける若殿もすごいのです。フットワーク軽いです。というか、軽すぎる。
 間者と名指しされた本間江州って人の家に勘助をつれていき、「こいつがお前を上杉の間者だといっているがどうじゃ」って、サクッと聞くわけですね。びっくりな展開ですが…。
 で、結局本間は北条の二重スパイ?のようなものだと勘助は見抜き、氏康は勘助を「バカではない」と見、勘助は氏康の器量に感動するわけです。で、冒頭の「私がおつかえしたいのは貴方様!」という展開になるのでした。

 新しい人物も一杯出てくるし、勘助の変わり身の早さ…もとい、臨機応変さについていくのに、予習が欠かせないという、勉強会としてはなかなか、悪くないペースになっております。


2 コメント

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勘助はハンサム? (ぎんこ)
2007-02-13 11:58:14
 こんにちは。
内野さんはハンサムなので、限界ギリギリまで汚いカッコをしても、私は別にそうでも~って思ってしまいます。隻眼もかっこいいなあくらいだし、足を引きずってますけど、別に運動にも問題なさそうだし。と、うちの父に言ってみたら、昔はそういう障害に対しての目はすごく厳しかったって言ってました。そういうのをふまえて見れば、今川さんが引いてもそういうもんかな、と思いますけど、現代人の私が何も考えずに見れば、ただ汚い人が嫌いなのかと思ってしまうかも(笑)遊人庵さんの書いている通り、このへんはむずかしいとこなんでしょうね。あんまり差別的な表現も使えないでしょうし…。国民的ドラマの限界でしょうか。
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なるほど… (庵主)
2007-02-14 22:10:57
ぎんこさん、こんにちは。
なるほど!偏見とみると辻褄が合います。あの場面はやっぱり、そのまま見ると無理があった気があって、単に汚い人が嫌いとか、それともヘタをすれば自分と真逆なタイプのワイルド系ハンサムに嫉妬した!?ともとれてしまう(笑)のですが、たしかにNHKとしては差別的な表現をするわけにもいかず、「片目に草鞋をはいた」とか婉曲に表現するしかなくて、苦しいところでしょうね。
 それにしても、あのボサボサの髪はどうなんでしょう。晴信に会ったときもそうでしたけど、領主に拝謁するのに着物は着替えるのに髪はあのまま。軽く梳かすくらいすればいいのにねって思ってしまいますが、やはり元がハンサムなため、小ぎれいにすると谷原章介との落差がなくなるからでしょうか(笑)。
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