como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

平清盛 第8話「宋銭と内大臣」

2012-02-26 23:12:11 | 過去作倉庫11~14
待たせたな!!!

…はいっ、この人の出る回まではとりあえず待とうと、見放しモードの低テンションを盛り上げ盛り上げ、見てまいりました「清盛」ここまで7話。
 それでも、身についたネガティブな懐疑主義のため、今週はいわゆる「出る出る詐欺」なんではないかと…。つまり予告編や番宣でさんざっぱら煽っておいて、実際出るのはラストの10秒くらいだった、という。大河ドラマではよく使う手ですよね。
 まあ、ここまでがだいぶ氷点下にはいってたんで、ここで出る出る詐欺やられたらキレて今回で視聴打ち切っていたと思いますが、今週は、まあ。
 なにが出るって??
 もちろん、悪左府・藤原頼長こと、山本耕史です

 ただ、今回は待ちに待った悪左府の登場だけでなく、ほかにも突っ込みどころ満載だわ、萌えツボ押されまくりだわ、大ネタ小ネタ盛りだくさんで、ほんとに楽しゅうございました。
…まあ…それが必ずしも、脚本の出来の良さとか、ドラマの品質にかかわっているとは思えないところがアレなんですが、イロモノ祭りだってなんだって、盛り上がらないよりは盛り上がったほうがいいに決まってますからね。
 では用意はよろしい?今週も見てまいります…が、必ずしもドラマの内容に準拠しているとは申せませんので、そのへんご容赦のほどお願いいたします。

第8話「宋銭と内大臣」

 はい、今週もアバン・アバン(紛らわしい…)の「今週の見どころ」から始まったわけですが、そこは悪左府のワンマンショーでした(笑)。じっさいの頼朝篇アバンは、30秒くらいだったかな。先週、あんなのは1分以内でよい、とクレームつけたのが届いたようで、スッキリです(違う…)。
 いや、今週はアバンタイトルでダラダラ時間食ってる場合じゃないくらい盛りだくさんなんですよね。どう盛りだくさんか、お話する前に、今週一発目にわたしの秘孔を突いたネタは、
 怪しい中国人桜金造
…です。
 場面を説明すると、キヨたん(松山ケンイチ)は盛国(上川隆也)とウサギ丸(加藤浩次)をつれ、九州の、いまの佐賀県の神埼荘というところにいくわけですね。ここは、上皇の荘園を無断利用した平氏の私的なタックス・ヘイブンなわけです。密貿易基地なんですね。
 そこで宋の商品を商って、「コレ宋国渡りの青磁アルヨー、社長サン見るだけタダネー」とか言っているのが桜金造なんですけど、以下完全に個人的な話ですが、実はわたくし、去年「JIN―仁」を見ていたとき、医師の福田先生を演じているのは桜金造だと信じ込んでたんですよね。で、それは実は、今回、藤原家成を演じてる役者さんで、桜金造とは別人だった、と気づいて衝撃をうけたのがつい最近の話なので…。その驚きもまだ引きずってる中で桜金造本人が登場したので、ツボを直撃されて踊りました。ええ。
 こうなったら、この怪しい中国人と家成卿の対面場面をぜひ見たい。どんなに強引でも構わない。その日が来るまで視聴テンションを維持して見続けるのもやぶさかではございません。ダメかなあ??

 ハッ、失礼しました。個人的なことを長々と…。とにかく、神埼荘というところに行ったキヨたんは、お米を仲介した物々交換じゃなく、貨幣経済というものが存在することに驚き、「なんと豊かな世界がここにはあるのだ!!スンバラシイ!!」とカンゲキ、いつかお船にのってかの国に、かの国のようにこの国を変えて…っと、なんか一昨年のドラマみたいなことを一直線に考え始めるのですが…いや、できればやめてほしいよな、このフォーマット。ちょっと悪寒がする…。
 まあね、悪寒っていうよりは、こーゆーことを言えばいうほど主人公が空気になっていく、という、根本的な問題があるわけでして。
 まっ、とにかく。院宣を偽造してのこの副業で、忠盛パパ(中井貴一)は財をなし、袖の下をばらまいたり寺社の寄進などして、それで成り上がったわけです、実は。王家もそれしってるけど、ようは持ちつ持たれつ、つうことで。そんななれ合いの談合社会を斬るべく立ち上がったのが、
待たせたな!! (しつこいね)
 藤原摂関家の二男・頼長(山本耕史)。エリートちゅうのエリートであり、法度破りは許さない、鬼の副長…あ、いや、同じ法度の鬼でも、こっちはボンボリ眉に鉄漿のおじゃる丸スタイルなんですよ。まあ、このスタイルはどんなイケメン俳優がやってもイロモノだと思ってましたが、おじゃる丸でもクールで崩れない俳優さんって、初めて見ました。凄いかもしれません。いや、凄い。
 トバちゃん(三上博史)が愛人のナリコさん(松雪泰子)をべったり侍らせての菊見の宴で、あー汚らわしい…と露骨に嫌悪を顔に出す頼長さま。腐りただれた公家社会の粛清を決意します。粛清だよ。うはっ(何事)

 さてその御所の庭の菊ですが、たまこ様(壇れい)とトバちゃんの恋の花・水仙をひっこぬき、ナリコさんが強引に植えさせたものだそうです。
 たまこ様は、「水仙もなくなってしまうと、あの香りが何やら恋しい…」などと遠い目をしておっしゃって、まあようするに、めんどくせえと思ってた濡れ落ち葉亭主も、よその若い女に移ってしまうと、気楽は気楽だけどちょっと寂しいわねというご心境のようですが(違うか?)。…といっても菊と水仙って全然季節違うんじゃね?? 同じ庭でも二毛作でいけるんじゃないかと思いますけどね。トバちゃんの二股愛みたいに(それも違うか)。

 その御所の菊見会で、トバちゃんに名指しされて、院のお庭を天国に例えたようなマンセー和歌を詠んだノリキヨ(藤木直人)は、崇徳帝(井浦新)によびだされ、詰問されます。
 でも至尊の御方なので直の会話など許されず、御簾越しに糸電話で…、いえウソ、間に取次がはいるんだけど、この取次が矢島健一さんだ。こういう実務的な小働きをする役にピッタリだよねこの人。時代関係なく。
 帝は、寵愛するノリキヨが愛憎渦巻く父…というか義父の鳥羽院に召されて、マンセー和歌など詠んだことにいたくご機嫌を損じ、ノリキヨの歌は朕だけのものだあ!と、だんだんエスカレートして取次をとっぱずし、近う、近う、もそっと近う…と、最後には自分から御簾を引きちぎってノリキヨに駆け寄ります。
 そして、手を握り、ホホを寄せ、だれにも話せなかった自分の出生がらみの不幸バナ。で、だんだんコーコツとしてきちゃって、目を潤ませ、ノリキヨ、朕にはそなたしかおらぬ…。そばにいてくれ。一人にしないでくれ。You are Evereything~~あなたが思うより強く~~と、朗々と熱唱するんですね。
 いえっ、いえいえ、見てない方のために申し上げますと、わたし、妄想でモノ言ってるんじゃございませんですから。最後の熱唱まで含めて。見た通りのことを書いておりますですから。
 いやーすげーなこのイロモノ道。今週、桜金造と悪左府と、同じくらいわたしの秘孔を突いたのがこの場面でしたが、まあね、こーゆー方向に突っ走ってしまうと、ますます主人公が空気に(以下自粛)。

 そんなめくるめく展開のあと挿入されますのが、東国にいったまま消息を絶ったヨシトモ(玉木宏)のその後なんでありますが、いえ消息はちゃんとあって、パパの為義さん(小日向文世)のとこに、元気です!順調です!関東はサイコーです!!みたいな手紙がくるわけです。
 ですが、為義パパは根っからの負け犬根性からか、ネガティブにしか受け取れず、そんなん親を安心させるハッタリに違いない、実際はすごい苦労をしているんだ…と遠い目をします。じっさいは苦労どころの騒ぎではなく、北京原人に近い姿になり、狩猟採集生活に退行しているヨシトモ。
 んなとこに、ヨシトモが旅の途中で出会ったツンデレ姫の、由良姫(田中麗奈)が訪ねてきます。まあようするに、ああはいってもヨシトモが気になって、近づきになりたくて来た、ってことなんですが、この姫とパパとのかみ合わない問答のくだりは、ちょっと作りすぎっていうか。出来のわるい少女マンガのデフォルト臭く、ちょっと邪魔に感じました。こんなん入れなくても今週は十分濃いのだから……。

 でも、そんな大ボケ姫の訪問で、うっかりその気になっちゃったパパは、ヨシトモを原始生活から救出するべく、就職口をもとめて頼長のところに行きます。
 そこで、袖の下のつもりで、町で売られていた珍しいオウムを持参したパパ。ですがこのオウムは、実はキヨたんが神埼荘から持ってきて、ウサギ丸に横流しし、町でたたき売られていたもの。ウサギ丸の売り口上を鳥が覚えちゃってたところから、出所が露見するんですね。
 ところで、ウサギ丸の密輸品売買のくだりは、けっこー面白かったです。宋からの密輸品を、平氏と王家と殿上だけでまわしとって何がおもろいねん、と。そゆのは市井に広めて、こういうもんも世の中にはあるでえと人目を引いてはじめて価値がでるしおもろいんではないか、という。それへ高階通憲(阿部サダヲ)が賛同して、はじめて「流通」という概念が生まれるのですね。
 まあ、そういうイイところはあるんだけど、それも「オレは腐ったこの国の仕組みを変えたい!みんなが笑って暮らせる世の中をつくりたい!!」とかなんとか、主人公の口通して翻訳されると、とたんに空気のように拡散してしまうんだよな…。主役の存在感と一緒に…。ああああ。

 つまり、それで主役がなし崩しに拡散して、ほにゃほにゃと腰砕けになって、あとはひたすらマンセー一辺倒で終始する、というのがここ近年の大河ドラマの駄作例だったわけですけど、意外と今年はそうでもないかもよ…というか、かろうじて期待は一抹ただよってる、というところに踏みとどまるのが、以下の場面です。
 為義が持ち込んだオウムから平氏のシノギの実態がバレ、頼長はキヨたんを召し出します。あいかわらずキタネー恰好のキヨたんに、眉ひとつ動かさない頼長さまは、「そなたが届を出して大宰府に出張したのは八月の○日であった。で、大宰府に到着して滞在したのが○日から●日ころとして、その間大宰府で取引された品物の明細は以下。この中にオウムとか青磁の酒器とかもないが如何?」と詰問。
 ハッキリ申せ。神埼荘で提示されたあの院宣はどこから入手したものなのじゃ。何年何月何曜日じゃ。あの極秘電信文をコピーしたのは誰なのじゃ、と詰め寄る頼長に、「ニュースソースの秘匿義務のため、お答えできません!」ときっぱり断るキヨたん。
 あ、いや、それ別のドラマだったww 詰問されたキヨたんは、しばらく黙ってますが、やがて、「あきれ返ってものも言えなかった」と開き直り、よくまー細かいことをネチネチと。そーゆーことが大事なんじゃなく、ようは天下国家が大事ではないのですかドン!と、居直って大演説をかまします。宋国渡の物品が世の中に流通して、文化度がアップし、経済が向上するためなら密貿易が何なのだ。ワタクシには天下国家のため、飢えたる民を救う使命があるのだ。西○建設の献金ウン億円のことなどわたくしは存じません!!
…っと、まあよーするに詭弁ですね。
 で、頼長さまはフフッと薄―く笑って、まあ良い、と。ようするにお前がどーいう態度を取るか見たかっただけだ。今日は帰ってヨシ!
 と、キヨたんを解き放った頼長さま。なんで解き放ったかというと、
「あの男…なかなかの器量であるな」
…などと思った、ということはサラサラなくって、そこに残っていた通憲が、「あの院宣が偽造でも、院はそれを認めませんよ。だって、院は平氏にたかって食っているんですから。そーゆー腐った殿上だってことをあなた様は見抜いておいでなのでしょう」と看破するんですね。
 で、無言で冷たーい流し目を送る頼長さま。うっ、ゾクゾクッ。萌えるわこういうの。もう百万ダラ繰り返された、居直り主人公に対して「あの男なかなか…」のデフォルトを真っ向から切ったこの姿勢にブラーヴォ! 
 んでも、ストーリーブックをつらつら見るに、ここで通憲が「扱いようによっては、国の禍にも宝にもなる男でございます」とか言って清盛をマンセーする予定になっていたようですが、それはカットして大正解だったと思いますよ。ほんと、そっちに落ちそーでなんとか踏みとどまっているという、ギリギリのところでドラマが展開してるもんでねえ。
 ってか、今週主人公は完全に空気だったから…フォーマット通りにマンセーされてもそんなにガッカリしなかったかもしれないですね。
 ただ、新しい世をつくるう!笑って暮らせる世の中にするう!!みたいなベタな発想を鼻で笑われて、落ち込み、俺ってバカ?みたいに思って発奮するキヨたん、というのは、逆に、微かな見どころが感じられたようにも思います。

 さて、来週はまた…
 松田翔太!!あっと驚く厩戸王子ヘアスタイルでの登場に、ワッと歓喜した向きは多かったことでしょう。ますます濃くなる脇役陣!…いや、いいけどね、面白ければなんでも。
 また来週っ!