como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

軍師官兵衛 第11回

2014-03-17 21:47:23 | 過去作倉庫11~14
 今週は見ごたえがありました。今までになく満腹度が高かったです。なにが見ごたえがあったと言って、そりゃもう、「陣内孝則の顔技」「竹中直人の体技」、これに尽きる。あとは「谷原章介の冷酷な流し目&笑顔のツンデレ技」もいれてもいいですが、ほぼこれだけで、大河ドラマの45分を見た満足感に視聴者を導いたので、大河出演経験が豊富なベテランの個人技というのは、たいしたものだと思います。
 岡田君も頑張っているし、何度も褒めているように動き方とか殺陣、乗馬の姿なんかすごくいいのですが、いかんせん、こういうベテラン勢の余裕の個人芸の中に放り込まれると、無駄な力み感が目立ってしまいますね。若い主役の宿命というものかもしれませんけど、それにしても明らかに「食われてる」感じ…。主役を、短所も長所も危なっかしさもある魅力的な性格に描けない脚本にも問題あるんで、そのぶんを岡田君が力むしかないってのも痛々しいのですけどね。
 しかも彼は、あまり力むとセリフがちょっと、ろれつが怪しくなってしまうという、近年の例で言うと福山○治とか妻○木聡のような問題を抱えていますんで。うーん、「風林火山」当時の猿之助丈なんて、どんなにテンションMAXで絶叫しても滑舌はビシッとしていて、崩れたり噛んだり絶対しなかったんだけどなあ。
 古い所では「太平記」当時の真田広之さんなんかも、そういう意味で危なげはまったく感じなかったんだけども、あのドラマは、昨今のように主役がすぐ取り乱して怒鳴ったり喚いたりってこと自体、あまり無かった気がします。そういうことをしなくても、主人公の動揺とか、戸惑いとか、感動などの感情は、セリフの質と演技力で表現できるわけなのでね。ぜひとも今年もそういう方向に修正していってほしいと切望。もう無理かもしれんけど

 ということで、その「太平記」からあの佐々木道誉が復活します第10回です。ちゃんと「寝返り」って言います! なんかもう、それだけで反射的にデレッてしまったりする

第10回 「命がけの宴」

今週のざっくりしたあらすじ。

 信長軍が、木津川合戦で毛利水軍に惨敗したというニュースは播磨を震撼させ、もともと大した同盟ではなかった赤松・別所・小寺のプチ三国同盟もガタガタ。殿さま(片岡鶴太郎)も、織田は見限って毛利につくとかいいだし、んなことをしたら信長に殺される、と官兵衛(岡田准一)はビビリまくります。
 しかも、毛利攻めのため援軍に来ると約束した秀吉がドタキャン。越後の上杉と交戦する柴田勝家(近藤芳正)の加勢に駆り出されたんですね。信長も無責任で、毛利にボロ負けしたらすぐ前線は放り出し、播磨諸国が毛利に寝返る程度なら「一緒に攻め潰すまでよ」とデカイ口を叩きます。負けたくせに全然反省してませんねこいつは。というか、負けたことがあっという間に無かったことみたいになってるし。
 しかし、播磨では無かったことになっていない。秀吉もこないことで、信長軍が播磨をスルーする気満々なのは隠しようもなくなり、苦境に陥る官兵衛。そこに、竹中半兵衛(谷原章介)がやってきて、「そこもとのお力でなんとかしなさい」と無理なことを言います。半泣きの官兵衛に向かって、「そこもとにしかできないことがあります。備前の宇喜多直家を調略するのです」と。
 んなことを、失神しそうにクールな流し目で冷酷な微笑みとともに言われても、どーしろっつうのよ。官兵衛はとりあえず、宇喜多と近所住まいの嫁の姉を頼り、宇喜多直家へのアテンドを頼みにいくのですが、その義姉の家に行ってかくかくしかじか…と事情を説明しているところに、突然、宇喜多直家本人(陣内孝則)が登場するのですね。
 この宇喜多直家は、敵だろうと味方だろうとダマしたり陥れたりは朝飯前。謀殺、毒殺、暗殺で幾多の敵を血の海に沈めてきた剛の者で、義理や人情の観念もなく、寝返り(出たーーッ)などは平気の平左と言う極悪人です。この直家が、官兵衛の顔をじーーーーーっと見て「おぬしの目は澄んでいる!そういう目のおとこは早死にするのだ!」とか言って、酒を注いで一気飲みを強要。ここで官兵衛も
「それがしは宇喜多殿を味方と思うておりまする。強い味方と思うておりまする。それでよろしゅうござりまするな」
 とかなんとか足利尊氏みたいなことが言えれば、寝返り直家も落とせたのかもしれませんが、この脚本力ではそういう期待はできないので、官兵衛はただ顔面を引きつらせて直家の酒を飲むだけ。その横で、ロシアンルーレットにあたった(としか見えなかった)不運な家来Aが、毒入り酒に当たってその場でおっ死んでしまい、「わしは人など信じぬ!!ガハハ!!!」と高笑いする直家に戦慄する官兵衛主従。
 ラスボス直家に手も足も出ない官兵衛は、摂津の荒木村重(田中哲司)に相談に行きます。が、こっちはこっちで石山本願寺との合戦で酷使されて燃え尽きぎみで、役に立ちません。そんで、村重の家の中に妙にエロいホストみたいな色男がうろうろしてると思ったら、これが高山右近(生田斗真)っつって、色仕掛けで村重の嫁をたらし込み…あ、いや、キリシタンを布教したんですと。
 そんで秀吉はどーしたかというと、越前方面の前線で柴田勝家と、しょうもない口げんかから抜きあうまでの大げんかとなって、ケツをまくって長浜に総引き揚げしてしまってます。当然、激怒する信長(江口洋介)。殺されるにちがいない…とガタガタ震えており、アホかあとで後悔するくらいならしょーもないケンカで現場放り出してくんな!って話ですが、とりあえず、この場をケムにまくために、半兵衛の入れ知恵で、秀吉は、城に女や芸人やチンドン屋やなんやかやを引き入れて、のめやうたえやの大宴会をおっぱじめます。
 とりあえず反省してます、謀叛ではありまへん、という表現のためのドンチャン騒ぎなんだそうですが、これを聞いたか招かれたかした官兵衛が、播磨から半日で(ありえない)すっ飛んできて、血相変えてブチ切れて秀吉を罵倒しまくります。播磨をシカトしてこないと思ったら何だこれ!!っつうわけで、ようするに自己都合ですね。
 でも、なんかわからんけど秀吉の本気のバカッぷりに、なぜか心打たれて感動してしまった官兵衛。とつぜんハラハラと涙を流し、「秀吉さま、あなたの本気のお心を一瞬でも疑ってもうしわけありませんでした!どうせ口ばっかで来る気ねえんだろとか思ってしまった私のバカバカバカ!!!」みたいなことを、バブル全盛期のジュリアナ東京みたいなシチュエーションのなかで絶叫します。なぜかそのばに壮絶な感動の嵐が巻き起こり、互いに抱き合って感動しまくる皆の衆。
 このド感動大宴会は信長のところにも波及して、なぜかサルは御咎めなし。しかも「次はオレも呼べ」とかいわれて、念願の播磨出兵に許可が出るというボーナスつき。なんなんだ…。


今週のみどころツッコミどころ。

○とりあえず主役にあんまり絶叫芝居をさせないほうがいいですね。

 男主役にこういう芸風が定着したのがいつからかわかんないのですけど、私いやなんですよね。こういうふうに、男の主役がギャースカギャースカと喚く芝居をするの(ついでに、鼻水とか涎を流しながらボーボー泣く芝居もいやだ)。
 まあ、過去の一部の主演のひとに、こういう大げさな芝居をしないと「熱演している」ように見えないという演技力上の問題を抱えた方がいらっしゃったので、そのへんをカバーするために始めたのかもしれませんけど…。でもねえ、大河の男主役なら、テンションの高い感情的なセリフでも、反抗期の中学生みたいに見えない工夫というか、できるだけこういう芝居をしない方向で努力をするべきだと思いますよ。
 そういう意味で今週の岡田君の芝居はすごく残念でした。身長がないんだからすこしでも大きく見えるような芝居をするべきところが、よけい小物に見えるような小芝居してどうすんだ。いまからでも遅くないので、同じように身長がなかった真田広之さんの、身長をものともしないすばらしい座長芝居を「太平記」のDVDなどをみて研究していただきたいと思います。素質はあるので、がんばってください。

○ その太平記から、判官様が…

 これでそのうち陣内さんが「宇喜多直家、思うところあり寝返り御免!!」とか言ってくれちゃったりしたらほかになにも望みはおまへんわ。

○ 本願寺信徒の女中の件。

 今週気づいたんだけど、あの、英賀合戦から落ち延びてきたもと黒田家の侍女で、善助(濱田岳)とくっついた般若みたいな顔の女は、あれって先だってのウルヴァリン映画に出た女優さんですよね?
 うーむ、ウルヴァリンから善助に乗り換えるギャップの深さが謎だが…。とりあえず、ハリウッドが日本の女優を選ぶのって、なんかある種独自の基準があるよね。この女優さんと、小雪と、菊池凜子などをならべると……あ、いや、あまり詳しく検証したくないけど、「ハリウッドの日本女優に感じる美人のツボ」というものに、激しく彼我のギャップを感じてしまったのは、たしかでございます。

○ 相変わらず父ちゃんはなんの役にもたってません。

 野菜を抱えてきてオロオロと「どどどうするのだ、どうするのだ」とかいうだけの父ちゃん(柴田恭兵)。役者さんのせいじゃないのは百も承知だけど、この役立たずっぷりは(かんじんのところで良いセリフの一言もない)「天地人」の父ちゃん(高嶋政伸)といい勝負かもしんない。とりあえず、こういう役に立たないひとにトメクレジットを飾ってほしくないですね。

○ 荒木村重の痴人の愛。

 まあ、どうみても荒木村重の嫁(桐谷美鈴)をたらしこんだホストにしかみえなかった高山右近。
 お水の匂いがプンプンするキリシタン大名ってのもアレだけど、コマされる村重の嫁のほうもなんだよな~。無邪気に「目の前の霧が晴れたような心地です」なんて旦那のまえで言うかね? そんな忍耐プレイを強いられる村重の哀愁が半端なく、パッパラ女に蹂躙されて快感に悶える「痴人の愛」みたいなシチュエーションにみえたりなんかして。
 そういう深刻なジレンマに引き裂かれ、自爆して反逆する荒木村重…ってのも、それはそれで新解釈で、面白そうかもしれない。いや、たぶんこのままズルズル続くよりずっと面白い!


 さて、来週は戦国時代を彩るイロモノ悪役・松永久秀が登場し、登場と同時に派手に退場するという予告。この予告の松永久秀みて、思わず吹いて、誰だよーこのミッキー・カーチスのソックリさんはよーとか言ってたら、ヨコから、ほんとに中の人はミッキー・カーチス氏だと教えてもらって驚きました。マジか!! ロカビリーを歌いながらゴージャスに爆死するのか?!
 なんか、それだけのことでで来週が楽しみです。ものすごく。
ものすごく!!

また来週っ!


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