como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

風林火山 第33話「勘助捕らわる」

2007-08-20 22:35:34 | 過去作倉庫07~10
Story 宇佐美定満は勘助の素性をすっかり見抜いていた。景虎は勘助を通して武田の存在を宇佐美に警告し、越後統一の必要を訴えようとしたのだ。宇佐美は長尾家に仕える決意をし、景虎は国内統一に乗り出す。甲斐では、大井夫人が病に倒れた。夫人は武田の行く末を憂え、晴信に勘助を救うよう諭す。冬が過ぎる頃、越後では長尾政景が景虎の軍門に下り、国内統一が果たされた。が、期限に鉄砲を用意できなかった勘助は予定通り処刑されることになる。神仏に帰依し、自分に仕えろと口説く景虎に、勘助は、主君への忠義でなく自分を裏切ることはしないと言い放つ。そしてまさに刑が執行されようとしたとき、意外な救いの手が…。

 庵主のCheck!

先日、三船敏郎主演の映画『風林火山』(昭和44年)をBSで見ました。前から気になっていた映画です。実はこれを見て納得したのは、井上靖の『風林火山』をベタに原作どおり脚色すると、まあ3時間てとこなんだな~(それでも長く感じた)、ということです。この尺を1年に伸ばそうと思ったら、そりゃあ、勘助の青年時代だとか、強引を承知で越後に潜入!など二次創作エピソードを連ねないと持たないわけですよね。
 三船敏郎が勘助を演じ、そして上杉謙信が石原裕次郎ですが、トータル5分かそこらの出演で、セリフもないわけです。まあ、あの裕次郎が口を開いたらガックリ脱力するのは明らかなのでこれは上手い演出、と思いました。
 かたや21世紀の謙信。やはり裕次郎と同じで「喋らないほうが…」と思わせたGacktは、意外や最初の印象に反してメキメキ良くなっていきます。これはこれは…と、けっこう膝を乗り出して見た第33回。チェックしてまいりましょう。

 その38年前の映画「風林火山」と今回の大河ドラマ「風林火山」と、ただ一人両方に出演しているのが緒形拳です。昭和44年には平蔵か太吉みたいな役を演じていて、今回はクレジットのオオトリを占める越後の重鎮・宇佐美定満。間をおかず見るとそのギャップに驚きます。その渋く風格ある緒形拳が、「酒でも飲まぬか道安、いや山本勘助」と、にっこり笑って勘助の正体を看破したという、先週のつづきからです。
 二人はホントに腰をすえて酒盛りを始めています。かつて今川義元は、若い頃の勘助を「こいつを一度見たら忘れない(醜いので)。間者には不向きだ」と言い切りましたが、一度も見たことがなくてもその評判だけで宇佐美にはバレバレだった、というから驚きです。よくよく間者むきでなかったようですが、勘助はしらばっくれて、絶対に武田家の家臣だということをみとめません。
 でも、景虎王子はハッキリ言って勘助に興味はなかったようです。むしろ勘助をダシに「こういう間者が飛び道具をもって忍び込むほど天下の情勢は緊迫している。越後一国で揉めている場合じゃないので、ひとつ私に仕えて国内統一に協力してくれ」と、宇佐美を説得したかったんですね。すごい遠回りですが、頭の良いひとたちにはこういうのが効果的のようで、むしろこの謎々がわかんないバカなら不要…ということなんでしょうか。宇佐美が汲んだ景虎の真意を聞かされた勘助は「王子、侮りがたし!」と戦慄するのでしたが、囚われの身でどうすることもできません。

 季節は秋から冬へ。三顧の礼の故事にならい、通い詰めた景虎の誠意に折れ、宇佐美はついに仕える決心をしました。そして宇佐美の琵琶島城から春日山城にもどされた勘助は、本格的に収監されて檻の中の人になってしまいました。

 そのころ甲斐では、砥石城の屈辱の敗戦もまるで無かったことのように、晴信の嫡男・太郎の元服で浮かれ加減です。負け戦は速やかに無かったことにするというのはここの家風のようですね。先週のラストで負傷して倒れた鬼美濃もどうなったかわからず、話題にもされません。
 元服して武田義信となった太郎は、ママの三条夫人、おばあ様の大井夫人、じいやの飯富兵部から祝福をうけます。太郎が立派に育ったのもあなたのおかげ、と褒めちぎられた飯富さんは感激で目を潤ませます。が、そのおめでたい席で高齢の(そうは見えませんが)大井夫人が具合が悪くなってしまいました。
 あわてて駆けつける晴信と信繁と重臣たち。大井夫人は心から武田家の行く末を案じ、もう遠征はひかえて甲斐と諏訪だけおさめて満足したらどうかと晴信を諭したりします。
 そして、家中みんなが無視している、失踪中の山本勘助のことを「連れ戻さなくていいのですか」と夫人だけが言ってくれるわけです。ハッキリ言って家来たちのなかでも、勘助は死んだか敵に寝返ったかしたのだろう、と過去の人扱いで、元服したばかりの太郎が生意気にも「勘助などいなくても武田家は安泰でございます」とかいって晴信の地雷を踏んでしまったり、妙な空気が流れているのですね。
 大井夫人は「勘助はそなたの闇の部分を背負ってくれるのではありませんか」と晴信を諭しますが、これはどうなんでしょう?むしろ今のとこ、勘助のブラックな部分を晴信が担当している気がするんですが…。
ま、ともかく晴信は「あれはそー簡単に死なないでしょうよ」とかいい、見た目にはすっかり勘助を捨てたように見えるわけです。

 そんなことを諏訪の由布姫に言いにやらされたのが、いつも役に立つ学級委員の駒井正武くんです。イヤな役目ですよねえ。「ひどい!見捨てたも同然じゃないですか!」とヒステリックに怒る姫に、「殺されるか寝返るかと迫られたら、寝返ってくれていたほうがいいかも…」などとあまりフォローにならないことをいい、姫のお怒りを一身に受けるのだからお気の毒。
「わたくしが助けにいきたい…勘助が雪の中でわたくしを助けてくれたように」なんてことまで口走られて、そ、そんな話を聞かされても…と、ひたすら目のやり場に困っている駒井君。どうもこのお姫様は、ヒステリックに言えば言うほど、なにか自分のなかで突拍子もない方向に思考が走っていくみたいですね。 

 さて、はや雪の降り積もる越後では、内戦の危機が迫っていました。しつこく敵対行動をやめない親類の長尾政景を「討つ!」と王子が言い出したんですね。
 あいや、しばらく…と、新参の軍師・宇佐美が意見を述べます。ここは戦の覚悟を見せて、政景を脅すだけにしておいたらどうか。別に戦費を無駄にしなくても、駆け引きで勝つ方法はありますよ…と。「戦はしないが最上」と、これは勘助そっくりの持論ですが、やはり武田の家臣たちのように、長尾家の家来たちも宇佐美を胡散臭そうに見るのです。
 が、長尾政景というひとはかなり気もちいさく、あっさり景虎の脅しに屈して戦う前に降伏することになりました。そして、景虎王子の姉の桃ちゃんが、かねてからの本人の希望どおり政景の嫁になり、政景は義弟の景虎を「お屋形様」とよんで、ここに名実ともに、越後統一は果たされたわけです。

 こうなると人質の勘助はもうどうでもいいのですが、王子としては家来の前で「鉄砲が届かなかったら処刑」と言った手前もあり、ウソは好まない、という理由で予定通り勘助を処刑することにしました。
 といいつつ、「私に仕える気があるなら考え直してもいい。そなたの主はとっくにそなたを見捨てているぞ」といって、勘助を越後に勧誘したりします。
 こういう状態になっても、武田の家臣だとは絶対認めない勘助は、景虎王子が荘子の漢詩を引いて「小鳥が止まるのは一枝でよいのになぜ森をほしがるのか」みたいなことを言うのに、「荘子は好みません。説教は孫子でお願いします」と返して暗に喧嘩を売ります。
 この勘助と景虎の丁々発止のやりとりは、とても見ごたえがありました。神仏に祈れ…という景虎に、「私は神仏には祈りません。神仏に救われたことは一度もない」「私は人を好んでございます。人の醜さ、弱さ、狡さ、欲深さ…に、救われてまいりました!」
 自分の哲学を否定され、景虎にとってこれ以上の挑発はありません。ついにキレ、なら殺したろうやないかい!と、用意の火縄銃を向けたそのとき。
 根来寺から届け物がきた、と近習が知らせにきました。なんと、注文の鉄砲百丁をもって、根来寺の首領・津田監物と伝兵衛が、勘助を助けにやってきたのですね。

届かぬときは殺す、というのも約束なら、届いたらすぐ釈放というのも家臣の前でいったことですから、ウソの嫌いな王子様は勘助を解き放たないわけにはいかないのです。
 津田監物はこっそり、「おぬしを助けに来たのではない。おぬしの主に恩を売ったのだ」といいます。それで、実は晴信が手を回して監物に鉄砲を発注してくれたことを知り、感激でウルウルの勘助。…ですが、鉄砲の代金は誰が払うのかといったら、景虎ですよね。晴信が買ってくれたわけじゃないので。監物としては大商いになるし、結局だれも損はしなかった、ということでめでたしめでたし…って、それで良いんでしょうかこの話。
「いつか何処かでであいまみえることもございましょう」「孫子の旗にか」「毘沙門天の旗に」
…と、実にカッコイイ謎を掛け合い、バチバチ火花を散らしながら、景虎王子と勘助はいったん、別れることになりました。

 次に会うのは運命の川中島…ということなんですけど、そこまではまだしばらく道のりがあります。とりあえず、屈辱の敗戦を喫したばかりの村上義清と落とし前をつけなくては、というわけで、次週は「真田の本懐」。せっかく見慣れたガクト王子もいったんお休みですが、さわやか真田様の活躍に期待をしまして、また来週!


2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
馬を飛ばすガクト王子 (SFurrow)
2007-08-20 22:59:09
どこに行くのかと思ったら、花菖蒲を切っていて、それが政景とのシーンで・・・あれなら1本だけでいいのに、ずいぶんたくさん切っていた(笑)

そんな事はどーでもいいですが、津田監物、どこかで見た人だと思ったら、蜷川シェイクスピアの重鎮吉田鋼太郎さんじゃないですか。さすが存在感あると思った。高橋洋さんとか月川悠貴クンにも大河ドラマに出てもらいたいな~~

そういえば、稲垣浩監督の風林火山に、緒形拳さん出ていたんですか。全然記憶にありません。あれは見たからいいと思ってスルーしちゃったんだけど、やっぱり録画しとくべきだったなぁ。

来週の真田編も楽しみですね。途中入社組のピンチとリベンジを、佐々木蔵之介さんがじっくり演じてくれそうです。
返信する
津田監物の衝撃 (庵主)
2007-08-21 10:06:44
>SFurrowさん
>津田監物

そ~なんですよ!吉田鉱太郎さん!私も「なんて渋いキャスティングなんだ…」とびっくりしました。テレビドラマで「無料」で見ることの稀な俳優さんだけに…。しかし、それでスグわかるって凄い存在感。それと、声がやっぱり素晴らしいんですよね。また大河に出てきていただきたいなあ。出ずっぱりでなくていいから、こんな感じのピンポイントで…。

緒形さんは、映画では太吉そっくりの役(スカウトされて勘助の使い走りになる百姓)でした。それが今では…。しかし、あの映画は異様な豪華キャストで、他にも12,3才くらいの勘九郎さん(当時)が勝頼を演じていたのにもびっくり!合戦シーンも豪華だし、お金かかった映画ですよね。ただ、いささか長くて退屈…(笑)
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。